請求すべき按分割合に関する処分申立事件

第1 申立ての趣旨
主文と同じ
第2 申立人の主張
l 申立人と相手方は,昭和52年×月×日に婚姻したが,平成19年11月×日,離婚の裁判が確定した。申立人と相手方との聞の離婚時年金分割制度に係る第一号改定者及び第二号改定者の別,対象期間及び按分割合の範囲は,別紙のとおりである。
2 年金分割制度の趣旨は,婚姻中の年金保険料の納付に対する互いの貢献を評価することにより,縦婚後の夫婦問での年金受給額の格差を是正し,老後の生活保障を図ることにあるから, 本件における按分割合は0.5とすべきである。
3 相手方は,年金保険料の納付に対する申立人の寄与を争うが,申立人と相手方が別居を開始した平成6年×月ころ当時,当事者間の長女は16歳であり,申立人が長女を監護養育し,相手方が養育等に必要な生活費を送金していた。また,長女は, 19歳であった平成9年X月から米国へ留学しているが,その学費は相手方が援助し,申立人が生活費月約10万円を送金していた。したがって,申立人は,別居後も,子の養育にあたってきたものであり,相手方の年金保険料納付に対し寄与がないとはいえない。
4 よって,主文同旨の審判を求める。
第3 相手方の主張
1 申立人と相手方は,申立人が離婚調停の申立てをした結果,平成6年×月から離婚まで,別に購入したマンションで申立人が生活するという形での別居生活が続いた。この間,申立人は,相手方が送り続ける生活費で生活し,配偶者としてのつとめを一切なさなかった。このように,申立人は,婚姻期間約30年間のうち約13年間は相手方に対し何らの協力もしていなかったのであるから, 請求すべき按分割合を定めるにあたっては,別居期間中の保険料納付に対する申立人の寄与がゼロであったことが考慮されるべきである。2 仮に,申立人が長女の養育に協力していたとしても,長女が成人して以降の9年間は,申立人による夫婦協力の事実は一切ないというべきであって,この期間の保険料納付に対する申立人の寄与がゼロであったことが考慮されるべきである。第4 当裁判所の判断1 本件記録によれば,前記第2,1の事実が認められる。
2 ところで,対象期間における保険料納付に対する夫婦の寄与は,特別の事情がない限り,互いに同等と見るのを原則と考えるべきである。なぜなら,被用者年金の中心となる老齢基礎年金は,その性質および機能上,基本的に夫婦双方の老後等のための所得保障としての社会保障的意義を有しているものであり, 離婚時年金分割制度との関係においては,婚姻期間中の保険料納付は互いの協力によりそれぞれの老後等のための所得保障を同等に形成していくという意味合いを有しているものと評価すべきであって,いわゆる3号分割に関する厚生年金保険法78条の13に示された「被扶養配偶者を有する被保険者が負担した保険料について,当該被扶養配偶者が共同して負担したものであるという基本的認識」は,特別の事情のない限り,いわゆる合意分割に関しでも妥当するものと考えるべきであるからである。そして,法律上の夫婦は,互いに扶助すべき義務を負っており(民法752条),仮に別居により夫婦問の具体的な行為としての協力関係が薄くなっている場合であっても,夫婦双方の生活に要する費用が夫婦の一方または双方の収入によって分担されるべきであるのと同様に,それぞれの老後等のための所得保障についても夫婦の一方または双方の収入によって同等に形成されるべき関係にある。これを本件についてみると,申立人と相手方は,平成19年11月の離婚の裁判確定までの聞は法律上の夫婦であり,当事者間の離婚判決(甲第4号証)を含む本件記録によれば,平成6年×月の別居後も,当事者双方の負担能力にかんがみ相手方が申立人を扶助すべき関係にあり,この間,申立人が相手方に対し扶助を求めることが信義則に反していたというような事情は何ら見当たらないから,別居期間中に関しでも,相手方の収入によって当事者双方の老後等のための所得保障が同等に形成されるべきであったというべきである。したがって,相手方が主張する事情は,仮に事実と認められたとしても保険科納付に対する夫婦の寄与が互いに同等でないと見るべき特別の事情にあたるとはいえないから,その主張自体失当であり,申立人と相手方との聞の別紙記載の情報に係る年金分割についての請求すべき按分割合は, 0.5と定めるのが相当である。
3 よって,主文のとおり審判する。(家事審判官松村徹)

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2012年2月26日 | コメント/トラックバック(0) |

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請求すべき按分割合関する処分申立事件

第1 申立ての趣旨等
申立人と相手方は,昭和52年×月×日に婚姻し,共同して婚姻生活を営み夫婦として生活していたが,平成19年4月×日に協議離婚した。申立人と相手方との聞の離婚成立日,離婚時年金分割制度に係る第一号改定者及び第二号改定者の別,対象期間及び按分割合の範囲は別紙第1のとおりであるから,申立人と相手方との聞の別紙第l記載の情報に係る年金分割についての請求すべき按分割合を.0.5と定めるとの審判を求める。
第2 当裁判所の判断
l 本件記録によれば,次の事実を認めることができる。
(1) 申立人と相手方は,昭和52年×月×日に婚姻し,長男c(昭和53年×月×日生)及び長女D (昭和55年×月×日生)を設けたが,平成19年4月×日に協議離婚した。
(2) 離婚時年金分割制度に係る第一号改定者及び第二号改定者の別,対象期間及び按分割合の範囲は別紙第lのとおりである。
(3) 申立人と相手方は,平成19年4月×日ころ.「平成19年×月より支給される共済年金は,全額Bが受け取るものとする。年金分割制度によるAの取り分は,これを全て放棄する。」との条項を含む離婚に伴う財産分与が記載されている別紙第2の離婚協議書を連名で作成した。
(4) 平成16年×月ころ,相手方は,相手方が平成18年度から受領する年金について,その半分を申立人の生活費のために分与することを約束し,その旨の同月×日付け覚書を作成し,これを申立人に交付した。しかし,いざ,離婚する段になって,申立人と相手方が財産についての話しゃ,年金についての話し合いをすることになり, 申立人が「年金を欲しい。」と云ったら,相手方は.「駄目だ。」と云い出した。
(5) 離婚協議書は,申立人と相手方とが話し合いをした後に,申立人が離婚協議書を作成した数日前に下書きを書き,相手方にそのとおり清書してもらった上で,連名で作成した。話し合った上で離婚協議書を作成したので,作成時に,申立人と相手方との間には何らのトラブルもなかった。
(6) 申立人は,相手方から離婚協議書を昏かないと離婚届出に印を押さないと言われたので作成したが,離婚協議書により譲り受けた不動産は,相手方の浮気の代償としてもらったものであり,離婚については何ももらっていない,平成16年×月に作成された覚書では,平成18年度より受領する年金について,その半額を生活費として分与すると記載されているので,年金分割についての合意がなされていると主張する。
2 以上を前提に,検討するに,離婚当事者は,協議により按分割合について合意することができるのであるから,協議により分割をしないと合意することができるところ,本件においては,申立人と相手方との聞には,離婚協議書による離婚時年金分割制度を利用しない旨の合意がある。このような合意は,それが公序良俗に反するなどの特別の事情がない限り,有効であると解される。上記認定したとおり,当該離婚協議書は,申立人と相手方が話し合った上で,申立人が数日の熟慮期間をおいて下書きをしたことに基づいて作成されたものであり,そして,その作成時には,申立人と相手方との聞に何らのトラブルもなかったのであるから, この合意を無効とする事情は存しないといわざるを得ない。なお,申立人は,平成16年の覚書について主張しているが,同覚書は,離婚時年金分割制度が施行される前のものであること,離婚協議舎においても「財形年金の受け取り分は.Aが半額を受け取るものとする。」と規定されており,覚書の年金についての配慮がなされていることを併せ勘案すると,平成16年の覚書を離婚時年金分割制度における合意と認めることはできない。
3 よって,主文のとおり審判する。(家事審判官布村重成)

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請求すべき按分割合に関する処分申立認容審判に対する即時抗告事件

裁判所の判断
1 当裁判所も,抗告人と相手方との間の原審判別紙1記載の情報に係る年金分割についての請求すべき按分割合を.0.5と定めるべきものと判断する。その理由は,抗告人の抗告理由に鑑み,次のとおり補足す原審判の「理由」中の「当裁判所の判断J欄に記載のとおりであるから, これを引用する。抗告人は,原審判が,抗告人の「①年金分割の按分割合を定めるに当たり破綻別居の期間は貢献度なしとして考えるべきである,②婚姻期間中に相手方が約840万円を浪費又は隠匿した事実は貢献度がた事例低いものとして考えるべきである」旨の主張に対し,単に「特別な事情に当たるものとは認められない」とのみ説示して排斥したもの理由不備である上,結論としても厚生年金保険法78条の2第2項の解釈を誤っている旨主張する。
(2) 破綻別居期間について本件記録によれば,抗告人は,平成12年×月×日相手方と婚姻後,平成17年4月×日に別居して,同年×月には離婚調停申立てがなされたが不成立となり,平成18年中に離婚等を求める訴えを提起し,相手方も離婚等を求める反訴を提起し,同訴訟中で,平成19年8月×日成立した和解において離婚したものであることが認められるところ,抗告人は,平成17年4月×日からは破綻別居期間であるから,上記期間は按分割合を定めるに当たって対象となる婚姻期間には含まれないと考えるべきである旨主張するが,按分割合を定めるに当たって,事実上の離婚状態にあることが客観的に明白な破綻別居期間を対象の婚姻期聞から除外すべきであるとしても,別居したことから直ちに,婚姻関係が破綻して事実上の離婚状態になっていたものとはいえず,本件記録を精査しても,按分割合を定めるに当たって僻酌しなければ不相当というべきまでの明白な破綻別居期間の存在を認定することはできない。そうすると,原審判は,当該別居期間について,厚生年金保険法78条の2第2項の「当該対象期間における保険料納付に対する当事者の寄与の程度その他の一切の事情」として考慮して判断し,按分割合を定めるに当たって双方の寄与を同等とみることの例外を認めるべき特別な事情に当たらないものと説示したものというべきであって,厚生年金保険法78条の2第2項の解釈を誤ったものとはいえないし,理由不備の違法があるともいえない。(3) 相手方の浪費又は隠匿について抗告人が主張する浪費又は隠匿に係る事実があったとしても,当該事項は,離婚に伴う財産分与等で解決すべき事項であるから, 上記事実は,前記の特別の事情に当たるものと認めることはできない。
2 よって,原審判は相当であるから,本件抗告はこれを棄却することとし,主文のとおり決定する。(裁判長裁判官磁尾正裁判官金馬健二永谷幸恵)

