間接強制申立事件
1 申立ての実情
本件は,債務者が,大阪家庭裁判所平成16年‘ (家イ)第xxxx号子の監護に関する処分(養育費減額請求)調停事件の執行力ある調停調書に基づき,未成年者c(以下「未成年者」という。)の養育費として.平成17年3月から同人が20歳に達する月まで, 1か月3万円ずっと,同年4月から平成21年4月まで,毎月2万円ずつを,それぞれ支払うべき債務を有しているにもかかわらず,その債務を履行せず,平成17年4月から8月分までの未払金が合計20万円に達しているため,債務者がこれを履行しないときは,債務者は債権者に対し,本決定送達日の翌日から履行済みまで1日につき3000円の割合による金員を支払う旨の決定を求めた事案である。
2 当事者双方の審尋結果を含む一件記録によれば,申立ての実情の他,次の事実が認められる。
(1) 債権者(昭和37年×月xx日生)及び債務者(昭和36年×月xx日生)は,夫婦であったが,平成10年8月17日,母である債権者を未成年者の親権者と定めて離婚し,以後,債権者が未成年者を養育監護している。
(2)債務者は,平成14年11月,現妻Dと再婚し,平成15年×月xx日,長男Eをもうけ.現在. 3人で賃貸マンションで生活している。
(3) 債務者は,平成16年11月29日, 当庁に子の庇護に関する処分(養育費減額詰求)調停事件を申立て,平成17年3月3日.債務者が債権者に対して,未成年者の挺育費として,同年3月から同人が満20歳に達する月まで. 1か月3万円ずつ支払うことなどを内容とした調停が成立した。
(4)債権者は,平成17年6月7日,当庁に同年4月分以降の未成年者の養育費の支払いが遅滞しているとして履行勧告を申し立てたが,自己が経営する会社の経営状態が悪化し,収入が減少していることを理由に支払いには応じなかった。
(5)債権者は,未成年者と共に生活している。未成年者は,現在,高校生である。
(6) 債務者は,現在株式会社○○の代表取締役であるが,同社は平成17年9昂2日,大阪地方裁判所に破産を申し立て,同年9月9・日,破産開始決定を受けた。また,債務者は,本件の審専において,既に債務者個人としても破産を申し立てたと述べている。ffl務者提出の資料によれば.同社の負債は,総計約7000万円以上あり,債務者個人の負債も総計約2400万円以上ある他.同社の連帯保証債務が総額約1720万円あるとのことである。債務者の平成17年分給与所得の源泉徴収票による役員給与の支払金額は192万7925円である(但し,平成17年7月末日まで)。債務者個人の破産申立宮の財産目録制には,現金39万円(口ロ口口生命保険の解約分).預貯金・積立金4358円,賃借保証金・敷金20万円,有価証券1万円の合計60万4358円が債務者の個人財産として記載されている。
(7) 債務者は,本件の審尋において.r前記養育費減額の調停成立後も会社の業績が下がり,破産するに至ったもので,債務者の収入は不安定であり,現段階で一定の金額を支払うことを約束できない。ギリギリの生活をしており,生活費を切り詰められる部分はない。J旨述べた。
3 当裁判所の判断民事執行法167条の15に基づく間接強制の制度は,同法の平成16年改正(f民事関係手続の改善のための民事訴訟法等の一部を改正する法律」平成16年i1月26日法律第152号)により創設された規定であるが,その立法趣旨は養育費を含む扶養義務等に係る金銭債躍は権利者の生計の維持に不可欠であり,特に保護の必要が高いことから,その権利の性質にかんがみ,裁判所がこれらの義務の履行をしない債務者に対して,金銭の支払いを命じることで心理的強制を加え,権利実現の円滑化を図ることにある。しかし,間接強制はこれらの義務に基づく金銭の支払いが真に困難である者に対して行われるとその者にとって過酷な事態を招く危険性があることから,同法は,債務者が支払能力を欠くためにその慌矛寿を弁済することができない場合又は弁済をすることによって生活が著しく窮迫する場合には間接強制の決定をすることができないと規定する(同条1項ただし暫)。そこで,債務者の流動資産を基礎として,資力を欠くために弁済できなし、場合及び弁済することで生活が著しく窮迫する場合か否かを検討することになる。本件における審理の過程で明らかになった債務者の収入,資産の状況,生活の現状等によれば,本件債務者には資力がないことが推認され,上記ただし書に規定されている,支払能力を欠くためにその債務を弁済することができない場合文は弁済をすることによって生活が著しく窮迫する場合に当たるから,間接強制を決定することは相当ではない。よって,本件申立てはこれを却下することとし,主文のとおり決定する。なお,養育費の支払義務は非免責債権(破産法253条)であり,債務者が個人として破産,免責決定を受けたとしても養育費の支払義務が免除されるわけではない。また,債権者が直接強制の方法で債務者の所有する財産を差し押える余地は残されている。債務者が未成年者の養育費の支払いを怠っていることは未成年者の生活保持義務者としての自覚を欠くものとして強く責められるべきことであり,債務者は,一部の支払いであったとしてもできるだけ速やかに養育費の支弘いを行うべきであることを付言しておく。(裁判官太田寅彦)
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2012年2月27日 | コメント/トラックバック(0) |
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間接強制申立事件
1 本件記録(平成15年隊)第CわO号婚姻費用分担申立事件を含む。) 及び債権者に対する審尋結果によれば,以下の事実が認められる。
(1) 債権者と債務者は,昭和51年12月7日に婚姻し,昭和52年×月×日に長男Cが.昭和54年×月×自に長女Dが,昭和55年×月×自に二男Eが,それぞれ出生した。
(2) 債権者は,平成15年7月に家を出て債務者と別居するようになら,同年8月6日,婚姻費用分担調停事件を申し立て,同年12月12日,同調停が不成立となり,平成16年2月20日, 債務者が債権者に対し,平成15年8月から平成16年1月までの婚姻費用分担金57万円と平成16年2月から債権者及び債務者が離婚文は別居状態を解消するまで月額9万5000円の婚姻費用分担金を支払う旨の審判がなされた。
(3) しかし,債務者は任意に婚姻費用分担金を支払わないため,債権者は,同年6月25日,平成15年8月から平成16年5月までの未払婚姻費用分担金を請求債権として,債務者が有限会社口口口(以下「口口口Jという。)から支給される役員報酬及び賞与を差押え,同年9月10日, 95万9520円(執行費用を含む。)の支払いを受けた。
