夫婦関係調整調停申立事件

1申立ての趣旨
主文同旨の調停を求める。
2本件について,調停委員会による調停を試みたが,相手方は,調停 期日に出頭しないため,当事者聞に離婚についての合意が成立する見込みがなく ,調停は不成立となった。
3 本件記録中の戸籍事項全部証明m.家庭裁判所調査官作成の調査報告普及び申立人に対する審問の結果並びに調停の経過によれば,次のI:~):実が認められる。
( 1 ) 申立人と相手方は,昭和5 1 年ころから同居して生活を始め,申立人は,相手方の子を懐妊し,昭和52 年×月×日に長女c を出産した。申立人と相手方は,昭和54 年×月×日,婚姻した。
( 2) 申立人は,昭和59年ころCを連れて相手方と別居し,以後,相手方との行き来はなく ,相手方から申立人に対して生活費や Cの養育費が渡されることもなかった。もっとも,相手方は,申立人の母親が存命中には 1 年か2 年に1・度程度,申立人宅を訪問し,玄関先等で,申立人・ の母親としばらく話して行くことはあったが,その母親ら 5 年程前に亡くなり ・.以来全く訪問はない。申立人は,平成21 年×月末に Cが仕事の都合で東京へ行ったため,現在住居地で一人暮らしをしている。
( 3 ) 申立人は,平成2 1 年×月に実父が死亡したことが契機となって,申立人死亡の折には両親が埋葬されている○○家の墓地に両親と一緒に埋葬してもらい○○家の祭最巴を行う長男(前夫との子で,。0姓)に自分の葬祭を行ってほしいと思うようになった。しかし.慣習上異姓の者を同ーの墓地に埋葬することができないとされているため,申立人は,この際,長年別居して夫婦の実体がなくなって久しし、相手方と離婚して旧姓(婚姻前の氏であるC わ姓)に復そうと考え.同年×月初めころ 2度 (Cとともに 1 度,単独で 1 度)相手方宅を訪れ,相手方に対し,生活費ももらっていない、もう離婚してほしい旨依頼したが,相手方は,怒ったような口調で. 「何で離婚せんといかんのや」「 この家で一緒に住めば\,_ 、ぃJなと・と言 .って.離婚することに同意しなかった。そのため,申立人は,同年 6月×日,相手方との離婚を求める本件調停を申し立てた。
( 4) 本件調停の第 l 回調停期日は同年 7 月×日に指定されたが,相手方は何の連絡もなく出頭せず,また,相手方は, ー 同年8 月×日の第2 回調停期日にも,何の連絡もなく出頭しなかった。
( 5 )相手方の意向調査を命じられた当家庭裁判所調査官は,調査期日を定めて相手方を呼び出したが,相手方がこれにも応じないため,同年 9 月×日×日及び×日の 3 度にわたって相手方宅を訪問した。その経過は次のとおりであった。向調査官が 9 月×日に訪問した際,相手方は在宅していたが(相手方宅2 階からラジオの音が鳴っていた。) .向調査官が何度も声を掛けたが応対に出ないため,向調査官は,申立人から離婚を求める制停が申し立てられたこと,相手方からも話を伺いたいので,自分まで・連絡をお願いしたし、 こと,次回の制停j 明日が9 月×日なので出頭してほしいこと等を記i 肱しちニ出面を 1 階居室の上がり口に置いて退去した。同調査官が 9 月×日に訪問した際は,相手方は不在であった。向調査官が 9 月×日に訪問した際,相手方は在宅していたが(向調査官が訪問して呼ひ’掛けを行ったところ,ラジオの音が鳴り始めた。) .向調査官が何度呼び掛けをしても応対に出なかった。向調査官は.相手方が在宅しながら応対に出ないため,やむなく 9 月×日の調停期日への出席を促す声掛けをして退去した。なお.9 月×日の訪問時に相手方宅の l 階上がりロに置いた上記魯面の位置が移動するなど,相手方において同担面を手に取ってその内容を確認した痕跡があった。
( 6 ) 申立人においても,相手方が第 1回及び第2回の各調停期日に出頭しないため;同年 9 月になって相手方宅を 3 度にわたり訪問したが,相手方は在宅していながら応対に出ないため,何の話合いをすることもできなかった。なお,申立人は. 1 度目の相手方宅訪問時において, 申立人が署名折印済みの協議出r~婚届用紙を置いてきたが. 2 度目の訪問時には上記協議離婚届用紙はなくなっていた。
( 7 )相手方は,同年 9 月×日の第3 回調停期日にも, 何の連絡もなく出頭しなかった。
4 上記事実に基づき検討する。
( 1 )本件調停申立て前において申立人が相手方宅を訪問した際の相手方の言動,本件調停が申立人からの離婚を求めるものであることを承知しながら,正当な理由もなく調停期日への不出頭を繰り返す相手方の態度等に照らすと,相手方は,その理由は不明であるが,現在でもなお,申立人との離婚に同意するつもりはないものと推認される。
( 2 ) しかし,申立人と相手方とは,婚姻後の同居期間が約 5年(婚姻前の同居期間を含めても 8 年程度)に過ぎないのに比し. て,別居期間は昭和59 年ころから既に約2 5 年に及んでいること,申立人と相手方との聞には 1 子があるも,既に成人に達しており ,扶養を要する状態にもないこと.上記別居期間について.相手方から申立人に対して生活費等の支援がなされたことはなく,夫婦としての協力扶助の関係がないまま経過したことが明らかであるから,申立人と相手方との夫婦関係は2 0 年以上もの長きにわたって全く形骸化し,夫婦裁判例 ( 家事)としての実体が欠如する状態が継続して現在に至っている・ ものと認められる。したがって,申立人が相手方との離婚を強く望んでいる以上,申立人と相手方の婚姻については,これを継続し釘t い重大な軸があることが明らかであるというべきである。
( 3 ) そうすると,相手方が正当な理由もなく調停への不出頭を繰り返し.誠実に申立人からの雌婚の話合いに応じようとしないことも勘案すると,家事審判法24 条の淵停に代わる審判により,申立人の申立ての趣旨に沿って,申立人と相手方を離婚させるのが,当事者双方聞の衡平にも合致するものと考える。
5 よって,当裁判所は,当調停委員会制搬する家事調停委員○○○○及び同○○○○の各意見を聴いて,主文のとおり審判する。(家事審判官長門栄吉)

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