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請求すべき按分割合に関する処分申立審判に対する即時抗告事件

1 抗告の趣旨及び理由
抗告の趣旨及び理由は,別紙「即時抗告申立書Jに記載のとおりである。
2 事案の概要本件は,相手方(もと妻)が,抗告人(もと夫)に対して,原審判別紙記載の情報に係る年金分割についての請求すべき按分割合を0.5と定めるよう求めた事案である。原審判は,上記按分割合を0.5と定めたところ,抗告人が即時抗告をした。
3 当裁判所も,上記按分割合は0.5と定めるのを相当と認めるが,その理由は,原審判の理由欄に記載のとおりであるから,これを引用する。
4 抗告人は,抗告理由として,①抗告人と相手方との短い同居期間,②婚姻期間中における抗告人の借金,相手方の浪費・蓄財,①抗告人と相手方の相互扶助の欠如などの特段の事情がある本件においては,按分割合を0.5とするのは誤りであって,原審判は取り消されるべきであると主張する。
(1) 厚生年金保険法78条の2第2項は,裁判所は当該対象期間における.保険料納付に対する当事者の寄与の程度その他一切の事情を考慮して年金分割における按分割合を定めることができる旨規定しているところ,厚生年金保険等の被用者年金が,婚姻期間中の保険料納付により,主として夫婦双方の老後の所得保障を同等に形成していくという社会保障的性質及び機能を有していることに鑑みれば,年金分割における被扶養配偶者の按分割合を定める際,上記一切の事情を考躍するにあたっても,特段の事情がない限り,その按分割合は0.5とされるべきである。

(2) 本件記録によれば,(.ア)抗告人と相手方の婚姻期間は,昭和54年×月から平成19年×月までの332か月であり,付)抗告人は, a昭和63年×月から平成元年×月まで00へ13か月閥単身赴任をし, b平成5年×月から平成16年×月まで00へ142か月単身赴任をし, c平成17年×月から平成19年×月までの31か月間別居期間があったものと認められる。
(3) このうち単身赴任は,仕事の都合から一緒に生活できないという状態なのであってそもそも別居とは異なるもので,特段の事情には該当しない。また,夫婦問の相互扶助の欠如などによって夫婦関係が悪化して別居に至ったとしても,本件ではその期聞が31か月間に止まり, この期聞について上記制度趣旨に照らし検討すれば,原則的按分割合0.5を変更すべき特段の事情には当たらないと解するのが相当である。
(4 )本件記録によれば,抗告人の借金は,抗告人名義のものである以上,抗告人が負担することは当然のことであり,他方,相手方が抗告人との婚姻期間中に浪費・蓄財をしたことを裏付ける的確な証拠はない(実際,抗告人と相手方の離婚に関する和解において,相手方から抗告人に対して,財産分与として何らかの財産を給付するといった合意はない。)。そして,婚姻期間中に抗告人に借金が生じたことだけをもっては,原則的按分割合0.5を変更すべき特段の事情には該当しない。
(5) 以上のとおり,抗告人の主張(抗告理由)は採用できない。
5 よって,本件抗告は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり決定する。(裁判長裁判官背山邦夫裁判官坪井宣幸堀禎男)

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夫婦関係調整調停申立事件

1申立ての趣旨
主文同旨の調停を求める。
2本件について,調停委員会による調停を試みたが,相手方は,調停 期日に出頭しないため,当事者聞に離婚についての合意が成立する見込みがなく ,調停は不成立となった。
3 本件記録中の戸籍事項全部証明m.家庭裁判所調査官作成の調査報告普及び申立人に対する審問の結果並びに調停の経過によれば,次のI:~):実が認められる。
( 1 ) 申立人と相手方は,昭和5 1 年ころから同居して生活を始め,申立人は,相手方の子を懐妊し,昭和52 年×月×日に長女c を出産した。申立人と相手方は,昭和54 年×月×日,婚姻した。
( 2) 申立人は,昭和59年ころCを連れて相手方と別居し,以後,相手方との行き来はなく ,相手方から申立人に対して生活費や Cの養育費が渡されることもなかった。もっとも,相手方は,申立人の母親が存命中には 1 年か2 年に1・度程度,申立人宅を訪問し,玄関先等で,申立人・ の母親としばらく話して行くことはあったが,その母親ら 5 年程前に亡くなり ・.以来全く訪問はない。申立人は,平成21 年×月末に Cが仕事の都合で東京へ行ったため,現在住居地で一人暮らしをしている。
( 3 ) 申立人は,平成2 1 年×月に実父が死亡したことが契機となって,申立人死亡の折には両親が埋葬されている○○家の墓地に両親と一緒に埋葬してもらい○○家の祭最巴を行う長男(前夫との子で,。0姓)に自分の葬祭を行ってほしいと思うようになった。しかし.慣習上異姓の者を同ーの墓地に埋葬することができないとされているため,申立人は,この際,長年別居して夫婦の実体がなくなって久しし、相手方と離婚して旧姓(婚姻前の氏であるC わ姓)に復そうと考え.同年×月初めころ 2度 (Cとともに 1 度,単独で 1 度)相手方宅を訪れ,相手方に対し,生活費ももらっていない、もう離婚してほしい旨依頼したが,相手方は,怒ったような口調で. 「何で離婚せんといかんのや」「 この家で一緒に住めば\,_ 、ぃJなと・と言 .って.離婚することに同意しなかった。そのため,申立人は,同年 6月×日,相手方との離婚を求める本件調停を申し立てた。
( 4) 本件調停の第 l 回調停期日は同年 7 月×日に指定されたが,相手方は何の連絡もなく出頭せず,また,相手方は, ー 同年8 月×日の第2 回調停期日にも,何の連絡もなく出頭しなかった。
( 5 )相手方の意向調査を命じられた当家庭裁判所調査官は,調査期日を定めて相手方を呼び出したが,相手方がこれにも応じないため,同年 9 月×日×日及び×日の 3 度にわたって相手方宅を訪問した。その経過は次のとおりであった。向調査官が 9 月×日に訪問した際,相手方は在宅していたが(相手方宅2 階からラジオの音が鳴っていた。) .向調査官が何度も声を掛けたが応対に出ないため,向調査官は,申立人から離婚を求める制停が申し立てられたこと,相手方からも話を伺いたいので,自分まで・連絡をお願いしたし、 こと,次回の制停j 明日が9 月×日なので出頭してほしいこと等を記i 肱しちニ出面を 1 階居室の上がり口に置いて退去した。同調査官が 9 月×日に訪問した際は,相手方は不在であった。向調査官が 9 月×日に訪問した際,相手方は在宅していたが(向調査官が訪問して呼ひ’掛けを行ったところ,ラジオの音が鳴り始めた。) .向調査官が何度呼び掛けをしても応対に出なかった。向調査官は.相手方が在宅しながら応対に出ないため,やむなく 9 月×日の調停期日への出席を促す声掛けをして退去した。なお.9 月×日の訪問時に相手方宅の l 階上がりロに置いた上記魯面の位置が移動するなど,相手方において同担面を手に取ってその内容を確認した痕跡があった。
( 6 ) 申立人においても,相手方が第 1回及び第2回の各調停期日に出頭しないため;同年 9 月になって相手方宅を 3 度にわたり訪問したが,相手方は在宅していながら応対に出ないため,何の話合いをすることもできなかった。なお,申立人は. 1 度目の相手方宅訪問時において, 申立人が署名折印済みの協議出r~婚届用紙を置いてきたが. 2 度目の訪問時には上記協議離婚届用紙はなくなっていた。
( 7 )相手方は,同年 9 月×日の第3 回調停期日にも, 何の連絡もなく出頭しなかった。
4 上記事実に基づき検討する。
( 1 )本件調停申立て前において申立人が相手方宅を訪問した際の相手方の言動,本件調停が申立人からの離婚を求めるものであることを承知しながら,正当な理由もなく調停期日への不出頭を繰り返す相手方の態度等に照らすと,相手方は,その理由は不明であるが,現在でもなお,申立人との離婚に同意するつもりはないものと推認される。
( 2 ) しかし,申立人と相手方とは,婚姻後の同居期間が約 5年(婚姻前の同居期間を含めても 8 年程度)に過ぎないのに比し. て,別居期間は昭和59 年ころから既に約2 5 年に及んでいること,申立人と相手方との聞には 1 子があるも,既に成人に達しており ,扶養を要する状態にもないこと.上記別居期間について.相手方から申立人に対して生活費等の支援がなされたことはなく,夫婦としての協力扶助の関係がないまま経過したことが明らかであるから,申立人と相手方との夫婦関係は2 0 年以上もの長きにわたって全く形骸化し,夫婦裁判例 ( 家事)としての実体が欠如する状態が継続して現在に至っている・ ものと認められる。したがって,申立人が相手方との離婚を強く望んでいる以上,申立人と相手方の婚姻については,これを継続し釘t い重大な軸があることが明らかであるというべきである。
( 3 ) そうすると,相手方が正当な理由もなく調停への不出頭を繰り返し.誠実に申立人からの雌婚の話合いに応じようとしないことも勘案すると,家事審判法24 条の淵停に代わる審判により,申立人の申立ての趣旨に沿って,申立人と相手方を離婚させるのが,当事者双方聞の衡平にも合致するものと考える。
5 よって,当裁判所は,当調停委員会制搬する家事調停委員○○○○及び同○○○○の各意見を聴いて,主文のとおり審判する。(家事審判官長門栄吉)