(4) その後も債務者は任意に婚姻費用分担金を支払わないので,債権者は,同年10月29日,平成16年6月から同年9月までの未払婚姻費用分担金及び同年10月以降の婚姻費用分担金を請求債権として,債務者が口口口から支給される役員報酬及び賞与を差押えた。また,債権者は,平成17年4月26札口口口に対する取立訴訟を提起し,口口口に対し平成16年6月から平成17年1月までの婚姻費用分担金相当額76万円の支払いを命じる判決を受けたが,口口口が任意に支払わなかったため,同年5月26日,口口口の預金債権を差押え,同年6月1日,平成16年6月れら平成17年1月までの婚姻費用分担金77万円(執行費用を含む。)の支払いを受けた。
(5) 債務者は,口口口の代表者である。現在の役員報酬額は不明で・あるが,別居開始時の役員報酬額は45万円である。
2 以上の事実に基づいて検討すると,償う務者はこれまで全く任意に婚姻費用分担金を支払っていないが,債権者が役員報酬及び賞与を差押え,さらには債務者が代表者である口口口に対する取立訴訟を通じて未払いの婚姻費用分担金が支払われたことからすると,債務者には審判に・よって定められた婚姻費用分担金の支払能力があると考えられるから,本件間接強制の申立てを認めるのが相当である。なお,間接強制金の額については,これまでの支払い状況等諸般の事情を考臨し, 1日当たり3000円と定めるが,間接強制金の累積によって債務者に過酷な状況が生じるおそれのあることを考え,平成17年2月から同年6月までの婚姻費用分担金については150日間を,同年7月以降の婚姻費用分担金については,各月分ごとに30日聞をそれぞれ限度とすべきである。よって,主文のとおり決定する。(裁判官田尻克己)
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氏の変更許可申立却下審判に対する即時抗告事件
第1 事案の概要等
事案の概要理由
(1) 抗告人は, もと中国国籍の女性(当時の中国λっとしての姓はB川であった。)であるが, 日本国籍男性と婚姻し,婚姻中に長女をもうけた後,帰化し, 日本国籍を取得し,夫の戸籍に入籍した。その後,長女の親権者を抗告人と定めて失と協議離婚したが,その際,前夫の氏と同じfA山」を自己の氏と設定して新戸籍を編製した。
(2) 抗告人は,長女が高等学校に入学する機会に,A 山の氏をB川の氏に変更することの許可を求めた。原審は,上記申立てには,戸籍法107条1項に定める氏を変更すベき「やむを得ない事由」を認めることができないとし,これを却下する旨の原審判をした。
(3) 本件は,原審判を不服として,抗告人が後記のとおり主張して抗告した事案である。
2 抗告の趣旨及び理由抗告人は,原審判を取り消し,本件を原審に差し戻す旨の裁判を求めた。抗告理由の趣旨は,要するに,抗告人のような離婚した興作日本人に対し,離婚前の氏と同じ氏を称し続けさせることは酷であり,新しい民を称するためにされた本件氏の変更許可申立てには,戸籍法107条1項に定める「やむを得ない事由Jがあると解すべきである, というにあるものと解される。
第2 当裁判所の判断当裁判所は,原審判と異なり,抗告人の氏fA山」をfB)IIJに変更することを許可するのが相当であると判断する。その理由は,次のとおりである。
1 事実関係一件記録によれば,次の事実が認められる。
(1)抗告人は,元中国の国籍を有する者(1962年[昭和37年JO月O日生。当時の姓名はfB愛蘭Jである。)であるところ,昭和62年1月22日, 日本国籍を有するA山太郎(以下「太郎Jという。)と婚姻届出をし,兵庫県ムム市所在の笹頭者太郎の戸籍の身分事項欄にその旨の記載がされた。
(2) 抗告人は,平成元年口月口日. 太郎との間に,長女蘭.(以下「間」という。)をもうけ,聞は,同月17日,上記筆頭者太郎の戸籍に入籍した。
(3) 抗告人は,平成4年9月8日に日本に帰化したが,帰化に当たり,筆頭者太郎の上記戸籍に入籍し.A山の氏を称することとした。
(4) 抗告人と太郎は.平成10年1月19日,聞の親権者を抗告人と定めて協議離婚した(この間,太郎は,平成8年3月にζ D市に転籍している。)。抗告人は,その際,蘭が中学校を卒業するまではfA山」を称し,中学校卒業後に氏を変更したいと考えていたため,離婚後の氏として,太郎と同じfA山」を称することとし.00市を本籍地とし,抗告人を筆頭者,氏をfA山」とする新戸籍が編製され,平成10年1月2″6日に蘭が抗告人の戸籍に入籍した。
(5) 抗告人は,平成17年4月には蘭が現在の中学校を卒業して高校に進学する予定であるため,平成16年9月6日,神芦家庭裁判所に対ーして,抗告人の氏fA山」をfBJに変更することの許可を申し立てたところ(平成16年同第口口口口号氏の変更許可申立事件).同裁判所は,同月21日,同申立てを認容した(このとき,蘭は,抗告人の氏をfBJに変更することに同意していた。)。ところが,その直後.聞は,抗告人の氏がfBJに変更されると,蘭の氏名はfB蘭Jと,し、かにも中国風となってしまうため,今後日本の高校に進学し. 日本の社会で生活する上で・不安であると訴えるようになったため,抗告人は,その心情を思い,審判確定前の同月24日,上記申立てを取り下げた。
(6) 抗告人は,同月24日,上記申立取下げと同時に,同裁判所(原審)に対して,抗告人の氏fA山JをfB)IIJに変更することの許可を求める本件申立てをした。その理由としては,抗告人の氏の変更については,上記のような聞の心情に配階、する必要がある,抗告人自身は,離婚した夫に対する信頼感が失われているので.A山姓を続けて称したくない等と主張し.fB )IIJは, 自己のルーツに配慮した日本人としての氏として気に入っており,聞もこれに同意している,と主張している。
(7) 原審は. fA 山」は,珍奇,難読ではないし,同姓同名の者がいるために社会生活が混乱している等の事情はない,抗告人とfB)IIJという氏につながりはなく.使用実綴もないから,戸籍法107条1項所定の「やむを得ない事由Jは認められないと判断し,抗告人の申立てを却下する原審判をした。
2 以上の関係事実に基づき,抗告入の原申立ての当否について判断す.る。
