業務上横領被告事件
1 本件控訴の趣意は,弁護人口口口口作成名義の控訴趣意書記載のとおりであり.これに対する検察官の答弁は検察官ムムムム作成名義の答弁d記械のとおりであるから,これらを引用する。弁護人の所論(以下,単に「所論」という。)は,要するに,被告人は本件の被害者である披後見人の甥であり,刑法255条が準用する同法244条2項所定の親族関係が被害者との聞に存在するから, これらの規定により本件業務上横領罪は親告罪に該当し,その起訴が訴訟条件を満たすためには,被害者の法定代理人である被告人の後任の成年後見人において,犯人を被告人であると知った日(成年後見人に選任された平成17年10月× 日ないし遅くとも被告人との聞において被害弁償に向けた債務弁済契約等を締結した平成17年11月×日)から告訴期間である6か月(刑訴法235条1項本文)内に告訴を行う必要があったところ.実際の告訴は告訴期間経過後である平成18年5月×自になって行われたから,本件公訴提起は違法であり,公訴を棄却すべきであったにもかかわらず,有罪判決を言い渡した原判決は,刑法255条. 244条2項の適用につき,判決に影響を及ぼすことが明らかな誤りがあるとする法令適用の誤り,及び, 仮に本件につき刑法255条.244条2項の適用がないとしても.被告人を懲役2年の実刑に処した原判決の量刑は不当に重すぎるとL、う量刑不当の主張である。
2 法令適用の誤りの論旨について親族相監例は.i法は家庭に入ちず」との思想の下.親族問で敢行された一定の財産犯罪につき,その法律関係が親族問のみにとどまる場合には.国家が刑罰権の発動を差し控え,行為者と被害者との関係により,行為者の刑を免除し(刑法244条1項が適用ないし準用される場合にあるいは親告罪として刑罰権の発動を被害者の意思に委ねる(同条2項が適用ないし準用される場合)のが望ましいとの趣旨から,刑事政策的に設けられた規定である。したがって,親族以外の者が当該財産犯罪に係る法律関係に重要なかかわりを有する場合には,その者が直接・間接に法益侵害を受けるという意味での「被害者Jには当たらないとしても,その法律関係は,既に純粋に「家庭内の人間関係Jに限局されたものとし、う性格を失っているとみざるを得ず,その意味で親族相盗例の適用ないし準用は排除されるというべきである。業務上横領罪は,他人の委託に基づき,業務と.して物を占有する者が,その委託の趣旨に反し,その物を不正に取得して所有権その他の本権を侵害する犯罪であり,所有権その他の本権をその保護法益としている点で,ポ権を有する者がだれかということももちるん重要な犯罪要素であるが,行為の特質とし、う面では,むしろ委託者との委託信任関係違背の点を中核的要素とするものであるから,これに親族相盗例が準用されるには,行為者と物の所有権その他の本権を有する被害者との聞に親族関係が存在するだけではなく,行為者との委託信任関係を形成した者(この者は,上記の意味で当該法律関係に重要なかかわりを有する者といえる。)との聞にも親族関係が存在することを要するというべきである。そして,被害者の親族が家庭裁判所により被害者の成年後見人に選任され,家庭裁判所の監督を受けながら被害者の財産を占有,管理する中で業務上横領罪を犯した・としみ場合には,その成年後見人は,家庭裁判所の選任・監督とし、う関与の下においてのみ被害者の財産を占有,管理し得る地位を保てるものというべきであるから,被害者との聞に親族関係が存在したとしても,親族関係の想定で・きない家庭裁判所との間で上記のような委託信任関係が形成されている以上,とれに違背して行われた犯罪について親族相溢例の準用はあり得ないと解するのが相当である。この点,確かに,成年後見人が家庭裁判所により選任され,その監督を受けるとしても,成年後見人が占有する財産の所有者が被後見人であるのはもちろん,財産の占有,管理につき,成年後見人と民法上の委任関係にあるのはあくまでも被後見人であり,家庭裁判所と成年後見人との聞に,民法上の委任関係があるとはV、えなし、から,成年後見人による被後見人の財産の業務上横領につき,家庭裁判所をその被害者とみることはできない(したがって家庭裁判所は告訴権者であるとはいえな-い。本件においても,告訴をしているのは被告人の後任の成年後見人であり[甲2],家庭裁判所は告訴を行っておらず,家庭裁判所長が告発をしている[甲1Jo)。しかし, このような事案で家庭裁判所がいわゆる「被害者」には当たらないとして込その点が親族相盗例の準用を排除する際の妨げにならないと解すべきことは前示のとおりである。次に,成年後見制度の実態やそこにおける成年後見人の特質等につき,より具体的にみると,成年後見制度は,精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあり(民法7条).自ら適切な財産管理をすることができなくなった被後見人のため,家庭裁判所の選任,監督の下,成年後見人にその財産を占有,管理させ,もって,被後見人の財産を保護することを目的とした制度である。そして,一定の親族が後見開始の審判の請求権者とされていること(民法7条).被後見人の日常生活の実情を把握していることや費用の点などの事情ーから,実際には被後見人の親族が成年後見人に選任されることが多いのであるから,そもそも,親族であるからといって,成年後見入が被後見人に対して犯した財産犯罪につき,国家の刑罰権の干渉を差し控えるべきであるとし、う配慮.を要するものではなく,かえって,家庭裁判所の選任,監督の下に成年後見が行われる以上,成年後見人による被後見人に対する財産犯罪などの不正行為については,国家が責任をもって,厳正な対処をすべきであるとの要請こそ一段と強く働くというべきである。さらに,成年後見人による(業務上)横領罪の被害者である被後見人は,上記のように精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者であり,被害にあった際, 自ら加害者を告訴するなどの適切な対処をすることには困難を伴うのが通常であって,この点も,上記の要請を一層強く働かせるべき要素といえる。なお,前記のとおり,行為者との聞の委任関係が民法上は行為者と被後見人との聞に成立するものであり,家庭裁判所との聞に成立するものではないとしても,被後見人が上記のように精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者であり,被後見人本人が事理弁識能力を回復している時期に本人による請求がされることもあるが,基本的には,本人以外の親族等や検察官の請求により家庭裁判所が成年後見人を-選任するものであること(民法7. 8条.843条1項)からすれば,実・質的には,被後見人の財産管理を成年後見人に委託するのは成年後見人を選任・監督する家庭裁判所であるということができる。したがって,刑法上の業務上横領罪との関係で,家庭裁判所を,成年後見人に対し被後見人の財産の管理を委託守る者と解すること自体十ヲ?な根拠・理由があるというべきである。・以上のような親族相盗例の趣旨及び成年後見制度の趣旨・実態等にかんがみれば,家庭裁判所の選任・監督の下に被後見人の財産を占有・管理する成年後見人が犯した業務上横領罪については.たとえ被後見人との聞に刑法255条が準用する同法244条1項ないし2項所走の親族関係があったとしても,親族相盗例の準用はないというべきである。所論は,公務所の命令を理由に自己の財物等に対する窃盗罪や横領罪が成立する場合について,刑法242条や同法252条2項によりその処罰根拠を明、らかにしているのであるうがら,成年後見人を選任・・骨醤する家庭裁判所との親族関係がないという理由で親族相盗例の準用を除外するには,その旨を明文で規定することが,罪刑法定主義の要請で・ある旨主張する。しかし,刑法242条や同法252条2項は,犯罪の構成要件に関する規定であり,まさに罪刑法定主義の要請により,窃盗罪等の対象で・ある「他・人の財物」と同等にみなすべきものを明文で規定しているものである。これに対し,親族相盗例は,犯罪の構成要件についての規定ではなく,犯罪が成立することを前提に,その刑を免除する場合や公訴提起の条件として告訴を要する場合について規定したものにすぎないのであるから,刑法242条や同法252条2項と同列に論じることはできなし、。行為者は,刑法235条や同法253条の規定により何が刑法において禁じられた窃盗罪や業務上横領罪に該当する行為であるかについて事前に認識し得る状態におかれているのであるから,犯罪が成立することを前提に,例外的に刑の免除があり,あるいは告訴が公訴提起の要件になるというにとどまる親族相盗例につき,それ自体が相当にあいまいで不明確な規定であるならば格別,その規定の解釈につき所論のような反対説があり得るとしみだけでは,罪刑法定主義ないしその精神に反する規定の仕方であるということはできなし、。また,所論は,成年後見入につし〈て親族相盗例の準用を認めても,家庭裁判所は,成年後見人による後見事務を監督し(民法863条),その後見事務に問題があれば成年後見人を解任し(同法846条),新たな成年後見人を選任できる(同法843条2, 3項)し,新たに選任された成年後見人は被害者の法定代理人として解任された成年後見人を告訴することができる(刑訴法231条1項)から,何ら被後見人の保護に欠けるものではないとする。しかし,刑法244条1項所定の親族が成年後見人になった場合(実態としては,同項所定の親族が成年後見人に選任されることが最も多いとみられる。),親族相盗例の準用があるとすれば, (業務上)横領罪を犯した成年後見人の刑が免除されることになるが,そのような結果が被後見人の保護に欠けることは明らかである。そして.親族相盗例の準用の当否につき,同条1項と2項の場合を区別すべき;合理的な根拠は何ら見いだすことができなし、。よって,所論は採用し得なし、。以上のとおり,本件に親族相盗例の準用があることを前提とし法令適用の誤りを理由に公訴棄却の判決を求める論旨は理由がない。
3 量刑不当の論旨について’.本件における主な量刑事情は,原判決が「理由J中のr(量刑の事情)Jの項で説示するとおりであり,また,これに基づいて被告人を懲役2年の実刑に処した原判決の量刑自体も相当であり,これが重すぎて不当であるとは認められない。所論は,
(1) 被告人は,横領した金員を自らの遊興に使用したものではなく,事業の失敗により発生した消費者金融会社に対する債務の返済等に充当しているのであり,仮に被告人に債務清算の方法に関する知識があれば,弁護士等に相談して債務清算の問題を解決し,横領行為に至ることはなかったのであり,その意味で,被告人は多重債務問題の被害者ともいうベき側面を有している,