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離婚請求控訴事件

第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 控訴人と被控訴人とを離婚する。
第2 事案の概要
1 事案の骨子及び訴訟経過本件は,夫である控訴人が,妻である被控訴人に対し,被控訴人が,控訴人の先妻の位牌を控訴人と先妻との間の子の妻の実家に送付したり,控訴人のアルバムを廃棄したり,控訴人に対して悪口雑言を浴びせるなどしたため,控訴人と被控訴人との婚姻関係は破綻したとして, 民法770条1 項5 号に基づいて,離婚を求めた事案である。原審は,控訴人と被控訴人との別居期間が1年にも満たないことなどから,婚姻を継続し難い重大な事由が認められないとして,控訴人の請求を棄却した。そのため.控訴人が本件控訴を提起した。
2 前提事実(各項末尾に認定に供した証拠を摘記する。)
(1) 控訴人(昭和2年×月×日生)と被控訴人(昭和25年×月×日生)は,平成2年×月×日,婚姻の届出をした。両名の聞には,昭和59年×月× 日に出生した長女Cがし、る。控訴人には,ほかに.先妻のDとの聞に生まれた長男E (昭和46年×月×日生)がいるが,平成16年× 月に結婚して,同年12月から仕事で在米中である。(甲1.2. 5)
(2) 控訴人は,平成20年×月×日午後9時ころ,食事に行くと言って自宅を出たまま戻らず,以後,被控訴人とは別居している(甲2.原審控訴人・被控訴人各本人)。
(3) 控訴人は,平成20年×月×日,神戸家庭裁判所に離婚調停を申し立てたが,同年×月×日,調停は不成立となった(弁論の全趣旨)。
3 争点及びこれに関する当事者の主張(控訴人の主張)
(1) 控訴人は. 20年程前から○○○○に擢患し,平成15年×月には△△△△のため手術を受けたが,退院後,被控訴人は,長女の勉強の邪魔になるという理由で,控訴人をリビングに寄せ付けないようになった。そのため,控訴人は,朝食は一人でパンを焼し、て済ませ,昼食は外食し,夕食は,被控訴人が作ってトレイに乗せて,控訴人の居室に運ぶようになり,控訴人は,家族と一緒に食事をするなど家族団績の機会がなくな’った。また,長女は,卒業論文のためと称して, 昼夜が逆転したような生活を送り,被控訴人も長女の生活サイクルに合わせて暮らしていたため,控訴人がそのことに意見をすると,被控訴人は,控訴人に「大学にも行っていないのに口出しするな。」と怒鳴り付けた。
(2) 被控訴人は,平成15年ころから.Cわ宗に擬り,神戸市内のCわ寺に熱心に通うようになり,平成18年×月ころには,自宅の玄関や室内の至るところに,コップに塩を入れておくなど奇妙な行動を始めた。また,深夜の午前3時ころに○○宗の経を大声で1昌え,控訴人が近所迷惑になるからとたしなめても,上の階の住民も夜中に喧嘩をしてうるさいことがあるなどと反論して,改めようとしなかった。
(3) 被控訴人は,平成15年ころから, 自宅の電話機をナンパーディスプレイの電話機に取り替え,控訴人の長男や弟妹からの電話を控訴人に取り次がないようになった。
(4) このように,被控訴人は,宗教的に異常な行動をとったり,控訴人を家族の一員として処遇しない冷たい対応をしてきたのであるが,平成20年×月初めころから,次のような,控訴人に対して虐待ともいえる非人間的行動をとった。
ア×月×日, 控訴人の実妹のFが,控訴人宅を訪れ.被控訴人が先妻Dの位牌を長男の妻の実家に送りつけたことを知らせた。控訴人は,被控訴人に事実を確かめると,被控訴人は,先妻の位牌は長男が杷るのが当然であると居丈高に答えた。Fが,控訴人の承諾なく,そのようなことをするのは筋違いであると口を挟むと,被控訴人は「○○家のことに口を挟むな。」「帰れ。二度と来るな。」などと怒号し.Fの腕や首筋を掴んで,強い力で引きずりまわした。なお,被控訴人は,位牌については○○家の菩提寺の△△寺で正念抜きの儀式をしたと述べているが,△△寺に確認したところ,そのような事実はなかった。
イ×月×日.控訴人は,上記アの位牌の件があり.気がかりとなって自宅の袋戸棚等を開けてみたところ,大切に保管していた控訴人の人生の歩みを写したアルバム13聞が消えていた。被控訴人に尋ねたところ,被控訴人は,昨年全部捨てた,長男夫婦からも,邪魔になるから処分してくれと了解を得ていると平然と答えた。控訴人が,被控訴人の行動を尋ねると,被控訴人は,逆上して「お前の胸に聞いてみろ。」「お前に煽された。」「一生幸福にしてやると言った。」などと言い出し,さらに「お前の兄弟を皆l守ベ。話をつけてやる。」などと怒鳴り付けた。
ウ×月×日,控訴人は,△△寺を訪れ,住職に位牌の件などを相談したところ,住職から,被控訴人が昨年×月ごろ,突然,来訪し,△△宗の教本10冊を返却すると言って置いていったことを聞し、Tこ。また,被控訴人が,その前に○○家の約380年前まで遡って記された過去帳を勝手に持ち出して処分を依頼していたことも判明した。
エ3月25日,被控訴人は,長女の○○大学大学院の卒業式に出かけ,午後9時半ころ帰宅した。控訴人は,何をしていたのかと言うと,被控訴人は「腹が減ったらカップラーメンでも何でも作らんかい。」と言い,余りの言い草に口論になった。控訴人は,被控訴人の身勝手な雑言に耐えかね,食事に行くと言って,自宅を出て,その日は弟宅に泊まった。控訴人は, これ以上,被控訴入との同居に耐えかね,離婚することを決意し.F宅に身を寄せた後, ワンルームマンションを借りて,別居することにした。
(5) 以上によれば,控訴人と被控訴人との聞の信頼関係は失われ,既に婚姻関係は破綻しているから,民法770条1項5号の離婚原因がある。(被控訴人の主張)控訴人の主張はいずれも偽りであって,被控訴人との聞に離婚事由は存在しなし、。先妻の位牌の件は,実子である長男が杷るのが供旋になると考え,嫁の実家を通じて長男に届けようとしたものにすぎないし,アルバムの件も,長男が渡米前に意向を聞いたところ,2冊だけは持参するというので,その余はお寺で供養をしてもらっているし,過去帳について.も,戒名が間違っていたり,先祖の名が欠落などしていたため.c’がわざわざ控訴人の実家の寺まで出向いて過去帳の控えをもらい,新しく作り直したにすぎない。
第3 当裁判所の判断
1 事実経過等証拠(甲1ないし8.乙1ないし3 (書証については枝番号を含む。).原審控訴人・被控訴人各本人)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
(1)控訴人は,昭和55年ころ,貸金の返済の代わりに飲食庖(パー)の営業権を引き継ぎ,その庖のママとして働くことになった被控訴人と知り合った。当時,控訴人は,貿易会祉を経営し,先妻Dがいたが,被控訴人と交際し,昭和59年×月×日,その聞に長女Cが出生した。被控訴人は,長女が出生したころ,仕事を辞めた。
(2) Dは.昭和64年×月×自に死亡した。
(3)控訴人と被控訴人は,平成2年×月× 日婚姻の届出をし, そのころから,長女と三人で同居するようになった。控訴人は,被控訴人と同居するに際して,被控訴人の求めやこだわりを容れて, 自宅マンションを改装し.0の衣類等生活のにおいを残す主な持物を処分した。そして,被控訴人は,同居に際して,各部屋に札を貼ってお厳いをした後.生活を始めたとし、う経過があった。
(4) 平成9年,控訴人が経営していた貿易会社が倒産し,特別清算手統が開始され,控訴人は,平成11年ころから.貿易関係の会社の顧問として働くようになったこともあって,当初の50万円から逓減したとはいえ.平成19年でも月額30万円の生活費は入れていたが,生活費が減ることに被控訴人が不満を募らせ,その多寡を巡って控訴人と口論になることもあった。
(5)控訴人は,平成6年ころからC丈Xおの持病をもち,平成15年×月,△△△△で手術を受けた。控訴人は,それまでは家族三人がリビングで食事を共にしていたが,退院後は,被控訴人が夕食をトレイで控訴人の自室に運ぶのを待ち,そこで一人で食事をするようになった。また,被控訴人は,控訴人のために朝食や昼食の準備をしなくなり.控訴人は,朝食を一人で用意して食べ,昼食は一人で外食をしていた。そして, このころから,被控訴人は.長女の勉強の邪魔になるからと言って,控訴人がりピングに入るのを嫌がるようになり,控訴人は.自室で一人で過ごすことが多くなり,家族回無の機会がなくなった。
