市町村長の処分に対する不服申立の審判に対する即時抗告事件

第1 事案の概要1 本件は,相手方が,相手方とその妻との聞の長男の出生届(以下「本件出生届」とし、う。)を抗告人に提出したところ,抗告人によって本件出生届に記載された子の名に用いられた文字が戸籍法施行規則(昭和22年12月司法省令第94号。以下「施行規則Jという。) 60条に定める文字でないことを理由として不受理処分にされたため,戸籍法118条に基づき,本件出生届の受理を命ずる宮の審判を求めて不服申立てをした事案である。原審が,抗告人に対し,本件出生届の受理を命じたので.抗告人が-本件即時抗告をした。2 前提となる事実(記録により認められる事実)(1) 平成18年×月×日,相手方とその妻との聞に長’男が出生した。(2)相手方は,平成18年×月×日,上記長男についで,子の名を「隆OJとする孟件出生届を福島市長(抗告人)に対して提出した。これに対し,抗告人は,本件出生届に記載された子の名の「隆Jの文字(以下「本件文字」ともいう。)が,施行規則的条に定める文字以外の文字であったため,相手方にこれを受理するととはできない旨を説明し.施符規則60条に定める文字による名に改めるよう補正を求めたが,相手方はこれに応じなかった。そどで,抗告人は.同日,本件出生届を受理しない旨の処分をし,本件出生届を相手方に返戻した。(3) 相手方は,平成18年×月×日.本件出生届を受理すべきことを命じる旨の審判を求めて,原審に本件申立てをした。(4)相手方(昭和56年×月×日生)の名はr(准」であり,相手方の父の名は「隆OJであるため,相手方は.r隆」の文字を自分の長男に引き継がせたいと考えている。(5)戸籍法50条1項にいう「常用平易な文字Jの範囲を定めた施行規則60条には.r隆Jの字は含まれていない。3 問題の所在戸籍法(昭和22年法律第224号。以下「法」とし、う。なお,昭和22年法律第224号は,形式的には従前の戸籍法(大正3年法律第26号)を改正した形を採っているが,全文改正であるため,改正前のものを「旧戸籍法」としみ。) 50条1項は,子の名には常用平易な文字を用いなければならないとし,同条2項は,常用平易な文字の範囲は法務省令でこれを定めるとしているところ.常用平易な文字の範囲を定めた法務省令が施行規則60条の規定である。ところで,法50条1項が子の名には常用平易な文字を用いなければならないとしているのは,従来,子の名に用いられる漢字には極めて複雑かつ難解なものがきbく,そのため命名された本人や関係者に,社会生活上,多大な不便や支障を生じさせたことから.子の名に用いられるべき文字を常用平易な文字に制限し,これを簡明にすることにある。また,閉条2項が常用平易な文字の範囲は法務省令でこれを定めると規定し,施行規則60条が常用平易な文字の範囲を定めているところ,誌が常用平易な文字の範囲の定めを法務省令に委任したのは,当該文字が常用平易であるか否かは社会通念に基づいて判断されるべきものであるが.その範囲は必ずしも一義的に明らかではなく.時代の推移,国民意識の変化等の事情によっても変わり得るものであり,専門的な観点からの検討を必要とする上,上記の事情の変化に適切に対応する必要があることなどによるものと思われる。そして.施行規則60条は,上記委任に基づき.常用平易な文字を限定列挙したものであるが,法50条2項は,子の名には常用平易な文字を用いなければならないとの同条1項による制限の具体化を施行規則的条に委任したものであるから,同条が,社会通念上,常用平易であることが明らかな文字を子の名に用いることのできる文字として定めなJウミった場合には,法50条1項が許容していない文字使用の範囲の制限を加えたことになり,その限りにおいて,施行規則60条は,法による委任の趣旨を逸脱するものとして違法,無効と解すべきである。そして,法50条l項は,単に,子の名に用いることのできる文字を常用平易な文字に限定する趣旨にとどまらず,常用平易な文字は子の名に用いることができる旨を定めたものというべきであるから,上記の場合には,戸籍事務管掌者は,当該文字が施行規則60条に定める文字以外の文字であることを理由として,当該文字を用いて子の名を記載した出生届を受理しないことは許されないというべきである。そうすると,市町村長が施行規則60条に定める文字以外の文字を用いて子の名を記i院したことを理由として出生届の不受理処分をし, これに対し,届出人が家庭裁判所に不服を申し立てた場合において,家庭裁判所及びその抗告’裁判所は.審判,決定手続に提出された資料,公知の事実簿に照らし,当該文字が社会通念上明らかに常用平易な文字と認められるときには.当該市町封長に対し.当骸出生届の受理を命じることができるのである(最高裁判所平成15年12月25日第三小法廷決定・民集57巻11号2562頁参照)。したがって,本#出生届の子の名に用いられた「隆」の文字が,社会通念上常用平易であることが明らかな文串といえるか否かが問題となる。なお,r隆Jと「隆Jとは字種を共通にし, r隆Jは「隆」の旧字体であって,rたかし、J,rさかんなJ等の意味を持ち.音読は,rリュ・ウJである。「降Jの略体である「許Jと「生J(草が上に伸びるさま)から成る会意文字であり,おりる力に抗して上入上へと豊かに盛り上がることを表し,ひいては,盛んの意になったものであるとされている(学習研究社「漢和大辞典J,角川住庖「漢和中辞典J,平凡社「字通J参照)0r隆J及び仁隆j とも.正字(証会一般において正しいと認められている字であって,常用漢字表など公的裏付けのあるもの及び康照字典,漢和辞典等で正しいとされている文字のこと)である。4 当事者の主張抗告人の主張は,別紙「即時抗告申立書J,i答弁書に対する意見書」に記載のとおりであり,相手方の主張は,別紙「答弁書」に記載のとおりである。第2 当裁判所の判断1 人名用漢字の制限の経過については) 旧戸籍法の時代従来,我が閉巴およ6、ては,子の名に使用する文字には法律上の制限がなく,旧戸籍法~ ,. 届出番の記載について「略字文ハ符蹴ヲ用ヰス字笠明瞭ナルコトヲ要スJとのみ定めていた(同法55条, 28条1項)。そのため,子の名に用いられた漢字の中には極めて難読難解なものが少なからずあり,そのため社会生活上において自他に多大な不便や支障が生じていた。(2) 当用漢字表と当用漢字字体表漢字は,もともと古代中国に発生した表意文字であり,字数がはなはだ多いだけでなく(18世紀に編纂された中国の代表的字典である「康照字典Jには親字として4万7000余りが収め.られている。),その中には字体が嘘雑なものや画数が非常に多いものなども多数あり. また,用い方も複雑であって,国民の教育半,社会生活上の不便は多大なものがあった。そのため,昭和21年11月,漢字を制限し,国民の生活能率を上げ,文化水準を高めることに資するべく,「現代園語を書きあらわすために, 日常使用する漢字の範囲」を定めるものとして,1850字を選定した「当用漢字表J(昭和21年内閣告示第32号)が定められた。これは,当時の国民生活の上で,漢字の制限があまり無理なく行われるこ主を目安として,法令,公用文書,新聞,雑誌、及び一般社会で使用する漢字の範囲を示したものであり,字体の整理は後の調査にゆだねることにされた。そのため,当用漢字表上の漢字の字体は,慣用されている簡易字体(\.,、わゆる新字体)については,例えば, i当(嘗)J. i学(皐)J, i実-(質)J,「恋(態)Jなどのように,簡易字体を本体とし原字(し、わゆる旧字体)を参考のため括弧内に添える扱いをしたが, i第J,i様J,i圏」などのように,簡易字体があるものについても基本的には原字(旧字体)で記載されたものが多く, i隆」の文字も旧字体である「隆Jとして記載されていた。次いで,昭和24年4月,当用漢字表の制定に当たって積み残されていた字体の問題に闘し,i現代国語を書きあらわすために日常使用寸る漢字の字体の標準」を定めるものとして, i当用漢字字体表」(昭和24年内閣告示第1号)が定められた聞この表の字体の選定については,異体の統合,略体の採用,点画の整理などを図るとともに,筆写の習慣,学習の難易をも考慮し,印刷字体と筆写字体とをできるだけ一致させることが基本方針とされた。そのため,当用漢字表において新字体で選定されていた文字は新字体が選定されたのはもちろんであるが,当用漢字表にオ品、てイ日字体で選定されていた文字も新字体が選定されることとなり, 438字について当用漢字表の字体とは異なる字体が選定された。これらの新字体の中には,例えば,i団J,i単J,i専」などのように従来活字として普通には用いられていなかったものもあったが,多くは,活字.として従来から一般に用いられていたものであった。また,当用漢字表で簡易字体が選定されたものの中にも,例えば「礼Jや「蹄」の文字のように,当用漢字衰の字体と当用漢字字体表の字体とでは異なるものがある。この当用漢字字体表では, r陸Jの文字も新字体である「隆Jに改められた。なお, ここで新字体と旧字体についていうと,漢字は,象形文字・指事文字に由来しており,これを合わせたり抽象化-したりするなどして多数の文字が作られていったが,広い中国においては地域差などもあって,複雑なものとなった。泰による統一国家が成立すると字体の統ーが行われ,また,漢代になって文化が大いに盛んになると文字に関する研究もされた。そして,この間, 次第に字形が簡易化され,整形化されるようになり,築mや隷奮が生み出されたが,唐の時代にはより簡易化された措症が正式な容体,すなわち正書として通用するようになった。今日,我が国で一般に正字と呼ばれているものは康照字典等に記されている借$の文字を指している。しかし,康県字典等で正字として扱われた文字も複雑なものや回数が多いものがあり.そのため多く使われる文字の中には笹写や活字の便宜のために吏に字体が簡易化されて使用ちれた文字もあり.これらの簡易化された字体を正字に対して簡易字体,略字体,略体などと呼んでいる。簡易化する際にどの部分をどのように簡易化するかの違いにより,一つの正字について複数の簡易茅体があるものもあり,漢字をより複雑にする一因となっ.ている。新字体とは,一般に簡易化された字体のうち,我が国で広くー敢に通用しているものとして当用漢字表や当用漢字字体表,後に述べる常用漢字表に選定された字体をいい,これに対して.新字体の基犯なった正字を一般に旧字体と呼んでいる。新字体と旧字体は,我が国ではいずれも標準字体として正字の扱いを受けているが.簡易字体の中には当用漢字字体表や常用漢字表等に選定されなかったもの.も数多くあり.標準字体以外のものとして異体字と呼ばれている。ま.た,異体字の用語は,正字同士の聞でも,旧字体を新字体の異体字というように使うこともある。簡易字体は,多くは筆写などの過程で自然発生的に生み出されたものと思われるが,中には現代中国漢字のように,国の政策として新しく簡易化されたものもある。(3)法50条1項と施行規則的条ア国語施策として制定された当用漢字表による漢字の制隈を人名用漢字の取扱いにも及ぼすことが妥当とされ,昭和22年12月に制定された現行戸籍法(昭和23年1月1日施行)は,当用漢字衰の趣旨に従って,子の名には,常用不易な文字を用いなければならないとし(法50条l項),常用平易な文字の範囲は,命令でこれを定めるとした(同条2項)。そして,施行規則60条は,子の名として使用できる漢字の範囲を当用漢字表に掲げる1850字に限定・した。昭和24年4月,上記(2)のように,当用漢字字体表が定められたが,当用漢字表と当用漢字字体表とでは字体の異なるものが数多くあったため,どちらが使用できる字体なのかについて戸籍事務に疑義が生じたが,いずれの字体を用いても差し支えないとされた(昭和24年6月民事甲第1501号民事局長回答,同年7月民事甲第1524号民事局長回答,同年9月17日法務府民事局民事甲第2108号民事局長通達,同月24臼民事甲第2022号同367号民事局長回答)。そのため,昭和24年以降も旧字体による子の名の出生届が受理されることになった。イその後,当用漢字表の漢字のみではこれまでの人名選択に当たつての慣行上不便が大きいとして,国民の聞に当用漢字表以外に人名として使用できる漢字の範囲肱大を求める声が強まったため,国語審議会の建議に基づき.昭和26年5月,当用漢字表に掲げる漢字以外に人名として用いて差し支えない漢字として.i人名用漢字別表J(昭和26年内閣告示第1号。「琢」の字ほか92字が選定された。)が定められ,施行規則60条の規定も改正された。なお,人名用漢字別表には「亙」や「龍Jの字体が掲げられていたが.それぞれ,辞書等に示されている「亘Jや「竜」の字体で受理しても差し支えないとされたり,同別表の「猪Jについ_-r:. i猪」の字体を受理しても差し支えないとされたりするなどしていた(昭和26年6月民事甲第1346号民事局長回答, 昭和31年11月民事甲第2677号民事局長電信回答,昭和37年1月20日民事甲第103号民事局長回答,昭和39年4月民事甲第1503号民事局長田答)。ウ人名に使用できる漢字の範囲鉱大の更なる要望を受け.