(1)帰化により日本国籍を取得しえ者は,出生によって日本民法上の氏を取得しτいないので,帰化したことによって新たに氏を定めなければならず,その氏は,当該人の意,思に従って自由に設定することができるものと解される(昭和25年6月1日民事甲1566号民事局長回答参照)。しかし,帰化者の配偶者が日本人である場合は,帰化前には夫婦の氏は定まっていないのであるから,夫婦の氏及び本籍を同一にする要請から,夫婦いずれの氏を称するかを協議で定め,帰化者が筆頭者になる場合は,夫婦について新たな氏に基づく新戸籍を編製し, 日本人配偶者が筆頭者になる場合は,既に存在するその戸籍に入籍することとなる(上記回答,周年8月12日民事甲2099号民事局長回答参照)。更に.上記夫婦が離婚に至った場合において,帰化者が筆頭者であった場合には,帰化者がそのまま当該氏を称することになることは当然であるが,帰化者が日本人配偶者の戸籍に入籍していた場合は,帰化者は,夫婦の氏の決定につき主導性を有しておらず,事実上, 自らの氏を設定する機会が与えられていなかったことになるから.離婚の時点において改めて氏の設定の機会が与えられて新戸籍を編製すること、とされている(昭和23年10月16日民事甲2648号民事局長回答,昭和26年2月20日民事甲312号民事局長回答参照)。
(2) 上記の実務例に則して,抗告7人の場合を検討すると,抗告人は,日本国籍を有する太郎と婚姻し.その後出生した闘が既に太郎の戸籍に入籍していた状態で帰化したものであるから,帰化の時点では,事実上,自己の氏を設定する自由を有せず(夫婦の氏の決定につき主導性を有しておらず),太郎の戸籍に入籍するほかはなかったものと推認できる。そして,その後,抗告人が太郎と離婚した後に編製した新戸籍において設定した氏fA山」は,法律上は, I抗告人が自由な意思に基づいて選択した氏ではあるけれど,抗告人が聞の親権者となっていたことからすれば,就学年齢に達していた蘭に心理的混乱を起こさせないことを考慮.して,当面は,いわば婚氏を統称する趣旨でやむを得ない選択をしたものと理解することができる。そじて,記録によると,抗告人は,かねてから,いずれは,自己の自由な選択による氏を称したいと希望していたものであり,その希望を実現するため.蘭の高校進学の時期をよい機会としてfB)11 Jの氏を称すべく原申立てに及んだものである。
(3) ところで, 日本人同士の婚姻が破綻した場合に,一方配偶者‘(多くは妻)がその親権下にある子の氏のl呼称の変更を避け・るため,当面心ならずも婚氏を統称し,一定期間が経過し,子の氏のl呼称の変更に支障がなくなった時点において,婚姻前の氏に復氏するのと同様の効果を目的として,氏の変更許可の申立てをすることは,しばしばみられるところであるが, このような場合には, 特にそれを不相当とする事由のない限り,戸籍法107条1項に定める「やむを得ない事由Jがあるものとして, 許可の裁判をするのが相当と考えられる。これとの対比において,本件をみると,抗告人の原申立ては,上記の場合と類似した側面があるとみることができ,ただ,抗告人は.帰化した日本人であるから,婚』目前の氏に相当する日本人としての氏がないので,これに代わるものとして,自己の意思で選択した氏fBJII Jを設定し,それへの変更許可を求めているものと理解することができる。そして,帰化した日本人には,本来自己の自由に選択した氏を設定することが許されるのが原則であることは前記のとおりであるから,以上の事実関係を総合すると.-本件においては. 日本人であれば婚氏続称後の復氏に当たるものとして,抗告人の希望する氏fBJIIJ.を評価するのが相当であって,これにつき更に抗告人との繋がりや一定期間の使用実績を要求するまでの必要はないと解するのが相当というべきである。このように解しても,氏の変更制度の運用に関し,不都合な結果を生ずるとは解されない。なお,抗告人は,原申立ての直前に,その氏をfBJに変更することを許可され,審判確定前に当該申立てを取り下げたことは前記のとおりであるが,川は.抗告人が帰化する前の中国における・氏であって, 日本人としての氏ではないから,そのfBJと本件のfB川とは,いわば同価値であって,その聞に許可不許可の境界をもうけることは,必ずしも合理的ではなし、以上の次第で,本件においては.抗告人の氏をfBJIJに変更すべき「やむを得ない事情」があると認めるのが相当である。
3 よって,以上の見解と異なる原審判は相当ではないから,家事審判規則19条2項により,原審判を取り消し,審判に代わる裁判をする趣旨で主文のとおり決定する。(裁判長裁判官田中j仕太裁判官橋詰均三宅康弘)
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預託金返還請求事件
上告代理人○○,○○の上告受理申立て理由について
l 原審の確定した事実関係の概要は,次のとおりである。
(1) Aは,平成8年10月13日死亡した。その法定相続大は,妻である被上告人のほか,子である上告人, B, C及びD (以下,この4名を「上告人ら」という。)である。
(2) Aの遺産には,第l審判決別紙遺産目録1(l)-(In記載の不動産(以下「本件各不動産」という。)がある。
(3) 被上告人及び上告人らは,本件各不動産から生ずる賃料、管理費等について.J.註産分割により本件各不動産の帰属が確定した時点で清算することとし,それまでの期間に支払われる賃料等を管理するための銀行口座(以下「本件口座」という。)を開設し,本件各不動産の賃借入らに賃料を本件口座に振り込ませ,また.その管理費等を本件口座から支出してきた。
(4) 大阪高等裁判所は,平成12年2月2日,同裁判所平成11年(ラ)第xx×号遺産分割及び寄与分を定める処分審判に対する抗告事件において.本件各不動産につき遺産分割をする旨の決定(以下「本件遺産分割決定」という。)をし,本件遺産分割決定は,翌3日,確定した。
(5) 本件口座の残金の清算方法について,被上告人と上告人らとの聞に紛争が生じ.被上告人は,本件各不動産から生じた貨ネぽf権は,相続開始の時にさかのぼって,本件遺産分割決定により本件各不動産を取得した各相続人にそれぞれ帰属するものとして分配額を算定すべきであると主張し,上告人らは,本件各不動産から生じた賃料債権は,本件i立産分宮IJ決定確定の日までは法定相続分に従って各相続人に帰属し,本件逃産分筈IJ決定確定の日の・翌良から本件各不動産を取得した各相続人に帰属するものとして分配額を算定すべきであると主張した。
(6) 被上告人と上告人らは,本件口座の残金につき,各自が取得することに争し、のない金額の範囲で分配し,争いのある金員を上告人が保管し(以下,この金員を「本件保管金」という。).その帰属を訴訟で確定することを合意した。
2 本件は,被上告人が,上告人に対し,被上告人主張の計算方法によれば.本件保管金は被上告人の取得すべきものであると主張して,上記合意に基づき,本件保管金及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成13年6月2日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるものである。