(6) 被控訴人は,実家が○○宗を信仰していたことなどから,平成10年ころから,毎月.Cわ宗のζわ寺の写経会に通ってし、た。長女は,平成18年4月.Cわ大学大学院に入学し,同年秩ころから,論文の作成などで自宅で深夜まで勉強をするようになり,それに被控訴人が付き合うため,両者の生活は昼夜が逆転するようになった。また,このころ,長女は,大学院内でセクシャルハラスメントの被害を受けたとして,精神的に不安定な状況になり,そのことが影響し,てか,被控訴人は,不浄を払うと称して, 自宅の玄関,便所,浴室等に,コップに嵐を入れて置いたり, 長女と一緒に深夜にCわ.宗の経を唱えたりするようになった。控訴人は,被控訴人に対して,昼夜が逆転した生活や深夜に経を唱えることを改めるようにとたしなめたが,被控訴人は「昔の人間は口を出すな。」 とか「大学も出ていないのに, 口出しするな。」「上の階の人も夜中に喧嘩をして騒がしいことがある。」という趣旨のことを言い返すだけであった。控訴人は,被控訴人の上記のような言動を,宗教的奇行であり,老人扱いをして,家族の一員として処遇しない冷たい仕打ちであると不満を蓄積させながら, リビングに出入りできず, 一人で食事をとる生活を統けていた。
(7) 被控訴人は,平成19年ころから,控訴人の妹の嫁ぎ先の告別式や法要を欠席し,長男の妻の両親の来訪を受けても部屋に閉じこもって顔を見せないなど,控訴人の親戚縁者を疎んずる傾向が高じていたが,平成20年×月×日,前触れもなく,自宅の仏国に杷られていた先妻の位牌を,百貨庖の紙袋に包んで長男の妻の実家であるムム宅に送り付けた。その位牌の包みには,在米中の長男に送ってほしいとのメそが添えられていたが,もとより,控訴人や長男には一言の相談もないままの行動であった。長男の妻の母親は,・同月×日,突然位牌を送りつけられたことに驚鰐し,長男と控訴人の妹であるFに連絡した。そして,長男は,アメリカから控訴人に電話をかけたが被控訴人が控訴人に電話を取り次がなかったことなどから連絡が取れず. Fに連絡し.Fが,同日, 控訴人宅を訪れ,控訴人に対して先嬰の位牌の確認を求めたため,控訴人が仏国を調べて,初めて位牌がなくなっていることに気付いた。そこで,控訴人は,被控訴人に位牌の行方を質すと,被控訴人は,平然と,先妻の位牌は子である長男が杷るのが当然であるから,嫁の実家(66宅)に送って長男に届けてもらうことにしたという趣旨のことを答えた。そこでFが.控訴人の承諾なく,勝手にそのようなことをするのは筋が違うのではないかなどと口を挟むと,輿暫した被控訴人は敵対して「○○家のことに口を挟むな。」「帰れ。二度と出入りするな。」などと悪態を吐き.Fの腕を掴んで,玄関まで号|っ張るなどした。その後,控訴人は,△△宅に家族の不始末をわびて,位牌を送り返してもらった。
(8) 控訴人は,位牌の件でひとり悶々と考えるうち,平成20年×月×日,ふと気になって部屋の中を探したところ,戸棚の中にあった控-.J’訴人のアルバム10数冊(控訴人の両親,親族,学友や戦友との写真なと・が収められたアルバムl聞のほか,長男の成長過程を帰影した写真のアルバム等が含まれていた。)がなくなっていることに気付いた。これらのアルバムのうちの1rtは,長男が米国に持っていっていたが,被控訴人は,平成19年×月ころ,それ以外のアルバムを中身を全く確認することなく.Cわ寺で行われた大護摩の際に焼却していた。控訴人が,被控訴人にアルバムの所在を尋ねると,被控訴人は,「全部捨てた。J.rEも嫁も邪t誌になるから処分してくれと言っていた。J.r嘘だと思うのなら,電話して聞いてみろ。Jなどと居直った弁解に終始した。控訴人は, 自身の人生史が刻まれたアルバムの焼却という思し、もしない出来事に度肝を抜かれ,被控訴人を詰問したが.逆に,被控訴人から,幸せにしてやると言っていたのに,騎されたなどと,控訴人が経営していた会社が倒産し,生活費も次第に減っていることなどについて責められた。
(9) 控訴人は,平成20年×月×日.菩提寺のAム寺を訪れて,住職に被控訴人のことを相談した。そして,住職から,被控訴人が,平成19年×月末ころ.控訴人に無断でムム宗の古い教本や控訴人が作成した先祖の過去帳を処分してほしいと持ってきたことを聞いた。控訴人は,被控訴人が何か悪い宗教に取り恐かれているのではと思い.被控訴人が通ってし、たCわ寺を訪れて,住職に相談したところ.co宗ではそのような教えはしてし、ない,昨年の大護摩のときに,被控訴人が大きな荷物を運び込み,焼却してほしいと頼まれたことがあったと聞かされた。
(10)平成20年×月×日,長女の○○大学大学院の卒業式であり,被控訴人と長女は,卒業式に出席したが,控訴人は自宅にいた。被控訴人と長女は,卒業式終了後十こ,長女のセクシャルハラスメントの問題について学長と話し合っていたことから,帰宅が遅くなり,午後9時30分ころに帰宅した。控訴人は.帰宅した被控訴人に食事を作るよう求めたところ,被控訴人と口論となり,我慢がはじけて自宅を飛び出し,そのまま,弟宅に泊まった。控訴人は, れまでは,被控訴人に死に水をとってもらおうと,被控訴人の言動にも耐えていたが,位牌の件やアルバムを処分されたことなどから, もはや一緒に暮らしていくことは耐えられないと感じ,離婚を決意し.F宅にしばらく身を寄せた後,ワンルームマンションを借りて別居し,夕食だけはF方の世話になっている。
2 争点(民法770条1項5号の離婚原因の有無)について上記1認定事実によれば,控訴人被控訴人の結婚生活は,夫婦破綻を来すような大きな披風の立たないまま約18年間の経過をみてきたのに,控訴人による今時の別居生活が,平成19年から始まった被控訴人の一連の言動が主な理由で・あるため,双方の年齢.家族関係,婚姻期間等だけをとりあげて論ずれば,し、まだ十分に婚姻関係が修復できる余地があるとの見方も成り立ち得ないではない。しかし,被控訴人の控訴人の親戚縁者と融和を欠く忌避的態度はさて措色齢80歳に達した控訴人が病気がちとなう,かつてのような生活力を失つで生活費を減じたのと時期を合わせるごとく始まった控訴人を軽んじる行為,長年仏壇に肥っていた先妻の位牌を取り除いて親戚に送り付け,控訴人の青春時代からのかけがえない想い出の品を焼ー却処分するなどという自制の薄れた行為は,当てつけというには,余りにも控訴人の人生に対する配臓を欠いた行為であって,これら一連の行動が,控訴人の人生でも大きな屈辱ー前出来事として,その心情を深く傷つけるものであったことは疑う余地がない。しかるに,被控訴人はいまなお,これらの割酌のない専断について, 自己の正当な所以を館々述べて僚らないが, その理由とするところは到底常識にかなわぬ一方的な強弁にすぎず,原審における供述を通じて, ー控訴人が受けた精神的打撃を理解しようという姿勢に欠け,今後,控訴人との関係の修復ひとつにしても真撃に語ろうともしないことからすれば,控訴人と被控訴人との婚姻関係は,控訴人が婚姻関係を継続していくための基盤である被控訴人に対する信頼関係を回復て-きない程度に失わしめ,修復困難な状態に至っていると言わざる得ない。なお,被控訴人が,子供までなした長年の愛人関係に終止符を打って,先妻字亡くして間もない控訴人との結婚生活を始めるに当たり,自宅の改装や先妻の生活の痕跡を残す動産類の処分やおl抜いにこだわったのは,家庭内に先妻の痕跡を残したまま新たな生活を始めたくないとの妻の心理の発現として,それなりに理解できないではないものであるが,そのような再婚のいきさつを考階、しても,先妻の位牌,先祖の過去帳を中心とする祭杷や,戦前からの控訴人及び一家の写真アルバムの保存等は,控訴人が再婚に当たって被控訴人に配慮すべき事柄とは無関係であって,それゆえ,被控訴人も,これを受け容れて夫婦問の率L蝶が生じないまま曲がりなりにも結婚生活が送られてきたものといわねばならず,結婚後十数年も経過して,改めて問題にすべき事柄とは考えられない。したがって,別居期間が1年余であることなどを考慮しても,控訴人と被控訴人止の聞には婚姻を継続し難い重大な事由があると認められる。
3 以上によれば,控訴人の離婚請求は,理由があり,これを棄却した原判決は相当でなし、から,本件控訴は理由がある。よって, 主文のとおり判決する。(裁判長裁判官渡進安一裁判官安達嗣雄明石万起子)