昭和51年7月,当用漢字表及び人名用漢字別表に掲げる漢字以外に人名に用いて差し支えない漢字として.i人名用漢字追加表J(昭和51年内閣告示第1号)が定められ. 28字が追加された。(4) 常用漢字表と施行規則60条の改正ア我が国の国語施策の改善の一環として,漢字の字極・字体等の問題について総合的な審議を行っていた国語審議会の答申に基づき,昭和56年10月. i現代の国語をmき表すための漢字使用の目安Jとして.i常用漢字表J(昭和56年内閣告示第1号)が定められ,常用漢字として1945字が選定された。常用漢字表は,法令,公用文書, ー新聞,雑誌,放送など,一般の社会生活において,現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安を示すものであり,字体, 音訓,語例等が併せ示されている。なお,常用漢字表の制定に伴い,当用漢字表,当用漢字字体表,人名用漢字別表,人名用漢字追加表ほ廃止された。イー一方,子の名に用いる漢字については,戸籍等の民事行政との結び付きが強いことから,法務省にその取扱いがゆだねられ,法務省では,学識経験者,実務家等で組織する民事行政審議会に諮問し,その答申を得た上で,常用漢字表に掲げられた漢字のほか,人名用漢字別表(92字)及び人名用漢字追加表(28字)の合計120字の中から常用漢字表に採舟ちれた8字を除いた112字に新たに54字を加えた合計166字を人名用のために特に使用を認める漢字とし,これを施行規則別表第二に場ω地rまた,人名用漢字の字体については,同ーの字種につき原則として1字体とする原則(一字種一字体の原則)を採り,常用漢字表の字体(括弧書きが添えられているものは括弧の外に掲げられでいるもの)又は施行規則別表第二に掲げる字体(この字体と常用漢字表の字体とを併せて「通用字体Jとし、う。)に限ることとした。ただ,例外と』ー.・:.・._して,当分の間一定の字種につき2字体を用いるこJとができることとし,常用漢字表において通用字体と著しい差異があるものとして括弧書きで添えられた355字体のうち195字体仁従来の人名用漢字別表及び人名用漢字追加表に掲げる漢字のうち,先例により一字種につき復数の字体が用いられたも・のであって通用字体と著しい差異があるとされた「渚J. i猪J.i琢J等10字体との合計205字体(これを「人名用漢字許容字体Jとし、ぅ。)については,当分の間用いることができるとした。これにより,施行規良何0条各号等は次のように改正された(昭和56年法務省令第51号。昭和56年10月1日施行)。「一常用漢字表(昭和五十六年内閣告示第一号)に掲げる漢字.(括弧宮きが添えられているものについては,括弧の外のものに限為。)一別表第二に掲げる漢字別表第二人名用漢字別表(第六十条関係)附則2 当分の間,子の名には,この省令による改正後の戸籍法施行規則第六十条各号に掲げる文字のほか,附則別表に掲げる漢字を用いることができる。附則別表人名用漢字許容字体表(附則第二項関係)一常用漢字表に掲げる漢字に関するものニ別表第二に掲げる漢字に関するもの常用漢字表は,字体については,明朝体活字のうちの一種を例に用いて示すものであり,活字設計上の表現の差(デザインの違し、)とみられるものや印刷と手自き上のそれぞれの習慣の相違に基づく表現の差については字体の差異があるとするものではなく,r久」と「久」と「久Jとには字体の遣いはないとしているものと思われる。常用漢字表は,現代の通用字体といえるものを括弧の外に,明治以来行われてきた活字の字体とのつながりを示すためにその字の康照字典体の活字(旧字体)のうち著しい差異があると認められるものを括弧に入れて添えているものであるが,常用漢字表では,r隆(隆)Jとされており,また, r隆」及び「隆」はいずれも人名用漢字許容字体表に掲げられていない。したがって,施行規則の改正の結果, r隆」及び「陸Jの字体は,昭和56年10月1日以降,人名に使えないこととなった。ウその後も漢字あるいは子の名に対する好ぷの変化などの人名用漢字の増加を希望する国民一般の要望は続き,また,裁判例などを承けて,次のとおり人名用漢字が路軒規則別表第二に追加された。fア) 平成2年3月法務省令第5号(平成2年4月18施行)118字の追加。付) 平成9年12月法務省令第73号(平成丘年12月3臼施行)「琉」の字の追加。(ウ) 平成16年2月法務省令第7号(平成16年2月23日施行)「曽Jの字の追加。同平成16年6月法務省令第42号(平成16年6月7日随行)「獅Jの字の追加同平成16年7月法務省令第49号(平成16隼7月12日施行)「毘J.r漉J及び「駕Jの追加(5) 人名高漢字の見直し(f漢字d表J) 一- 市,ア平成16年2″月,法務大臣は,近年における人名用漢字に対する国民の価値観の多様化.制限外文字使用の要望,ー人名用漢字の拡大についての国民の関心の高まり等の情勢の変化にかんがみ,法制審議会に対し,人名用漢字の範囲の見直じについて諮問をした。そのため,法制審議会は,その調査審議b悔めに人名用漢字部会を設置し,人名用漢字部会において審議がなされた。イ人名用漢字部会においては,髄味の人名用漢字の制限方式を維持することとし,字種の選定に関しては,まず,JIS漢字の第1水準及び第2水準の漢字のうち,常用漢字表に掲げーられた漢字及び人名用漢字別表に掲げられた漢字とその許容字体を除いたものを検討の対象とすることとし,出版物における摸字出札頻度を調査した「漢字出現頻度調査(2}J (平成12年3月文化庁作成)の結果を活用した。そして,人名用漢字に含まれていないJI8第1水準漢字770字から,漢字出現頻度数調査(2)における出現順位3012位以上(出現回数200回以上。平均すれば過半数の書籍等に1回登場する。)の漢字503字をまず選定した。さらに,それ以外のJI8第1水準漢字及びJ18第2水準以下の漢字については,上記出現頻度や平成2年から平成15年1月までに全国の各市町村窓口に届出(その後不受理又は撤回)・相談された要望漢字の有無・程度などを考慮して,①ヨ18第1水準漢字のうち出現順位3013位以下(出現回数199回以下)で要望法務局数が6以上(全国50局の10分のlを超える要望数となる。)の18字.②JI8第2水準漢字のうち出現順位3012位以上であって要望法務局数が6以上の12字,③J18第2水準漢字のうち出現順位3013位以下から4009位(出現回数50回)以上であって要望法務局数が8以上の17字,④JI8第2水準の漢字のうち出現順位4010位以下であって要望法務局数が11以上の8字.⑤JI8第3水準漢字のうち,出現順位3012位以上であってその異体字がJIS第1水準漢字として掲げられている20字の合計75字を選定した。また,人名用漢字部会では,字体については,一字種一字体の原則の考え方を基本的に維持するとされたが.同一字種について2字体が常用平易であると判断される場合には,これを用いても社会生活上の混乱を生じさせるおそれはないと考えられることから,例外的に次の32字(3組の同一字種2字体の文字を含む。)を認めることを相当とした(これらは上記578文字に含められている。)。(7) 常用漢字(括弧の中に添えた。)の異体字「薗(園)J f堺(界)J r駈{駆)J r藁(稿)J r埼(崎)J r蹟(跡)J r嶋(島)J r盃(杯)J r医(坂)J r富(富)J r峯(峰)J「裡(裏)J(JIS第1水準・出現順位3012位以上)〔埜(野)J(JIS第1水準・出現順位3013位以下・要望法務局数6以上)「高(万)J r涼(涼)J(J18第2水準・出現順位3012位以上・要望法務局数6以上)「祭(栄)J r質(実)J r固(円)J r躍(孔)J(JI8第2水準・出現順位3013位以下4009位は上・要望法務J・a・_,_ー噛町局数8以上) –一一付) 今回改正前の人名用漢字(括弧の中に添えた。)の異体字「曾(曽)J(JIS第1水準・出現順位3012位弘判、”‘”"‘-「遁(遥)J(JIS第2水準・出現順位3012位以上,要望法務局数6以上)「箆(謀)J r尭(尭)J r損(慎)J r茄(萌)J(JI8第2水準・出現順位3013位以下4009位以上・要望法務局数8以上)「脱(晃)J(JI8第2水準漢字・出現順位4010位以下・要望法務局11以上)(ウ)新たに2字体が採用されたもの「桧J(JIS第1水準・出現順位3013位以下・要望法務局数6以上)及び「槍J(JI8第2水準・出現順位3012位以上・要望法務局数6以上)「栖J(JIS第1水準・3012位以上)及び「棲J(JlS第1水準・3012位以上)「祢J(JIS第1水準・出現順位3013位以下・要望法務局数6以上)及び「禰J(f禰JにつきJIS第1水準)ウまた,人名用漢字部会においては,当初漢字の意味が人名にふさわしいものであるかどうかについては考慮、しないとされたが,異論もあったため,パブリック・コメン卜手続を実施して改めて検討した結果,名に用いることが社会通念上明らかに不適当と判断された88字が削除され.一方.人名用漢字として採用すべきとの意見が特に多かった1字が追加された。また,裁判例により常用平易であると認められた「毘J.r瀧J及び「駕」の3字については施行規則が改正されて人名用漢字として先に追加されたため削除され,結果,人名用漢字として追加すべきとされたものは488字となった。エ平成16年9月8日,法制審議会は.法務大臣に対し.①人名用漢字に関する従来の制限方式は維持する,②常用平易な漢字の写種については. JIS第1水準漢字及び第2水準漢字の中から漢字出勤頗度数調査(2)に現れた出版物上の出現頻度に基づき,要望の有無・程度なども総合的に考慮、して選定する(なお,名の社会性にかんがみ,名に用いることが社会通念上明らかに不適当と認められる漢字は除外する。).③字体については,基本的に「表外漢字字体表J(平成12年12月国語審議会答申)に掲げられた字体を選定する,④一字種一字体の原則は維持するが,例外的に1字種について2字体を認めることを排斥するものではないとした上で,結論として, 上記488字を人名用漢字に追加するのを相当である旨の答申を行った。この488字の中に「隆Jの文字は含まれていなし、。オ率成16年9月27日,上記法制審議会の答申を受けて,施行規則別表二が,人名用漢字別表の漢字290字,法制審議会答申の488字及び人名用漢字許容字体表の漢字205字を併せた合計983字の「漢字の表」に全面改正され,附則第2項及び附則別表が削られた(平成16年法務省令第66号)。』・-.”ζれにより,現在,常用漢字表の漢字1945字(括弧の添えられたものは括弧の外のもの)と「漢字の表Jの漢字983字の合計2928字が子の名に用いられる漢字となっ・ている。「漢字の表」には,常用漢字が一般の社会において現代の国語を書き表すための漢字使用の目安であることから,常用漢字の異体字のうち,別字意識の生じていると判断される6字(r堺(界)J f麓(稿)J r矯(崎)J r蹟(跡)J r阪・(坂)J r裡(裏)J)を除く209字(従来の人名用漢字許容字体195字,新たに加えられた19字から上記6字を控除した13字及び平成16年7月の改正により既に加えられていた「瀧」の文字の合計)についてば.その旨を明らかにするために常用漢字の異体字以外の漢字774字とは区別して掲げられている。なお,許容字体については,人名用漢字許容字体表に掲げられ,昭和56年の施行規則の改正に当たって.経過措置として.当分の間用いることができるとさ孔たものであるが..その後23年が経過し,子の名に用いることができる漢字として社会的にも十分に定着しているもゐと判断されたことから,これらの字体の使用を禁.止する理由はないとして選定されている。(6) 表外漢字字体表及び漢字出現頻度数調査(2)、J表外漢字字体表は.文部大臣(当時)の諮問機関である国語審議会が, 一般の社会生活において,常用漢字以外の謹字(表外漢字)を使用する場合の字体選択のよりどころとなることを目的として答申されたものであり,印刷標準字体1022字体及び簡易慣用字体22字体を示している。なお,印刷標準字体とは「明治以来.活字体として最も普通に用いられてきた印刷文字字体で・あって,かつ,現在においても常用漢字の字体に準じた略字体以上に高い頻度で用いられている印刷文字字体Jと「明治以来,活字字体として,康照字典における正字体と同程度か,それ以上に用いられてきた俗字体や略字体などで,現在も康照字典の正字体以上に使用頻度が高いと判断される印刷文字字体」をいう。この表外漢字字体表の作成に主として’相..6_ ・世話匂喧使用されたのが文化庁作成の漢字出現頻度数調査(2)である。これは,表外漢字の字体の検討を行うためにされた「漢字出現頗度数調査J(平成9年11月文化庁)に引き続いて,これを補完するためになされた調査であり, 凸版印刷で扱った出版物を対象とする書籍等における漢字使用の実態と読売新聞を対象とする新聞紙面における漢字使用の実態を調べたものであり,向調査のうち,凸版印刷で扱った書籍を対象とした全体調査は,主として平成9年中に作成された385種の出籍等の組版データを対象とし,漢字数約3330万字について,その出現回数.度数%.累積度数(当該漢字の順位以上の漢字が全体に占める割合)等を調査したものであって,我が固における同種の調査の中でも最大規模のものであった。