(2)被告人は,深く反省じ,所有する不動産を譲渡するとともに,消費者金融会社からの過払金返還金のほとんどを被後見人に引き渡し,今後も被害弁償を続けることを約束しており,被害額は多額であるものの,その被害回復に向けた努力は最大限行っているものといえるとして,被告人には情状特に酌量すべきものがあるから,執行猶予付判決が言い渡されるべきであるとする。しかし, (1)の鴻については,確かに,被告人は,事業の失敗により多額の債務を負うに至ったのであるが,事業をやめれば債務の増大を防げることが分かっていながら,親戚や近所の者に対する見栄から事業をやめることをせず,漫然と債務を増大させた(乙3)というのであるから,そこに酌むべき事情はない。また,借金に対する対処方法についても,所論がし、うように債務清算の方法に関する知識がなかったわけではなく,破産とし、う方法があることを知りながら,やはり一家の主として破産などするのはみっともないとし、う見栄もあって破産をせず,あえて被害者の財産を横領するようになったというのである(乙5)から,破産により債務を清算し,免責を受けるとし、う方法すら知らなかったような多重債務者の場合と同列に論じることはできなし、。被告人の供述中には,被告人が破産をしなかった理由について,上記のような見栄だけではなく,破産をすることによって連帯保証人に迷惑を掛けたくなかったとする部分もある(同じく乙5)が,横領行為に走り,連帯保証人に迷惑を掛けない分,被害者である被後見人に多大な被害を及ぼしたのでは本末転倒といわざるを得ない。これらの点も念頭に置けば.遊興費のためではなく,債務の返済のために犯行に’mじだという患は.犯行を開始するきっかけとして,遊興費目的である場合ほどの違法性まではないとの見方ができるにとどまる。さらに,きっかけはそのようなものであったとしても,被告人は,託された被害者の預貯金からの横領行為を繰り返すうち.預貯金の払戻しを自由に行えなくなるとみるや,自由な払戻しを確保する手段として成年後見人の地位を得た上ゼ・本件各犯行に及んだというのであり(乙4など),犯行自体被後見人の財産を保護するための成年後見制度を,被後見人の財産を横領するために逆用した極めて計画的かつ悪質なものである上,成年後見制度に対する信用を著しく損なうという意味で社会的にも多大の悪影響をもたらしたというべきである。しかも,家庭裁判所から財産目録の提出を求められた際,犯行の発覚を覚倍せざるを得ない状況となったのであるから,本来なら,そこで更なる犯行だけは思いとどまるべき強い抑制が働いてしかるべきところ,かえって.被告人は,犯行の機会が残りわずかの期間に限られたことから.自己の債務を完済する最後の機会とみて多額の横領を行い,その目的を達したのであり(乙6などに全く自己中心的の極みというほかなし、。このよう裁判例(家事)の刑責の中心はあくまでも犯行の計画性・執着性や態様の悪質性,結果の大きさ等に置かれるべきであり,これらを総合した刑賢の重大性が犯行のきっかけに係る事情により大きく左右されるものでないことは明らかというべきである。次に,(2)の点については,確かに.不動産を提供するなど,被害弁償に努めていることそれ自体は,被告人に相当程度有利に解すべき事情といえる。しかし,この点も,そのような被害弁償にもかかわらず,なお多額の被害が残っており,被害が完全に回復される見込みもない状況にあること,上記のとおり.いわゆる犯情に闘する被告人の刑責が余りにも重大であることとの対比において.上記被害弁償の事実をもって刑の執行を猶予すべき有力な事情とみることは到底でぎず,その他被告人に有利な事情を十分考慮に入れても.やはり原判決の行った量刑はやむを得ないものというべきである。以上のとおり,量刑不当の論旨も理由がなし、。4 よって,刑訴法396条により本件控訴を棄却し,刑法21条,刑訴法181条1項ただし岳を適用して,主文のとおり判決する。(金判長裁判官畑中英明裁判官寺西和史山地修)
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2012年2月27日 | コメント/トラックバック(0) |
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親権者の職務執行停止・職務代行者選任申立事件
1 申立ての趣旨
主文同旨
2 当裁判所の判断
(1)一件記録及び審問の結果によれば,以下の事実が一応認められる。ア 事件本人らは,平成8 年×月×日婚姻し,両者の聞に,平成18 年×月×日,未成年者が誕生した。未成年者は,出生直後にチアノーゼ症状がみられ,エコー検査の結果,先天性{ .. 疾患が疑われた。未成年者は,平成18 年×月×日, cx)病院に転院となり,現在も同病院に入院中である。ィ 00 病院における診断によれば,未成年者は, (略)を伴うCXJ症とし、う疾患を有L., (略}肺への血統量が絶対的に少なく,酸素飽和度の正常値が98 ないし100 である主ころ,未成年者の場合はω台後半,最近はときに50 台となっており,このままであれば,低酸素症での合併症として, (略)の障害が予想され,突然死も考えられる状況にある。この疾患に対する治療は,未成年者が 4 歳ないし 5 歳になるころ, (略)00 手術を行う必要があるが,そのためには,短期間の発育が最も著しく,肺血管の発育が期待できる乳児期に,まず,①cx コ検査及びムム検査をして, (略)を検査し,そ~後,②口口術を行い,さらに③ムム手術を段踊的に行う必要がある。これら一連の手術は,(わ症におし、玄1 ま極めて一般的なものであり,これによる新生児の身体に及ぼす危険性は非常k低く,手術の成功率は99.9 パーセントと言われている。そして,上記①ないし③の手術を適切な時期に行わなければ,根治手術であるcx)手術を施すことは不可能となることが予測され,そうなれば,常に突然死のリスクと背中合わせであり,成人に到達する可能性は高くないと考えられる。ウ 事件本人らは,平成18 年×月×日,同月×日,同河×日と再三にわたって,(わ病院の主治医から未成年者に関する上記の病状と手術の必要性の説明を受けたが,その信仰する宗教上の考えから,r (略)未成年者を家に帰してもらいたい。」として,いずれの場合も未成年者の手術には同意しなかったo さらに,同年×月×日, O0県cx)児童・障害者センターの職員が事件本人らと面談し,再考を促したが,事件本人らは未成年者への手術に同意しなかった。エ 未成年者に対する上記①ないし③の手術は緊急を要するものであることから.co 病院は,平成18 年×月×日と同月×日に手術を予定している。オ 弁護士である Uは,本案審判確定までの問,未成年者の親権につき,職務代行者となることを承諾している。
(2) 上記した疎明事実からすると,事件本人らは 未成年者の親権者として,適切に未成年者の監護養育に当たるべき権利を有し,義務を負っているところ,未成年者は現在重篤な心臓疾患を患い,早急に手術等の医療措置を数次にわたって施さなければ近い将来,死亡を免れ得ない状況にあるにもかかわらず,事件本人らは,信仰する宗教上の考えから,手術の同意、を求める主治医及びco 県co 児童・障害者センター職員の再三の説得を拒否しているものであって,このまま事態を放置することは未成年者の生命を危うくすることにほかならず,事件本人らの手術拒否に合理的理由を認めることはできないものである。してみると,事件本人らの手術の同意拒否は,親権を濫用し,未成年者の福祉を著しく損なっているものと言うべきである。したがって,事件本人らの親権者としての職務の執行を停止させ,かつ,未成年者の監護養育を本案審判確定まで図る必要があるから,その停止期間中はDをその職務代行者に選任するのが相当である。よって,本件保全処分の申立てを認容することとし,主文のとおり審判するι( 家事審判官岩田嘉彦)
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市町村長処分不服申立却下審判に対する抗告事件
第1 抗告の趣旨及び理由
1 事案の概要抗告人は,事件本人の法定代理人母として,事件本人につき,氏の変更(母である抗告人の再婚前の氏rB野」から抗告人の現在の氏rA JIIJへの変更)の申立てを原審裁判所にし(原審裁判所平成18年岡第xx号). 同裁判所において,子の氏変更の申立てに関する限り,事件本人の監護者である抗告人が民法791条3項の法定代理人に該当し,単独で事件本人を代理して上記審判の申立てをすることができるとして, その申立てを認める審判(以下「本件基本審判Jという。)が行われた。そこで,抗告人が,平成18年4月10日.00市長に対し,事件本人の母の氏を称する入籍届け(以下「本件入籍届け」とし、う。)を提出したところ,同年5月1日,民法791条3項所定の法定代理人からの届出に該当しないとして不受理とされた(以下「本件不受本件は,抗告人が,上記のような経緯で,戸籍法118条. 119条に基理の処分Jとし、う。)。づき,本件不受理の処分に対し,原審裁判所に対し, 不服の申立て(以下「本件申立てJという。)をしたところ,原審裁判所において,本件基本審判は,子の監護者である抗告人が,①家庭裁判所の許可の審判を申し立てる限りで,民法791条3項の法定代理人に該当すると判断したにとどまり,②戸籍法の定めるところによる届出(以下「入籍届けJという。)についてまで同項の法定代理人に該当すると判断したものではなく, 15歳未満である事件本人につき,抗告人から提出された入籍届けを,法定代理人からの届出に該当せず,本件不受理の処分に違法・不当な点はないとしてi本件申立ては理由がないとして,これを却下した。そごで,抗告人がこの審判に対し,抗告を申し立てた事案である。2 本件抗告の趣旨は, f原審判を取り消す。本件を原審に差し戻す。J旨の裁判を求めるものでありその抗告の理由は即時抗告申立書のとおりであるが,要するに,民法791条3項の立法趣旨によれば,子が父叉は母と氏を異にする場合に,子が15歳未満であるときは,子の福祉・利益尊重の観点から子の氏の変更につき,その法定代理人に①家庭裁判所の許可の申立て及び②同許可広基づく戸籍法の定めるところによる届出を行う権限を認めたものと解すべきであり,本件基本審判もその趣旨に出たものであるにもかかわらず原審のように,本件基本審判はi抗告人に上記①に限つての法定代理権を認めた趣旨であるとすると,氏の変更の許可を得た子で‘あっても,入籍届けができないという不当な結果を招くもので、あって,上記民法791条3項を実質的に空文化させることとなる。また,子の氏の変更は,家庭裁判所の許可がその実質的要件の一つで-あり,戸籍法98条の届出により効力を生ずる行為であるから既に家庭裁判所の許可の審判がされている以上,その審判の申立人の資格に欠けるところがあったからといって,その届出を不受理にすべきではない。第2 当裁判所の判断1 当裁判所も,原審と同様,本件基本審判は,上記②入籍届けについてまで,子の監護者である抗告人を民法791条3項の法定代理人に該当すると判断したものと解することができないから, 15歳未満である事件本人につき,抗告人から提出された本件入籍届けを,法定代理人からの届出には該当しないとして行われた本件不受理の処分に違法・不当な点はないと判断する。その理由は,以下のとおりである。
(1) 抗告人は,平成14年×月×日,抗告人とその前夫であるB野C男との間の子である事件本人につき,その親権者を父であるB野C男と定め,監護者を母である抗告人と定めて,調停離婚した。抗告人は,同月×日,戸籍法77条の2の届出をして離婚時の氏であるfB野」を称し,事件本人は,同年×月×日,抗告人の氏fB野」を称する旨の届出が親権者父により行われた。事件本人は,遅くとも平成16年×月×日;から母である抗告人の下で同居して,養育されている。そして,抗告人は,平成17年×月×日A川D男と再婚し,平成18年×月×日,同人との聞にEをもうけ,同日から翠住所に転居し,夫A川D男,事件本人及びEと同居している。
(2) .抗告人は,平成18年3月31日,原審裁判所において,事件本人の氏を,母である抗告人の再婚前の氏fB野」から抗告人の現在の氏fA J IIJに変更する許可,すなわち本件基本審判を得た(同年閥第xx号)。そして,同年4月10日,本件基本審判に基づき,本件入籍届けを事件本人及び抗告人の本籍地の戸籍係に行った。しかし,本件入籍届けに対して,同年5月1日,本件不受理の処分が行われた。