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2012年2月26日 | コメント/トラックバック(0) |

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婚姻費用の分担申立事件

第1 申立ての趣旨
相手方は,申立人に対し,婚姻費用として,毎月10万円を支払え。
第2 当裁判所の判断
l 一件記録によれば,次の事実が認められる。
(1) 申立人と相手方は,平成6年×月×日に婚姻した夫婦であり,平成7年×月×日,長女Cが生まれた。
(2) 申立人は,平成19年×月×日,単身家を出て相手方と別居した。
(3) 申立人は,平成20年×月から,住所地の賃貸マンションに居住し,同年5月には, cが同マンションに転居してきた。Cは,同マンシヨンから00区内の中学校に通学している。
(4) 申立人は,平成20年×月から正社員として勤務し,月額17万6000円の基本給と3万円の職能給を得ている(年額247万2000円)。相手方は,会社員として稼働し,平成18年度は351万4400円の給与収入を得ている。
2 申立人は,相手方に対し, 婚姻費用として,毎月10万円を支払う旨の審判を求めているところ,相手方は,申立人は不倫をして勝手に出ていって,不倫相手と同居しているのであるから,婚姻費用は支払わないと主張する。よって検討するに,一件記録によれば,申立人が平成18年×月から勤務していた会社には,同僚としてDがいたこと,申立人は,平成19年×月×日, Dと二人でプリクラを撮影しているが,その中には申立人がDの肩に手を回して抱き合うポーズをとっているものや,口吻を交わしているものがあること,申立人は,平成19年×月×日に家を出た後,同月×日ころから, Dが賃借しているアパートで暮らすようになったこと,申立人は自分の衣類ばかりでなくDの衣類も一緒に洗躍して上記アパートのベランダに千すことをしていたことが認められ,これらによれば,申立人は,遅くとも平成19年×月にはDと不貞関係を結んでいて,別居後はDと暮らしていたものと認められる。申立人は,プリクラの写真は, Dを含めた会社の仲間4人と飲みに出かけ,罰ゲーム的なものとしてふざけて撮ったものであると供述するが,他の同僚の目の前で異性である同僚と口吻を交わすことなど,罰ゲームとしてでも考えられないことというべく,申立人の上記供述は信用できない。申立人は,相手方の行動が常軌を逸していて困り果てて会社の同僚に相談したところ, Dのアパートに避難する方法を同僚が考えてくれて, Dもこれを快諾し,アパートを出て知人宅に移ってくれたと供述するが,職場の元同僚のために自分のアパートを明け渡して自分は知人宅に泊まることを半年以上にもわたってすることなど考えられないから,不合理な内容であるというほかなく,到底信用できないものである。以上によれば,別居の原因は主として申立人である妻の不貞行為にあるというべきところ,申立人は別居を強行し別居生活が継続しているのであって,このような場合にあっては,申立人は,自身の生活費に当たる分の婚姻費用分担請求は権利の濫用として許されず,ただ同居の未成年の子の実質的監護費用を婚姻費用の分担として請求しうるにとどまるものと解するのが相当である。
3 未成年の子の実質的監護費用額を算定するに当たっては,申立人と相手方の総収入を元に,公租公課を税法等で理論的に算出される標準的な割合により算出し,職業費及び特別経費を統計資料に基づいて推計された標準的な割合により算出してそれぞれ控除して基礎収入の額を定め,その上で,相手方と子が同居しているものと仮定すれば子のために充てられていたはずの生活費の額を生活保護基準及び養育費に関する統計から導き出される標準的な生活費指数によって算出し,これを申立人と相手方の基礎収入割合で按分し,相手方の分担額を算出するのが相当である。まず,双方の基礎収入についてみるに,義務者である相手方は351万4400円の給与・賞与所得を得ていて,その所得額に照らし,控除すべき公租公課,聡業費及び特別経費の割合を総収入の60%として算出すると,相手方の基礎収入は140万5760円となる。権利者である申立人は,247万2000円の給与所得を得ることができるとみることができるから,その所得額に照らし,控除すべき公租公課,職業費及び特別経費の割合を60%として算出すると,申立人の基礎収入は98万8800円となる。次に, cは14歳以下の子であることからその標準的な生活指数は親を100とした場合55とするのが相当であり,相手方がCと同居しているものと仮定してCに充てられたはずの生活費の額を算定すると,以下の計算式のとおり49万8818円となる。(計算式)140万5760円x 155 ~ (100 + 55) 1 =49万8818円そして,上記の金額を,申立人及び相手方の基礎収入の割合により按分して相手方の養育費分担額を算定すると,以下の計算式のとおり29万2836円となり,これを月額にすると2万4403円となる。(計算式)49万8818円x 1 140万5760 円~ (140万5760円+98万8800円)1 =29万2836円したがって,相手方の負担すべきCの実質的監護費用は,本件に現れた一切の事情を勘案して,月額2万5000円とするのが相当である。
4 以上の次第であって,相手方は,申立人に対し,婚姻費用の分担として, cが申立人と同居した平成20年5月から,申立人と同居又は婚姻解消に至るまで毎月2万5000円の支払をなすべき義務があるというべきである。
5 よって,主文のとおり審判する。(家事審判官新藤大巳)