3 原審は,上記事実関係の下で\次のとおり判断し,被上告人の請求を認容すべきものとした。遺産から生ずる法定果実は.それ自体は遺産ではないが,遺産の所有権が帰属する者にその果実を取得する権利も帰属するのであるから,遺産分割の効力が相続開始の時にさかのぼる以上,遺産分割によって特定の財産-を取得した者は,相続開始後に当該財産から生ずる法定果実を取得することができる。そうすると,本件各不動産から生じた賃料噴権は,相続開始の時にさかのぼって,本件遺産分割決定により本件各不動産を取得した各相続人にそれぞれ帰属するものとして,本件口座の残金を分配すべきである。これによれば,本件保管金は,被上告人が取得すべきものである。
4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。遺産は,相続人が数人あるときは,相続開始から遺産分割までの問,共同相続人の共有に属するものであるから,この聞に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は.追産ーとは別個の財産というべきであって,各共同相続人がその相続分に応じて分割l単独債権として確定的に取得するものと解するのが相当である。遺産分割は,相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずるものであるが,各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得した上記賃料般権の帰属は,後にされた遺産分割の影響を受けないものというべきである。したがって,相続開始から本件遺産分割l決定が確定するまでの聞に本件各不動産から生じた賃料債権は,被上告人及び上告λらがその相続分に応じて分筈IJ単独債権として取得したものであり,本件口座の残金は,これを前提として清算されるべきである。そうすると,上記と異なる見解に立って本件口座の残金の分配額を算定し.被上告人民本件保管金を取得すべきであると判断して,被上告人の諮求を認容すべきものとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり,原判決は破棄を免れない。そして.本件については,更に審理を尽くさせる必要があるから,本件を原審に差し戻すこととする。よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。(裁判長裁判官才口千晴裁判官横尾和子甲斐中辰夫泉徳治島田仁郎)
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推定相続人廃除申立事件
第1 事案の概要
1 一件記録によれば,本件申立ての前提となっている事実として,以下のとおり認められる。
(1) 相手方は,被相続人の夫で遺留分を有する推定相続人である。被相続人の推定相続人には,他に被相続人と相手方の間の長女である申立外Dがいる。申立人は,弁護士であり,被相続人がした平成13年11月16日付け遺言公正証書による遺言により迫言執行者と指定され,平成14年3月23日に被相続人が死亡して相続が開始したことにより,その任務に就いたものである。
(2) 被相続人は,上記遺言公正証書において,①その有する一切の財産をDに相続させること,②相手方を推定相続人から廃除すること,③遺言執行者として申立人を指定すること,以上の内容の遺言をした。上記遺言公正証書に記載された相手方を推定相続人から廃除する具体的な理由は,相手方において,被相続人が「癌末期の病状にあり,低温,雑菌のある生活環境を避けるべき状況にあるにもかかわらず,暖房費がもったいないなどとして極めて劣悪な環境の中に生活させるなどの肉体的虐待を加えJたことの他.相手方の前妻との聞の長男である申立外Eに対し.rはらわたが腐っているので,黙っていてもまもなく死ぬので慰謝料など支払う心配はない。ピター,一文出す値のない女である。」と言ったり,同じく長女である申立外F「安心して療養し,せめて術関な中で送ってあげたらどうですか。」と言われたのに対し.「その必要もないし,気持ちもない。夫婦のことにロを出してくれるな。」と言うなどの精神的虐待を加え続けたというものである。
(3) なお,被相続人は,平成13年11月30日申立人を訴訟代理人として,相手方に対し離婚等を請求する訴訟を提起し(郵11路地方裁判所北見支部平成13年(タ)第00号).原告(本件被相続人)及び被告(本件相手方)の各本人尋問並びにEの証人尋問がなされたが,その終結前に被相続人が死亡したため,同訴訟は終了したものである。
2 申立人は,上記述言に基づき,迫言執行者として.相手方が被相続人に対し上記1(2)記載のとおりの虐待を加えたとして,相手方を被相続人の推定相続人から廃除する旨の審判を求め-た。相手方は,被相続~人に対しで上記遺言公正証告に記載されたような虐待を加えたことはない旨争っている。
第2 当裁判所判断
1 一件記録並びにE.F及び相手方に対する審問の結果によれば,申立人主張の廃除事由の有無に関連する事官!?として,以下のとおりの事実が認められる。
(1) 被相続人と相手方は,昭和53年1月30日に婚姻し,長女o(昭和56年×月×日生)をもうけた。なお,相手方にとっては2度目の婚姻であり,前妻との聞にEとFの2名の子がいた。被相続人,相手方及びDは,婚姻後に中古住宅を購入し,以後平成13年2月(後記(6)参照)まで同居した。相手方は,中学校の音楽教師(平成3年退職)をしていたが,趣味と称じて使用済みの.ふすま,釣り船の残骸等の廃品を集めてはこれを家に持ち込んだり,廃品等を使って自転車等を作ったり,小型飛行機の免許を取って,高額の小型飛行機を購入するなどする一方,必要な出資を出し渋るなど,周聞からは通常でない生活態度であるとみられていた。もっとも,平成11年までは,被相続人はこれを少なくとも認容していたようであり,相手方との聞に表だって深刻な対立があったとは見受けられない。
(2) 被相続人は.平成11年11月に末期の卵巣ガンの宣告を受け,入退院を繰り返しながら. 2度の手術や化学療法により治療を受けた。被相続人の病状につ.いては相手方も認識していた。