(3) 子の氏の変更については,子が父又は母と氏を異にする場合には,子は,①家庭裁判所の許可を得て,②入籍届けをすることによって,その父文は母の氏を称することができる(民法791条1項)とされ,氏の変更の効力が生じるのは,許可に基づき,入籍届け,すなわち氏の変更によって同氏となるべき父又は母の戸籍に入籍する旨の届出(戸籍法98条1項)を了した時点である。そして,その子が15歳未満であるときは.その法定代理人が,これに代わって,上記の行為をすることができる(民法791条1項. 3項,戸籍法98条1項)とされている。ところで.子の親権者と監護者が分離分毘している場合には,子の氏の変更の申立ての代理権は,親権者に留保されており,監護者はこれらの権利義務を有しないと解するのが相当である。なぜならば,監護とは,親権の主たる内容である監護.及び教育(民法820条).子の居所指定権(同法821条).懲戒権(同法822条).職業許可権(同法823条)を中心とする身上監護権を分掌し,子の財産につき管理及び代理する権限ないし養子縁組等の身分上の重大な法的効果を伴う身分行為について代理する権限は,親権者に留保され,監護権者にはこれらの権限は帰属しないと解するのが相当であるからである。もっとも,子の氏の変更の申立てのうち,上記①の子の氏の変更許可裁判の申立てについて,監護者が法定代理人に該当するとした審判例(釧路家庭裁判所北見支部昭和54年3月28日審判・家裁月報31巻9号34頁)は見受けられるが,少なくとも,上記②入籍届けをする権限についてまで\監護者が法定代理人に該当するとした先例は見当たらないし,戸籍先例としても,15蔵未満の子につき氏の変更の許可を得た上で行う入籍届けの届出人は,法定代理人である親権者文は後見人に限るとされている(昭和25年7月22日付け民事甲第2006号民事局長回答,昭和26年1月31・日付け民事甲第71号民事局長回答)。
(4) したがって.民法791条1項及び3項に基づく入籍届けは,法定代理人である親権者文は後見人が届け出なければならないというべきであり,本件入籍届けは法定代理人(親権者であるB野C男)でない監護者(抗告人)が行ったものであり,本件不受理の処分に違法・不当な点はないとした原審判は相当である。なお,抗告人は,事件本人は,現在,前記のとおり,抗告人,その夫,その聞の長女と同居しているところ,抗告人の戸籍への入籍が不可能となれば,一つの世帯宅事件本人は,家族の他の者と異なる氏を名乗らなければならず,学校生活等の社会生活上多大な不利益を甘受しなければならないとも主張するが,上記入籍届けの権限,が事件本人の親権者である父に在ることに照らし,やむを得ない結果である。この不都合を解消するには,親権者の協力を得て親権者から届け出てもらうか,親権者の変更の申立てをして,その変更の許可を得て上で,抗告人が新しく親権者となり,入籍届けを了するなど,法律の範囲内で所期の目的を遂げるほかないといわざるを得ない。2 以上の次第で,原審判の判断は相当であり,本件抗告は理由がないから.これを棄却することとして.主文のとおり決定する。(裁判長裁判官宮崎公男裁判官山本博今泉秀和)
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保佐開始申立却下審判に対する即時抗告事件
第1 事案の概要等
1 事案の概要理由
(1) 抗告人(本人の母)は,平成15年8月14日,原審に対し,本人にっき後見を開始するよう求める申立てをしたが,平成16年4月19日,申立ての趣旨を,保佐開始に変更した。
(2) 原審は,平成16年9月17日,鑑定の結果によると,本人は,統合失調症の慢性期にあり,自己の財産を管理処分するには常に援助が必要とされる状況にあるけれども,抗告人の申立ては,その真意において本来の保佐制度の目的に適合せず,申立権の濫用であ.t).” 保佐人を選任する必要性は極めて乏しいとして抗告,人の中立てを却下する旨の原審判をした。
(3) そこで,抗告人が原審判を不服として即時抗告をしたのが,本件である。2 抗告の趣旨及び理由(1) 抗告人は,原審判を取り消し,本件を原審に差し戻す旨の裁判を求めた。(2) 抗告理由の要旨は,原審判は,鑑定の結果を受けて保佐人の候補者を探していたにもかかわらず,精神を病む本人の言い分を重視して,抗告人の申立でを却下したものであって,不当である,本人と親族の聞に保佐人が介在することで,状況の改善が期待できるから,保佐人を選任する必要性がある,というものである。
第2 当裁判所の判断
1 本件の事実関係は.次のとおりである。
(1) 記録によると,次のとおり訂正するほかは,原審判1頁25行目か裁判例( 家事)ら同5頁l行固までに記載の事実が認められる。ア原審判2頁5行自の「平成9年から平成11年8月まで約2年半Jを「平成10年5月から平成13年2月まで」と,同頁7行自のr17歳時」をr16歳時Jと同頁15行自の「平成10年Jを「平成11年4月Jと,同18行目の「年金は打ち切られたJを「本人の労働意欲を喚起するため,年金は返上したJと各改める。イ同3頁19行目の「応じず」から同20行目末尾までを「応じなかった。Jと改める。ウ同4頁6. 7行目の「一切の援助を行っていない。」を「これらの要請を拒絶している。」と改める。
(2) 記録によると,更に,次の事実が認められる。ア本人は,平成16年×月×日,ムム信用金庫cx)支庖で傷害事件を起こし,逮捕勾留され,略式命令により10万円の罰金刑に処されたが.-これを支払うζ とができず,労役場留置となり,同年×月×日,同措置を終えた。イ本人は,平成17年×月頃,原審判肩書地(α コ市)の自毛内で-仏壇を燃やしたり,扇風機等を庭に投棄したりするなどの行為に及び,同月×日,所轄保健所の勧めで00病院に任意入院したが,同月×日,同室の患者に暴行を働き,病院からの勧告を受けj退院した。ウそこで,本人は.Cわ市の自宅に戻ったが,その直後,自宅から出火し,母屋が全焼した。その際,本人は,現場に臨場し,事情聴取をしようとした警察官に対して頭突きをする行為に及んだため,公務執行妨害罪の現行犯人で・逮捕された。本人は,同年×月×日,同罪で起訴されたが,同年×月,執行猶予付きの有罪判決を受けて釈放され,中学校時代の1年先輩の男性の家に身を寄せた。たばこを食べる行為をしたため,病院 同年×月×日, 本人は, ニ乙に入院したが,翌日,退院した。同月×日,パトカーを損壊し,警察官により,口口病 本人は, オ同年×月×日,医療保護入院の手続がとられたが,平成18 年×月×日,再び任意入院となり,後,同病院に在院したまま現在に至っている。保佐開始の必要性 2 以上の事実(当審で引用する原審鑑定人の鑑定の結果を含む原審 (1) 判認定の事実を含む。)によると,本人は,平成 3 年頃から,精神症状による入院を繰り返しており,現在は統合失調症の慢性期にある己とそのため,本人は,種々の社会的逸脱行動を繰り返して-し、るほか,金銭に関する判断力が低下していて,計画性に乏しく,自己の財産旨管理処分するには常に 衝動的に浪費することがあり,援助が必要であることが認められるから,民法11 条所定の「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者」に該当すると評価することができる。そして,本人は,財産として本件預金を有し,月額9 万円余の障
(2) これらを衝 害年金を受給しているところ,上記の精神疾患のため,動的に浪費するおそれがあること,本人につき保佐が開始されれば,保佐人に対する代理権授与について本人の同意が得られなくと元本の領収として保佐人勾同意を要する行為 も,預金の払戻しは,(民法13 条 1 項 1 号) 本件において保佐を開始するこ となるから同月×日,措置入院となった。同年×月×日,任意入院に切り替えられたとは,本人の上記の衝動的な浪費を防止し,本人の保護に資する有院に運ばれ,その後,本人は,効な手だてになるというべきである。
(3) したがって,本件においては,本人につき保佐を開始すべき必要があるものといえる。記録によると,抗告人は,保佐人に対し,本人と親族の聞をとり もったり,社袋的逸脱行動をしないよう本人の行動を監督する役割まで期待しているように窺えるところ,かかる期待には,保佐人が本来果たすべき役割を超えるものがあることは否定できないが, であるからといって,上記のような必要性が認められる以上,抗告人の本件申立てが制度の趣旨に適合せず,申立権の濫用であると判断すべきではない。保佐人の選任 3 上記の経緯を辿っている本件においては,保佐人就任を承諾する第三者を得ることが困難であったが,当審において,適任者の推薦を求めたところ,漸く .00 弁護士会から主文掲記の C弁護士の推薦を得ることができた。問弁護士を本人の保佐人に選任することとする。 そこで,以上の次第で,原審判は相当ではなく,本件抗告は理由があるか 4 ら,家事審判規則19 条 2 項に基づき,原審判を取り消し,審判に代わる裁判をすることとして,主文のとおり決定する。(裁判長裁判官村田龍平) 久 松本 裁判官 田中j 仕太
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2012年2月27日 | コメント/トラックバック(0) |
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子の監謹に関する処分(面接交渉) 申立事件
第1 申立ての趣旨
相手方と未成年者とが面接交渉をする時期,方法などにつき相当な審判を求める。
第2 当裁判所の判断
1 本件記録により認められる事実