この調査結果では. i隆」については,出現順位1079位,出現回数5732回,度数%0.017. 累積度数89.909であり.i隆Jについてはj 出現順位4527位,出現回数26回,度数%0.000(小数点3位未満).累積度数99.929であった。(7) JIS漢字JIS漢字は,コンビュータ一等における情報交換に用いる文字の符号化を規定した規格であり,昭和53年に通商産業大臣(当時)が制定し,その後改正が重ねられている規格であり,その制定当時からあるJIS第l水準及びJIS第2水準の漢字規格(JISX0208)は,社会一般において幅広く用いられている。’JIS第l水準漢字は,一般日本語表記用漢字(より使われやすい漢字)として.IBM 2245漢字印刷装置文字色vト一覧表など合計37の漢字表に採用されている文字の中から,出現頻度等をもとに選定され主ムのであり.2965字が選定されてに、ゐ。._iた.JIS第2・水準漢字は,個別分野用漢字として,情報処理学会標準漢字コード表,行政管理庁基本漢字, 日本生命人名漢字表及び国土行政区画総覧の主要4漢字衰のいずれかに現われ,第l水準漢字に含まれなかった漢字のす《てであり.3390字が選定されている。平成2年.JIS第1水準漢字及びJIS第2水準漢字に約5800の漢字を追肌して拡張された規絡(JISX0212)が制定されたが,これ&は別に,平成12年. JISX 0208規格を補完するJIS第3水準漢字(1908字)及び第4水準漢字(2436字)を追加して8主張された規格(JIS)C 0213)が制定された。しかし.JISX 0213規格は,現在ま.でのところ,大半のコンピューターに搭載されているとはし、し、難L、状況である。「隆」の文字はJIS第3水準の漢字である。もっとも.JIS第3水準に含まれている人名用漢字ほ合計107字ある。(8) 誤字俗字・正字一覧表民事局長通達により,戸籍の氏名欄の記載が誤字・俗字でされてし:る場合に市区町村長限りの職権で更正できる範囲が定められているが(昭和42年10月民事甲第2400号民事局長通達.昭和58年3月法務省民二第1501号民事局長通達.平成2伊H月法務省民二第5300号民事局長通達,平成6年11月法務省民二第7007号民事局長通達,平成16年10月法務省民ー第2842号民事局長通達).この中では.r隆Jと共に「隆J及び「隆Jが正字等とされている。なお,ここでいう.r正字等Jとは,①常用漢字衰の通用字体,②「漢字の表Jに掲げる字体,③康黒字典体又は漢和辞典で正字とされている字体,④当用漢字表の字体のうち,常用漢字表においては括弧に入れて添えられなかった.r隆」ほか3字,⑤国字で上記①から④までに準ずる字体.⑤平成2年10月法務省民二第5200号民事局長通達別表に掲げられた一定の俗字及びJIS第l水準漢字のうち康熊字典体を通用字体に準じて整理した文字をいい.r誤字」・「俗字」とは,文字の骨組みに誤りがあるもの及び上記の正字等の通俗の字体のことをし、う。2 本件文字の常用平易性について(1)本件文字は,正字であり,かつ,旧字体である。そして,上記1でみたように,当用漢字表では「隆Jの文字は旧字体で選定されており,当用漢字字体表では新字体が選定されている。そして.当用漢字字体表が定められた昭和24年以降h 戸籍事務の取担いの上では旧字体による出生届も受理される扱いとなっていたため,現行戸籍法が施行された昭和23年1月1日から当用漢字字体表が定められた昭和24年4月までの聞はもちろんのこと,それ以降弘昭和56年9月30日までは本件文字による出生届が受理されていたことになる。同年×月×日生まれの相手方の出生届が.ro隆Jの名で受理されたのはこの理由による。したがって,現時点においては.r隆Jの文字が用いられた人名が少なくないであろちことは容易に推認されるところである。しかしながら,現時点において「隆Jの文字が用いられている人名が少なくないというのは,当用漢字表には旧字体のみが載っており,常用平易の漢字の範囲を定めた施行規則60条が「当用漢字表に掲げる漢字」としていたことによるものとみられるのであって,「隆Jの文字が用いられている人名が少なくないからといって.現在においても直ちに旧字体である「隆Jの文字が常用平易な文字であるとはいえない。また,正字であるということも,常用平易ということを根拠付けるものではない。なぜなら,前記のとおり旧字体も正字なのではあるが,当用漢字字体表やこれを受け継いだ常用漢字表が旧字体を選定せず,新字体を選定しているのは漢字をより平易化し,使いやすくするためであったと考えられるからである。すなわち,新学律三旧字体とを比較すれば,より常用平易な文字とし吠るのは新字体であることが明らかである。(2) ところで,法50条1項が子の名には常用平易な文字を用いなげればならないとしているのは,従来.子の名に用いられる漢字には極めて複雑かつ難解なものが多く.そのため命名された本人や関係者に,社会生活上,多大な不便や支障を生じさせたことから,子の名に用いられるべき文字を常用平易な文字に制限し,これを簡明ならしめるというところにある。また.一字種につき複数の異体字があるととも漢字を複雑化させている一因となっていることは明らかである。このような観点に立ったとき,一字種一字体の原則は,人名の簡易化という目的に大きく資するものと考え当主設。また,当該文字が常用平易であるか否かは,社会通念に基づいて判断されるべきものであって,時代の推移,国民意識の変化等の事情によっても変わり得るものであるところ,こ・れは.同一文字の異なる字体同士についてもいえるところである。そして噌法は,この.ことも含めて,.専門的な観点からの検討を加え,上記の事情の変化に適切に対応することを法務省令にゆだねたものと解されるのである。しかるところ,施行規則は,既に昭和56年において常用漢字であった「隆」の旧字体である「隆Jについてはこれを許容字体としても認めないこととしたところ,その後の使用し得る人名用漢字の度重なる拡大の中においても,r隆Jの文字は人名に使用し得る文字とはならなかったのである。また,平成16年には,JIS漢字の水準などの汎用性,在籍等の大規模な漢字の利用調査結果に基づく漢字の出現順位・出現回数などの使用の頻繁性及び全国の各市町村窓口における要望の有無・程度などの国民意識を組み合せて考慮した結果,例外的に異体字として認められた32字(3組の同一字種2字体の文字を含む。)を含む488字が新たな人名用漢字とされたのであるが,このような調査方法によってもなお, r隆」の文字は選定さ.れるべき基準を満存してはし、なかったのである。統計的結果を取り入れ,また,コンピューターの使用が不可欠となっている現在の社会国民生活半における利便性等とV、う観点を幽酌した上記のような人名用漢字の選定の方針・方法は,客観的かつ合理的といえるものであり,漢字に関する現在の情勢,国民意識等をもおおむね忠実に反映しているものと考えられるところである。(3) これに対して, r隆Jの字体が広く社会一般に多くの場面で使用されているとの事情は,本件全資料,公知の事実等に照らしてもうかがうことはできない。むしろ,人名以外では奈良県斑鳩町に「法隆寺一丁目Jなどの字名としてわずかに使用されていることが認められる程度であり,これを除けば人名以外で使用されることはほとんどないものと考えられる。そして,上記(1)のとおり,現時点において「隆」の文字が用いられた人名が少なくないのは,当用漢字表に載っていた字体が旧字体であり.当用漢字字体表が定められた昭和24年4月以降も.旧字体による出生届が受理される扱い七あった-という過去の戸籍実務の所産にすぎないと考えられるのである。また, r隆Jの字を構成要紫とする漢字としては,r躍Jr窟J「霞Jr薩Jr癌Jr蕗Jなどの文字があるが,これらはいずれも常用漢字ではなく;・また,施行規則60条の定める文字でもないし,広く一般に使用されている文字でもない。そして;r隆」の文字については,新字体である常用漢字の「隆」が存在しており『画数などの俗信的なことをひとまず措けば,もともと「隆」と「隆Jとは同一文字であり,音,意味,外観において変わることはないのであって, r隆Jの文字が使用し得ないからといって,子の名の選択が防げられているともL、し、難いのである。単に中国古来の正字である旧字体を使用したいというのであれば,それは人名用漢字を常用平易なものに制限しようとする法50条l項の趣旨に沿わないこ&である。なるほど,r隆」の文字自体は, r隆Jの字に1画を加えたのみであるから, さほど難しい文字ではないといえるかもしれなし、。しかしながら, 1画があるかないかを見分けさせること自体があまり意味のない社会生活上の不便や支障を招来することに思いを致さなければならない。なお,この点にヲいていえば, r漢字の表Jの中には”r隆」の字と対比した場合に一般性の程度においてさして変わらないと思われる字もみられなくはなく.また,そのーに掲げられた「渚一渚」「猪ー猪Jr琢ー琢」などや,そのこに掲げられた(参考のため常用漢字を括弧の中に添えた。)r究(究)J r器(器)J r者(者)J r煮(煮)J r臭(臭)J r暑(暑)J r署(署)J .r緒(緒)J r諸(諸)J r著(著)J r都(都)J r突(突)J r類(類)J r郎(郎)J r朗(朗)J r廊(廊)Jなどは,いずれも1画が付されているだけで,音,意味において相違がなく.外観の差異も極めてわずかなものがあり,一見すると.r隆Jの字が人名用漢字として採用されていないことと均衡がとれていないように思われなくはない。しかしながら.r漢字の表」が一字極一字体の原則の例外として掲げた異体字のうち205字については既に昭和56年の施行規則改正に当たって当分の間用いることができるとされたものであり,その後平成16年9月の施行規則改正まで・の23年間にわたって子の名に用いることができたのであるから,これらの文字が社会的にも十分に定着していると考えたことにも合理性がないではなく,また, うち32字は.汎用性・頻繁性・要望度の観点からの調査結果からみて,これら文字が一般性を有していると考えたことに合理性がないとはいえなし、。反面.r隆Jの文字は.昭和56年10月1日以降..子の名として用いることができないとされてきたばかりでなく,汎用性・頻繁性・要望度の観点からの大規模な調査の結果によって弘人名に用いることがふさわしい文字とはされなかったのである。そうしてみると,人名用漢字として許容されている字体と「隆」の字体を対比した結果からーみても.r隆Jの字体を子の名に用いることのできる字体として認めなかったことをもって,施行規則的条が法50条1項の許容していない文字使用の範囲の制限を加えたものと解することもできないものというべきである。また.仮に「漢字の表J.の中に必ずしも常用平易とはいし、難い文字が選定されているとしても,そのことのゆえに本件文字が常用平易であるということ巴なるものでもない。(4) このようにみてくると.r隆」の文字は常用平易であることが明らかな文字であるとはし、し、難いといわざるを得ないのであって,「隆」り字を子の名に用いることのできる文字よ定めなかったからといって,施行規則60条が,法50条l項が許容してし、ない文字使用の範囲の制限を加えたものと解することはできなしごものというべきr、- 一ー} 勺である。.-3 相手方の人権侵害の主張について相手方は.親から子へと受け継がれてきた文字を自分の子に用いさせないのは相手方の人権を侵害するものである旨の主張する。しかしながら,戸籍法に定める戸籍は,国民各自の民法上の身分行為及び身分関係を公簿上に明らかにしてこれを一般的に公証する制度であって,法が上記の身分行為や身分関係上の地位の取得に当たって氏名を付した届出を要求するとともに.その氏名の選択につき従来からの伝統や社会的便宜を願慮、しながら一定の制限を和ナているのも.専ら上記の法の趣旨・目的から出たものと解されるから,戸籍上の氏名に聞する限り,法の定めるとむろに従って命名しなければならないのは当然で・あって,これらの規定にかかわりなく氏名を選択し,戸籍上それを公示すべきことを要求し得る一般的な自由ないじ権利が国民各自に存在するとはし、えないと解すべきであり,そう解したとしても,法は,各自が戸籍」三の氏名以外の関係でこれと異なる氏名を呼称することを別段禁止していないのであるから,法が子の戸籍上の名につき一定の制限を設けていることをもって,人権侵害に当たるということはできない(最高裁判所昭和58年10月13日第一小法廷決定・家庭裁判所月報36巻10号77頁参照)。相手方の人権侵害の主張は,採用することができなし、。4 結論以上の次第rなあるから,本件出生届に子の名として用いられた「隆」の文字は,常用平易な文字であることが明らかな文竿ということはできず,したがって,施行規則的条に掲げられていない文字を用いたことを理由に本件出生届を受理しなかった福島市長の処分は正当というべきであるから,相手方の本件申立ては理由がなく,これを却下すべきものである。よって,当裁判所の上記判断と異なる原審判を取り消し,相手方の本件申立てを却下することとして,主文のとおり決定する。(裁判長裁判官丈楠弘裁判官鈴木桂子中村恭)

