請求すべき按分割合に関する処分申立認容審判に対する即時抗告事件

裁判所の判断
1 当裁判所も,抗告人と相手方との間の原審判別紙1記載の情報に係る年金分割についての請求すべき按分割合を.0.5と定めるべきものと判断する。その理由は,抗告人の抗告理由に鑑み,次のとおり補足す原審判の「理由」中の「当裁判所の判断J欄に記載のとおりであるから, これを引用する。抗告人は,原審判が,抗告人の「①年金分割の按分割合を定めるに当たり破綻別居の期間は貢献度なしとして考えるべきである,②婚姻期間中に相手方が約840万円を浪費又は隠匿した事実は貢献度がた事例低いものとして考えるべきである」旨の主張に対し,単に「特別な事情に当たるものとは認められない」とのみ説示して排斥したもの理由不備である上,結論としても厚生年金保険法78条の2第2項の解釈を誤っている旨主張する。
(2) 破綻別居期間について本件記録によれば,抗告人は,平成12年×月×日相手方と婚姻後,平成17年4月×日に別居して,同年×月には離婚調停申立てがなされたが不成立となり,平成18年中に離婚等を求める訴えを提起し,相手方も離婚等を求める反訴を提起し,同訴訟中で,平成19年8月×日成立した和解において離婚したものであることが認められるところ,抗告人は,平成17年4月×日からは破綻別居期間であるから,上記期間は按分割合を定めるに当たって対象となる婚姻期間には含まれないと考えるべきである旨主張するが,按分割合を定めるに当たって,事実上の離婚状態にあることが客観的に明白な破綻別居期間を対象の婚姻期聞から除外すべきであるとしても,別居したことから直ちに,婚姻関係が破綻して事実上の離婚状態になっていたものとはいえず,本件記録を精査しても,按分割合を定めるに当たって僻酌しなければ不相当というべきまでの明白な破綻別居期間の存在を認定することはできない。そうすると,原審判は,当該別居期間について,厚生年金保険法78条の2第2項の「当該対象期間における保険料納付に対する当事者の寄与の程度その他の一切の事情」として考慮して判断し,按分割合を定めるに当たって双方の寄与を同等とみることの例外を認めるべき特別な事情に当たらないものと説示したものというべきであって,厚生年金保険法78条の2第2項の解釈を誤ったものとはいえないし,理由不備の違法があるともいえない。(3) 相手方の浪費又は隠匿について抗告人が主張する浪費又は隠匿に係る事実があったとしても,当該事項は,離婚に伴う財産分与等で解決すべき事項であるから, 上記事実は,前記の特別の事情に当たるものと認めることはできない。
2 よって,原審判は相当であるから,本件抗告はこれを棄却することとし,主文のとおり決定する。(裁判長裁判官磁尾正裁判官金馬健二永谷幸恵)

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