(1) 別居に至る経緯ア申立人(昭和44年×月×日生)と相手方(昭和43年×月×日生)とは,平成6年×月×日.婚姻し,平成7年×月×目,長男である未成年者Cをもうけた。相手方は.0ム大学卒業後,ムムに勤務し,申立人は.0口大学を卒業後,口口に勤務していたが,未成年者を妊娠した直後の平成7年×月に退社し,専業主婦となった。59・3ー74裁・判例(家事)イ申立人と相手方とは,次第に不仲となり,平成15年8月×日,申立人は,未成年者を連れて従来の居宅を出て申立人の実家に戻り,別居した。,~(2) 面接交渉の経緯ア相手方は,平成15年11月,東京家庭裁判所八王子支部に対し,面接交渉の審判(平成15年豚)第xx号)を申し立てた。イ申立人と相手方との話し合いにより,次のとおり面接交渉が実施された。① 平成16年3月×日(月) 16時から16時30分xxxにて② 同年6月×日(月) 16時から17時xxxにて③ 同年8月×日(月) 13時から16時までxxxにて④ 同年10月×日(土) 10時から13時までC丈わで待ち合わせ⑤ 同年12月×日(日) 12時から16時までムムムで待ち合わせウ平成16年11月15日,面接交渉の審判手続は調停手続(平成16年(家イ)第xx号)に付され,同日付けで要旨次のとおり調停、(以下「前回調停」としいう。)が成立した。① 申立人は,相手方に対し,相手方が未成年者と1か月半に1回程度の面接交渉することを認め,その具体的日時,場所,方法については,乎の福祉を慎重に考慮し,双方事前に協議して定める。②相手方が希望している宿泊付きの面接交渉については,今後,申立人において検討する。エその後,双方の代理人間で,平成17年1月下旬の土曜日又は日曜日に面接交渉を行う方向で調整が進められたが,申立人代理人の都合がつかなかったことから,相手方は,別の立会人を探すか.その後の週で申立人代理人の都合がつく日に再調整するよう申し入れた。そこで,申立人代理人は,相手方代理人に立ち会うよう要請したところ,相手方代理人は,誰が立ち会うかではなく.立ち会いの要否そのものの問題であり,相手方代理人としては立ち会い不要と考えているので立ち会うつもりはなく,どラしでも立ち会いが必要ならば申立人の側で人選すべき旨答えた。調整の結果,同年1月×日目随自に面接交渉を実施する方向で調整が始められたが,申立人代理人は,相手方代理人に対し,面接の際に何かあった場合.申立人代理人と連絡がつくようにして欲しいと要請した。相手方代理人は.相手方が相手方代理人と連絡をとるかは相手方側の問題であり,申立人に対して何かを約束する筋合いの問題ではない旨強調し,申立人の人選にも干渉しないし,関係者が面接交渉に終始随行することも黙認する旨述べ申立人側の要請を断った。その後,申立人代理人は,相手方代理人に対し. 未成年者の両親が直接対面することを嫌がっているから同年1月×日の面接交渉は延期したいとし,また,面接の際の相手方と相手方代理人間の連絡態勢ないし双方代理人の立ち会いが面接交渉の前提条件であると通告した。、結局,同年2月×日日曜日,申立人代理人立ち会いのもと面接交渉が実施された。相手方は,未成年者ム口口口で待ち合わせ,ムム経由でcxコに行き.0ムに連れて行った。オ双方の代理人間で.同年2月中旬頃から日程の調整が開始されたが,申立人代理人から,同年3月×日文は同年4月×日との候補白及び面接時間の短縮の案が示され,かつ,未成年者が両親の直接の対面を嫌がりどちらかの弁護士が立ち会わなければ「絶対に行きたくなし、Jと述べているとし,前回は申立人代理人が立ち会ったので,今回は相手方代理人が立ち会って欲しい旨の要請があった。しかし,相手方代理人は,候補日,時間短縮は受け入れるが,相手方代理人の立ち会いは断る旨告げた。これに対し,申立人代理人から同年3月×日面接交渉を拒否する旨の通告があった。カそこで,相手方は,平成17年3月.東京家庭裁判所八王子支部に面接交渉の履行勧告を申し立てた。調査官による調整の結果,面接交渉が再開されることになり,平成17年5月×日,面接交渉が実現し.相手方は.未成年者をロムに連れて行った。キ相手方代理人は,平成17年6月下旬,申立人代理人に対して,次回の面接希望日を同年6月×日とし,次々回をxxxxの試合の観戦したいので同年8月×日としたいと提案した。そり理由は,相手方はxxxxが好きであったところ,未成年者もxxx×を題材にした漫画が好きであったためである。申立人代理人は,同年6月×日の面接の方法について回答すると共に,同年8月×日は先約が入っている旨回答したので,相手方代理人は,その先約が未成年者が楽しみにしている用事であれば了解するが,未成年者に究約とxxxxの試合とのどちらを選ぶか検討させて欲しいと伝えたところ,申立人代理人は,先約を優先したいとの意向であると回答した。同年6 月×日の面接の際に未成年者に尋 しかるに,相手方が, クねたところ,未成年者にはxxxx のチームが来ることが伝えらこの問題は面接妨害による損害賠償 その後,相手方代理人は, ケ×日に宿泊を伴う面接交 同年8 月×日, の問題に譲ることとし,渉を実施するよう提案したところ,申立人代理人は,未成年者がこれを拒否していると回答した。同年8 月×日,面接交渉が実施されたが相手方代理人が次回 コ同 の面接交渉につし、ての希望を伝えたところ,申立人代理人は,れていないようで・あったので,申立人代理人に対し,未成年者にどのように説明したのかにつき釈明を求めたところi申立人代理人は未成年者には伝えた旨回答し,平行線のまま終始した。×日の面接が可能か尋ねたが,申立人代理人は双方代理人間の話し合いを経ていないとし,同月×日の面接交渉を見送る旨通告した。同月×日, 年10 月×日にして欲しい旨提案した。相手方は,面接交渉をすることを拒否しているためである。その後,相手方と未成年者との面接交渉は実施されていない。年(家ホ)第xx 号離婚等請求事件,平成16 年(家へ)第xx 号損害賠償請求事件) ,申立人はこれに対し反訴を提起した(平成16 年(家ホ)第xx 号)離婚反訴請求事件)。同裁判所ば,平成18 年 3月×日 要旨 次のような判決をし イ申立人によれば,及びその後面接交渉を実施していないのは,未成年者が相手方と同年8 月×日以後の面接交渉を延期したこと東京家庭裁判所八王子支部に対し,申立人を被告として,離婚訴訟及び損害賠償請求訴訟を提起し(同裁判所平成16た。
(1) 原告と被告とを離婚する。相手方は, 原告と被告との長男 C(平成7 年×月×日生)の親権者を被 (2) と定める。 告(母)
(3) 原告は,被告に対し,長男 Cの養育費として本判決確定の日の属する月から長男 Cが成人に達するまで毎月 3万円を毎月末日限り支払え。原告は,被告に対し,財産分与として40 万円を支払え。
(4) 原告のその余の請求を棄却する。
(5) 被告のその余の反訴請求を棄却する。
(6) 上記裁判において申立人は,上記別居の経緯について,平成 ウ(ア)12 年8月頃以降顔にあざができるような暴力を振るわれ,平成15 年8月×日,相手方から脅迫的な内容の電話がかかってきたところ,未成年者が従来の居宅を出て行こうと発言したため,未成年者も相手方との同居を望んでいないことを知り,別居を決意したと主張している。これに対し,相手方は,申立人は相手方から生活態度をとがめられると,相手方に対し,殴る蹴るの暴行を加え,特に平成13 年6 月と同年11 月には,模造万や竹の棒で殴ったり,素手で相手方の頭や上半身を殴ったり,倒れたところを蹴るなどし,振るっていたことが認められるが,いずれも打撲程度であり,深刻な怪我を負わせるような暴力を振るったものと認めるに足受けたこともあると主張した。同判決は,申立人と相手方との聞の暴力については,平成12- (ウ)年後半以降頻繁に喧嘩を繰り返し,喧嘩の際には互いに暴力をまた,平成13年7月には,申立人が投げたコップが相手方のこめかみに当たり,相手方が数日間の吐き気を覚えて脳の CTスキャン検査を(イ)相手方は怪我をして病院で診察を受けるに至り,りる証拠はなく,また,どちらかが一方的に激しい暴力を振るっていたとまでは認められないとし.また,面接交渉については,申立人は,相手方の求めに応じて面接交渉を実施しており,実現できなかったのは双方の連絡や面接の条件が折り合わなかったことが原因であり,申立人にのみ賀任があったわけではないと判断Lている。
(4) 東京家庭裁判所八王子支部家庭裁判所調査官(ただし,別件に関するもの)及び当庁調査官の調査結果によれば.次の事実が認められる。ア申立人は,平成14年3月からムムにおいて高校生や浪人生に×ムを教えており,月収は手取り25万円であり.実家から毎月5万円の援助を受けているほか,子が通っている学習塾の月謝約3万円のうち2万5000円を出してもらっている。イ申立人の住居は,住居近くのアパートで居室は6畳一間であり.台所,便所.風呂が付属している。家賃は月額7万6000円である。ウ相手方は,平成16年5月末からムO所在のムロムの事務職員として稼働しており,年収は約450万円である。エ未成年者は,甘えん坊の性格であり,外出するときは申立人と手をつなぎたがり,寝るときも添い寝を求め,入浴時の洗髪も申立人以外にはさせたがらず, また,人前では恥ずかしがり屋であり,あいさつや自分の意見を述べることがなかなかできない状況にある。オ調査官が申立人め実家で母子の交流状況を観察したところ,未成年者は,学校や友達のことなどを話題にしていた際も,未成年者は申立人の脇から離れることはなく.むしろ時間が経つにつれて次第に申立人に抱きついたり膝に乗ったりするなど,密着するよ5になった。未成年者の小学校における成績は理数系を中心に良好であり,一–交友関係も円滑である。未成年者の申立人に対する評価は.全般的に肯定的であり,実際の言葉からも観察された態度や行動からも愛着の強さがうかがわれた。未成年者は,素直に申立人に対する甘えを表現する一方p 不快なことがあれば申立人に慰めを求めることで気持ちを整理するなど,申立人が未成年者にとって心の拠り所になっているといえる。カ未成年者は,ことさら相手方に対し拒否的な言動を示すことはなかったが,同居中に申立人と相手方との間で繰り返された争いについては,生々しい記憶が残っており.再び争いがおきなし、かなど不安を感じている梯子であった。
2 本件に関する当事者双方の意向
(1) 申立人申立人は,相手方が,面接交渉の場において,未成年者に対し.申立人との生活状況について詳細に尋ねたりしないことを確約するならば.1か月半に1回の割合で,相手方が未成年者と面接交渉することを認める。
(2) 相手方(平成18年1月×日主張盤面でのもの)ア面接の時聞は,毎月第4日随日の正午から実施するものとし,待ち合わせ場所はJR山手線又はその内側にある交通機関の駅の中から相手方が指定する場所とすることイ面接の際未成年者との会話について禁止事項をもうけないことウ遠出あるいは宿泊を伴う旅行を半年にl回実施することエ未成年者の学級担当者との商談を定期的に実施し,その内容を相手に知らせ,未成年者の通信簿全部のコピーを交付し,学校行事については予定の連絡があってから1週間以内にメールがファックスで伝達し,学校からの配布物を月にl度コピーして送付し,通っている塾についてのカリキュラム,内容,頻度を開示,未成年者の進学についての考えを明らかにすること(3) 相手方の主張に対する申立人の意見ア面接交渉日は1か月半に1回.双方の都合が良い日曜日に実施するのが適当である。イ場所は,社団法人Cわの利用を前提とするなら,同所の所在場所付近又は同職員が同行しやすい場所とするのが適当である。ウ面接交渉中に未成年者を通じて申立人の言動等を尋ねたり.申ー立人から特定の行動を禁止されていることの確認を求める等,未成年者が返容に窮する事項の質問を避けるべきである。エ宿泊を伴う面接交渉は,未成年者り負担が大きく,現状では難しい。オ保護者が学級担当者に面談を求めることは,学校内において.その保護者や子に何か特殊な事情があるとの印象を抱かせることになるので適切ではなし、。カ学校行事等に関する情報や通っている塾のカリキュラム等については,これをすべて明らかにせよとの相手方が主張する理由は明らかではないが,これらの情報を現段階で開示することは困難である。3 検討(1)一般に,父母が離婚した場台も,未成熟子が非監護親と面接交渉の機会を持ち,親からの愛情を注がれることは.子の健全な成長,人格形成のために必要なことであり,面接交渉の実施が子の福祉に59・3-82裁判例( 家事)反するなどの特段の事情がない限り,これを認めるのが望ましい。しかし,面接交渉が子の健全な成長.人格形成のためであることに鑑みると,その程度,方法には,自ずから一定の限度があり,子の心理面,身体面に与える影響,子の意向等を十分配慮する必要があるし,真に子の福祉に資するような円滑かつ安定的な面接交渉を実施するには.父母相互の信頼と協力関係が必要である。(2)ア相手方は,面接交渉の回数につき,毎月1回第4日曜日の面接交渉及び半年に1度遠出ないし宿泊付きの面接交渉を求めている。しかし, 本件は,紛争性が強い事案であり.未成年者は.10歳,という心身とも未だ未熟な年齢であり,また,その性格は内向的であるうえ,同居中の両親の争いについて生々しい記憶を有していること.