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2012年2月27日 | コメント/トラックバック(0) |

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子の監護に関する処分(面接交渉) 申立事件

第1 申立ての趣旨
相手方は,申立人が未成年者3名とそれぞれ面接交渉することを許せとの審判を求める。第2 当裁判所の判断1 本件記録,当庁平成15年修)第xx号ないし第xx号事件.当庁平成15年(家イ)第xx号事件記録によれば,以下の事実を認めることができる。(1) 申立人と相手方は,平成4年12月24日婚姻し,長女C (平成5年×月×日生).長男D (平成8年×月×日生).二女E (平成11年×月×日生)をもうけた。申立人は,未成年者らを叱る際に.叩L、たり,部屋に閉じこめたりすることがあったが,他方で,未成年者らを遊びに連れて行くなどの子煩悩な面もあった。(2) 申立人と相手方は,平成15年1月9日.未成年者らの親権者をい.ずれも相手方と定め,協議離婚した。相手方は,申立人に対して,以前から離婚を求めていたところ,申立人の求めに応じて相手方名義で借りた借金が返蛍なくなり,相手方の親族に援助してもらわざるを得なくなり,市立人も離婚に応じることとし,協議離婚した。また.協議離婚の直前そこ,申立人が.怒って,未成年者Cを叩いたり,未成年者がシャワーを使っているのにお湯を止めるなどしたことがあった。(3) 申立人は,協謬離婚後, じばらく相手方と同居していたカ~, .平成15年2月に別居した後陪,未成年者らが申立人と会いたがるので,毎週末に未成年者3名を自宅に宿泊させて,面接交渉をしていた。また,申立人は,別居後,相手方に対して未成年者らの養育費を支払っていた。(4) 申立人は,毎週の面接交渉の際に,未成年者らの気持ちに十分配慮せずに,未成年者に対して寂しいなどの心情を吐露していたので,面接交渉後,・未成年者らが不安定になることがあった。そのため,平成15年5月25日,申立人が未成年者らとの面接交渉を終え,相手方宅に送り届げた際,面接交渉後に未成年者らが不安定になることを巡って申立人と相手方は喧嘩をし,相手両方が警察を呼ぶ事態にまで発展した。両親の激しい争いを見て,未成年者Eが相手方主に帰りたがらなかったことから,申立人は,未成年者Eを連れてlifi_1J.そのまま約1週間にわたって,申立人宅に宿泊させた。この後.相手方は,申立人との関わり合いを拒否し,面接交渉及び養育費の受領を拒絶した。(5) 申立人は,相手方に対して,面接交渉に応じてもらえなくなったことから,平成15年7月16日,面接交渉等に闘しで協欝するためを求める各申立てを却下する。に,離婚後の紛争調停を申立てた(平成15年(家イ)一第xx号)が,第2回調停期日で申立てを取下げた。(6)調停取下後,申立人は,面接を求めて,同年×月×日,未成年者Cの誕生日であったので,相手方宅に電話をかけたり・円同月29日ころ,相手方宅に赴くなどし,さらに.相手方の兄にも面接交渉の協議の仲介を依頼するなどしたが,面接交渉はで‘きなかった。相手方の父は,申立人がしつこく電話をかけてくることなどに憤慨し,同年11月22日,申立人を呼び出した。その・際.相手方の父が,申立人に対して暴行を加え,顔面打撲の傷害を負わせた。申立人が相手方の父棚害罪で告訴をし,後日JB人と相手方の父は,検察庁に呼び出され.取調べを受けた。その後, ー申立入は告訴を取下げた。(7) 申立人は.平成15年11月26日,相手方に未成年者らをまかせておくことは,子の福祉上好ましくないとして,親権者変更審判を申立てた(当庁平成15年側第xx号ないし第xx号)。申立人は,親権者変更審判申立て後も,平成15年12月25’8. 未成年者Eの通う保育園に赴き,未成年者Eと面会し,未成年者Dの誕生日であザた4 品.x日には,相手方宅に赴いた。ー上記親権者変更審判の調査の中で,相手方は,親権者変更にーは反対であるが,第三者を交えて面接交渉について話し合ちことには応ずる旨述べたので,申立人は,平成16年4月7日,親』害者変更審判を取下げ,本件子の面接交渉調停を申立てた。(8) 申立人は,本件調停手続中であった平成16年6月下旬,相手方自宅付近で,帰宅途中の未成年者Cに会ったρ 未成年者Cは,突然申立人と会ったことに時き.恐怖感を覚えた。なお,申立人は,調停委員会から調停外で未成年者旬忙会うことを慎むようにするべきだと言われ,その後,面接交渉を強行することはな,くなった。調停は,平成16年8月4日,不成立となり,審判に移行した。(9) 相手方は,面接交渉に反対の意向であるーその理由としては①未成年者はし、ずれも申立人と会う意思がなく,面接交渉をすると,精神的に不安定になると思われること,②婚姻中,申立人が未成年者らを縛ったり..暗い部屋に閉じこめたりしていたこ主,その影響から未成年者Cは児童相談所でカウンセリングを受けていること,③離婚後に面接交渉をしていたときの申立人の態度や面接交渉を止め:てから頻繁に電話をかけてきたり,自宅等に訪れたりしてきたことなどを挙げる。(10) 未成年者C.(12歳)は,現時点では,申立入との単独での面接交渉には消極的であるが,申立人に対しては,良い思い出も持っており.怒り,憎しみ,恐怖心等の否定的な感情を抱いているとは認められなし、。なお,未成年者Cは,相手方の薦めで,平成16年8月から平成17年2月ころまで.co児童相談所でカウンセリングを受けていたが,現在はカウンセリングを受け、ていなし、。未成年者D(9歳)は,申立人に対する恐怖心があり,会いたくないとの意思を表明しているイ未成年者E (6歳)の瓦意ははっきりしないが,申立人に対して強い拒否感を抱いているとまでは認められない。2 以上の事実に基づき判断する。面接交渉の可否については.婚姻前後の申立人,相手方及び未成年者らの関係,未成年者らの意向等の諸般の事情を踏まえ,面接交渉が未成年者の成長に及ぼす影響,監護親と未成年者との関係に及ぼす影響等を総合的に考l草して,子の福祉に合致する場合にのみ面接交渉を認めるのが相当というべきである。そこで,まず,婚姻中の事情を見ると,申立人は,婚姻期間中,未成年者らを叱る際に暴力を振るったことがあったが,暴力の程度が重大であったとも,頻繁に暴力を振るっていたとも認められないこと,申立人が未成年者と遊んで可愛がっていたことから.別居直後,未成年者ら自身が申立人との面接交渉を希望していたことからすると,これらの婚姻前の事情から判断した場合,申立人との面接交渉によって,未成年者らに直ちに心理的な動揺や情緒の混乱をもたらすとは考えにくい。次に,離婚後の事情を見ると.申立人は面接交渉時に未成年者らに寂しいと漏らすなど.未成年者らの心情への配慮、が不十分な面があったこと,その後も頻繁に相手方宅に電話をかけたり,相手方宅や保育園に赴いて面会をしようとするなど不適切な行動があったことから,申立人と相手方との聞に激しい紛争が生じたことからすると.面接交渉を再開した場合,申立人と相手方の聞の紛争が激化し,未成年者らに悪影響が及ぶことが懸念される。しかし,申立’人は.1年半以上にわたって,相手方及び未成年者らと接触することを自重しており, 仮に面接交渉が再開されたとしても,申立人が以前のように頻繁に面接交渉を求めるなどの過激な行動に出る可能性が高いとまではいえない。もっとも,上記のような紛争があったために,相手方は申立人との関わりを完全に拒否しているので,面接交渉にあたって相手方の協力を得ることは全く.期待できない。そして,未成年者らの意向等を見ると,未成年者Cは,相手方の薦めにより,カウンセリンク・を受けていたことがあったものの,現時点では申立人に対する強い否定的感情を抱いているとは認められないこと,現在12歳で,両親の関係につし?て理解し,自身で父との面接の可否についても自立的に判断できる能力があるといえるζ と,未成年者Dは,上記のような両親の激しい紛争を見たことから,申立人との面接交渉を希望していないこと,未成年者Dの年齢(9歳jからすると,面接交渉に消極的な感情を抱くのもやむを得ないことと考えられること.未成年者Eの意向ははっきりしないが,年齢(6蔵)からすると,意向を重視することはできないことが認めちれる。以上のような諸事情を踏まえると,相手方の協力無IAこは未成年者E (6歳)との面接交渉の実現は極めて困難と考えられるところ,相手方は申立人との関わりを完全に拒否しており,それでもなお面接交渉を実現しようとすれば,申立人と相手方との紛争を再燃させ.かえって未成年者らの福祉を害するおそれがあるといえるーし,未成年者Dが面接交渉を拒否しているにもかかわらず,面接交渉を実現しようとすれば,未成年者Dに心理的な動揺を与えるなどの悪影響が懸念されるから,未成年者E及び未成年者に関しては,現段階で面接交渉を認めることが必ずしも子の福祉に’合致するとはし、えないというべきである。これに対し,未成年者Cについては.申立人に対して強い拒否感を抱いておらず,ある程度の判断力を有する上,単独で申立人と面接交渉をすることが可能であることからして,面接交渉を認めることはIll–子の福祉に合致するというべきである。そこで,申立人と未成年者Cとの面接交渉を認めるべきであるが.未成年者Cは,間もなく中学校に進学して学校内外で・の活動が増え.時間的な余裕が乏しくなることを考慮すると,定期的な面接交渉の日時を予め定めることは現実的とはし、えないから,申立人と未成年者Cが手紙,電話その他の通信手段を用いて連絡を取り合い,未成年者Cの希望に沿った面接交渉の日時,場所及び方法を定めるのが相当である。よって,主文のとおり審判する。(家事審判官綿貫義昌)

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子の監護に関する処分(面接交渉)申立事件

l 申立の趣旨及びその実情
申立人と相手方とは, 平成8年10月23日婚姻し,両名聞に長女の事件本人C及び二女の同Dが生まれたが,平成15年10月9日に事件本人らの親権者をいずれも申立人と定めて協議離婚したのち,平成16年3月7日,申立人と相手方聞の横浜家庭裁判所小田原支部平成16年(家イ)第xx号,.同第xx号子の監護に関する処分(面接交渉)調停申立事件におし、て,í 申立人(A ) は, 相手方(B) が事件本人らと毎-~ 1回面接交渉するζ とを認め,その日時,場所及び方法等は,事件本人らの福祉を考慮、し,その都度当事者間で事前に協議して定める。」との調停条項の調停(前件調停)が成立した。しかるに,相手方は申立人の忠告を無視して再三事件本人らと無断で会い事件本人らを取り戻すなどと放言し,申立人に精神科通院を余儀なくさせたうえ,事件本人らに対じて「また一緒に住める」などと動揺させる発言をなし,事件本人らの福祉を害するので,相手方が事件本人らと面接受渉するのを取り止めにしたく,その旨の審判を求める。H 当裁判所の判断本件記録によれば,次の事実カ1主主め.られる。すなわち,1 申立人(昭和41年生)は会社員として働いているところ,平成8年5月から相手方(昭和43年生)と同居を始めたのち,同年10月23日婚姻し,両名聞に長女の事件本人c(平成9年×月X.日生)が生まれ,神奈川県00市内の申立人の実家で申立人の父母との同居生活を営み,その後,二女の事件本人D (平成12年×月×日生)が生まれた。申立人と相手方との夫婦仲はその後相手方の頻繁なカジノ場通いなどから悪化したが,申立人と相手方は平成15年3月,やり直しする・ため事件本人らを連れて申立人の実家を出て神奈川県co市内ーのアパー卜に転居し,家族4人での生活を始めたが,夫婦仲を修復することがr.-.できず,同年10月9日に事件本人らの親権者をいずれも申立人と定めて協議離婚したものであり,申立人は毛の後まもなく事件本人らを連れて上記アパートを出て再び実家に戻った。2 相手方はその後平成15年12月,前記アパートを出て解体業を営むEとの同居を始めると共に事件本人らの引き取りを希望し,申立人を相手どり,横浜家庭裁判所小田原支部に事件本人らの親権者変更調停の申立をなし,調停期日が聞かれたのちまもなく同事件を取り下げたうえ,事件本人らとの面接交渉を求める調停申立(平成16年(家イ)第xx号,同第xx号)をなし,同事件の調停期日が聞かれ,平成16年5月7日,同事件において, r申立人(A) は,相手方(B) が事件本人らと毎月l回面接交渉することを認め,その日時,場所及び方法等は,事件本人らの福祉を考慮し,その都度当事者間で事前に協議して定める。Jとの調停条項の前件調停が成立した。申立人はそれまでに相手方から復縁したいとの言があったので,将来の復縁を期待し,面接交渉には申立人も付き添って相手方との4人で会う方法で実施したいと考え,前件調停の成立に応じた。この間の平成16年4月,事件本人Cは小学校に入学し,通学を始めた。3 申立人と相手方は前件調停成立翌月の平成16年6月,事件本人らを官む4人での面接交渉を実施し,同年8月にも4人で面接交渉を実施した。相手方はその後同年9月の面接交渉の予定が立たなかったので,3回にわたり申立人に無断で事件本人らの様子を見に行って事件本人らと会ったところ,これを知った申立人はその後まもなく相手方が勝手に事件本人らと月3回も会いに来たので本件調停条項を遵守し,勝手に会うのを制止してほしいと横浜家庭裁判所小田原支部に履行勧告の申出をなし,しばらく面接交渉に応じないことにしたが,こう・した間,相手方から,もはや申立人と彼縁する気持はなく,事件本人らを取り戻したし、などと言われたことで強いストレスを感じ,精神科に受診し, 抑欝状態と診断され,2か月ほど服薬を余儀なくされた。他方,相手方は平成16年10月の面接交渉を申立人が応諾せず,事件本人らと会うことができなかったので同裁判所に履行勧告の申出をなし,申立人に前件調停条項の履行を求めたが,同年11月には4人で温泉旅行に行って面接交渉を円滑に実施することができた。4 申立人はその後平成17年2月2日,相手方と復縁できる可能性はなく,前記のとおりストレスで抑欝状態になったことから相手方の事件本人らとの面接交渉の取り止めを求めて横浜家庭裁判所相模原支部に本件面接交渉調停の申立(平成17年(家ィ)第xX, X X号)をなし,同3月8日の第1回期日が聞かれ,調停続行になったが,相手方はその後まもなく申立人に無断でOIJj:件本人Cのヤ校途中を待ち伏せたり,幼稚園に通う同Dに会いに行くなどしたものであり,これを知った申立人は面接交渉をしばらく応せ.ず,再開時期を延ばすことにした。相手方は同年3月31日,同裁判所に事件本人らの親権者変更調停の申立をなし,上記事件と並行して進行されることになった。同年4月,事件本人Cは小学校2年生に進級し.・同Dは幼稚園年長組になった。5 申立人はその後平成17年5斤24日の第2回調停期日に調停委員会から提案された面接交渉の試行に応じなかったものの.同年7月14日の第3回調停期日において,次回期日の同年1σ月4sooiてひと面接交渉を再開することを応諾し, 次回期日までに面接交渉を・3回試行することが約された。これに応じ,相手方は同年7月の試行1回目には事件本人Cと1日遊んで過ごすことができたが,同年8月の試行2回目には事件本人らが申立人により自動車で待ち合わせ場所にやって来たものの,事件本人Cが相手方の再三の誘いにも応せ.ず, 自動車から降りないで相手方との面接交渉を拒否したので,相手方はやむなく事件本人Dだけを海に連れて行って遊ぶことができた.相手方はその際.J同Dに対して「ママと暮らそう」と誘ったものであり,申立人はその後まもなくその事実を知づ;た。同年9月の試行3回目は相手方代理人弁護士も待ち合わせ場所で・立ち会ったが.事件本人らは共に相手方と一緒に過ごすことを拒否し,そのため,相手方は面接交渉することができなかっーた。申立人はこの聞の同年7月頃から現在の妻のF(昭和42年生)と交際を始めたのちまもなく申立人の実家に同女を迎.え入れ,事件本人らと一緒に同居するよ、う?となった。6 その後平成17年10月4日の第4回調停期日において申立人と相手方双方の言い分は対立し,本件調停事件は不成立に終わり,審判に移行した。相手方は同日,前記調停事件のうち事件本人Cの親権者変更事件を取り下げ,その後,同Dの親権者変更事件も取り下げた。申立人は前記審判移行直前の平成17年10月2日実家を出て,実家近くの肩書住所の賃貸マンションでF及び事件本人らとの4人での生活を始めたのち,前記審判移行後しばらくした同年12月18日にFとの婚姻届を出した。7 こうした間,相手方は会いに行くだけなら申立人に無断で‘も良いだろうと考え,前記審判移行後2日後の平成17年10月5日に申立人宅近くの(x)公園で事件本人Dの塾帰りを待ち伏せして声を掛け,同月7日に事件本人Dの通う幼稚園に行って声を掛け,帰宅後に前記公園に来るように呼び掛ける勝手気盛な行動に及んだ。相手方は同月12日に事件本人Dに「後で来てね」と芦を掛けて同マンショ・ン前で・しばらく持っていたものであり,この際,様子を見に来た申立人の父と怒鳴り合い,警警察官を呼ぶ騒ぎになった。相手方はさらに同月19日に事件本人Cの通う小学校に行き,休み時間で校庭にいた事件本人Cに声を掛けたのち.下校時に再び事件本人Cに声を掛けたが,事件本人Cは相手方の制止を振り切り,走って逃げた。こうした経過のもと.前記審判移行後に家事審判官から包括調査命令を受けた家庭裁判所調査官の提案により平成18年1月10日,横浜家庭裁判所相模原支部において相手方と事件本人らとの面接交渉の試行が実行された。相手方はその3日後の周13日に事件本人Dの通う幼稚園に行って,公園で待っていると声を掛け,同年2月3臼に公園で事件本人らが来るのを待ち伏せしていたが,事件本人らは来なかった。申立人とFとの夫婦仲は円満に推移し,現在までに事件本人らはFにすっかり懐いており,事件本人ら聞の姉妹仲も良好である。8 相手方はその後平成18年3月1日午後,申立人に無断で事件本人Dを連れ回し,途中で相手方と電話で話を交わした家庭裁判所調査官から事件本人Dを申立人に帰すように注意されたにもかかわらず,直ちに申立人の元に帰さず. 2時間位連れ回したところ,これを知った申立人は同日夜,相手方を未成年審議場答疑でcxコ警察署に告訴し,そめ後まもなく相手方は未成年者誘拐容疑で警察官に逮捕された。申立人はこれまで本件審判で相手方の面接交渉が許容されることになれば,ある程度の面接交渉に応じようと思っていたが,相手方の逮捕という深刻な事態の発生に至り,最早相手方の面接交渉に応じることはできず,相手方の面接交渉を禁止してほしいと考えている。以上の事実が認められる。ところで,面接交渉権は親権者又は監護者として自ら実際にその子を監護養育しない方の親が, その子と個人的に面接したり,文通したりして交渉する権利であり,民法上明文の規定はないが,親子とし、う身分関係から当然に認められる権利であると解される。申立人と相手方は前件調停において毎月1田の面接交渉を認める旨の合意を成立させているものであるが,家庭裁判所は家事審判法9条1項乙類4号所定の「子の監護に関する処分」として面接交渉権につ.”、て,従前成立した調停の調停条項の変更を含めて必要な審制fをすることがでぎるところ,面接交渉の可否,方法や内容は子の福祉という観点に立って子の監護のために必要かどうか,相当かどうかということか后決せられるべきものである。そうじて,上記事実によれば,相手方は前件調停成立後まもなくから申立人に無断で事件本人らと会い,そのため,申立人をして履行勧告の申出を余儀なくさせ,申立人による本件調停事ー件の申立に至らせたのち,本件調停が係属中にもかかわらず,事件本人Cの下校途中を待ち伏せたり,幼稚闘に通う同Dに申立人に無断でも会いに行くなどし,調停不成立の審判移行後にも会いに行くだけなら申立人に無断でも良いだろうとの勝手な解釈のもと,審判移行後僅か2日後からしばしば事件本人Dの通う幼稚園に行って声を掛けたり,事件本人Cの通う小学校に行って声を掛けたりしたうえ,さらに自分勝手な行動を続け,申立人に無断で事件本人Dを2時間位連れ回し,未成年者誘拐容疑で逮捕されるに至ったものであり, こうした背信的な行動を重ねる相手方には今後ルールを守って事件本人らと面接交渉をしたり,事件本人らの心情や生活状況に配J直した適切な面接交渉を実施することを期待することは困難であって,こうした状況のもとで相手方の面接交渉を許容することは事件本人らの福祉に適合しないといわざるをえず,相手方が実母として強く面接交渉をすることを望んでいることを十分考慮、しても,全面的に面接交渉を禁止することもやむをえないと認められる。それゆえ,前件調停の調停条項を変更し, 相手方が事件本人らと面接交渉することを禁止することとする。
皿よって,主文のとおり審判する。(家事審判官榎本克巳)