(3)相手方は,平成11年ころから,冬季の暖房代の節約と称して,自宅の居聞をビニールシートでテントのように囲み,その中のみをl援房したり,集めてきた廃材を燃やすなどするようになった。相手方は, 日々このビニールシートの中で生活しており,中でたばこも吸っていた。なお,相手方は,前妻と離婚する前にもこのような生活態度を取ったこともあった。.被相続人は,平成12年3月に退院したが,相手方の上記の生活態度は変わることはなく,被相続人はやむなく居間の隣の暖房の行き渡らない部屋で・療養していた。被相続人は相手方に対し, ビニールシー卜を外し,暖房を入れ,家を清潔にしてほしい旨言っても,間・き入れることはなかった。翌冬(平成12年から平成13年)においても,相手方は,自宅において上記同様の生活を続け,被相続人はビニールシートの外で療養していた。
(4) Fは,父の後妻である被相続人と同居したことはなかったが, 10年前くらいから札幌に住むようになったことから,数回被相続人らの自宅を訪れたり,被相続人と電話で連絡をとるなどするようになった。被相続人かガンの闘病生活に入った後は,被相続人が相手方の生活態度についてFに不満を述べるなどしたこともあった。Fは,同じく札幌在住のEとも数回連絡をとり,闘病中である被相続人の療養環境を心配して,相手方の生活態度について話し合うなどしていた。両名は,平成12年末ころに, x x町在住の被相続人の実兄である申立外Gとの間で,被相続人の療養環境につき相談をしていた。E及びFは,それぞれ何度も,相手方に対し,現在の生活態度を改めて,被相続人が療旋できる環境を作るよう忠告したが,相手方は「夫婦のことに口出しするな。」などと言ってこれを聞き入れながった。(5) 相手方は,被相続人が闘病生活に入った後, Eの上記忠告に対して,「( 被相続人は)五臓六蹄が腐Jてて,どうにもならんのだわ。」「黙っていてもまもなく死ぬんだから。」などと言ったことがあった。きた,相手方は,被相続人に対し, r死人に口なし」とか,「( 被相続人が治療の副作用のためにカツラを買ってほし丸、と頼んだのに対し)何時死ぬか分からない人間にカツラは必要ないだろう」などと言ったこともあり,保険会社の者に対し,被相続人のいる前で被相続人の死亡保険金の話をしていたこともあった。
(6) 平成13年2月初旬,相手方は,その自宅において,0が使っていた電気ストープを取り上げ, r家には昼間電気を使う金などない。,寒くて勉強できなかったら出ていけ。」などと言ったため,被相続人はDとともに自宅を出ることを決意し,その日の夜中,被相続人はGに電話をかけて助けを求めた。Gは,被相続人らの自宅に駆け付け,・相手方の張ったビニールシートや,被相続人とBがl匿を取れずにいる状況等を現認して,被相続人とDを連れ出すこととし,両名をxx吋内の自宅へ連れて行った。I
(7) 被相続人とDは,平成13年2月末ころから,被相続大の入通院の便宜のために,ムム市内にアパートを借りて居住した。相手方が被相続人側に自宅に戻るよう申し入れたこともあったが,EやFの説得にもかかわらす,自宅の環境の改善を拒否したため,被相続人が自宅に戻ることはなかった。かえって,被相続人が再度入院した際には,医師の措置により,相手方の面会を拒否されることもあっυた。相手方とG刻居後,被相続人は,ガン闘病のかたわら,E, F及びGの勧めもあって,相手方との離婚を決意し,当庁に調停を申し立てたが,相手方が出頭を拒否したため調停不成立となった。よって,当裁判所は,参与員○○, 同ロロ、△△の意見を聴いたせてその中のみを暖房していたこと等について自認している一方で, 上,主文のとおり審判する。(家事審判官柴田雅司)
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2012年2月27日 | コメント/トラックバック(0) |
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離婚等請求本訴,同夜訴事件
上告代理人◯◯◯◯ほかの上告受理申立て理由1の (1) から(7) までについて
1 記録によれば,本件の経緯の概要は,次のとおりである。
(1) 上告人と被上告人とは,平成12 年×月×日に婚姻の届出をした夫婦である。上告人は,平成13 年×月×日から現在まで被上告人と別居し同年10 月×日には被上告人の子である長男を出産し,単独 ているが,でその監護に当たっている。
(2) 本件訴訟において,上告人は,本訴として,被上告人に対し,離婚 を請求するとともに,平成14 年10 月から長男が成年に達する日の属する月までの聞の長男の養育費,すなわち監護費用の分担の申立てなどをし,被上告人は,反訴として,上告人に対し,離婚等を請求した。
(3) 第1 審は,本訴及び反訴の各離婚請求をいずれも認容して長男の親権者を上告人と定めるなどしたほか,被上告人の支払うべき監護費用の分担額について,長男が出生した平成13 年10 月から第 1 審口頭弁論終結時の前月である平成16 年11 月までの聞の未払監護費用の合計を150万円と定めるとともに,平成16年12月から長男がj成年に達する日の属する月まで1か月8万円と定めa これらの支払を命じた。
(4) これに対し,被上告人は, 監護費用分担の申立てなどに関する第1審の判断に不服があるとして控訴した。なお,第1審判決中の離婚及び親権者の指定iこ関する部分に対しては, 不服申立てがされなかった。原審は,離婚の効力が生ずる原判決確定の白から長男が成年に達する日まで・の聞における監護費用については, その分担額を1か月8万円と定め,被上告人に対しその支払を命じたが,平成14年10月から離婚の効力が生ずるまでの聞における長男の監護費用分担の申立て(以下「本件申立て」という。)については,離婚の訴えに附帯してそのような申立てをすることができなし、から不適法であるとし,第1審判決を変更して本件申立てを却下刻した。しかし.ながら,本件申立てに係る原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次の通りである。離婚の訴えにおいて,別居後単独で子の監誕に当たっている当事者から他方の当事者に対し,別居後離婚までの期聞における子の監護費用支払を求める旨の申立てがあった場合には,民法771条, 766条r項が類推適用されるものと解するのが相当であると,(最高裁平成7年同第1933号同9年4月10日第一小法廷判決・民集51巻4号1972頁参照)。そうする当該申立ては,人事訴訟法32条1項所定の子の監護に関する処分右求める申立てとして適法なものであるということができるから,裁判所は,離婚請求を認容する際には, 当該申立ての当否について審理判断しなければならないものというべきである。以上と異なる見解に立って,本件申立てを不適法として却下した原審の判断には.判決の結論に影響を及ぼすことが明らかな法令の運反があ原判決のうち本件申立てに関する部分は破棄を同部分につき,更に審理を尽くさせるため,本件をる。論旨は理由があり,免れない。そして.原審に差し戻すこととする。なお,その余の請求及び申立てに関する上告については,上告受理申立ての理由が上告受理の決定において排除されたので,棄却することとする。よって,裁判官全員一致の意見で,主文’ のとおり判決する。(裁判長裁判官 今井功 裁判官 津野修 中川了滋 吉田佑紀)