他方,申立人に対する愛着の強さは相当なものがあり,心の拠り所在なっている状態にあること,前回調停において合意がで:きたのは1か月半にl度の面接交渉であり,宿泊については申立人において「検討する。Jとの内容にとどまっており,本件において申立人は,未成年者の負担が大きいとして宿泊付面接交渉につき反対していること,前回調停で-合意された面接交渉すら具体的内容について折り合いがつかないなどの理由でそのとおりには実施されておらず,平成17年8月を最後に中断したままとなっていること,これまでの面接交渉の状況から未だ申立人と相手方との聞に面接交渉についての信頼関係が十分に形成されているとはし、えないことを総合考慮すると.相手方主張のような前回調停を上回る割合ないし宿泊付の面接交渉を認めることは.現時点では時期尚早であり,未成年者の肉体的・精神的負担を増加させ,父母相互の信頼と協力関係に悪影響をもたらしかねず.其に子の福祉に資するような円滑かつ安定的な面接交渉を期待することが困難となるおそれがあるというべきである。Lたがって,相手方の上記主張は採用できなし、。イ相手方は,申立人に対し,未成年者の学級担当者との面談を時宜にかつ定期的に実施し,その内容を相手に知らせ,未成年者の通信簿全部のコピーを交付し,学校行事については予定の連絡があってから1週間以内にメールかファックスで伝達し,学校からの配布物を月に1度コピーして送付し,通っている塾についてのカリキュラム,内容,頻度を開示.未成年者の進学についての考えを明らかにすることを求める旨主張する。しかしながら,これらの情報の開示は,面接交渉の実現とは直媛関係がない事柄であり,面接交渉の手段でもなければ,目的で込なし、。.むしろ,面接交渉においてこれらの開示を求めることは,かえって未成年者の養育のありょうをめぐ、て新たな紛議をもたらし,未成年者をその渦中に置くこととなるおそれがあるから,本件面接交渉において上記情報の開示を求めることは相当ではない。したがって,この点についても,相手方の主張は採用できなし、。ウ相手方は,面接交渉において未成年者との会話に制限をもうけるべきではない旨主張する。しかしながら,面接交渉において未成年者の生活状況をあれこれ詮索したり.申立人の言動の真偽について未成年者に意見を求めたりすることは未成年者を申立人と相手方の紛争に巻き込み,無用のストレスを与えることになりかねす;子の福祉に反するから,許されるべきではない。面接交渉における基本的な判断基準は,子の福祉に反するか否かである。そうすると,面接交渉自体が両親の紛争に未成年者を巻き込んだり,いずれの親の言動やふるまいが正しし、かの選択を追ったり,監護親の言動が正しし、かどうかのテストを未成年者に求めたりするのは,未成年者に著しいストレスを与え,子の福祉に反するおそれがあるから,特段の事情がない限り,不相当といわざるを得ない。低に.そのような面接交渉を重ねるならば,いずれ子が面接交渉自体を拒否ないし消極的になることになろうが,裁判所としても,相応に成長した子の意思は尊重せざるを得ず.早晩,面接交渉を禁止せざるを得ない事態が生じかねないおそれがあるというべきである。.したがって,上記相手方の主張は採用できなし、。エ当事者双方は.本件面接交渉を社団法人Cわを介して行うことに合意し丈いるところ,今後,面接交渉を円満かつ安定的なものに,長期に継続す与ためには,同職員又はその指定する者(当分の聞は同職員の立ち会いが必要であろうが,同職員の判断により.将来,当事者聞に信頼関係が築かれたとされた時期には,同職員の指定する者の立ち会いによる面接交渉が可能となろう。)の立ち会いのもとに実施する必要がある(申立人が提案する双方代理人が交互に立ち会う方法は,前記従前の紛争の経緯に照らし,相当ではない。)。また,面接交渉の日時,場所,方法,同交渉の際の留意事項,禁止事項については,同職員の指示に全面的に従うべきである。
(3) 以上を総合勘案すると.申立人は,相手方に対し,本審判確定後1か月半に1回の割合で,社団法人00の職員又はその指定する者の立ち会いのもと.相手方が未成年者と面接交渉を行うことを許さなければなら.ず.当事者双方は,前記面接交渉の日時,場所,方法,同交渉の際の留意事項’.禁止事項について,社団法人(x)の職員の指示に従わなければならず,また,諸般の事情を考慮すると,上記面接交渉に関し.社団法人Cわに支払うべき費用は.当事者双方が折半して負担すべきである。よって,主文のとおり審判する。(家事審判官大沼洋一)
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2012年2月26日 | コメント/トラックバック(0) |
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親子関係不存在確認審判に対する異議申立却下審判に対する抗告事件
第1 抗告の趣旨及び理由
本件抗告の趣旨及び理由は,別紙即時抗告申立書(写し)記載のとおりである。
第2 当裁判所の判断
1 本件の事実関係及び抗告人の主張は,原審判1頁14行目から同2頁3行目までのとおりであるから,これを引用する。
2 本件抗告理由について抗告人は,①家事審判に対する利害白係は,法律上の利害関係のみではなく,事実上の利害関係があればよく,家事審判法の規定する利害関係は,可及的に広く解すべきであるから,原審は法の解釈適用を誤づている,② 抗告人は.BやCらがBの父親であると主張している者であるが, もはや嫡出否認の訴えの提起期聞を経過している以上,本来親子関係は確定しているのに.Bあるいはその母親がCと君、を通じてBとCとの親子関係を否定した上で,抗告人にBの認知を求め,かつ,財産請求をすゐ意図で,敢えて親子関係不存在確認を申し立てたのが本件審判の実態であり, これを認めることは,民法の規定の趣旨を没却するものであり.本件審判が確定してし主えば,こうした実態を主張できなくなるから,抗告人の異議申立てを認めないのは極めて不合理である,と主張する。そこで検討するに,家事審判法23条の審判に対して異議の申立てをすることができる「利害関係人J(家事審判規則139条1項)とは,法律上の利害関係を有す‘る者をいうが,これは,当該審判により直接身分関係に何らかの変動が生ずる者に限られず,当該審判を前提に一定の身分関係の変動が生じる蓋然性が現実化している者もこれに含まれると解するのが相当である。これを本件についてみるに,抗告入については.本件審判の理由中に. DNA鑑定によれば.Bが抗告人の子である可能性は99.9997%である旨の事実認定がされており, これを根拠にBとCとの聞に親子関係が存在しないことを確認する本件審判がされていること.Bの母Dは,抗告人に対し再三認知諮求をしており,平成18年3月22日には,最終通告として,抗告人に対し,抗告人の署名捺印をした認知屈の郵送,養育費として認知届受理の月から毎月5万円の支払,未払い養育費として85万円の支払,出産費用25万円の支払等を求める在面を送付していることが認めら.れるから.以上の状況に,抗告人は,本件審判が確定することにより.Bとの親子’関係が形成される可能性があり(なお,抗告人の本件異議を許容することにより本件審判が確定せず.Bが親子関係不存在確認の訴えを提起する場合には. Bが実質的に民法772条の推定を受けない嫡出子であると認められ,嫡出関係にある親子関係の不存在確認諾求が許容されるような特段の事情の存否とし、う訴訟の適法要件の有無から審理判断されることが想定され,同訴訟の結果に利害関係を有する第三者として,抗告人は同訴訟の被告側に補助参加し,訴訟の適法要件や親子関係の存否を争うことになろう。).Bとの親子関係を前提に親としての義務を請求されているとし、う関係にあるから,本件審判につき法律上の利害関係があるというべきである。そうすると,家事審判法23条の規定による本件審判に対する抗告人の異議はこれを適法であると認めるのが相当であり.これを却下した原審判は違法である。第3 よって..本件抗告は理由があるから,原審判を取り消すこととし,主文のとおり決定する。(裁判長裁判官南敏文裁判官安藤裕子生野考司)〔編注〕別紙は省略した。
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2012年2月26日 | コメント/トラックバック(0) |
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戸籍訂正許可申立事件
第1 申立ての趣旨及び実情
申立人は,主文と同旨の審判を求めた。その理由は,申立人は出生以来.その名を戸籍上「詫」と表記され.「詫」の名を名のってきたのに,本人に何の連絡もなく戸籍上の名が「喜」に変えられたというものであり,その趣旨は,上記の表記の訂正が違法であるとして,戸籍法113条の事由を主張するものと解される。
第2 当裁判所の判断
1 記録によれば.CXJ町長は,戸籍法117条の2に基づいて電子情報処理組織により戸籍事務を。取り扱うことのできる旨の指定を受け(平成16年法務省告示第599号).平成16年12月xx日から戸籍事務のコンピュータ化を開始し,あわせて, ー同日付けで申立人が入籍している芦籍(筆頭者甲野ムム)を改製し,申立人の名の表記が「詫」であったのを「喜οJと改めたものと認められる。
2(1 )戸 籍は国民の身分事項を記録し,社会一般に対し公証する公簿で・あるから,その記載には社会一般に通用,する正しい文字を用いる必要があるというべきであり(一般国民が正しく識別できない文字を用いて表記する場合には,その者の社会内での識別に支障を来し,ひいては,その者本人に生活上の不利益を与えるおそれもある。)このような要請は,出生した子の名に常用平易な文字を用いなければならない旨を定める戸籍法50条,同法施行規則60条や,戸籍の記載をするには略字又は符号を用いず,字画を明らかにしなければならないとする同規則31条1項等の関係法令の規定からもうかがうことができる。他方においてて,実際には,戸籍事務担当者の書き癖等の要因から誤字(文字の骨組みに誤りがあり,公的な字形とは認められないもの)により氏名等が記載される例もあるが,このよう注記載はでーきる限り解消する必要があることから,新戸籍の編製,他の戸籍への入籍文は戸籍の.再製に伴う氏名の移記の際,誤字につ.いては,特別の定めのあるもの以外ば,当該誤字に対応する字種及ひe字体による正字で記載するものとする取扱いがされているところであり(平成2年10月20日仔け法務省民二第5200号民事局ー長・通達人本件のような戸籍事務のコンビュータ化による戸籍改製に際しても,基本的に同様の取扱いがされている(平成6年11月16日付け法務省民ニ第7000号民事局長通達(以下「本件通達」という。))。このような表記の訂正については, もとより個人の氏名を実質的に変更するものではないし,こ仮にとの取扱いにより.氏名の表記モのものに対する愛着を害する場合があるとしても,そのことは,上記の公簿としての要請に基づく合理的な制約として,許されるもの.と解するのが相当である。