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2012年2月27日 | コメント/トラックバック(0) |

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子の監護に関する処分(面接交渉)申立事件

第1 申立ての趣旨
.1 主位的な申立ての趣旨(1)相手方及び参加人は.させるア毎週1回,土曜日文は日昭日の午前10時から午後6時までの間の面接,又は,毎月2回,土曜日の午前10時から翌日曜日の午後6時までの聞の申立人方における宿泊を伴う面接L‘、申立人に対し,次のとおり.未成年者に面接イ前項の場合,相手方民午前1’0時に,00駅(又はムム駅)において,未成年者を申立人に引き渡し.申立大は,午後6時に,cxコ駅(又は66駅)において,未成年者を相手方に引き渡すウア項のほか,夏休み中に20日間,春休み中及び冬休み中に各5日間の申立人方における宿泊を伴う面接(2) 相手方及び参加入は,申立人に対し,申立人が未成年者の学校の行事に参加すること及び申立人が電話で未成年者と適宜の会話をすることを許し,申立人が送った手紙,学用品等の品物を未成年者に渡すとの審判を求める。2 予備的な申立ての趣旨(1)相手方及び参加入は,申立人に対し,未成年者が通学する京都府00郡ムム町立口口小学校において,毎月2回,同校校長の指定する自に,京都家庭裁判所所属の家庭裁判所訓査官立ち会いのもとに, 1時間程度,未成年者と面接交渉させる(2)相手方及び参加人は,申立人に対し.上記小学校における未成年者の学校行事に,申立人を参加させる(3) 相手方及び参加入は.申立人に対し,上記小学校における(1)項の未成年者との面接交渉及び(2)項の学校行事への参加を,いずれも妨害しではならないとの審判を求める。
第2 当裁判所の判断,1 本件記録及び関連事件記録(京都地方裁判所平成14年(人)第×号人身保護請求事件,大阪家庭裁判所平成14年岡xx号親権者変更申立事件及び大阪高等裁判所平成16年(ラ)第xx号親権者変更審判に対する抗告事件)によれば,以下の事実が認められる。(1) 申立人と相手方は,平成10年5月12日に婚姻し, 同年×月×日に長女である未成年者をもうけた。(2) 申立人は婚姻前の平成10年3月に約300万円の負債を抱えて自己破産し,免責決定も受けていたが,平成11年3月以降,無断で相手方の消費者金融カードを使用したり,相手方の友人等の氏名を冒用ーするなどして消費者金融から借金をした。平成13年7月中旬ころにこの事実が相手方に発覚し,相手方が関与してねん出した金(以下・「本件返済資金Jとし、う。)でこの申立人の借金は返済することができた。(3) 申立人と相手方は,平成13年7月26日,未成年者の親権者を相手方と定めて協議離婚の届出をしたが,申立人はその後も相手方と同居して未成年者を監護養育していた。(4) 申立人は,平成14年7月7日,相手方が不在の聞に.未成年者を連れてムム市00区所在の申立人の両親宅に移り住み.以後未成年者は申立人及びその親族らの下で生活していた。(5) そのような中,相手方から申立人に対して人身保護請求がなされ,京都地方裁判所は,平成14年12月4日.未成年者の釈放と相手方への引渡しを命ずる判決をし,同日,未成年者は相手方に引き渡された。なお,前記入身保護請求に係る判決については,申立人が上告受理を申し立てたが,平成15年2月4日,最高裁判所比上告不受理決定をした。(6)申立人は,平成14年10月18日,未成年者の親権者を申立人とするょう求める親権者変更申立事件を大阪家庭裁判所に申し立て,大阪家庭裁判所は,平成15年12月25日,未成年者の親権者を相手方から申立人に変更する旨の決定をした。(7) 前記のように平成14年12月4日に未成年者が申立人から相手方に引き渡された後,平成14年12月29日に相手方の父親が亡くなり,その通夜の際に申立人は未成年者に対面したが,それ以後現在に至るまで,申立人は未成年者と対面できておらず,電話等による間接的接触もなかった。また,平成15年12月19日付けで相手方から申立人に対し,申立人を未成年者に会わせることについての申し出の手紙が送付されたが,申立人はこれに応答しなかった(この点につき,申立人は,本件調査におし、てJ既に大阪家庭裁判所で未成年者の親権者を相手方から申立人へと変更する審判が認容されていたにも関わらず,未成年者が今後も相手方の下で生活することを前提とする面接交渉の申し出はおかしいと思ったこと,親権者変更の審判通知を受けて急に相手方が起こした動きであること,金銭的要求を併記していること,未成年者との面接交渉にかこつけ申立人を呼び出したがっていることを疑ったことなどからである旨述べている。入国(8) 平成16年10月8日に,大阪高等裁判所においてi親権者変更審判に対する抗告審の決定が出た。同決定は,原審判を取消し,申立てを却下する内容のものであったため.未成年者の親権者は相手方であることとなった。(9) 申立人は,相手方に対.して,平成17年1月29日,申立人と未成年者の面接交渉を求める趣旨の調停を申し立て(当庁平成17年(家イ)第xx号).同調停については4回の期日が開催されたが,平成17年7月21日に不成立となり,本件に審判移行した。なお.平成17年8月6日には.申立人は,相手方に対して,仮に面接交渉をさせることなどを求める審判前の保全処分の申立て(当庁平成17年(家ロ)第xx号事件)を行っている。(1同相手方は.本件返済資金に関係して,平成17年8月ころ,京都地方裁判所に申立人を被告とする貸金請求事件を提起した(同事件の判決は,平成18年3月下旬に予定されていたところである。)。また,相手方は,平成17年11月4日に.申立人に対し養育料の支払いを求める審判を当裁判所に申し立てている。(1 1) 申立人は,平成17年4月1日付けで潰害謀験主主士の正社員となっており.週休2日で働き,手取りで約16万円から17万円の給与を得ているほか.賞与も得ている。申立人は,乳腺に関する病気で経過観察を受けているほか,コンタクトレンス・を使用している関係で眼科での検査を受けているが,健康上特に大きな問題は見当たらない。(12) 相手方は,平成16年10月ころから参加入と同居しており,平成17年12月24日に相手方と彦加入は婚姻届出を終えた。参加入は,現在既に従前の氏から現在の氏であるCに氏の変更を済ませてお・り,平成18年3月27日には,未成年者を養子とする届出も済ませた。なお,参加入は.平成18年5月に相手方との間の子を出産する予定である。.相手方は,その突父から引き継いだ会社を,自宅を事務所として経営しており.閉会社から給料として月額15万円を受け取っている。相手方は,参加人及び未成年者と同居し. 3人分の生活費を前記会社からの給料から支出している。相手方の父の妻であったEは,平成16年1月14日に日本への永住許可を取得したが,平成16年11月ころから韓国に帰っており,基本的には韓国で生活するようになってきている。参加入が同居するようになってから.食事の世話,学校の準備や未成年者の勉強の指導は参加人が.中心にするようになり,相手方は仕事と育児を両方担っていたころから比べると楽になってきている。相手方の休日は日曜日だけだがr拍手方,参加入及び未成年者の3人で外出している。(13) 最近は,参加入が未成年者に対してその日の出来事を尋ねており,相手方は未成年者に対して,重点を定めて指導をしており.参加入も具体的な項目を挙げて未成年者比苅するしつけの方針を考えている。未成年者は,平成14年12月4日に前記人身保護請求が認められて以後は,相手方の実家(現在の住所)で主として相手方の監護を受けて生育し,平成15年4月からはムム町立口口小学肢に通学している。未成年者は,前記小学校には嫌がらず通っており,平成17年5月から相手方の勧めにより週3田空手を晋っている。宋成年者は,学校及び家庭で明るく生活している。(H) 当庁家庭裁判所調査官つが行った未成年者に対する面接調査の結果は以下のようなものであった。未威主存者は,申立人のことを覚えているかという旨の質問に対して「覚えている。顔は覚えていなし、。髪の毛が黄土色,茶色だっ・たことは覚えている。」と答え,申立人と一緒にしたことについての質問には. iお母さんが何かしてきたとき。三階で遊んだ。づくさいころ。」と答え,申立人のことについては「思い出すことあまりない。Jと答えている。また,申立人に対して会いたいと思うことについては「ある。」と答えつつ,そのようなときに相手方に言うかとし、う質問については.i話しない。Jと答え,言っても喜ばないからか,との質問には「うん。」と答えている。「ママがDちゃんに会いたいと言ったらDちゃんはどうする。」との質問には「会うの嫌。J. iCちゃんのお腹に赤ちゃんがし、る。あんなところに居った-ら赤ちゃんが育たないと思うから。大人になったら考えると思うけど。Jと答えている。未成年者は,参加入のことをiCちゃん」と呼んでいたが,家庭裁判所調査官が行ったテストの中で,状況によっては「お母さんJと呼んでいる(実際に調査官面接以外の場面で最近は未成年者が参加入のことを「お母さん」と呼ぶことが出てきている。)。なお,相手方の言によれば,同人は未成年者に対して,申立人を思い出註せるような話はしておらず. 1年ほど前ころに未成年者に,申立人に会いたし、か質問したところ,未成年者は「し、ぃ。J.「行かへん。」と応答したとのことであり,また,家庭裁判所調査官が面接する前日に「申立人に会いたいか。」と未成年者に尋ねたが,未成年者は,家庭裁判所調査官に対してした回答と同趣旨の回答を相手方に対してもしたとのことである。(1日なお,申立人は,平成17年9月15日付けの上申書2において,学校での面接交渉に関連する主張の中で.試行的面接交渉をしないよう当裁判所に求めている。2 以上を前提として判断する。(1) 未成年者の住所地が日本にある本件においては, 日本の裁判所~;.国際裁判管轄が認められる。また,本件においては,法例21条により準拠法は子の本国法となると解され, 日本国籍と韓国籍を有すると解される未成年者の本国法は法例28条l項にまり日本法となるかも.結局日本法が準拠法となる。(2) 前記認定のように,相手方と参加入が既に名実共に夫婦としての生活を開始しており,未成年者と参加入との養子縁組も既になされ,未成年者も既に相手方及び参加入の子として家族共同生活を送るようになっており,現在の未成年者の心身の状態に特に問題は見当たらない。ただじ,未成年者と容加入との心理的な結び付きLが実窺千聞のものと実質的に同等とし、L、得るほど強固なものとなっているとまでいうことはできない。このような状況を前提とすると,現時点においてほ,未成年者を取り巻く保護環境を乱すことを避ける観点から,申立人の未成年者に対する面接交渉が制約を受けることはやむを得ないものといえる。(3) 次に未成年者の面接交渉に対する意向にづいて検討オる。前記のような家庭裁判所調査官との面接の際の回答状況等からみたとき,現在の未成年者は,申立人に対する思慕の情がなくなったわけではないが,申立人と会うことは否定する意向を述べている。ただしこれについては相手方及び参加人に対する配属等の複雑な感情が影響しているとみることができる。このような相手方及び参加入に対する複雑な感情の影響があるとみられるごと正考えると,前記のような未成年者の意向表明を過大に評価するべ善ではないが,’一方,既に就学τモt子宮烹~年者が,参加入が娃娠ーしてレる子のことを申立人の生活環境に関係させて具体的な理由を一応述べ,大人になったら考えるとし、う将来の展望も付け加えて述べていることからすれば,未成年者なりに現在の自らの置かれている状況を理解しつつ一応の判断をしているものとして,一定の重みがある意向表明であるととらえるのが相当である。. (4) また,申立人と相手方との聞には,前記認定のように従前様々な態度での係争があった上,少なくとも本審判直前まで係争状態が継続Lているのであり,そのような申立人及び相手方との関係の中で面接交渉を行うことによって,これまで係争に巻き込まれてきた未成年者の心情の安定を乱すおそれはないとはし、えなし、。(5) 以上の事情その他本件に関する事情を総合考慮すると,少なくとも現時点においては,申立人の未成年者に対する面接交渉の実施は,ー味成生存者の福祉の観点から問題が大きいとLめることは相当ではない。なお, 申立人は,電話で.~会話や, 申立人から未成年者へ送付した手紙,学用品等の引渡しについても申立ての趣旨で求め’ているが.前記のような事情(特に未成年者と参加入との関係が,問題があるとまではいえないが未だ強固なものとはし、し、難いものであるとー-:~- ‘申込雪塑島と)からすれば,申立人が求めているこれらの態様による接触も少なくとも現時点では相当ではないというべきである。また,申立人が求めている学校における面接交渉や学校行事への参加は,学校の理解と協力なしに伴実現できないものであ石が, ・前記のように最近まで・紛争状況にあった申立人及び相手方との関係等の事情を考えると,学校に継続的にそのような負担を強いることは妥当とはし、えず,このような学校における面接交渉や学校行事への参加も現実的な方策とはし、し、難L、(6) ただし,前記のような未成年者の窓向や申立人に対する思慕になったら考えるとし、う将来の展望も付け加えて述べていることからすれば,未成年者なりに現在の自らの置かれている状況を理解しつつ一応の判断をしているものとして,一定の重みがある意向表明であるととらえるのが相当である。. (4) また,申立人と相手方との聞には,前記認定のように従前様々な態度での係争があった上,少なくとも本審判直前まで係争状態が継続Lているのであり,そのような申立人及び相手方との関係の中で面接交渉を行うことによって,これまで係争に巻き込まれてきた未成年者の心情の安定を乱すおそれはないとはし、えなし、。(5) 以上の事情その他本件に関する事情を総合考慮すると,少なくとも現時点においては,申立人の未成年者に対する面接交渉の実施は,ー味成生存者の福祉の観点から問題が大きいとLめることは相当ではない。なお, 申立人は,電話で.~会話や, 申立人から未成年者へ送付した手紙,学用品等の引渡しについても申立ての趣旨で求め’ているが.前記のような事情(特に未成年者と参加入との関係が,問題があるとまではいえないが未だ強固なものとはし、し、難いものであるとー-:~- ‘申込雪塑島と)からすれば,申立人が求めているこれらの態様による接触も少なくとも現時点では相当ではないというべきである。また,申立人が求めている学校における面接交渉や学校行事への参加は,学校の理解と協力なしに伴実現できないものであ石が, ・前記のように最近まで・紛争状況にあった申立人及び相手方との関係等の事情を考えると,学校に継続的にそのような負担を強いることは妥当とはし、えず,このような学校における面接交渉や学校行事への参加も現実的な方策とはし、し、難L、(6) ただし,前記のような未成年者の窓向や申立人に対する思慕がなくなって十科、ないこと等を考えると,将来的には未成年者自身が明確に申立人との面接を希望する意思を表明するようになる可能性も十分あるのであるから,同人の現状に関する一定の情報を申立人に与え,将来の申立人と未成年者との面接を円滑にすることは,未成年者の福祉のためという観点から十分意義のあることであるといえる(相手方は,家事審判官審聞において,写真及び通知票の写しの送付については申立人のためとしか考えられない旨述べているが,前記のような意義があることからすれば之の点に;ニついての相手方の認識は正確なものとはし、し、難L、。また,相手方及び参加入は,申立人の過去の言動をとらえ申立人の人格上の問題点を指摘しているが,本件に現れた一切の事情を考醸しでも,申立人と未成年者争面接交渉を将来的に完全に禁ずべきまでの事憶』まうかがわれない。相手方及び参加入には,少なくとも将来に向かつては,未成年者の申立人に対する感情等につし、ての理解を深めていくことが期待される。)。そごで,主文記載のような写真及び通知票写しの送付を相手方に命ずるのが相当である。(7) その他,当事者双方が主張している点を検討しても,前記のような判断を覆すに足りるものは見当たらない。(8) よって主文のとおり審判する。(家事審判官三上潤)