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2012年2月26日 | コメント/トラックバック(0) |

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離婚請求控訴事件,同反訴請求事件

第1
当事者の求めた裁判
1控訴人
(控訴の趣旨)主文同旨(反訴事件の請求の趣旨)離婚請求が認容されたときに予備的に次の附帯処分を求める。被控訴人は,控訴人に対し,財産分与として相当額の金銭を支払う。
2 被控訴人本件控訴を棄却する。
(2) 控訴費用は控訴人の負担とする。事案の概要本件は,平成14年×月×日に婚姻届出をした夫婦の夫である被控訴人が,妻である控訴人に対し,平成16年×月×日以降別居状態が継続していて,婚姻関係が破綻していると主張して,民法770条1項5号に長男C (平成14年×月×日生)の親権基づき離婚を求めるとともに,親権者を被控訴人と定めることを求めた事案である。控訴人は,婚姻関係は破綻しておらず,婚姻を継続し難い重大な事由はない旨,仮に婚姻関係が破綻していたとしても,被控訴人の母からの様々な干渉と執劫な嫁いびりにより精神的な虐待を受け,被控訴その結果,人に助力,協力を求めても被控訴人がこれに理解を示さず,控訴人は抑うつ状態に一陥って婚姻関係が悪化したものであって,婚姻関係破綻の責任は被控訴人にあり,有責配偶者である被控訴人からの離婚請求は許されない旨を主張して, これを争った。原審は,控訴人と被控訴人との婚姻関係は既に破綻しており,婚姻を継続し難い重大な事由があると認めた上, 別居当時の控訴人の言動はうつ病の強い影響を受けていたところ,控訴人がうつ病となった原因に,被控訴人の母の言動や被控訴人の控訴人に対する配慮不足があることは否定できないが,過剰に「良い嫁,かわいい嫁」を意識した控訴人にも相応の原因があり,婚姻関係の破綻につき,被控訴人に離婚請求が許されないほどの有責性があるとはいえないとして,被控訴人の離婚請求を認容し,長男の親権者を控訴人と定めたところ,控訴人が離婚請求が認容されたことを不服として控訴をした。なお,控訴人は,当審において,離婚が認められたときは予備的に附帯処分として財産分与を求める旨の反訴請求をした。
2 前提となる事実関係,控訴人の主張及び被控訴人の主張は,以下のとおり, 当審における双方の各主張を付加するほかは,原判決「事実及び理由J欄の「第2 事案の概要」に記載のとおりであるから, これを引用する。(控訴人の当若手における主張)
(1) 控訴人と被控訴人の婚姻関係は,以下のとおり,いまだ破綻していない。ア夫婦は,互いに協力しなければならない義務を負っているのであって,一方が相手を気に入らなければ,相手の協力要請を無視し,婚姻関係を破壊,破綻するに任すことができるような「悪い事をやったもの勝ち」「破綻させたもの勝ち」のような事態は許されるべきではない。被控訴人の婚姻関係修復の意欲が低下しでも,被控訴人には,夫婦不和の原因が何かを解明し,これを理解し,その原因を取り除く努力をすべき義務が依然として残っているのであり,被控訴人が婚姻関係修復の意欲を失ったと軽々に認定することは不当である。控訴人は,被控訴人の母とのあつれきがある中,被控訴人の言動や控訴人を理解しない,受け入れないという不作為により精神的に傷つき,ストレスを増加させていき,うつ病による抑うつ状態と診断される状態になったのであり,控訴人の上記の精神状態や別居の原因は,被控訴人が控訴人の言葉を聞く耳を持たず,控訴人の気持ちを受け入れず,理解しようとしないことにあるのであって,被控訴ムには夫婦問の協力義務に対する違反がある。イ本件における控訴人と被控訴人の対立・不和は,被控訴人の母の言動という外在的要因に基づくものであり,このような外在的要因に夫婦が共同して対処していくことはすべての夫婦に与えられた謀題であり,使命である。控訴人は婚姻関係継続に向けてどんな努力でもすると決意しており,このことからすれば,控訴人と被控訴人の婚姻関係の修復は,あとは今後の控訴人の実際の努力と,被控訴人の心の持ち方知何にかかっている。被控訴人の婚姻関係修復への意欲喪失は, うつ病に対する無理解に由来しているのであり,被控訴人は,その正しい理解を得れば,再び婚姻関係修復への意欲を持つことは十分に可能である。また,配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないときに裁判上の離婚を認める民法770条1項4号との均衡を考えれば,うつ病に催思した直後の控訴人の言動により被控訴人が一旦婚姻関係修復の意欲を失ったことをもって,婚姻を継続し難い重大な事由があると認めるのは相当ではない。被控訴人の母と控訴人とのあつれき及びそれにより控訴人が発症したうつ病は,いずれも婚姻関係破綻の原因とはいえないものであり,本件の当事者夫婦に婚姻を継続し難い重大な事由があるとはいえない。
(2) 仮に婚姻関係が破綻しているとしても,被控訴人からの離婚請求は,以下のとおり,有責配偶者からの離婚請求であって許されるべきではない。原判決は,①被控訴人の母の言動,②それに対する被控訴人の控訴人への配慮の不足,③控訴人が過剰に「良い嫁,かわいい嫁Jを意識したことが,控訴人のうつ病を招いた原因であり,控訴人がうつ病となったことについて被控訴人にのみ責任があるとはいえず,婚姻関係破続につき被控訴人に離婚鵡求が許されないほどの有賀性があるとはいえないと判断しているが,控訴人にとって初めての土地である00県00市で夫の実家の直近に住み,夫の家族以外に頼れる人がいない状況で,姑によく思われたいというのは人として自然な感情であり,それに向けての努力が過剰になってしまうことも理解できるところであるから,上記③の控訴人の態度は責められるべきものではない。仮に,控訴人が過剰に「良い嫁,かわいい嫁」を意識したことに有責性が認められるとしても,その有責性は,上記の被控訴人の母の言動及び被控訴人の控訴人に対する配慮不足に比べれば,とるに足らないほどの小さいものである。一方,被控訴人の母の言動及び被控訴人の配慮不足は,妻への思いやりを欠き,その人絡を悔つけ踏みにじるものであり,結果的に控訴人をうつ病に陥らせるほど深刻なものであった。本件は,姑である被控訴人の母が控訴人に対し嫁いびりをし,その結果夫婦に不和が生じた場合であるから,被控訴人の母の言動す・なわち姑の嫁いびりは,夫である被控訴人の有賀性として評価されるべきである。そして,夫として積極的に家庭内の円満を取り戻すように努力する態度が見られない場合には,夫からの離婚請求は許されるべきではないところ,被控訴人は,控訴人との別居からたった4か月で雛婚鯛停申立てをしていることに見られるとおり,夫として積極的に家庭内の円満を取り戻すよう真鯵に努力していないことが明らかである。(被控訴人の当審における主張)
(1) 控訴人と被控訴人との婚姻関係は,以下の点からも,既に破綻していることが明らかである。ア控訴人は, 00県00市00町所在の居宅(以下「oo市の居宅」という。)に居住して,その近くの被控訴人の実家に居住する被控訴人と別居状態にあったところ,平成19年×月×日,長男と共に, 00市の居宅から控訴人の実家近くである口口県口口市口口所在の居宅に転居している。このように,控訴人も被控訴人との関係を修復することが困難であると考えるに至っている。イ控訴人と被控訴人が別居したのは平成16年×月×日であり,別居までの婚姻期間は約2年4か月であるのに対し,別居期間は平成19年×月×日時点でも3年3か月余りに及んでおり,婚姻後の同居期間より別居期間の方が長い。民法770条1項3号は,配偶者の生死が3年以上不明の場合に離婚を認めているが,本件で別居期間は3年以上に及んでおり,この期間からも離婚原因があるというべきである。ウ婚姻関係破綻の原因は,控訴人にある。平成16年×月に最初に離婚を言い出し別居をしたのは,控訴人であって,被控訴人ではない。控訴人は,離婚話を切り出しただけではなく,弁護士に依頼して慰謝料請求をするなどと言って被控訴人を脅した。被控訴人は,当初,控訴人に対し, 帰ってくるよう求めて話し合いを続けたが,控訴人は,離婚を主張して同居にも応じず,大声で, 自殺するなどと口走り,被控訴人を一方的に非難し続けた。被控訴人は,控訴人に対し,被控訴人の実家に近い00市の居宅とは別のところに家を借りたり,社宅に住むのはどうかという提案もしたが,控訴人は,社宅に住むのは嫌だと述べてこれを拒否し,被控訴人に対し,被控訴人の勤務先00株式会社の仕事を辞め,関東方面で仕事を探して生活できないか,被控訴人の両親と全く縁を切った形で生活できないかなどと無理な要求をした。このようなやり取りを経て,被控訴人は離婚を決意し,婚姻関係が破綻したのであるから,婚姻関係破綻の原因は,専ら控訴人にあり,被控訴人には責任はない。エ控訴人と被控訴人はいずれも昭和52年生まれで,いまだ若く,離婚後の再出発に支障が少ないと考えられる。また,控訴人は,離婚後は,口口県にある控訴人の実家で生活すると述べており,離婚後,母子手当を受給し,被控訴人から長男の養育費が支払われることを考えると,離婚によって生活に困窮するという事情はない。
(2) 被控訴人は,上記(1)ウのとおり,夫婦の協力義務を履行しており,むしろ協力義務を履行しなかったのは控訴人である。したがって,被控訴人が夫婦協力義務に違反している旨の控訴人の主張は理由がない。
(3) 控訴人が主張する被控訴人の母の言動に閲する事実関係は誤っている上,控訴人及び被控訴人は,被控訴人の母と同居していたわけではない。本件は,嫁姑が同居していた事業ではないから,嫁姑問題をことさらに問題とする控訴人の主張は理由がない。控訴人が被控訴人の母の言動に否定的な感情を持ったとしても,それは,専ら控訴人の受け止め方によるものであり,被控訴人あるいは被控訴人の母に特段の帰貫性はない。第3 当裁判所の判断当裁判所は,原判決と異なり,控訴人と被控訴人の婚姻関係はいまだ破綻しておらず,婚姻を継続し難い重大な事由があるとは認められないから,被控訴人の控訴人に対する本訴隊婚請求は理由がないと判断する。その理由は,以下のとおりである。
1 証拠(略)及び弁論の全趣旨によれば,以下のとおり認められる。(中略)
2 (1) 以上認定の事実によれば,被控訴人が平成16年×月×日に離婚調停の申立てをして以来約3年3か月間(当審における口頭弁論終結日まで),控訴人と被控訴人は,別居状態にあり,調停や訴訟の機会を除くとほとんど話し合いの場を持つことができないこと,被控訴人が,婚姻関係を修復する意欲を相当程度失っており,離婚の意思を強くしていることが認められる。
(2) しかし,それにもかかわらず,控訴人は,婚姻関係の修復に強い意欲を有していることは前記認定のとおりである。控訴人は,△△県△△市での当事者夫婦だけを中心とし,被控訴人の母との接触が少なかったころの婚姻生活が円満なものであったことから,今一度,環境を整え,夫婦,親子三人で同じような生活をしたいという強い希望を有していることが窺える。控訴人は,△△市居住当時と現在の生活の逃いをもたらしているのは,主に被控訴人の母の存在であるとの思いを抱き,同人の影響を受けない環境を確保できれば,控訴人及び被控訴人は,かつてのような円満な婚姻関係を取り戻すことができるはずであるとの気持ちが強い。また,控訴人は,被控訴人の職場の所在地が被控訴人の実家に近いことから上記のような環境整備をすることが現実には困難であることも踏まえ,被控訴人の実家近くで生活するとしても,控訴人自身が気持ちを強〈持ち,これまでは彼控訴人の母から言われることは無理難題であっても従ってきたが,これからは被控訴人の母に憎まれることを恐れず,被控訴人の母にも言いたいことを言うなどしてストレスを貯めないようにしたい旨の窓向を示している(乙2,3,原審の被控訴人本人)。そして,控訴人は,△△県△△市に居住していたころの婚姻生活や控訴人の良き理解者であった被控訴人の態度を顧みれば,被控訴人の母の存在が被控訴人の態度や判断に影響を与えており,それを直すことができれば婚姻関係を修復することができるとの考えを抱いている(乙2, 3)。控訴人のこの思いの強さは,被控訴人が離婚調停を申し立てた後の平成17年×月に控訴人自身の実家からあえて00市の居宅へ戻り,控訴人と婚姻関係修復の方向での話し合いの機会を持とうとしたことからも窺える。
(3) 以上のような控訴人の認識については,前記認定のうつ病の影響もあって客観的な事実認識に支障が生じ,被控訴人の母の言動に過剰な反応をしている面があり,客観性を欠くものではないかが懸念される。ただし,控訴人は,現在もうつ病の治療のために通院をし投薬治療やカウンセリングを受けており,控訴人のうつ病は,今後改普,治癒する可能性がある。また,被控訴人は,医師からうつ病を根本的に治すために夫婦カウンセリングを受けることを勧められており,夫である被控訴人も夫婦関係や嫁姑関係等について医師のカウンセリングを受け,控訴人のうつ病についての認識理解を深めることで,控訴人に対する治療効果の増進も期待できるのみならず,これにより,控訴人及び被控訴人双方の嫁姑関係,夫婦関係,親子関係に対する認識の削婚がかなりの程度解消する可能性もある。そもそも,被控訴人と控訴人は,婚姻前の平成12年秋ころから同居し,円満な同棲関係から長男Cの出生を機に婚姻したものであって,相当期間円満な同居生活・婚姻生活を送ってきた夫婦であり,被控訴人は,平成16年×月に控訴人から00市の居宅へ帰りたくない旨を言われるまでは,控訴人との別居や離婚を考えたことはなく,控訴人の言動に離婚や別居を考えるほどの大きな不満は感じてはいなかったものであることを想起する必要がある。被控訴人が控訴人との離婚を考えるようになったのは,平成16年×月に控訴人が帰省先の控訴人の実家から00市の居宅に帰りたくない旨を言い出した後,同年×月に被控訴人が帰宅するよう控訴人を説得するために控訴人の実家に赴き,控訴人と話し合いをしたころであり,被控訴人は, これらの話し合いの中での控訴人の言動に搬気がさしたり不信感を感じるようになって離婚を決意するに至ったものであるが,上記の時期は,控訴人がうつ病に擢思しながら,いまだ治療を受けていないか,あるいは治療が開始したばかりのころであって,上記の時期における控訴人の被控訴人に対する感情的,攻撃的な言動は,うつ病の影響を受けたものでもあったと考えられる。また,控訴人は,治療により平成16年当時よりは症状が軽快しているとはいえ,現在もうつ病の治療中であり,現時点の被控訴人の母との関係等についての事実認識や言動も,うつ病の影響を受けている可能性が少なからず窺える。そうすると,控訴人のうつ病が治癒すれば,控訴人と被控訴人の関係や控訴人と被控訴人の親族との関係も改善し,婚姻関係は円満に修復する可能性もなおあるのではないかと考えられる。
(4) (3)のように修復可能性に期待するには,もちろん被控訴人に無理を強いる面があることは否定し難い。前記のような感情的で反発的な控訴人の態度に,被控訴人が疲れ果て嫌気がさし,控訴人とこの先認識の食い違いを抱えたまま一緒に生活していくことは困難であると考えることは,その心情としては理解できないところではない。ただ,これをそのまま是認するのは,いささか路踏を覚えるのである。というのも,被控訴人は,控訴人からうつ病に擢患している旨を聞かされていながらこの治療に協力したりその治癒を待つことなく,平成16年×月に事実上の別居状態が開始してから4か月程しか経たない同年×月に早くも離婚調停を申し立て,平成17年×月に口口県の控訴人の実家から00市の居宅に戻ってきた控訴人と正面から向き合わずに,同居や婚姻関係の修復を拒絶して,被控訴人の実家で生活をするようになり,同所から歩いてわずか15分の距離にある00市の居宅に居住する長男に会いに行くこともせず,現在まで控訴人らとの交流は避けているのであり,これはいささか感情に流された行動のように思われる。そして,被控訴人が離婚を考える原因となった控訴人の言動は,うつ病の影響を受けたものである可能性があるのであるから,控訴人の治癒を待ち,控訴人の病気の影響を取り除いた状態で,被控訴人に,控訴人及び長男Cとの今後の家族関係,婚姻関係に向き合う機会を持たせることが相当であると考えられる。
(5) 上記の(1)から(4)を総合すると,次のとおりにいラことができる。すなわち,控訴人と被控訴人の交流は平成17年×月ころからほとんどない状態となり,控訴人は,平成19年×月には,長男と共に控訴人の実家近くのマンションに転居するなど,控訴人と被控訴人の婚姻関係は破綻に瀕しているとはいえるが,控訴人は,現在も婚姻関係を修復したいという真訟でそれなりの理由のある気持ちを有していること,控訴人と被控訴人は平成12年秋ごろから平成16年×月までの3年余りの期間同居しており,同居期間中少なくとも被控訴人は,控訴人に対し大きな不満を抱くこともなく円満に婚姻生活を営んでいたのであるから,今後控訴人のうつ病が治癒し,あるいは控訴人の病状についての被控訴人の理解が深まれば,控訴人と被控訴人の婚姻関係が改普することも期待できるところである。以上の諸事情を考慮すれば,控訴人と被控訴人との婚姻関係は,現時点ではいまだ破綻しているとまではいえない。