(2) したがって,ある者の誤字による氏名の表記が正字によるものに訂正され,そのことが当人の意に沿わないということのみからは,当該記載に戸籍法113条にいう違法があるとはいえない。しかし,他方において,本件通達は,上記の前提に立ちながらも,氏名が誤字で表記されている者の当該表記に対する愛着等の感情に配慮して,一定限度で手続上の配慮、をすることとしている。すなわち,市区町村長は,名の表記を誤字から正字に改めるに際しては,事前に本人に対し密面により告知をした上,本人から正字への表記訂正を欲しない旨の申し出がある場合には,電子情報組織による取扱いに適合しない戸籍として,改製を要しない(従来の紙による戸籍が引き続き本人の戸籍簿として扱われる。)こととする特例が認められている(本件通達第7・1(2)エ,同2(2)ウ・エ)。この特例は,従来の誤字で表記された戸籍を改製しないで存置するというものにすぎず,改製後の戸籍に誤字による記載をすることは想定していないと解されるけれども,上記の事前告知の手続は,市区町村長に裁量を与えるものでない一律の取扱いとして定められたものであって,単に表記訂正に伴うトラブルを未然に防止する行政サービスにとどまるものとはいえずその目的は,自己の氏名につき誤字による表記の維持を望む者に対し.引き続きそのままの表記で公証される機会ないし手続的利益を与える趣旨にあるとみるのが相当であるから.市区町村長が上記の事前告知の手続を省略し,又は表記の訂正を欲しない旨の本人の申し出を無視して訂正をするなど,本人に上記の機会を与えたといえない場合には,戸籍法113条にいう違法な戸籍の記載がされたものとして, もとの表記への戸籍訂正を許可することができるものと解するのが相当である。3(1 ) そこで検討すると,申立人は,平成19年7月×自実施の事実調査に対し,同年4月に住民累の交付を受けた際,自分の名の表記が改められていることに気づいたが,平成16年12月に先立つ時期に, O.O 町長から名の表記の訂正に伴う告知害が送付されてきた記憶はない旨を述べてし:モ。そして,本件通達及びこれに基づく取扱い上,申立人の名の表記の訂正に際しては,申立人本人にあてて事前の告知をすべきものとされているのであり(本件通達第7・2(2)ゥけ)(イ)),記録によれば,申立人は上記の時期において.告知曹が送付されるべき申立人の戸籍附票上の住所地(平成6年11月16日付け民ニ第7001号法務省民事局第二課長依命通知第3・2(2) に居住していたと認められることにも照らせば,申立人に送付された告知書が,申立人の気づかないうちに廃棄されたなどの事情があったとも考えにくい。他方,記録によれば,(わ町長の保管する記録上,申立人に対して告知書の発送手続をとったところ発送できず,又は返戻されたとの形跡はないが,発送手続の前提として作成された告知書の発送先リストは平成18年に廃棄済みであって,そもそも申立人にあてて告知書の発送手続がとられたことを裏付ける記録がない(なお.本件通達に基づく取扱いにおいては,告知ができなかったり,告知書が返戻された場合に限り記録を残せば足りるわけではなく,告知の日,内容等を適宜の方法で記録しておく《きものとされている〔上記依命通知第3・2(3)) ところ,上記発送先リストの内容がこの要請を満たすものであったかどうかは判然としない。)ことが認められるから, そもそも,申立人に対し漏れなく告知容が発送されたかどうかに疑念をいれざるを得ない。
(2) 以上の事情を総合すると,記録上.Cわ町長が申立人に対し,本件通達に基づく申し出の機会を与えたと認めるのは困難で、あるか戸籍法113条に基づき,申立人の従来の名の表記への戸籍訂正を認めるのが相当である。
4 よって.主文のとおり審判する。(家事審判官土屋毅)
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2012年2月26日 | コメント/トラックバック(0) |
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財産分与申立審判に対する即時抗告事件
第1抗告の趣旨及び理由
別紙「即時抗告申立書J及び「準備書面J(平成15年2月26日付け)のとおり。
第2 事案の概要本件は,抗告人(原審申立人)が3 離婚した元夫である相手方(原審相手方)に対し,離婚後の財産分与として, 1900万円(2000万円(清算的財産分与1000万円及び慰謝料的財産分与1000万円の合計額)から既払額(100万円)を差し号|いた残額)の支払い並びに共有名義の原審判別紙物件目録記載1. 2の土地並びに同3の建物(本件マンション)について,長男(第3子)が成人するまで(15年間)の使用借権の設定を申し立てた事案である。原審は,財産分与として.抗告人への慰謝料的(財産)分与を考慮するのは相当でないとし,扶養的財産分与として,抗告人と相手方との聞に,平成16年3月31日まで本件マンションに対する抗告人の使用借権を設定し,さらに相手方に対して同マンションからの抗告人の転居費用等100万円の支払を命じたところ,抗告人がこれを不服として抗告した。第3 当裁判所の判断1 当裁判所は,財産分与として,抗告人から相手方に対し,本件マンションの共有持分を分与する(ただし,共有持分全部移転登記は,後記使用貸借期間終了時とする。)とともに,離婚時から平成19年3月末まで,貸主を相手方,借主を抗告人とする使用借権を設定し,相手方から抗告人に対し,財産分与として105万9132円を分与するのが相当であると判断する。その理由は,以下のとおりである。
2 離婚に至る経過等について
(1) 次項で原審判の訂正をするほかは,原審判IJ f理由」のf2 経粋」のとおりであるから,これを引用する。
(2) 原審判の訂正ア原審判3頁中の記載を次のとおり変更する。け) 8行目から9行自にかけてのf(土地について,申立人の共有持分20万分の1725.相手方の共有持分20万分の345.Jをf(土地について,抗告人の共有持分20万分の345. 相手方の共59・2-136裁判例( 家事)有持分20万分の1725(両者の相対的比率は6分のl対6分の5)).J に改める。(イ) 18符目のf1100万円」をf1110万円Jに改める。(ウ)• 19行自の「その返済月額Jから24行固までを次のように改める。「その月額返済額(ただし,平成10年9月以降)は.11万4159円(5万3075円+6万1084円).平成15年9月以降は11万4637円(5万3553円+6万四郎用).ボーナス時返済額は. 41万0986円(18万0450門+23万0536円).平成15年9月以降は41万2721円(18万2185円(ただし.平成16年1月分のみ18万1700円)+23万0536円〕である。また.00からの3ロ(1110万円.1300万円.150万円)のローン(本件住宅ローン)のうち,150万円の返済額は月額9619円,ボーナス時2万9018円であったが,平成15年8月をもって完済している。(なお.6ムからの特別住宅貸付は平成11年4月に既に完済している。)oJイ原審判4頁7行自の「協議婚届Jを「協議離婚届Jに改め.21行自の「単身で出て.Jの次に「平成11年8月にはCと男女関係を持ち,同年12月には一緒に海外旅行に行く関係になり.平成12年3月から同座するようになった。他方.Jを加える。ウ原審判5頁13行自の「上記審判は確定した。」を「上記審判は確定したので,相手方はそれに従い,月額合計18万9000円の養育費の支払を現在まで履行している。Jに改める。エ原審判5頁17行自の「同民事調停は.Jから6頁3行固までを次のように改める。「同民事調停は,不成立に終わった。
(3)相手方は,平成13年12月にCと婚姻し.00市ムム区の賃借住宅で生活するようになった。その後,相手方は,平成15年3月にO大学を退職し,妻Cと共にムO県Oム市内の肩書住所地に転居し,ム大学教授として勤務し,現在に至っている己他方,申立人は,離婚後,長女(昭和61年×月×日生).二女(昭和63年×月×日生)及び長男(平成6年×月×日生)(未成年者ら)とともに,本件マンションに引き続き居住し,近所のケーキ庖,飲食広でアルバイトとして働いたが,平成14年5月末ころ,勤務先の飲食庖が閉庖することになり,失職した。そして,翌7月から,準社員としてフルタイムで会社勤務をするようになり,現在に至っている。なお,平成14年12月27日には名古屋家庭裁判所において,未成年者らの親権者をいずれも相手方から申立人に変更する旨の審判がされた。現在,長女は平成18年×月×日をもって成人に達し,二女は高校3年生,長男は小学校6年生である。
(4) 申立人と相手方は.原審の第1回審判期日において,財産分与における財産の清算時期について,離婚をした臼(平成11年6月4日)とする旨の,同第5回審判期日において,本件マンションの評価を固定資産税評価額に基づいて評価する旨の各合意をした。J
3 財産分与について
(1) 清算的財産分与について
ア.清算の時期について原審判「理由J中i3 ・清算的財産分与についてJ(1)のとおりであるから,これを引用する。
イ清算対象財産についてf
ア)本件マンション抗告人と相手方は久本件マンションの評価について,固定資59・2-138裁判例( 家事)産税の評価額による旨合意している。そして,本件各記録によれば,原審判別紙「マンションの評価」のとおり,本件マンシヨンの平成12年度の固定資産評価額〔上記(原審判)夫婦財産の清算時期(平成11年6月4日).からすると.上記年度の評価額によもるのが相当である。〕は,土地建物の合計で:’2090万8143円であり,上記清算時点における本件住宅ローンの残債務の額は,合計2383万4453円〔うち1ロ1110万円のものが1063万8747円. 1口1300万円のものが1249万1390円1,..1口150万円のものが70万4316円(平成11年11月22日現在の残高61万7584門に,同年6月から11月まで毎月16日に支払われた各96i9円の6か月分合計5万7714円よ同年7月のボーナス時支払額2万9018円ゐ合計8万6732円を加えた額))であったと認められる。前記(原審判)のとおり,本件マンションは婚畑中に購入されたものであるから夫婦共有財産といえるが,本件マンションには,本件住宅ローンを被担保債務とする抵当権が設定されており,上記のとおり,清算時点における本件住宅ローンの残債務額は本件マンションの平成12年度の固定資産評価額を上回っており,結局,上記マンションの財産価値はないことになる。そして,前記(原審判)のとおり,本件マンションは,抗告人と相手方との共有であるところ,これをそのままにした場合には,将来,共有物分割の手続を残すことになることから,抗告人と相手方のいずれかに帰属させるのが相当であるところ,上記マンションについての本件住宅ローンがし、ずれも相手方名義であり,相手方が支払続けているモと,その財産価値が上記のとおりであること,その他,抗告人の持分割分(6分の1)等を考慮すると,抗告人の上記共有持分全部を相手方に分与し,から援助を受けた固有の資産である3 00 万円を拠出しているここの3 00 万円のほか,本件住宅ロ ーン と,本件マンションは,ムムからの特別住宅貸付145 万6 ‘ 000 円の融資(\,、ず 2560 万円,(したがって,代金は約 により購入された れも相手方名義)のとお ことは前記 (原審判) 3000 万円であると推認できる。)上記のと しかし,抗告人の上記固有資産の提供は, りである。おり本件マンションに実質的な財産価値がない以上,清算的財これ 清算的財産分与についてJ( 2 ⑬のとおりであるから,原審判 7 頁 5 行自の 「約1000 万円」を「約1000 万円,婚8 姻時の資料が現存しているだけでも679 万4732 円」に,行目から 9 行自の「上記預貯金相当額1000 万円」を「上記預貯金相当額1000 万円,少なくとも上記約680 万円を消費相手方に本件マンションの所有権全部を帰属させるのが相当で(もっとも,扶養的財産分与として,相手方に使用借権の設定をするのが相当であり ,この点は後述する。)。なお,抗告人が,本件マンションの購入にあたってその両親産分与としては.これを考慮することはできないというべきである。