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2012年2月27日 | コメント/トラックバック(0) |
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市町村長の処分に対する 不服申立て却下審判に対 する抗告審の変更決定に 対する許可抗告事件
抗告代理人◯◯◯◯ほかの抗告理由について
1 本件は, 日本人夫婦・である相手方らが,相手方Xlの精子と同X2の卵子を用いた生殖補助医療により米国ネパダ州在住の米国人女性ポ懐胎し出産した双子の子ら(以下「本併子らJとしみ。)について,抗告人に対し,相手方らを父母とする嫡出子としての出生届(以下「本件出生届」という。)を提出したところ,、抗告人は,相手方X2による分娩(出産)の事実が認められず,相手方らと本件子らとの聞に嫡出親子関係が認められないことを理由として本件出生届を受理しない旨の処分をし, これに対し,相手方らが, 戸籍法118条に基づき,本件出生届の受理を命ずることを申し立てた事案である(以下, この申立てを「本件申立て」という。)。
2 記録によれば,本件の経緯の概要は,次のとおりである。
(1) 相手方Xiと同X2は,平成6年×月×日に婚姻した夫婦である。
(2) 相手方X2は,平成12年×月×臼,子宮頭部がんの治療のため,子宮摘出及び骨盤内リンパ節剥離手術を受けた。この際,相手方X2は.将来自己の卵子を用いた生殖補助医療により他の女性に子を懐胎し出産してもらう,いわゆる代理出産の方法により相手方らの遺伝子を受け継ぐ子を得るととも考え,手術後の放射線療法による損傷を避けるため,自己の卵巣を骨盤の外に移して温存した。相手方らは,平成14年に米国在住の夫婦との間で代理出産契約を締結し,同国の病院において2度にわたり代理出産を試みたが,いずれも成功しなかった。
(3) 相手方らは,平成15年に米国ネパダ州在住の女性A (以下fAJという。)による代理出産を試みることとなり, cセンターにおいて.同年×月×日,相手方X2の卵巣から採取した卵子に,相手方X,の精子を人工的に受精させ.同年×月×日.その中から2個の受精卵を,Aの子宮に移植した。・同年5月6日,相手方らは,A及びその夫であるB夫妻(以下.fAB夫妻Jとし、う。)との間で,Aは,相手方らが指定しAが承認した医師が行う処置を通じて,相手方らから提供された受精卵を自己の子宮内に受け入れ,受精卵移植が成功した際には出産まで子供を妊娠すること,生まれた子については相手方らが法律上の父母であり,AB夫妻は.子に関する保護権や訪問権等し、かなる法的権利文は責任も有しないことなどを内容とする有償の代理出産契約(以下「本件代理出産契約Jという。)を締結した。
(4) 同年11月×日, Aは,ネパダ州a市Dセンターにおいて,双子の子である本件子らを出産した。
(5) ネパダ州修正法126章45条は,婚姻関係にある夫婦は代理出産契約を締結することができ,この契約には.親子関係に関する規定,事情59・7-74裁判例( 家事)が変更した場合の子の監謹権の帰属に関する規定,当事者それぞれの責任と義務に関する規定が含まれていなければならないこと(1項),同要件を満たす代理出産契約において親と定められた者は法的にあらゆる点で実親として取り扱われること(2項),契約書に明記されている子の出産に関連した医療費及び生活費以外の金員等を代理出産する女性に支払うこと文はその申出をすることは違法であること(ミ項)を規定しており,同意には,親子関係確定のための裁判手続に関する諸規定が置かれている。同章161条は,親子関係確定の裁判は,あらゆる局面において決定的なものであることは項),親子関係確定の裁判が従前の出生証明n:の内容と異なるときは,新たな出生証明君の作成を命ずべきこと(2 項)を規定している。
(6)相手方らは,同年11月下旬,ネパダ州ワショー郡管轄ネパダ州第二司法地方裁判所家事部(以下「ネノ〈ダ州裁判所Jとし、う。)に対し親子関係確定の申立てをした。同裁判所は,相手方ら及びAB夫妻が親子関係確定の申立告に記載されている事項を真実であると認めていること及びAB夫妻が本件子らを相手方らの子として確定することを望んでいることを確認し,本件代理出産契約を含む関係書類を精査した後,同年12月1日,相手方らが2004年(平成16年) 1月あるいはそのころAから生まれる子ら(本件子ら)の血縁上及び法律上の実父母であることを確認するとともに(主文1項),子らが出生する病院及び出生証明書を作成する責任を有する関係機関に,相手方らを子らの父母とする出生証明書を準備し発行することを命じ(主文2項),関係する州及び地域の登記官に,法律に準拠し上記にのっとった出生証明記を受理し,記録保管することを命ずる(主文3項)内容の「出生証明書及びその他の記録に対する申立人らの氏名の記録についての取決め及び命令」を出した.(以下「本件裁判Jという。)。
(7) 相手方らは,本件子らの出生後直ちに養育を開始した。ネバダ州は,平成15年12月31日付けで,本件子らについて,相手方Xlを父,相手方X2を母と記載した出生証明書を発行した。181 相手方らは,平成16年1月,本件子らを連れて日本に帰国し,同月22日,抗告人に対し.本件子らについて.相手方X1を父,相手方X2を母と記載した嫡出子としての出生届(本件出生届)を提出した。抗告人は,相手方らに対し,同年5月28日,相手方X2による出産の事実が認められず,相手方らと本件子らとの聞に嫡出親子関係が認められないことを理由として.本件出生届を受理しない旨の処分をしたことを通知した。
3 原々審は,本件申立てを却下したが,原審は,要旨次のとおり説示して.原々決定を取り消し,本件出生届の受理を命じた。
(1) 民訴法118条所定の外国裁判所の確定判決とは,外国の裁判所が, ・その裁判り名称,手続,形式のいかんを問わず,私法上の法律関係について当事者双方の手続的保障の下に終局的にした裁判をいうものと解される(最高裁平成6年同第1838号同10年4月28日第三小法廷判決・民集52巻3号853頁)。ネパダ州裁判所による相手方らを法律上の実父母と確認する旨の本件裁判は,親子関係の確定を内容とし,我が国の裁判類型としては,人事訴訟の判決文は家事審判法23条の審判に類似するものであり,外国裁判所の確定判決に該当する。