3 したがって,控訴人と被控訴人との聞には,婚姻関係を継続し難い重大な事由があるとは認められず,被控訴人の本訴請求には理由がない。なお,上記のとおり,本訴の離婚請求は理由がなく,これを認容することはできないから,離婚請求が認容された場合の附帯処分として財産分与の申立てをする控訴人の予備的反訴請求については,判断を要しない。
第4 結論よって,被控訴人の控訴人に対する本訴請求は,理由がないから,これと結論を異にする原判決を取り消し,主文のとおり判決する。(裁判長裁判官岡光民雄裁判官林道春山下美和子)

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祭杷財産の承継者の指定申立事件

第1 申立ての趣旨及び理由の要旨
1
(1)被 相続人c(以下「被相続人」という。)は,従前○○家の祭祀承継者であったところ,同人は,平成20年×月×日死亡した。申立人(大正7年×月×日生)は,被相続人の実妹である。
(2) 被相続人の子であるD(昭和15年×月×日生)は,被相続人の生前,同人から迷惑をかけられたこと等を理由に,同人の遺骨を引き取る意思はなく.(わ家の祭記継承もしたくないとの意向を表明しており,被相続人に係る相続も放棄している。被相続人の子であるE(昭和21年×月×日生)は,結婚して名字が変わっていること,被相続人とは何十年も会っていないこと等を理由に.()()家の祭最E継承をすることはできない旨の意向を表明しており,被相続人に係る相続も放棄している。被相続人の子である相手方(昭和17年× 月×日生)は,申立人法定代理人成年後見人:からの.co家の祭最E承継の意思の有無についての問い合わせに対し,返答をしなし、。被相続人のその余の子は,既に死亡してし、る。
(3) 被相続人の兄弟姉妹は,申立人を除いて全員死亡している。また,被相続人の妹である亡Fの子であるG (昭和32年×月×日生)は,申立人法定代理人成年後見人からの○○家の祭最E承継の意思の有無についての問い合わせに対し,先祖を粗末にする積もりはないが,結婚しており○○県在住のため即答しかねるとの返答をしたまま,連絡がない。被相続人にはG以外におい及びめいはいない。
(4) 以上のとおり○○家の新Eを承継できる可能性のある者はし、ずれも承継に積極的ではない。
2 他方,申立人は,被相続人とは非常に仲がよく,また,従前.(わ家の菩提寺に対し永代供養の手続を進めるような話をしていた。現在,申立人は,認知症を発症し;後見開始の審判がされているが,判断力を有していれば○○家の先祖や被相続人の遺骨を永代供養し,自らも同じ形での埋葬を希望することが推認される。
3 被相続人は,その所有の祭杷財産の承継者につき指定をしておらず,慣習は不明である。そして,上記1.2の事情にかんがみれば,申立人が被相続人の祭杷承継者となるのが相当である。よって,申立人を祭杷財産の承継者と定める審判を求める。第2 当裁判所の判断1 一件記録によれば,以下の事実が認められる。
(1) 被相続人は,亡H (明治23年×月×日生,昭和50年×月×日死亡)と亡1(明治23年×月×日生,昭和31年×月×日死亡)の長男であり,申立人は両名の長女である。両名は,被相続人及び申立人のほか,二女,三女及び二男をもうけたが,二女及び二男はいす・れも子をもうけることなく死亡した。上記三女は,その後婚姻し.Gをもうけた後,死亡した。
(2)
ア 被相続人は,昭和15年×月×日.Jと婚姻し,長女であるD.長男である相手方,二男及び二女をもうけたが,二男及び二女は生後間もなく死亡した。被相続人とJは,昭和42年×月×日離婚した。
イ 被相続人は.Kとの聞に亡L及びEをもうけ,両名を認知した後,昭和43年×月×日上記Kと婚姻し,同年×月×日同人と離婚し,同日同人と婚姻し,昭和45年×月×日同人と離婚した。亡Lは,既に死亡しており,子はいない。
ウ 被相続人は,昭和58年×月×日.Mと婚姻したが.昭和59年×月×日,同人と離婚した。
(3) 亡Hは,晩年認知症を発症するまで申立人と同居しており,昭和50年×月×日死亡した。
(4) ○○家の墓は,被相続人が承継して管理しており,被相続人は,平成4年×月×日,東京都0:コ区所在の宗教法人0:コ寺(以下ro0寺Jとし、ぅ。)の墓地使用許可を受け,同日付けでcx)寺檀徒誓約書を差し入れた。また,被相続人は,従前,自宅に仏壇を置き.0:コ家の祖先の位牌をまつっていた。
(5) 申立人は,平成16年ころ認知症を発症し,平成19年×月×日後見開始の審判が確定し,成年後見人が付された。申立人は,従前,被相続人と親しい交際を続けており,被相続人も申立人法定代理人成年後見人に対し,申立人が死亡した場合には.申立人をCわ寺のCわ家の墓に埋葬したい旨述べていた。
(6) 被相続人は,平成20年×月×日死亡した。
(7) 現在,被相続人の近親者は,妹である申立人,子であるD.相手方及びE並びにめいであるGの4人である。このうち.Dは,東京都内在住ではあるものの,被相続人の生前,同人から迷惑を被るなどしたため,同人の遺骨を引き取る意思も○○家の祭杷を承継する意思もなく,被相続人に係る相続も放棄している。Eは,神奈川県○○市在住であり,被相続人と数十年間疎遠であったことなどから○○家の祭最Eを承継する意思はなく,被相続人に係る相続も放棄している。Gは.Cわ県在住であり住所が遠方であることを理由に○○家の祭記を承継するか否かについては即答できないとし,その後,何らの連絡をしない。相手方は,申立人法定代理人成年後見人から祭杷承継の意思の有無を確認する問い合わせを受けたが,現在まで何らの返答もせず,本件審判の呼出を受けながらこれに出席しなかった。
(8) ○○家の菩提寺である○○寺は,同寺にある○○家の墓をだれも承継しないのであれば無縁仏とするほかないが,永代供養代60万円及び墓の撤去費用10万円を支払うことにより,現在○○家の墓に埋葬されている遺骨を同寺の境内にある永代供養墓地に改葬し,永続的に供養する永代供養をすることができる,その場合,申立人が死亡した際に同人を当該永代供養墓地に埋葬することが可能であるとの意向である。
2 上記1において認定した事実に基って検討する。本件において,被相続人が祖先の祭杷を主宰するべき者を指定した事実は認められず,祭杷承継者に係る慣習の存在も明らかではない。そこで,家庭裁判所が,被相続人の祭肥財産の承継者を定めることになるところ,現在,被相続人の祭杷を承継し得るのは,妹である申立人,子であるD.相手方及びE並びにめいであるGの4人であるということができる。しかしながら. D及びEは,被相続人の実子ではあるものの,被相続人との関わりをむしろ避けようとしており,現に,被相続人の祭記を承継する意思がない旨明言している。Gは.祭配承継についての窓,思を明確にはしていないが,従前の経緯にかんがみると,祭杷承継に対して積極的ではないことがうかがわれる上,○○家の墓があるco寺は東京都○○区所在であり○○県在住のGが祭犯を行うのは事実上困難であると思われる。相手方は,申立人法定代理人成年後見人からの問い合わせに回答せず,本件審判の審判期日にも出頭しない状況であって,その意思は全く不明である。これに対し,申立人は,従前被相続人と親しく交際していたこと,被相続人も,申立人が死亡したにわ寺のco家の墓に埋葬することを希望していたこと,申立人及び被相続人の実父である亡Hも,生前申立人と同居していたことは上記1において認定したとおりであり.申立人は,被相続人や亡Hとの関係が深かったことが認められる。また.D及びEは,申立人が被相続人の祭杷承継者になることに異議がない(甲第4号証の1.2)。さらに,申立人は現在後見開始の審判を受けているが,申立人が被相続人の祭最E承継者となり.法定代理人成年後見人を通じ○○寺に永代供養の手続をすることによって,申立人自身の死後の祭杷も可能になるというのであり,これらの諸事情を併せ考えると.申立人を被相続人の祭記承継者とすることが相当というべきである。3 よって,被相続人所有の祭杷財産の承継者を申立人と定めることとし,主文のとおり審判する。(家事審判官藤原典子)

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祭杷財産の承継者の指定申立事件(甲事件)祭杷財産の承継者の指定申立事件(乙事件)