(イ)相手方の取得した社会的地位,所得能力原審判「理由」中 r 3 を引用する。原審判の訂正① 者物価指数により離婚時の金額として算定した8 11 万円」にそれぞれ改める。ある次項で原審判の訂正をするほかは, ‘ a b 原審判7頁10 行目の「申立人は」から12 行目末尾までを以下のとおりに改める。② 例 ( 家事)その父母の出損による抗告人名普通預金(いずれもム銀行O 支庖)及び定額郵便貯金の合計残高約584 万円並びに抗告人の貯蓄による普通預金 (口銀行ム支庖)約26 万円の合計約6 10(以下「本件持参金」とし 、ぅ。な 万円を持委主したこと日銀行の上記普通預金については55 万円 お,抗告人は,さらにム銀行口支店総合口座(口座番号 xxー× を,x) の定期預金3 0 万円をそれぞれ持参したと主張する前者は開設当時の金額にすぎず,後者は婚姻後に預 ヵ’.金されたものでその原資は不明であるから,抗告人の主張はいずれも採用できない。) . J 原審判7頁2 1 行目の「婚姻の際に」の次に「婚姻費用として提供されて」を加え.23 行自の 「 あたことJを 「 あたることJに改める。原審判 8 頁 7 行自の「費消されたもの」から 8 行目末尾までを「費消されたものというべきである。Jに改める。印税収入本件各記録によれば,相手方は,平成 5 年から平成11 年までその印税として少なくとも月額2 万円程度の収入を得ていたこと,抗告人は,上記各書物の間 6 冊の著作物を出版しており,の出版にあたり,語句の訂正等の作業を手伝うなどしたことが認められる。上記各書物の出版は,婚畑中に相手方の執筆によってされたものであるから,離婚時までに婚姻費用として費消された分はともかく ,離婚後の印税収入は,婚姻中の労働による収入と し判 裁際 の 間同 婚企 -L預い 川期 比四’ 明日リ義③ ④ 出版物の著作権,
(ウ)て本来財産分与の対象となるとするのが相当で・ ある。そ じて.相手方が将来にわたってどの程度の印税収入を得るのかは不明であることを考慮し.抗告人の寄与割合を2分の1として,上記印税額を前提とした離婚後5年間の印税収入120万円の半額である60万円を相手方から抗告人に分与するのが相当である。・同ム銀行(現株式会社Cわ銀行)Cわ支庖の相手方名義の預金原審判「理由J中r3 清算的財産分与についてJ(2胞のとおりであるから,これを引用する。附相手方の口大学の退職金原審判「理由J中r3 清算的財産分与についてJ(2胞のとおりであるから,これを引用する。肋) 未成年者ら名義の預金本件各記録によれば.平成11年6月4日当時,ム銀行(当時)(x)支庖の長女名義の定期預金口座に34万円,二女名義の普通預金口座に3万2517円,定期預金口座に17万円.長男名義の普通預金口座に2万7582円,定期預金口座に14万0166円合計71万0265円の預金があったこと,これらはし、ずれも平成6年ころ以降に預金されたものであり,相手方が占有していることが認められる。これらの原資は必ずしも明確ではないが(抗告人代理人作成の平成12年12月20日付け陳述書によれば,その一部は抗告人の両親が保険料を負担していた生命保険の解約返戻金が原資である可能性があるが,これを裏付ける資料はない。).上記預金をしたJfJI聞が婚姻期間中であることからすると,その聞の抗告人なし、し相手方の収入から形成されたものと推認するのが相当であり,そうとすれば,これらは財産分与の対象となるというべきである。同O口の株式本件各記録によれば,相手方は,昭和63年ころまでの聞に.0口の株式を購入し,平成11年6月4日当時相手方名義で保有していたこと,上記株式は,抗告人と相手方との夫婦共有財産にあたり,清算的分与の対象、としての財産にあたること,上記株式の時価は.上記同日時点において約130万円であったが.平成18年5月1日の終値では50万8000円であること(公知の事実)が認められ,公平の観点からすれば,現在の時価(便宜上,決定時の直近である平成18年5月1日とする。)をもって分与の対象額とするのが相当である。これに対し,抗告人は,上記株式の評価につし、て,離婚時(平成11年6月4日)の時価である130万円と評価すべきであると主張する。確かに.夫婦財産関係の清算を離婚時とするのが相当であることは前記(原審判)のとおりである;しかしながら.それは分与対象財産の範囲を確定する.時点を離婚時とする極旨であって,分与対象財産の評価が常時変動するものである場合は,分与者が分与の実行を不当に遅延させたり,分与者の不注意により換価時期を失したなどの特段の事情のない限り,むしろ現実の分与時点の評価によるのが公.平というべきである。そして,本件各記録によっても上記特段の事情は認められないから,抗告人の上記主張は採用できない。J
(ク) 動産原審判「理由」中r3 清算的財産分与についてJ(2⑬のとおりであるから,これを引用する。ウ財産分与の既履行についてけ) 次項で原審判の訂正をするほかは,原審判「理由J中r3清算的財産分与についてJ(3)のとおりであるから,これを引用する。川原審判の訂正a 原審判13頁11行自の「前記のとおりJを「本件各記録によればJに改め,14行自の「本件各記録によれば,Jの後に「相手方の母は平成12年1月に亡くなり, Jを加え,15行目の「未成年者ら名義でJを「未成年者らのために同人ら名義でJに改める。b 原審判13頁21行目から14頁3行固までを次のとおり,改める。「上記(原審判)のとおり,相手方が抗告人に交付した未成年者ら名義の預貯金は,相手方の母の替えを原資とするものである。そして,相手方の母が孫の名義で預金をした趣旨は,孫である未成年者らに対し,預金債権を生前贈与したものと推認するのが相当である。したがって,相手方が抗告人に預金通帳を交付したことをもって,財産分与の一部の履行をしたものと評価することはできないというべきである。」エ清算的財産分与のまとめ以上によれば,清算の対象となる財産は,①本件マンション(共有持分は抗告人6分の1,相手方6分の5),②出版物の著作権, ・印税収入の120万円,③ム銀行(当時)00支庖の相手方名義の定期預金70万円,④未成年者ら名義の普通預金及び定期預金の合計71万0265円,⑤相手方名義のO口株式(時価50万8000円相当)となる。そして,上記のうち,①については,前記のとおり,本件マンションの抗告人の共有持分(6分の1)を相手方に59・2-144裁判例( 家事)分与し,また②ないし⑤は,いずれも相手方名義のものであるから,これらの合計額311万8265円の2分の1である155万9132円(1 円未満切り捨て)を相手方から抗告人に分与するのが相当である。そして,上記(原審判)のとおり,相手方は抗告人に対し,既に財産分与として100万円を支払っているから,分与すべき残額は55万9132円となる。
(2) その他財産分与にあたって考慮、すべき事情についてア慰謝料的財産分与についてfア) 抗告人の当審での主張を踏まえて.次のとおり原審判の訂正をするほかは,原審判の「理由Jのr4 慰謝料的財産分与について」のとおりである・からこれを引用する。付) 原審判の訂正原審判16頁13行目から23行目を次のとおり故める。•’ ll「ところで,前記(原審判)のとおり,相手方は抗告人iこ対し,平成11年4月に離婚の意思を表明したものであるが.本件記録によっても,両者の間には,それまで離婚問題が話題になった形跡はなく,上記表明は突然のものであったといえる。そして,前記〔原審判(訂正後のもの))のとおり,相手方は離婚後4か月で現在の妻と男女関係を持っており,上記離婚の経過をも併せて考えると,相手方が離婚の意思を表明した理由のひとつに現在の妻の存在があった可能性も考えられなくはないが,本件各記録によるも,抗告人との婚畑中における上記妻との不貞行為については,これを認めるに足りない。また,抗告人が主張するような相手方の暴言,暴行や離婚の際の脅迫を認めるに足りる証拠はなく〔抗告人は,当審において,相子方はこれを争っていないと主張し,確かに相手方は個別具体的に反論をしていない部分もあるが,抗告人の陳述書の記載内容に対する反論(誇大な表現や事実無根の記載の指摘等)に照らすと,相手方が争っていないとはいえない。).仮に相手方が,抗告人との性交渉中に離婚を求めたり,長男の入院先の病室へ離婚届用紙等を持参したりしたとしても,それらをもって不法行為を構成するほどの違法性のある行為とは評価できないし,その結果.抗告人と相手方が現実に協議離婚をしたことを踏まえたとしても同様である。その他,本件各記録を総合しても,離婚に伴う慰謝料請求を基礎付けるに足りる事実は認められなし、。したがって,相手方の抗告人に対する慰謝料的財産分与は認められない。もっとも,本件各記録によっても,抗告人の究に帰すべき明らかな離婚原因があったとは認められず,それにもかかわらず,抗告人が経済力の豊かな相手方から突然申し出られた離婚をわずか2か月ほと’で・受け入れたのには,相手方の離婚の要求がそれに応ぜざるを得ないほどに強いものであるとともに,抗告人において離婚を受け入れ易い経済的条件の提示があったからであると推認される〔相手方がワープロで作成,抗告人が手書きで加筆等を加えたiBとAに関することJで始まる文書(本件文書)中の相手方作成部分には.本件マンションについて,抗告人が子供を育てる間は家賃なしで居住し,それ以降硲敬、、で怯話し合いとする旨の提案が記載されており,生活の基本である住居が確保されることが上記のような離婚請求を受け入れたことに少なからず影響していることは容易に推認できる〕。したがって,この点は財産分与において無視できない事情というべきであるから,後述する扶養的財産分与においてこれを考慮する。
Jイ扶養的財産分与について