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子の監護に関する処分(面接交渉)審判に対する即時抗告事件

第1 事案の概要等
1 事案の慨要理由(1) 抗告人(元夫)と相手方(元妻)は,平成15年10月30B..未 成年者ら(長男D.長女E)の親権者を抗告人と定めて協議離婚した。(2) 相手方は,当初概ね月1回の割合で実施されていた未成年者貯との面接交渉を抗告人が拒否するようになったとして,平成16年11月6日,面接交渉を求める調停の申立てをしたが,同調停は,平成17年1月24日に不成立となり,原審の審判手続に移行した。(3) 原審は,平成17年8月24日,相季方に未成年者らとの毎月l回(3 月と7月は宿泊を伴うもの)の面接交渉を認め,その方法を具体的に定める内容の旨の原審判をした。.抗告人がこれに対して不服申立てをしたのが本件である。(4) なお,原審判後である平成17年8月30日,抗告人は,参加入と婚姻した。そして,参加人は.同年9月8日,未成年者らと各養子縁組をしたことにより,未成年者らの共同親権者となったので,当裁判所は,家事審判法12条により,捗権で参加入を利害関係人として本件に参加させることとする。2 抗告の趣旨及び理由(1) 抗告人は,原審判を取り消し,本件を京都家庭裁判所に差し戻すとの裁判を求めた。(2) 抗告理由の要旨は.次のとおりである。ア原審判~:t_,相手方と未成年者らとの聞の面接交渉において子らゐ福祉を害する様なことは全く見られなかったと認定したが,相手方は,突然抗告人の家に押し掛けてきたり,夜中に玄関口で大,声で叫ぶなどして警察を呼ばざるを得ない事態に至っており.その後も脅迫的言動をしていることから,未成年者らの福祉を害するおそれがある。イ現在.抗告人.から相手方に対する養育費請求事件が家庭裁判所に係属しているが,相手方は養育費を支払わないのに,面接交渉を求めるのは不当である。ウ相手方は,男性と不貞に及んだ結果,抗告人と離婚したものであり,自己中心的性格の持ち主であるから,母親として未成年者らと面接交渉するのは不当である。エ参加入(旧姓(0)は,平成17年8月30臼,抗告人と再婚した上,未成年者らと養子縁組をしており,抗告人らは新たな家庭生活を築き始めている。相手方と未成年者らとの面接交渉は,家庭生活の平穏を脅かすものであり,また,未成年者らが情緒不安定となるなど,子の福祉を害する結果となる。.以上によれば.未成年者らが状況を把握できるようになるーまで,相手方との面接交渉は控えるd きである。オ原審判は,土曜日;から日曜日にかけての宿泊付き面接交渉を認めたが,抗告人は,土曜日は,仕事上未成年者らの引渡に関与できず,参加入は妊娠中であるうえ,過去の相手方の行為により相手方に対し恐怖心を抱いており,未成年者らの相手方への引渡の協力はできない状況にある。他に協力を求める適当な者もいないので,仮に,面接交渉を実施するにしても,宿泊付きを認めるのは相当でない。
第2 当裁判所の判断
1 当裁判所は,相手方と未成年者らの面接交渉は認められるべきであり,その頻度等原審判の定めた方法も基本的には首肯できるけれども,現在の状況からみると,当面は宿泊付き面接交渉は控えるのが相当であり,また,その他の点についても若干調整を要する点が高るので,その限度で原審判を変更する必要があると判断する。その理由は,次のとおりである。2 事実関係(1) 記録によれば,原審判2頁24行目から5頁9行固までの事実(ただし,原審判4頁7行目から9行固までを削る。)が認められる。(2) 記録(当審記録を含む。)によれば,更に,次の事実を認めることができる。ア参加人は,平成15年冬頃から原審相手方と交際を始め,平成16年夏頃からは,原審相手方宅に出入りするようになり,平成17年春頃からは,原審相手方と同棲しており,原審判後である平成17年8月30日に原審相手方と婚姻し,同年9月8日,未成年者らと.・養子縁組をした。参加人は,現在,専業主婦として,家事に従事し.未成年者らの監護養育に当たっており,未成年者らも参加l人になついている。なお,参加入は,現在妊娠中で平成18年4月に出産予定である。〈参加人は,当審において.家裁調査官に対し,概略次のように述べている。「現在,抗告人及び未成年者らと新しい家庭を築き始めたところなので,相手方には関わって欲しくない気持ちを抱いている。相手方は,平成16年11月深夜,委主加人が抗告人方に居たときに押し掛け,玄関口で宰加人の名前,仕事,車のナンバーも調べたと怒鳴り, 面談を強要し,相手方の車が自宅近くに駐車してあったことから,参加人は相手方に対して恐怖心を抱いている。面接交渉については,月l回の割合の面接交渉は多すぎて,家族が休日一緒に行動するのに支障がある。宿泊併きの面接交渉は,それ自体受容できないが.そもそも,土曜日比未成年者らを引き海す者がじないので無理である(抗告人は仕事があり,抗告人の両親は相手方と会うことを拒否しており,参加人は妊娠中である上,上記のような相手方に対する恐怖心から相手方と会うことには強い心理的抵抗がある。)。また,原審の定めたプレゼントの限度額(1人当たりl万円)は高額に過ぎて,我慢することを未成年者らに教えようとする抗告人らの養育方針と相反する。Jウ他方,未成年者らは,相手方に対しても,親和性を持っていて,これまでの面接交渉の過程において,抗告人らの養育方針にはそぐわない場面があったか否かは別としてd 未成年者らの心情を損なうなど子の福祉を直接害する事態は生じて丸、ない。また,特に.長男Dは,相手方との面接交渉を希望し.てし.こ品。3 事実関係に基づいて,相手方の面接交渉申立ての当否につき.検討する。(1) 非監護親の子に対する面接交渉は,基本的には,子の健全育成に有益なものということができるから,これにより子の福祉を害するおそれがある場合を除き,原則として認めら柁ゑ’べきもの.である。上記の事実関係によれば.当事者双方の協議離婚に際し.抗告人が未成年者らの親権者となることが合意されるに当たっては,相手方と未成年者らとの面接交渉の機会が確保されることが重要な要紫になったことが推認でき,それ故にこそ,約10か月聞は,毎月1回宿泊付きの面接交渉が実施されてきたもめと認められること,及び,未成年者らは相手方に対して親和性を抱いており,従前実施された面接交渉によって,子の福祉を害する特段の事態が生じたということも認められなし、から,相手方の面接交渉は認められるべきである。抗告人は,平成1’6年9月の面接交渉を終えた際.相手方が長女Eに対してした軽率な発言によって同女の精神的な安定が損われたとして,爾後の面接交渉を拒否したものであるところ,その後,相手方が抗告人方に押し掛けてした様々な行動報からみて,面接交渉によって未成年者らの福祉を害するおそれがあると主張している(抗告理由ア)。確かに,上記の相手方の発言は軽率であり,その後の相手方の行動は,反省すべきものであるけれども,上記発言は一時の感情から出た発言にとどまるものであり,また,その後の行動も,相手方からみれば,一方的に面接交渉を拒否されたことに由来する衝動的な行動であって,その後は,相手方も事態をわきまえて,抗告人方を突然訪れるなどの行動には出ていないことからすれば,今後の面接交渉のルールを定めることにより解決可能な問題であって,面接交渉自体を否定すべき事由に当たると認めることはでき払レ。(2) そこで,面接交渉の具体的方法について検討する。ア面接交渉の回数については,従来の経緯からみて,毎月1回の割合で実施するのが適当である。参加人は上記のとおり,頻度を少なくするよう希望しているが,離婚の際に.相手方の面接交渉が重要なものとして位置づけられていることを考慮すると,抗告人らとしては,この程度の回数は受忍すべきである。未成年者らの受渡し方法に関しては,原審判における試行的面接に準じるものとする。イ従来実施されていた宿泊付きの面接交渉は,当分の聞は実施しないものとすることが適当である。離婚後約10か月聞は,宿泊付きで面接交渉が実施されていたことは,上記のとおりであるが,現在においては,こ・れまでとは事情が異なる。すなわち,現在は,抗告人及ひ’参加人は,その共同親権の下で未成年者らとの新しい家族関係を確立する途上にあるから,生活感覚やしつけの違いから,未成年春らの心情や精神的安定に悪影響を及ぼす事態は芯きるだけ回避されなければならず,宿泊付きの面接交渉は,そのような危慎が否定できないもめというべきであるから,現段階においては避けるのが相当である。土曜日に怯,未成年者らを相手方に引き渡す適切な者が見当たらず,また.従前の経緯からすれば,抗告人方で参加人から相手方に子らを引き渡す方法も相当でないとし、う物理的な理由も考慮しなければならない。今後, 日帰りによる面接交渉が円滑に実施され;未成年者らに新しい生活習慣が身に付き,上記のおそ五が払拭された時点で,改めて,宿泊付きの面接交渉の実施の可否が検討されるべきであ.る。相手方の宿泊付き面接交渉に関する希望は理解で・きるが,従来とは状況が異なることを理解すべきであるdウ相手方が,面接交渉の際,未成年者らに対し,プレゼントをすることは,それが,未成年者らの年齢等からみて,社会通念上相当なものである限り許容されるべきであるが,それが毎回ない頻繁に行われるのは適当でなし、から,誕生日,クリスマス,正月等の時期に限ってされるのが望ましく.また.その価格も,抗告人ら家族の養育方針を尊重して,できるだけ慎ましいものに留めるべきである(参加人が. 1万円は高額に過ぎると指摘していることを念頭に置くべきである。)。エ未成年者らの学校,保育園等における生活を安定させるため,相手方は,それらの行事に参加することを控えるべきであり(相手方において,抗告人らに無断で保育園や小学校に赴いて未成年者らと会ったり,抗告人及び参加人の家庭問題に不当に干渉するようなことは,その面接交渉実施の阻害原因となるから,厳に慎むべきであり,そのような事態は,場合によっては,将来の面接交渉禁止の原因左もなり得るものであることを理解すべきである。).その反面として,抗告人らは.それらの状況をビデオ,写真等に撮影したときは,適宜,相手方に提供すべきである。オ以上の趣旨を明確にするため相手方と未成年者らとの面接交渉に関して別紙のとおり面接要領を定め,抗告人及び参加人並びに相手方に履行させることとする。γ (3) 抗告理由ア,エ,オは,ム記説示に沿う限度において,理由がある。4 その余の抗告理由は,いずれも採用できない。すなわち,(1) 養育費支払の有無は,義務者による面接交渉の可否と直接結びつくものではないし,記録によれば,相手方は,子らの養育費について支払意思を有するものの,抗告人の請求額が余りに過大であるため,具体的支払額については審判に委ねる意向であること.が窺われるのであって,抗告人主張の事由は,面接交渉を拒む根拠となるものではない。(2) 仮に.抗告人との離婚の原因が相手方による不貞にあるとしても,上記認定のとおり,抗告人は,協議離婚時において,相手方が未成年者らと面接交渉することを認めていたのであり,現時点において,そのことを理由に面接交渉を拒むことは適当でなし、。5 以上の次第で,原審判の認定判断は,基本的には首背できるが,その後の事情変更や,当審における調査の結果に照らして,当面は’.上記の限度で面接交渉が実施されるのが相当と判断される。本件抗告は,上記説示に沿う限りで理由があり\家.事審判規則19条2項に従い,原審判を変更する裁判をすることとして,主文のとおり決定する。予の健全育成のためには,実母と子の面接交渉が定期的かつ円滑に実施されることが必要である。双方は,このような理解の.もとに,お互いの立場を尊重し,節度をもって誠実に協力する必要があることを付言する。(裁判長裁判官田中批太裁判官「松本欠村田龍平)