第1 申立ての要旨
1 甲事件被相続人D (以下「被相続人DJという。)所有の祭柁財産として,同人の位牌,仏壇,遺骨,神棚○○寺(東京都○○区○○×一×ー×所在)内の墳墓がある。乙事件被相続人E(以下「被相続人E」といい,被相続人Dと併せて「被相続人ら」という。)所有の祭肥財産として,被相続人らの位牌,上記仏壇がある。
2 被相続人Eは,亡くなる4目前に,申立人に対し.rA (申立人)に好きなだけ財産を取らせる。00の実家はAが継いだらいい。墓は家を継ぐ者に守ってほしい。Jと告げて,被相続人E所有の祭杷財産の承継者に申立人を指定した。
3 申立人は,同人の亡夫の遺骨を,上記墳墓に埋葬するつもりであり.co寺の住職からも了解を得ている。
4 よって,被相続人らの祭杷財産の承継者を申立人と定める旨の審判を求める。
第2 相手方らの主張
1 相手方Bは,被相続人Dが亡くなる前に, 同人から○○家のことを頼むと繰り返し言われていた。同人の没後,相手方Bが00寺と交渉して墓地使用権を取得し,被相続人Eと共に,墓碑を建立して,被相続人Dを埋葬した。
2 被相続人Eの生前,相手方Bは,相手方Cと共に被相続人Eの介謹に当たっており,同人は,相手方Bに対し○○家の全てのことを頼むと言っていた。一方,被相続人Eは,被相続人Dの死後,長年にわたり,申立人に会っていなかったが,平成7年ころ,申立人が突然自宅に訪ねてきて.r家を売れ。Jなどと言われて首を絞められたりしたことから,申立人と同人の夫を怖がっており,申立人について「廃嫡届をして欲しい。」「死んでもあの子には知らせないで。」などと述べていた。
3 相手方Bは.被相続人Eの死亡に際して,葬儀の喪主を務め,前記墳墓に埋葬し,その後も○○寺からの墓や法事に関する連絡は相手方B宛てにされており,同人が,墳墓,被相続人らの位牌及び仏壇を全て管理してしる。相手方Bは,相手方Cと共に○○家の法事を執り行っているが,申立人がこれに出席したことはない。
4 したがって,被相続人らの祭杷財産の承継者は,相手方Bと定められるべきである。
第3 当裁判所の判断
1 本件記録によれば,次の事実が認められる。
(1) 被相続人Dは,昭和53年×月×日に死亡し,被相続人Eは,平成9年×月×日に死亡した。
(2) 申立人,相手方B及び相手方Cは,被相続人Dと被相続人Eの聞の長女,長男及び二女で・ある。申立人は昭和29年にFと婚姻して○○県で生活を始め,昭和32年ころXX県に転居し,昭和52年ころから奈良県の現住居で生活している。申立人は,現在○○症のため歩行に支障を生じており,本件の審聞のため,当庁に出頭することもできなかった。相手方Bは,昭和53年×月から,被相続人らの住居から徒歩圏内の東京都口口区△△町に居住し,平成17年からは神奈川県の現住居で生活している。
(3) 被相続人Dは,昭和40年ころ,申立人の薦めで△△県の土地を購入したが,その後,申立人が同土地が値上がりしたにもかかわらず礼をしないと言い出したことから,被相続人Dと申立人の関係は険悪になって,接触をもたなくなり,申立人は○○家の法事や祝い事にも出席しなくなった。被相続人Eは,申立人に宛てて書いた手紙に.「Dもお前様の電話で金くれ金くれと言ふので百万贈って×月×白から頭が白くなり人そうがわるく明る年×月から病気になり×月に死にました。お前様が殺したのです。」「Dとの土地売買は私は全く知りません。二人で納得の行くまで話し合えばよかったのです。」などと記している。被相続人Dは,亡くなる前,入院中の病院で,相手方Bに対し、「○○家のことを頼む。」と繰り返し述べていた。
(4) 被相続人Dの死後,被相続人Eと相手方らは.00寺に墓地使用権を取得し, 墓碑を建立して00家の墓所を設け,被相続人Dの遺骨を埋葬した。墓石の費用250万円は,被相続人Eと相手方Bが各100万円,相手方Cが50万円を負担し,墓地使用権を取得するための費用150万円は,相手方Bが100万円,相手方Cが50万円をそれぞれ負担した。その後,被相続人Eと相手方らが. ○○寺と,檀家としての付き合いをしてきた。被相続人Dの位牌の費用は,相手方Bが全額負担した。相手方らは,被相続人Dの死後,約20万円で仏壇を購入し,被相続人Eの自宅に置いて,同人が管理していた。
(5) 被相続人Eは.被相続人Dの死後,自宅建物で一人暮らしをしていたが,昭和63年にCわのため手術を受け,その後は左手の使用に支障が生じ,平成4年に右手指に腫癒ができた後は,右手の使用にも支障が生じた。相手方B夫妻と相手方Cは,昭和63年ころから,ほぼ半々の割合で,被相続人Eの日常生活の世話や家事援助を行ってきた。被相続人Eは,平成8年×月から×月にかけて手術を受けた後は,終日病臥することが多く,相手方B夫妻と相手方Cが,起居の手助けやトイレ介助等の身体介助を行った。被相続人Eは,平成9年×月に,△△で再入院し,同年×月には,歩くことも,水も飲むこともできない状態となり,同月×日に死亡した。
(6) 申立人は,平成6年×月×日に.10年以上ぶりに,被相続人Eの自宅を訪れて同人に会い,平成7年×月と平成8年×月にも,同人の自宅を訪れた。被相続人Eは,平成7年×月の訪問について,申立人に宛てて書いた手紙に「太い手でおさへて手にアザが出来て痛みます。私を殺しに来たのですね。後に廻り首を〆めつけて息が切れるところでした。もう私の所へは来ないで下さい。・・・本当にこわい一言でした。…もう来ないで下さい。…年老いた母親にあちこちあざをつけて痛めつける娘は世界中にゐるのでせうか。」と記している。平成8年×月の訪問時にも,被相続人Eと申立人は,口論の上,つかみ合し、になり,相手方Bが同人宅に申立人を連れ帰った。その後,被相続人Eと申立人が会うととはなかったが,被相続人Eは,申立人と同人の夫のととを恐ろしいと述べており,相手方らに対し,申立人について廃嫡届をして欲しい,自分が死んでも申立人と同人の夫には連絡をしないで欲しいなどと述べていたため,相手方らは,被相続人Eの再入院を申立人に連絡せず,同人には亡くなって初めて連絡した。
(7) 被相続人Eは生前,相手方Bに対し,相手方Cも同席の下で,○○家のことを全て頼むと述べていた。
(8) 相手方Bは,被相続人Eの葬儀を喪主として執り行い○○寺の前記00家の墓所に埋葬する手続を取った。被相続人Eの死後は○○寺からの○○家の墳墓や法事に関する連絡は,相手方Bに宛ててされるようになり,同人が,前記墳墓,被相続人らの位牌及び仏壇をいずれも管理している。相手方Bは,相手方Cと共に.00家の法事を執り行っているが,申立人が出席したことはなし、。相手方らは,申立人に対して,同人が00家の墳墓を管理すること,同人の亡夫をCわ家の墓所に埋葬することに同意したことはなし、。
(9) 申立人は,平成17年×月×日に夫が死亡した後、○○寺の住職を訪ね○○家の墳墓は自分に所有権があり,墓地を使用したいと述べたため,同住職が,墓地の所有権は檀家にあるのではなく○○寺にあることを説明した。同住職は○○寺としては.申立人に墓地の使用を認めるつもりはないと述べている。
2(1 )被相続人らの所有する祭杷財産について
ア 民法897条1項本文は,系譜,祭具及び墳墓の所有権について,相続財産を構成せず,祖先の祭最Eを主宰すべき者が承継することを定めている。前記認定事実によれば,申立人が被相続人D所有の祭記財産として主張している①被相続人Dの位牌,②仏壇,③00寺の墳墓,④神棚,⑤被相続人Dの遺骨のうち,①被相続人Dの位牌,②仏壇及び③00寺の噴基は,被相続人Dの死後に,被相続人Eが相手方らと共に取得し,被相続人Eが相手方らの助力を得て管理していたものと認められるから,被相続人Dが生前に所有していた祭記財産ではなく,被相続人E所有の祭記財産というべきである。なお,申立人は,③Cわ寺の墳墓につし、て,被相続人Dの死後に,被相続人Eが取得し,以後,同人が管理していたものであり,その費用は被相続人Eが支払ったが,これは,本来申立人が受け取るべき被相続人Dの遺産から支出されたものであって.申立人が購入したのと同じであるから,被相続人E所有の祭杷財産ではない旨主張する。しかしながら,申立人の主張を前提としても○○寺との問で,対価を支払って墓地使用権を取得したのは被相続人Eであるから,墳墓に関する権利の主体は被相続人Eというほかなく,仮に,親子の間で内部的に,申立人が費用を実質的に負担するのと問視できる事情があったとしても.上記権利の帰属には影響しないから,上記権利が被相続人Eの祭記財産であることに変わりはなし、。
イ 次に,④神棚は,や11を記るために家の中に設ける制jで・あって,神道で祖先を杷る霊盟を納めた御霊舎とは性格を異にするところ,前記認定事実によると○○家の祭杷は××宗の○○寺を菩提寺として.同寺に墓所を設け,仏壇に位牌を納めて供養していることが認められるから,申立人が主張するや11棚は,祖先の祭記の用に供するものとは性格を異にし,民法897条1項本文にいう祭杷財産には当たらないと解される。
ウ また,⑤被相続人Dの迫骨は,生前の被相続人Dに属していた財・産ではないから,相続財産を構成するものではなく,民法897条1項本文に規定する祭杷財産にも直接は骸当しないというべきである。しかしながら,迫骨についての権利は,通常の所有権とは異なり,埋葬や供養のために支配・管理する権利しか行使できない特殊なものであること,既に墳墓に埋葬された祖先の遺骨については,祭最E財産として扱われていること,被相続人の遺骨についても,関係者の意識としては,祭記財産と問機に祭犯の対象として扱っていることなどからすると,被相続人の遺骨についても,その性質上,祭杷財産に準じて扱うべきものと解するのが相当である。したがって.被相続人の指定又は慣習がない場合には,家庭裁判所は,被相統人の迫骨についても.民法897条2項を準用して,被相続人の祭最Eを主宰すべき者,すなわち遺骨の取得者を指定することができるものというべきである。
エ 以上によると,被相続人Dが生前所有していた祭記財産の存在は認められないから,甲事件では,被相統人Dの迫骨についてのみ,取得者を定めることになる。また,前述のとおり.被相続人Eが所有していた祭杷財産は,①被相続人Dの位牌,②仏壇及び③○○寺の境墓であり,別紙目録記載のとおりであることが認められ.乙事件では,これらの承継者を定めることになる。なお,被相続人Eの位牌は,同人が生前所有していた祭杷財産には当たらない。
(2) 被相続人Dの遺骨について
ア 前記認定事実によれば,被相続人Dは,亡くなる前,相手方Bに対し「○○家のことを頼む。」と述べていたことが認められるが,これをもって,被相続人Dによる祭杷財産の承継者の指定とまでは認められなし、。また,特定の者を承継者とする慣習が存在することを認めるに足りる資料もない。
イ そこで,被相続人Dの祭杷を主宰すべき者,すなわち被相続人Dの遺骨の取得者の指定について検討する。祭事を主宰すべき者を指定するにあたっては.被相続人との身分関係や生活関係,被相続人の意思、,祭最E承継の意思及び能力,祭具等との場所的関係,祭具等の取得の目的や管理の経緋,その他一切の事情を総合して判断すべきである。これを本件についてみるに,被相続人Dの配偶者である被相続人Eが生存していないため,祭記承継の意思を示している長女である申立人と長男である相手方Bについて,比較検討して決することになる。前記認定事実によれば,申立人は,婚姻後.口口姓を名乗り.以来,現在まで遠隔地で生活しているのに対し,相手方Bは,婚姻後も○○姓を名乗り.昭和53年1月以降は,被相続人Dの自宅から徒歩圏内に居住していたこと,被相続人Dは,亡くなる前,相手方Bに対し. 「○○家のことを頼む。」と述べていたこと,被相続人Dは,晩年,申立人と不和になり,交流もほとんどなかったこと,被相続人Dの遺骨は,相手方Bが被相続人Eと共に費用を負担して取得したCわ家の墳墓に納められているこ.○○寺との檀家としての付き合いは,現在まで主に相手方Bが行ってきたこと,申立人が祭杷承継を主張し始めたのは.○○寺の○○家の墳墓に,申立人の亡夫の迫骨を埋葬することが目的であると窺われること,以上の事実が認められ,これにその他の前記認定の諸事情を総合すると.被相続人Dの祭最Eを主宰すべき者,すなわち,被相統人Dの遺骨を取得すべき者として相手方Bを指定するのが相当である。
(3) 被相続人E所有の祭杷財産について
ア 前記認定事実によれば,被相続人Eは,生前,相手方Bに対し○○家のことを全て頼むと述べていたことが認められるが,これをもって,被相続人Eによる祭柁財産の承継者の指定とまでは認められなし、。なお,申立人は,被相続人Eが,亡くなる4目前に,申立人に対し「A (申立人)に好きなだけ財産を取らせる。○○の実家はAが継いだらいい。基は家を継ぐ者に守ってほしい。」と告げて,被相続人E所有の祭記財産の承継者に申立人を指定した旨主張するが,これを認めるに足りる資料はない。かえって,前記認定事実によれば,申立人は.被相続人Eの再入院の事実さえ知らず,亡くなってから連絡を受けたというのであって,亡くなる4目前の被相続人Eの容態からしでも,遠隔地にいた申立人に対して,同人が主張するような話をしたという申立人の家庭裁判所調査官に対する陳述は措信できない。また,特定の者を承継者とする慣習が存在することを認めるに足りる資料もない。
イ そこで,被相続人E所有の祭最E財産を承継すべき者の指定について.前記披相続人Dの場合と同様に検討する。被相続人E所有の祭杷財産について,承継の意思を示しているのは,同人の長女である申立人と長男である相手方Bであるから,以下,両名を比較検討して決することになる。前述のとおり,申立人は,婚姻後,口口姓を名乗り,以来,現在まで遠隔地で生活し,被相続人Eが最初に○○の手術を受けた昭和63年から亡くなるまでの約10年間に,同人を訪ねたのはわずか3回であり,その訪問時には,被相続人Eと口論の末,暴力行為に及ぶなど,晩年の両者の関係は極めて悪く,被相続人Eは,申立人の魔除を望むほどであったことが認められる。一方の相手方Bは,婚姻後も00姓を名乗り,被相続人Eの自宅から徒歩圏内に居住して,相手方Cと共に,同人の日常生活の世話や家事援助を行い,同人の病状が悪化してからは身体介助も行い,被相続人Eは相手方Bを頼りにして同人に○○家のことを全て頼むと述べていたことが認められる。さらに,申立人は,現在も奈良県に居住しており,菩提寺である○○寺から地理的にも遠く,歩行に支障を生じてし、ることもあって,祭記を行うには,不便,不自由な状況にあり○○家の法事にも出席したことはないこと,前述のとおり,申立人が祭最E承継を主張し始めたのは.Cわ寺の00家の墳墓に,申立人の亡失の遺骨を埋葬することが目的であると窺われることがそれぞれ認められる。他方,相手方Bは○○寺の墳墓,被相続人Dの位牌及び仏壇の取得に要した費用の多くを負担し,被相続人Eの葬儀では喪主を務め,その後.00寺からの連絡は,相手方Bに宛ててされるようになり.Cわ寺の墳墓,位牌及び仏壇は,現在いずれも同人において管理し〇〇家の法事も同人が執り行っていることが認められる。以上に,その他の前記認定の諸事情を総合すると,被相続人E所有の祭杷財産を承継すべき者を相手方Bと定めるのが相当である。
3 よって,主文のとおり審判する。(家事審判官男揮聡子)
〔編注〕別紙は省略した。

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2012年2月26日 | コメント/トラックバック(0) |

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