ケ) 抗告人は,扶養的財産分与として.長男が成人に達する月の平成26年×月×日を終期とする本件マンションの使用借権の設定(ちこだし,共益費,水道光熱費,駐車場使用料は抗告人が負担する。)を求めている〔なお,抗告人は,本件マンションの共有持分(6分の1)を固有の資産としてこれを保有することを前提にしているから,上記申立ては,実際上は,相手方の共有持分(6分の5)についての抗告人の使用借権の設定を求めるものと解することができる。〕。付) ところで,夫婦が離婚に至った場合,離婚後においては各自の経済力に応じて生活するのが原則であり,離婚した配偶者は. 他方に対し,雌婚後も婚姻中と同程度の生活を保証する義務を負うものではない。しかし,婚姻における生活共同関係が解消されるにあたって.将来の生活に不安があり,困窮するおそれのある配偶者に対し,その社会経済的な自立等に配臆して,資力を有する他方配偶者は,生計の維持のための一定の援助ない.し扶養をすべきであり,その具体的な内容及び程度は,当事者の資力,健康状態,就職の可能性等の事情を考慮して定めることになる。本件各記録によれば,抗告人の勤務先における給与収入は平成15年において年間約210万円で・あった(時給制で・賞与はない。)こと.他に社会保障給付として4か月毎に,市の遺児手当が4か月に一度未成年者ら3人分で合計3万4800円(月額8700円).県の追児手当が合計5万4000円(月額1万3500円).市の児童扶養手当が合計11万6680円(月額2万9170円)の給付を受けており,平成15年の月額収入は,給与収入,相手方からの養育費及び上記社会保障給付を合わせて平均約41万円であったこと,そして,抗告人の毎月の支出は,子供の学費等を含めて月額約37万円程度であるが,自動車税及び自動車保険料に加え,本件マンションの老朽化に伴う室内修繕費(例えば.平成16年4月には卜・ィレ修繕費として12万6000円を負担している。).二女の入学諸費用等の臨時出費をも踏まえると,抗告人の平成16年の年間収支は概ね同額程度であること,他方,相手方の収入は,平成15年において年間約1170万円(妻の収入も合わせた世帯収入は約1560万円,いずれも税込み)であるが, 自らの生活費以外に未成年者らへの養育費,本件マンションのローン返済だけでも月額30万円以上を負担しており(ローン返済は月額返済とは別に,さらに年2回各約41万円を負担している。).大学教授としての職業上の必要経費も一定程度見込まれることが認められる。以上の事実を前提にすれば,抗告人と相手方との収入格差は依然大きいも‘のの,抗告人は,社会経済的に一応の自立を果たしており, また,その収支の状況をみても,外形上は,一定の生活水準が保たれているかのようである。しかしながら,抗告人の上記収支の均衡は,住居費の負担がないことによって保たれているということができ〔本件各記録によれば,養育費審判においても,相手方の基礎収入において,本件ローンとして月額19万7094円, その共益費として月額1万8705円及び固定資産税として月額1万0742円などが差し引かれて計算され,その結果,未成年者3名の養育料を合計18万9000円として,相手方が本件マンションに関する費用を負担することを前提に未成年者らの養育費が算定されている。).抗告人及び未成年者らが居住できる住居(ある程度の広さが必要であり,そうとすれば賃料負担も少なくない。)を別途賃借するとすれば,たちまち収支の均衡が崩れて経済的に苦境に立たされるものと推認される。そうすると,本件においては,離婚後の扶養としての財産分与として,本件マンションを未成年者らと共に抗告人に住居としてある程度の期間使用させるのが相当である。加えて,前記のとおり,抗告人が相手方からの離婚要求をやむなく受け入れたのは,その要求が極めて強く,また本件文書倍おいて一定の経済的給付を示されたからこそであると推認され,上記給付には,抗告人が未成年者らを養育する聞は家賃なしで・本件マンションに住めることが含まれており,この事情は扶養的財産分与を検討する上で・看過で、きないこと(もっとも.本件文書の内容からすると,相手方は,抗告人が未成年岩らを養育する期聞を離婚後4年間程度と想定していたものと解されるが,それは,その時点における相手方の見通しを示したものというべきであって,離婚から3年半後の平成14年12月27日に,未成年者らの親権者を相手方から抗告人へと変更する審判がなされ,これが確定したことにより,上記期間は4年を超える相当程度の長期間となったのであるから,上記離婚の経過等に照らせば,相手方においても,抗告人が4年を越える期聞を家賃なしに本件マンシコンに居住することを受忍すべきものである。).前記のとおり,抗告人は.本件マンションの購入費用を含めて合計1000万円に近い持参金を婚姻費用として提供しており,これらは,夫婦共有財産としては残存しておらず,具体的な清算の対象とはならないものの,上記金額に照らすと.分与の有無,額及び方法を定める「一切の事情J(民法768条3項)のひとつとしてこれを考慮するのが相当であること,未成年者らの年齢(殊に,平成18年×月×臼をもって長女は成人に達し,平成19年3月には二女も高校を卒業する。).その他,以上で認定した諸般の事情を総合すると,扶養的財産分与として二女が高校を,長男が小学校を卒業する時期(離婚から約8年を経過した時期)である平成19年3月31日まで本件マンションについて相手方を貸主,抗告人を借主として,期間を離婚成立日である平成11年6月4日から平成19年3月31日までとする使用貸借契約を設定するのが相当というべきである(もっとも,上記契約は使用貸借契約であり,また,それは扶養的財産分与であるから,使用が確実に確保される必要があることなどの事情を踏まえ,共有持分全部移転登記手続は,上記使用貸借期間終了時におし、てこれを行うとするのが相当である。)。そして,養育費申立ての審判における相手方の基同礎収入の都定にーおし、て,共益費の負担が考慮されているが,共益費,光熱費及ひ’駐車場使用料を抗告人の負担とすることは,抗告人もその申立の趣旨に掲げており,上記各費用の性質に照らしても,現実に本件マンションを使用する抗告人の負担とするのが相当である。(ウ) これに対し,相手方は,未成年者らに対し十分な養育費を支払っており, との上本件マンションに使用借権を設定することは抗告人に不当な利益を与えるものであり,離婚後における相手方の将来にわたる収入をも財産分与の対象とするものであって,不当であると主張する。確かに,抗告人のために本件マンションの使用借権を設定することは,未成年者らの養育ないし利益の側面を否定できないが,他方で..抗告人の離婚後の生計の維持にとって必要であることは前記のとおりである(しかも,抗告人が親権者として未成年者ら3名を監護扶養する以上,そのような負担を負った抗告人の離婚時の扶養の側面と上記未成年者らの利益等は,事実上も峻別できない。)。そうすると,これをもって抗告人に不当な利益を与えるとはし、えず, また.離婚後応3否ける相手方の将来にわたる収入をも財産分与の対象とするものでもない。なお,相手方は,抗告人に対し,離婚した翌月の平成11年7月から平成16年3月までの57か月間の,本件マンションの共益費(月額1万8705円)合計106万6185円の支払を求めるところ,確かに,本件各記録によれば,相手方が上記費用を負担していることが認められるが,本件マンションに関する諸費用の処理は,本件財産分与に関する審判の確定をもって明確になるものであるから, 上記は財産分与の審判中においては考慮しない。同上記を前提とすると,抗告人は将来転居の必要が生じるところ,本来,その費用は,離婚後の自助努力によるべきところであるが,抗告人の前記生活状況等及び前記(原審判)のとおり,相手方の転居費用が婚姻費用によって賄われたことなどをも考慮し,その一部50万円を相手方から抗告人に分与させることとし,前記(第3.3(1)エ)の清算的財産分与の清算額55万9132円に加算して,合計105万9132円を分与するのが相当である。
第4 結論
よ勺て,抗告人から相手方に対する本件財産分与の申立ては,主文第l項ないし4項の限度で認容するのが相当であり.これと異なる原審判は相当でないから,これを変更することとし,主文のとおり決定する。(裁判長裁判官田中由子裁判官林道春・山崎秀尚)
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2012年2月26日 | コメント/トラックバック(0) |
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請求すべき按分割合に関する処分申立てに対する抗告事件
1 本件抗告の趣旨及び理由は,別紙即時抗告申立書(写し)記載のとおりである。
2 当裁判所も,原審判別紙1及び同2記載の情報に係る年金分割についての諮求すべき按分割合をいずれも0.5と定めるのが相当であると判断する。その理由は,原審判「理由」欄の「2 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。抗告人は,抗告人が定年退職する7年前から別居し,抗告人が定年退職した後は家庭内別居をしている旨主張する。しかし,前記引用に係る原審判が説示するとおり婚姻期間中の保険料納付や掛金の払い込みに対する寄与の程度は,特段の事情がない限り,夫婦同等とみ,年金分割についての請求割合を0.5と定めるのが相当であるところ,抗告人が主張するような事情はJ保険料納付や掛金の払いぎみに対する特別の寄与とは関連性がないから,上記の特段の事情に当たると解することはできない。したがって,抗告人の主張は失当である。
3 よって,原審判は相当であり,本件抗告は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり決定する。(裁判長裁判官伊藤紘基裁判官北津品中川博文)
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2012年2月26日 | コメント/トラックバック(0) |
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特別縁故者に対する相続財産分与申立却下審判に対する即 時抗告事件
第1 抗告の趣旨及び理由
別紙記載のとおり
第2 当裁判所の判断理由
1 本件記録によれば,以下の事実が認められる。
(1) 被相続人Bは,平成13年10月14日死亡し,その相続が開始した59・2-182裁判例u(家事Jが,同人の法定相続人が総て相続を放棄したので,相続人が不存在となった。
(2) cは,被相続人に対する債権者として,平成15年2月6日,岡山家庭裁判所に対し,相続財産管理人選任の申立てをし,同年7月9日付けで盲J由続財産管理人が選任された。その後,同管理人の請求により相続人捜索の広告がなされ,平成16年10月29日,その期間が満了したが,その期間内にその権利を主張する者はいなかった。
(3) 抗告人は,平成16年12月1日,相続財産分与の申立てをした」
(4) 抗告人は,被相続人の守長男であり,唯一の子供である。抗告人は,出生以来平成4年12月に被相続人の妻である自己の母が亡くなるまで,被相続人と同居生活をしており,その後平成5年に婚姻して,現住所で生活するようになったが,被相続人宅は自己の職場の近所で・あったこともあって, 3日に一度は被相続人宅を訪ね,被相続人の生活に気遣っていた。按相続人は,平成12年とろから肺ガンで入院生活を送るよう己なったが,約1牛聞の入院期間中毎月5ないし6万円の入院費用を支払い,週に1度は見舞いに行っていた。被相続人の葬儀は,抗告人が執り行った。
(5) 抗告人は,被相続人の死亡後,間もないころから,同人と生前に交際していたと主張するCから被相続人の負債につし、て, 執劫に弁済を求められたため, cなし、しその関係者から際限のない請求がされることを危倶し,平成13年10月22日相続放棄の申述をしたが相続財産についての情算が終了したので,相続財産分与の申立てをしたものである。
(6) 被相続人の相続財産を清算した結果,別紙財産目録記載の財産を被相続人の相続財産管理人が管理している。2 以上によれば,抗告人は民法958条の3第1項所定の特別縁故者にあたると認められ,その財産総てを抗告人に分与するのが相当である。
第3 結論
以上によれば,抗告人からの相続財産分与の申立てを却下した原審判は,相当ではないので,家事審判規則19条2項に基づき,原審判を取り消し,主文のとおり決定する。(裁判長裁判官前坂光雄裁判官渡過雅道横溝邦彦)〔編注〕別紙はすべて省略した。
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2012年2月26日 | コメント/トラックバック(0) |
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