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2012年2月27日 | コメント/トラックバック(0) |

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親権者指定申立却下審判に対する即時抗告事件

第1 抗告の趣旨及び理由
本件抗告の趣旨及び理由は,別紙「即時抗告の申立及び準備蓄面1 (いずれも写し)記載のとおりである。
第2 事案の概要
フィリピン国籍を有する抗告人は,我が国男性である相手方と婚姻し,両名の聞に事件本人(我が国の国籍の留保をしていなかったJため,フィリピン国籍を有する。)が出生したが,ぞの後相手方と協議離婚し,出生以来フィリピン圏内に居住する事件本λと共にフィリピン圏内に居住しており,他方相手方は我が固に居住しているところ,抗告人は,事件本人の親権者を自己と定めることを求めて原審裁判所に本件親権者指定申立て(以下T本件申立て」という’o) をした。本件申立てに対し,原審裁判所は,親権者指定に関する国際裁判管轄は特段の事情がない限り子の住所地文は常居所地の固にあるとの法解釈の下に,事件本人の場合はフィリピン国に同裁判管轄があり,我が固にはないとして,同申立てを却下した。本件は,抗告ー人が,同裁判管轄は我が固にあると主張して,当庁に原審判に対する即時抗告を申し立てた事案である。
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所が認定する事実は,次のとおり付け方耽るほか,原審判「理由」中の「第2 当裁判所の判断Ji 1 J記載のとおりであるから,これを引用する。原審判1頁24行目の「事件本人(フィリピン国籍)Jを「両名の聞に事件本人(フィリピン国内で、同国籍を有する抗宮大の子として出生しているから,同国法に基づき同国籍を取得する’ととらに国籍法2条1号に基づき我が国国籍も取得したところ,国籍法12粂に基づく我が国国籍留保の意思表示が法定期間内にされなかったため,我が国国籍を出生時に遡って喪失している。)Jに改め.25行自の「生活し続けている。」の次に「これに対し,相手方は事件本人の出生以来同人と生活を共にしたことがない。」を. 2頁11行目の次に行を改め. i(6) 相手方は,事件本人の養育を現在事実上放棄している。」をそれぞれ加える。2 国際裁判管轄の有無について.以上認定した事実によれば,抗告人と事件本人は,フィリピン圏内に居住する同国の国籍を有する者であり,他方,相手方は我が国に居住する我が国国籍を有する者である。このような場合に協議離婚した抗告人と相手方の子で・ある事件本人の親権者指定の裁判について我が固に国際裁判管轄があるかどうかが問題となる。親権者指定の裁判に関する国際裁判管轄については,フィリピン国と我が国の聞において定める条約は存在しない上に,我が国法上の明文の規定は存在しないため,条理により定めるほかはない。そうとすれば,離婚事件のみならず,親子関係事件(本件親権者の指定の事件も含まれる。)についても,相手方が行方不明その他の特段の事情のない限り,相手方の住所地国を原則とするのが相当である。もっとも,親手関係事件の中でも本件のように未成年者の親権者を指定する裁判の場合については,子の福祉という観点か弘、子と密接な関係を有する地である子の住所地国に国際裁判管轄を認める合理性も否定できないことから,この場合は,上記相手方住所地固と併せて子の住所地固にも国際裁判管轄を認めるのが相当である。これを本件についてみるに,上記認定事実によれば.相手方は我が固に住所を有するから.相手方住所地国である我が固に国際裁判管轄が存在するというべきである。これに対し,原審判は.本件親権者指定裁判に関する国際裁判管轄は,子の住所地国文は常居所地の国での親権者指定の裁判が速やかに行われる見込みがないなとeの特段の事情がない限り,子である事件本人の住所地国であるフィリピン固にのみ存在すると解しているところ,その理由として親権者の指定については子の福祉を第一義之して決定すべきである点を論拠としている。しかしながら,親子関係事件であるからといって.国際裁判管轄を決定する一般基準である被告(本件の場合は相手方)住所地国の原則を変えるべき合理性は認め難いというべきであるから,同解釈には条理の観点から採用することはできない。また,仮に同解釈に依ったとしても,本件においては,相手方住所地固にも国際裁判管轄を認めるべき特段の事情があるというべきである。何故ならば,本件においては,①子である事件本人とその出生以来生活を共にしている同人の母である抗告人は,自国の裁判所ではなくわざわざ遠隔の外国である我が国の裁判所に対し親権者指定の審判を求めているものであり,それにもかかわらず,事件本人の利益の点を重視してフィりピン固にしか裁判管轄を認めないとする必要があるかどうか疑問であること.②仮に親権者指定の裁判の審理のために事件本人の状況を調査する必要性がある点に着眼したとしでも,フィリピン国の裁判所は抗告人汲び事件本人の調査についての利便は有するものの,我が固に居住する相手方に対する調査が極めて困難なことが明らかであること,③他方,我が国の裁判所が抗告人や事件本人の状況等について調査する必要があるとしても(本件については,後記のとおり特にその必要性はない。).事件本人と生活関係を同じくする抗告人が自ら我が国の裁判所に本件申立てをしているのであるから,抗告人及び事件本人の生活状況等についての調査を.抗告人を通じて行うことは格別困難であるとはし、えないとみられることなどの事情があり調査の必要性の観点からも我が固に国際裁判管轄を認めるのが相当であるからである。してみれば,本件につし、ては,我が固に国際裁判管轄を認めるのが相当である。3 準拠法及び本件親権者指定について本件事件本人の親権者指定は親子聞の法律関係に属するから,法例21条に従い.子である事件本人とその母である抗告人の本国法であるフィリピン家族法が適用される。ところで,フィリピン家族法においては,離婚制度が存在しないため,協議離婚に際して未成年者である子の親権者を指定する制度は存在しないものの,同法26条2項では,フィリピン人が外国人と婚姻し,その後外国において離婚した場合には,フィリピン人はフィリピン圏内において再婚能力を有することが定められていて,外国における離婚の効力が認められている。そして,外国人と離婚するに際して子の親権者の指定については,別居の際の親権者の指定を定めた同法213条の規定を類推適用するのが相当であるところ,閉条では,裁判所があらゆる事情を考慮して親権者を定めるとされ,その場合,7歳以上の子の意思は,選択された親が不適格でない限り考慮すべきことが定められている;そうすると,本件親権者の指定についても,裁判所によ与審判が必要であるところ,上記認定事実によれば,事件本人は出生以来抗告人と生活を共にしており,また,事件本人に対する抗告人の監護養育状況に特に問題と宇れる点を窺わせる資料はないこと,これに対し,相手方は事件本人と生活したことはなく,現在は同人の養育を事実上放棄していることから,事件本人の親権者は抗告人に指定するのが相当である。
第4 結論よって,本件抗告は理由があるから, これに基づき原審判を取り消して本件親権者指定申立てを認容することとし,主文のとおり決定する。( 裁判長裁判官南敏文裁判官佐藤公美堀内明)

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移送決定に対する抗告事件

第1 抗告の趣旨及び理由
抗告の趣旨及び理由は,別紙移送決定に対する即時抗告申立書(写し)記載のとおりである。
第2 当裁判所の判断. 1 本件記録及び別件調停事件(静岡家庭裁判所浜松支部平成17年(家イ)第xx号夫婦関係調整調停事件)記録によれば,次の事実が認められる。 抗告人(何H昭召和47年×月×日生) と相手方は比”平成1日3年8月1臼3日に婚姻し,抗告人の実家(静岡県00市ムム町xx番地x)の隣家で同居を開始し,平成14年× 月× 日,両者の聞に長男Cが出生した。(2) 抗告人と相手方は,平成16年4月2日,長男を伴い,抗告人の肩書住所地に転居した。(3)相手方は,平成17年3月14日,静岡家庭裁判所浜松支部に対し,抗告人との離婚を求めて別件調停事件を申し立て、同年4月28日,同年6月9日,同年7月7日,同年8月25日の4回にわたって調停期日が実施されたが,最後iの期日において,上記事件を取り下げた。(4) 相手方は,上記調停途中の平成17年6月3日,置き手紙をし,長男を連れて実家(東京都ムム区口口× 丁目×番)に戻り,その後,肩書住所地に長男を連れて転居した。(5) 抗告人は,平成17年9月7日,静岡家庭裁判所浜松支部に対し,相手方との離婚を求めて本件訴訟(同支部平成17年(家ホ)第xx号事件)を提起したが,同支部は,同年10月20日,本件訴訟を東京家庭裁判所に移送するとの決定(原決定)をした。
2 人事訴訟法4条によれば,本件訴訟は,抗告人の住所地を管轄する静岡家庭裁判所浜松支部又は相手方の住所地を管轄する東京家庭裁判所の管轄に専属することになる。また,同法31条は.離婚訴訟に係る婚姻の当事者聞に成年に達しない子がある場合には,同訴訟についての同法7条(遅滞を避けるため等のための移送)の規定の適用に当たっては,その子の住所又は居所を考慮.しなければならないと定めるところ,これは,離婚訴訟において未成年の子がいる場合には,親権者の指定が必要となり,家庭裁判所調査官の調査が円滑かつ実効的に実施される必要性が類型的に認められることから,調査等の便宜を図り,子の利益にかなった審理が十分に行われるようにするため,離婚訴訟を移送するか否かの判断要素として.未成年の子の住所又は居所を考慮すべきことを定めたものと解することができる。なお,本件において,同法7条にいう当事者及び尋問を受けるべき証人の住所等の事情については,静岡家庭裁判所浜松支部及び東京家庭裁判所の聞に有意差はないということができる。しかるところ,上記認定事実によれば,抗告人と相手方は,平成13年8月13日に婚姻後,転居はあるものの,一貫して静岡県Cわ市内に同居していたものであり相手方は平成17年3月14日に当時の相手方及び抗告人の住所を管轄する静岡家庭裁判所浜松支部に別件調停事件を申し立てたのに,その調停の途中の同年6月3日に抗告人の同意を得ることなく長男を連れて一方的に別居した(なお.別居の原因が専ら又は主として抗告人にあることを認めるに足りる証拠協ない。)もので,抗告人は,別居の3か月後の同年9月7日に本件訴訟を提起したものである。そうすると,相手方の一方的な別居の僅か3か月後に提起された本件訴訟においては,未成年である長男の居所は東京都ムム区にあるとしても,その住所は未だ静岡県cxコ市にあると解することができる。また,仮にその住所が既に東京都ムム区にあると解した場音でも, 上記別居の状況等に照らすと,長男についての親権者の決定のために抗告人の居住状況を調査すべきことも考えられ,人事訴訟法7条により本件訴訟を東京家庭裁判所に移送することは相当でないというべきである。このような事案において移送を認めることは,同法31条を根拠として同法7条の適用を求めるため特段の事情もないのに未成年者を実力で他の住所に伴うという事態を容認することにもなりかねず,相当でないからである。なお,相手方の主張によれば,現在3歳の長男は保育園に通っていて東京の生活に慣れつつあるというのであるが,そのことは,上記判断を左右すあものではない。
3 以上によれば,本件訴訟を東京家庭裁判所に移送するとした原決定は不当であり,本件抗告は理由がある。よって,原決定を取り消し,相手方の本件移送申立てを却下することとし,主文のとおり決定する。(裁判長裁判官南敏文裁判官佐藤公美掘内明)

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婚姻費用分担申立て認容審判に対する許可抗告事件

l ・抗告人の抗告理由
第3の1について本件は,相手方が抗告人に対し,婚姻費用の分担を求地る事象である。原審は,抗告人の所得金額合計830方319柄拘社会保険料等を差し引いた738万1130fJを抗告人の総収入と認定し, 己の総収入から税き警に基づく標準的な習]奇による税金等を控除して,抗告f人り婚姻費用分担額算定の基礎となるべき収入(以下「基礎収入」という。)を推計した上,抗告人の分担すべき婚姻費用を月額21万円と算定したものである。以上のようにして婚姻費用分担額を算定した原審め判断は,合理的なものであって.是認することができる。(1) もっとも,原審は,源泉徴収税額が所得税額を上回っていることを,理由に94万8972円が還付されているのであるから,所得税を控除することはできないとも説示している。しかし.原審は,上記のとおり総収入から基礎収入を推計する過程において所得税を控除しているものであって,原審の上記説示は,適切を欠くものといわざるを得ないが,その結論に影響するものではない。(2) .また.原審は,住民税50万0200円及び事業税29万1000円については,これを所得から控除すべきであるという抗告人の主張は理由があるが, これらの税の合計額を上回る所得税制万8972円が還付されているので,結局,所得算定の際にこれらの税金を控除する必要はないというべきである旨をも説示している。しかし,住民税については.原審は,上記のとおり総収入から基礎収入を推計する過程においてこれを控除しているものであり.事業税については,総収入の認定の基礎とされる抗告人の所得金額の算出の際に必要経費として控除されているはずのものであって,い内ずれも織り込み済みのものである。したがって,原審の上記説示もまた適切を欠くものといわなければならないが,その結論に影響するものではない。(3) 論旨は,上記(1)の原審の説示が適切を欠く点を指摘する限りにおいて理由があるが,原審の結論に影響するものではないから,採用することができない。
2 その余の抗告理由Kついて.所論の点に関する原審の判断は,正当として是認することができる。論旨は採用することができない。よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。(裁判長裁半『官上回世三裁判官漬田邦夫藤田宙哨堀簡幸男)