(2) 民訴法118条3号の要件について本件裁判が民訴法118条による効力を有しないとすると,相手フデらと本件子らとの嫡出親子関係については,相手方らの本国法である日本法が準拠法となるところ,我が園の民法の解釈上,法律上の母子関係については子を出産した女性が母であると解されるから,相手方ら59・7-76裁判例( 家事)は法律上の親ではないことになる。一方,本件子らとAB夫妻との親子関係については. AB夫妻の本国法であるネバダ州修正法が準拠法となるところ,同法上.本件代理出産契約は有効とされ,相手方らが法律上の親であって. AB夫妻は本件子らの法律上の親ではないことになる。本件子らは, このよ’うな両国の法制度のはざまに立たされて,法律上の親のな.い状態を甘受しなければならないこととなる。民訴法118条3号所定の「判決の内容が日本における公の秩序文は善良の風俗に反しないこと」とは,外国裁判所の判決の効力を我が国で認め,法秩序に組み込むことにより我が国の公序良俗(渉外性を考慮、してもなお譲ることのできない我が国の基本的価値,秩序)に混乱をもたらすことがないことを意味するがこれを判断するについては,上記の状況を踏まえ,本件事案につき,個別的かつ具体的内容に即した検討をした上で,本件裁判の効力を承認することが実質的に公序良俗に反するかどうかを判断すべきであるところ,以下のとおり,本件裁判の効力をゑ認することは実質的に公序良俗に反しないというべきである。ア我が国の民法等の法制度は,生殖補助医療技術が存在せず,自然懐胎のみの時代に制定されたものであるが,法制定当時に想定されていなかったことをもって,人為的な操作による懐胎文は出生のすべてが,我が国の法秩序の中に受け入れられないとする理由にはならず,民法上,代理出産契約に基づいて親子関係がミ確定されることはないとしても,外国でされた人為的な操作による懐胎又は出生に関し,外国の裁判所がした親子関係確定の裁判については,厳格な要件を踏まえた上で受け入れる余地はある。イ本件子らは,相手方X2の卵子と相手方Xlの精子により出生した子らであり,相手方らと本件子らとは血縁関係を有する。本件代理出産契約に至ったのは,相手方X2の子宮頭部がんによる子宮摘出手術等の結果,ウ自ら懐胎により子を得ることが不可能とその なったため,相手方らの遺伝子を受け継ぐ子を得るためには,Aが代理出産を申し出たのは,ボランティア精神に基づその動機・目的において不当な要素をうかがうこと方法以外はなかったことによる。他方, コニくものであり,ができず,本件代理出産契約は相手方らがAに手数料を支払う有その手数料は.Aにょっe て提供された働き及び 償契約であるが,これに関する経費に関する最低限の支払(ネパダ州修正法において-認められているもの)であり,子の対価ではない。契約の内容についても,妊娠及び出産のいかなる場面においても, Aの生命及び身体の安全を最優先とし, Aが胎児を中絶する権利及び中絶しない権利を有しこれに反する何らの約束も強制力を持たないこととされ, Aの尊厳を侵害する要素を見いだすことはできない。オー本件では, AB 柔妻は,本件子らと親子関係にあることもこれを養育することも望んでおらず,他方,相手方らは,本件子らを?出生直後から養育し,今後も実子として養育することを強く望んでいるので・あって,本件子らにとって,相手方らを法律的な親と認めることがその福祉を害するおそれはなく,むしろ,相手方らに養育されることがもっともその福祉にかなう。厚生科学審議会生殖補助医療部会は,代理出産を一般的に禁止す カその禁止の理由として挙げられている子らの福祉の優先,人を専ら生殖の手段として扱うこる結論を示しているが,本件代理出産は,と.の禁止,安全性,優生思想の排除,商業主義の排除,人間の尊厳の6原則に反する.ことはなし、。現在,我が国で・は一代理出産契約について明らかにこれを禁止する規定は存せず,我が国では代理出産を否定するだけの社会通念が確立されても、るとまではいえない。キ 法制審議会生殖補助医療関連親子法制部会における議論で・は,外国で代理出産が行われ,依頼者の夫婦が実親となる決定がされた場その決定の効力は我 合,代理出産契約は我が国の公序良俗に反し,が国では認められないとする点に異論がなかったが,本件裁判は,本件代理出産契約のみに依拠して親子関係を確定したので・はなく,本件子らが相手方らと血縁上の親子関係にあるとの事実及びAB 夫妻も本件子らを相手方らの子と確定することを望んでおり関係者の聞に本件子らの親子関係について争いがないことも参酌して,本件子らを相手方らの子と確定したのであり,本件裁判が公序良俗に反するものではなし、。本件のような生命倫理に関する問題につき,我が国の民法の解釈 クでは相手方らが本件子らの法律上の親とされないにもかかわらず,外国の裁判の効力を承認する結果として,我が国において相手方らを本件子らの法律上の親とすることに違和感があ忍ことは否定でき身分関係に関する外国裁判の承認について しカミしなヵ:ら, ない。は,多くの下級審裁判例や戸籍実務(昭和51 年 1 月14 日民二第280号法務省民事局長通達参照)においては,身分関係に関する外国の裁判についても,準拠法上の要件は満たす必要はなく,民訴法118これを承認するものとされておこの考え方は国際的な裁判秩序の安定に寄与するもので・あっ条に定める要件が満たされれば,り,て,本件事案においてのみこれに従わない理由は見いだせない。よって,本件裁判は民訴法118 条の適用ないし類推適用により効力を有し,本件子らは相手方らの嫡出子ということになるから,本件出(3) .生届は受理されるべきである。しぞしながら,原審の上記判断のうち(2) 及び(3) は是認することができ ない。
4その理由は,次のとおりである。
(1) 外国裁判所の判決が民訴法118条により我が国においてその効力を認められるためには,判決の内容が我が国における公の秩序文は善良の風俗に反しなし、ことが要件とされているところ,外国裁判所の判決が我が国の採用して\、ない制度に基づく内容を含むからといって,その一事をもって直ちに上記の要件を満たさないということはできないが,それが我が国の法秩序の基本原則ないし基本理念と相いれないものと認められる場合には,その外国判決は,同法条にいう公の秩序に反するというべきである(最高裁平成5年同第1762号同9年7月11日第二小法廷判決・民集51巻6号2573頁参照)。実親子関係は,身分関係の中でも最も基本的なものであり,様々な社会生活上の関係における基礎となるものであって.単に私人閉め問題にとどまらず,公益に深くかかわる事柄であり,子の福祉にも重大な影響を及ぼす・ものであるから,どのような者の聞に実親子関係の成立を認めるかは.その固におけ.る身分法秩序の根幹をなす基本原則ないし基本理念にかかわるものであり,実親子関係を定める基準は一義的に明確なものでなければならず,かつ, 実親子関係の存否はその基準によって一律に決せられるべきものである。したがって,我が国の身分法秩序を定めた民法は,同法に定める場合に限って実親子関係を認め.それ以外の場合は実親子関係の成立を認めない趣旨であると解ずべきである。以上からすれば,民法が実親子関係を認めていなし、者の間にそゐ成立を認める内容の外国裁判所の裁判は,我が国の法秩序の基本原則ないし基本理念と相いれないものであり,民訴法118条3号にいう公の秩序に反するといわなければならなし、。このことは,立法政策としては現行民法の定める場合以外にも実親子関係の成立を認める余地があるとしても変わるものではなし、。