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子の監護に関する処分(養育費免除)申立事件

第1 申立ての趣旨及び実情
本件は,当裁判所が平成16年11月12日にした,申立人は相手方に対し,未成年者らの養育料として一人当たり毎月3万円を支払えとの審判(平成16年闘第xxxQ号,同第xxx口号,同第×ヌXム号。以下,これらを総称して「前件審判Jという。j・について,申立人が,平成17年8月24日付けで会社を退職し.収入が無くなったとして,養育料の免除の調停を求めた(平成17年(家イ)第xxxQ号,同第xxx口号,同第xxxム号。以下,これらを総称して「本件調停」という。)ところ,調停が不成立となったために,審判に移行した事案である。
第2 当裁判所の判断
.l 本件紛争の経緯本件記録,前件審判記録及び福岡高等裁判所平成16年間第xxx号記録によれば,以下の事実が認められる。(1) 申立人と相手方は婚姻して夫婦となり,未成年者らをもうけたが,平成11年5月10日,未成年者c(昭和63年×月x日生,現在17歳).同D (平成4年×月×日生,現在日歳)及び向E (平成7年×月×日生,現在10歳)の親権者をいずれも相手方と定めて協議離婚し,以後,相手方が未成年者らを旋育してしも。(2) 当裁判所は,平成16年11月12日,申立人は相手方に対し,未成年者らの養育料として未払分に加え,平成16年11月から未成年者らがそれぞれ満20歳に達する月まで,毎月末日限り,1人当たり3万円を支払えとの審判をし,同審判に対する抗告は,同年12月28日に棄却された。申立人は,前件審判において,未成年者らに対する援助はこれからも行っていくが,相手方に対する金銭の支払等はすべて拒否し,給料差押え等の強制執行が行われる場合,退職してでも抵抗する旨記載した書面を提出した。(3) 相手方は,申立人の給与について,前件審判に基づき,債権差押命令を申し立て,平成17年7月の給与から17万8128円,賞与から10.万6384円,同年8月の給与から12万8055円の支払を受けた。(4) 申立λは,同月24日,勤務先を退職し,同年9月30骨,未成年者-らについての養育料の支払免除を求め,本件調停を申し立てた。申立人は,前件審判で定められた養育料について,一度も任意に支払っておらず,支払う意思もないところ,勤務先を退職した理由について,相手方から強制執行をされて生活ができなくなり,第三者が介在して強制的に支払わされることに納得できなかったためで・あると陳述している。(5) 申立人は,平成16年において,少なくとも総額467万1931円の給与収入を得ており,平成17年7月には給与として43万5076円,賞与として26万9300円,同年8月には給与として32万8035円の収入を得ていた。(6) 相手方は,同年7月から11月までの聞において, 1か月平均13万3978円の給与収入を得ている。
2 申立人は,勤務先を退職し,収入が無くなったのであるから,養育料について免除されるべきであると主張する。前記1(3X4)によれば,申立人は,前併審判で定められた養育料をー度も任意に支払ったことがなかったところ,前件審判に基つ’く強制執行を受けたことを契機として〉勤務先を退職したから,現在は収入を得ていないことが認められる。しかしながら,前記1(2X4)によれば,申立人は,前件審判時から,強制執行を受けた場合には勤務先を退職して抵する旨の意向を有していたところ,現に強制執行を受け,裁判所により強制的に支払わされることに納得て-きなかったために,勤務先を退職したのであり,稼動能力は有していると認められる。そもそも,未成年者らの実父である申立人は,未成年者らを扶養し,未成年者らを監護する相手方に対し養育料を支払うべき義務があるところ,前件審判において,養育料の支払を命ぜられたにもかかわ-らず,一度も任意に履行せず,強制執行を受けるやそれを免れるために勤務先を退職したのであるから,申立人が現在収入を得ていないことを前提として養育料を免除するのは相当ではなく,申立人が滞在的稼動能力を有していることを前提として,勤務を続けていれば得ベかりし収入に基づき,養育料を算定するのが相当である。
3 (1) そして,養育料は.①当事者双方の年間の総収入から,公租公課,職業費及び特別経費を控除して基礎収入を算出し,②子が基礎収入の多い方の親と同居したと仮定した場合に子に配分されるべき生活費の金額を算出し, ③この配分されるべき生活費を監護親と非監護親の基礎収入の割合により按分して算定される金額を参考として定めるのが相当である。(2) 本件においては,前記2のとおり,申立人の総収入について,勤務先を退職していなかった場合に得ベかりし収入に基づき算定す4きところ,前記1(5)によれば,申立人は勤務先を退職していなければ,少なくとも年額467万1931円の給与収入を得ていたと認められる。そして,公租公課,職業費及び特別経費を理論上及び統計上認められる標準的な割合に基づき差し引くと,申立人の基礎収入は,総収入の42パーセントの年額196万2211円であるとするのが相当である。他方,前記1(6)によれば,相手方の総収入は,年額160万7736円程度と認めるのが相当であり,相手方の基礎収入は,総収入Q)42パーセントである年額67万5249円とするのが相当であ・る。(3) そうすると,未成年者らの必要生活費は.基礎収入の多い方である申立人と生活した場合を前提とすることになる。そして.親については生活扶助基準に基づく最低生活費,19歳以下の子については最低生活費に加え教育費込考慮して生活費の指数を定めるべきところ,親を100とした場合,0歳から14歳までの子については55,15歳から19歳までの子については90とするのが相当であるから,未成年者らに費やされるべき生活費は,3人分合わせて月額10万9011円となる。(4)上記の金額を,申立人と相手方の基礎収入の割合で按分すると,申立人が負担すべき未成年者らの養育料の目安は,未成年者ら3人分で月額8万1101円となる。そうすると,未成年者1人当たりの養育料の目安は,上記の金額を3で除した2万7033円となるところ,諸般の事情を総合考慮し,本件において申立人が相手方に対し負担すべき未成年者1人当たりの養育料は月額3万円と定めるのが相当である。(5) 以上によれば,申立人は,相手方に対し,未成年者らの養育料として,’1人当たり月額3万円を支払うべきところ,同金額は前件審判で定められた金額と同額であるから,養育料の免除を求める申立人の申立ては理由がないことに帰する。よって,主文のとおり審判する。(家事審判官荒谷謙介}

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2012年2月27日 | コメント/トラックバック(0) |

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認知請求控訴事件

第1 当事者の求めた裁判
1 控訴人(1) 原判決を取り消す。(2) 控訴人がA (略)の子であることを認知する。(3)控訴費用は,第1. 2審とも,国庫の負担とする。2 被控訴人主文と同旨。
第2 事案の概要(略)
第3 当裁判所の判断
l 当裁判所も,控訴人の本件請求は理由がなく,これを棄却すべきものと判断する。その理由は,次のとおり訂正し,文は付加するほかt:t原判決の事実及び理由欄の「第3 争点に対する判断Jに記載のとおりであるから,これをここに引用する。(1) (略)(2)原判決22頁4行目(編注111頁7行自) 冒頭から同12行目(編注111頁16行目)の「附ところで.Jまでを次のとおり改める。「け) 前記第2の2(1)イの各認定事実.証拠(申44. 控訴人法定代理人親権者母)及び弁論の全趣旨によれば本件父札-生前,同人の凍結精子を使用して本件母が3回にわたって受けた体外受精についてはこれらに同意し,これらにより(略)子が俺胎され,出生することを期待していたことが認められる。また,本件父の死亡後に,同人の凍結精子を使用して本件母が健外受精を受けることに関して.控訴人法定代理人親権者母は.Ii’本件父には.本件医院を訪れる前から.自己の死亡後も,本件母に(略)子誕生のために努力を続けてもらいたいという意思があったJ 旨供述している。しかしながら,この供述自体に具体性がないこと,本件匁’は,本件母が第1回目の体外受精を受けた直後の平成xx年×月初旬ころ危篤状態に陥ったととがあること,また,平成xx年×月×’自に本件遺言書を作成しているところ,その中に(略)子を予想した記述がないこと等(前記第2の2(1)イ)に照らすと,上記供述は採用し難い。したがって.本件父が自己の死亡後に自己の凍結精子が使用され,本件母が体外受精を受けることを予定していた事実を認めることはできないし, このことから,死亡後の凍結精子の使用に同意していた事実も認めることはできないといわざるを得ない。(イ) もっとも.J(3)原判決22頁20行自(編注111頁26行自)の「疑問があるうえ.Jから同22行目(編注112頁2行目)までを「疑問がある。Jに改める。(4)原判決23頁15行自(編注112頁24行目)末尾の次に行を改めて,次のとおり加える。「ところで,平成15年4月28日付けの医療部会報告岱(乙1)は,『精子提供者の死亡が確認されたときには,提供された精子は廃棄する。実施医療施設は.提供された精子等による生殖補助医療の実施の度ごとに,その実施について,夫婦それぞれの書面による同意を得なければならない提供からl’年以上の期聞を空けて使用される場合には.再度,精子等の提供者及びその配偶者から同意を得る必要がある。』などと指摘する。本件体外受精は,上記報告書が公表される以前に行われているので,上記報告告で指摘されていることを根拠として論ずることはできないにしても,生殖補助医療にたずさわる者は,同医療を受ける者に対して十分な説明を行って,理解してもらうことが必要であり,か.つ,問医療を実施するに当たっては,その都度,ー関係者の意思を.確認して,慎重な姿勢を保つことが求められていることは,上記報告書による指摘を待つまでもなく当然に求められるところということができる。しかるに,証拠(控訴人法定代理人親権者母?によると,実施医療施設である本件医院は,本件父及び本件母の双方に対して,体外受精を実施する都度,その意思、を確認することをせず, 体外受精が精子提供者の生前に限られるとの説明もしていなかったというのであるから.本性医院のー本件母及び本件父に対するインフォームドコンセントであるとか,精子提供者に対する意思確認に関しては不十分なものがあったものと推認できるところである。仮に,本件医院において,上記のような本件父に対する説明ないし意思確認が十分に行われていたならば,本件のような事態は生じなかった‘と考えられ,生殖補助医療に携わる医師の役割の重要性が痛感されるところである。J(5) 原判決24頁25行目(編注114頁12行自)の「また.Jからー同25責1行目(編注114頁14行目)の「自然的な態様に照らし.Jまでを「したがって,精子提供者が死亡した後,同人の精子を使ーって生殖補助医療が行われて,懐胎し,子を出産したとしみ場合において,これを自然的な性交渉を補助するものに当たるとか,あるいは,自然的な性交渉に代わるものと理解することは困難怠ことというほかはない。言い換えbと,上記のような事実関係のもとで,懐胎し,子を出産することは,生存している男女の性行為に基づいて子を出産する場合と比べて大きくかし、離しているものといわざるを得ず.」に改める。(6) 原知決25頁15行自(編注115頁4行目)末尾の次に続けて「控訴人は, 自然的な生殖とのかし、離を強調することは正しくない主して,人工心臓を使って生命を維持している患者の例を挙げて主張するが(前記第2の4(3)エ).適切な例ではなく,採ることができない。Jを加え,同21行自(編注115頁11行目)の「本件関係者は.Jから同23行目(編注115頁13行目)の「これに賛同している。」までを「本件関係者のうち,本件父の(略)であるcxxx)及びCわζわ,本件父の(略)であるcxxわ,本件父の(略)であるCわcxコとその(略)のCXXJ,コ,本件父の(略)であるa::xxコの合計6名は,いずれも本件父と控訴人との聞に親子関係を成立させることについて賛同するとの意見を述べているが.その他の者は,特に,積極的に意見を述べておらず,更に,本件父の(略)であるOCX:XJ及びCXXY:Jもその賛否を明らかにしていないのである。Jに改める。.(7)原判決26頁3行目(編注115頁19行目)の「本件関係者が.Jから同4行目(編注115頁21行目) 末尾までを「本件関係者のうちの6名が,本件父と控訴人との聞に親子関係を成立させることに賛成し, これ以外には,異論を唱える者が現れていないからといって,上記判断が左右されるものではない。Jに改める。(8) 原判決27頁10行目(編注117頁5行自)冒頭から同28頁12行目(編注118頁11行目)末尾までを「従前,代襲相続人は,代製原因ーが発生したときに存在しなければならなかったが,昭和37年の民法改正により,代襲相続人となる者は,相続開始のときに被代襲者の子として生存しているか,文は胎児として存在していれば足りると定められたのであるから本件父の父母若しくは(略)の各相続にー闘し,控訴人が代襲相続権を有するものと解釈する余地もないわけではない。そして,控訴人は,代襲相続が,血縁の流れに従って,上から下へ死者の財産を受け継がせようとする制度であり,控訴人と本件父との聞に父子関係が認められれば,本件父の父母,本件父,控訴人といった血縁の流れに従って財産は承継されると被代襲者が相続人排除や相続欠格を理由として相続権を失った場合と同じく,本件の場合も控訴人について代襲相続権が認められなければならないとも主張する。しかし,本件父と控訴んとの間に法律上の親子関係を認め士をしても,控訴命財本伸世の相続人となる余地はなく,控訴人において,本件父の父母り財産を,本件父q父母,本件父,控訴人という順序に承継することが観念できるといったものではなし、。そして,控訴人が本件父の相続人となる余地が認められないことは上記のとおりであるから,控訴人が本件父の父母の相続に関して本件父を代襲すること自体があり得ないことであり,控訴人が代襲相続人となることもできないと解することにも相応の理由があるというべきである。控訴人の上記主張は採ることができない。」に改める。(9)原判決30頁16行目(編注120頁22行目)冒頭から同19行目(編注120頁25行目)の「問題があること.Jまでをr4 以上の3(1)ないし(5)の検討結果によれば,本件において,本件父の死亡後における凍結精子の使用(第4回目の体外受精)について同人の同意があったとは認められない上,そもそも本件父の死亡後である第4回目の体外受精の実施時において,本件父の意思を観念すること自体に疑問があり,生前,その意思があったことをもって死後にも体外受精を行うことにつき同意していたと擬制するよとにも疑問があるといわざるを得なL、。そして.Jに改める。(10).原判決31頁5行自(編注121頁13行且) 冒頭から同13行目(編注121頁22行自)末尾までを「控訴人は,上記判断をするに当たって,法律上の親子関係が成立した場合の法的効果を認める余地があるか否かを問題にし,その観点から,親子関係の成否を論じることは適当でないとも主張するが(前記第2. ’4 (3)ア).当裁判所は,上記のとおり,総合的な判断を行って,親子関係の成否を論じているのであるから,控訴人の上記主張は理由がない。Jに改める。
2 以上の次第で,控訴人の本件請求は理由がないから,これを棄却すべきであり,当裁判所の上記判断と同旨の原判決は正当であって,控訴人の本件控訴は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。(裁判長裁判官宮崎公男裁判官上原裕之今泉秀和)

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