(2) 我が国の民法上,母とその嫡出子との聞の母子関係の成立について直接明記した規定はないが.民法は,懐胎し出産した女性が出生した子の母であり,母子関係は懐胎, 出産としみ客観的な事実により当然に成立することを前提とした規定を設けてh、る(民法772条1項参照)。また,母とその非嫡出子との聞の母子関係にりいても,同様に,母子関係は出産としみ客観的な事実により当然に成立すると解されてきた(最高裁昭和35年同第1189号同37年4月27日第二小法廷判決・民集団巻7号1247頁参照)。民法の実親子に関する現行法制は,血縁上の親子関係を基礎に置くものであるが・,民法が,出産とし、う事実により当然に法的な母子関係が成立するものとしているのは,その制定当時においては懐胎し出産した女性は遺伝的にも例外なく出生した子とのつながりがあるという事情が存在し,その上で出産とL、う客観的かつ外形上明らかな事実をとらえて母子関係の成立を認めることにしたものであり,かつ.出産と同時に出生した子と子を出産した女性との聞に母子関係を早期に一義的に確定させることが子の福祉にかなうということもその理由となっていたものと解される。民法の母子関係の成立に関する定めや上記判例は,異法の制定時期や判決の言渡しの時期からみると,女性が自らの卵子により懐胎し出産することが当然の前提となっていることが明らかであるが,現在では,生殖補助医療技術を用いた人工生殖は,自然生殖の過程の一部を代替するものにとどまらず,およそ自然生殖では不可能な懐JI台も可能にするまでになっており,女性が自己以舛ぢ女性の卵子を用いた生殖補助医療により子を懐胎し出産することも可能になっている。そこで,子を懐胎し出産した女性とその子に係る卵子を提供した女性とが異なる場合についても,現行民法の解釈として,出生した子とその子を懐胎し出産した女性との聞に出産により当然に母子関係が成立することとなるのかが問題となる。この点について検討すると,民法には,出生した子を懐胎,出産していない女性をもってその子の母とすべき趣旨をうかがわせる規定は見当たらず,このような場合における法律関係を定める規定がなじことは,同法制定当時そのような事態が想定されなかったことによるものではあるが,前記のとおり実親子関係が公益及び子の福祉に深くかかわるものであり,一義的に明確な基準によって一律に決せられるべきであることにかん仰ると,現行民法の解釈としては,出生した子を懐胎し出産した女性をその子の母と解さざるを得ず,その子を懐胎,出産していない女性との聞には,その女性が卵子を提供した場合であっても,母子関係の成立を認めることはできなし、。もっとも,女性が自己の卵子により遺伝的なつながりのある子を持ちたいという強い気持ちから,本件のように自己以外の女性に自己の卵子を用いた生殖補助医療により子を倒台し出産す予ことを依頼し,これにより子が出生する,いわゆる代理出産が行われていることは公知の事実になっているといえる。とのように,現実に代理出産という民法の想定していない事態が生じており,今後もそのような事態が引き続き生じ得ることが予想される以上,代理出産については法制度としてどう取り扱うかが改めて検討されるべき状況にある。この問題に関しては.医学的な観点からの問題,関係者聞に生ずることが予想される問題,生まれてくる子の福祉などの諸問題につき,遺伝的なつながりのある子を持ちたいとする其しな希望及び他の女性に出産を依頼することについての社会一般の倫理的感情を踏まえて,医療法制1.親子法制の両面にわたる検討が必要になると考えられ,立法によ奇速やかな対応が強く望まれるところである。
(3) 以上によれば,本件裁判は,我が聞における身分法秩序を定めた民法が実親子関係の成立を認めていない者の岡にその成立を認める内容のものであって,現在の我が国の身分法秩序の基本原則ないし基本理念と相いれないものといわざるを得ず,民訴法118条3号にいう公の秩序に反することになるので,我が固においてその効力を肴しないものといわなければならない。そして,相手方らと本件子らとの聞の嫡出親子関係の成立については,相手方らの本国法である日本法が準拠法となるところ(法の適用に関する通則法28条1項). 日本民法の解釈上,相手方X2と本件子らとの聞には母子関係は認められず,相手方らと本件子らとの間に嫡出親子関係があるとはし、えない。
(4) 原審の前記判断には.裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり.原決定は破棄を免れない。論旨は理由がある。そして,相手方らの申立てを却下した原々決定は正当であるから,これに対する相手方らの抗告を棄却することとする。よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。なお,裁判官津野修,同古田佑紀の補足意見,裁判官今井功の補足意見がある。裁判官津野修,同古田佑紀の補足意見は,次のとおりである。本件において,Aを代理母として出生した本件子らに対し相手方・夫妻が親としての愛情を注ぎその養育に当たっていることについては,疑問の余地はなし、。しかしながら,本件に関する民法等の解釈をするに当たっては,本件のみにとどまらず,卵子を提供した女性と懐胎,出産した女性とが異なる場合の親子関係すべてに共通する問題として考察する必要がある。母子関係は人の最も基本的な関係の一つで・あるとともに,子にとっては自らのアイデンティティにかかわる根源的な問題であるが,現行民法上,このような場合における出生した子と懐胎,出産した女性及び卵子を提供した女性との聞の法的な関係については,何ら特別の規, ‘.” 定が置かれていない。代理出産が行われている国においては,代理出産した女性が自ら懐.胎,出産した子に対して母親としての愛情を抱き,その引渡しを拒絶したり,反対に依頼者が引取りを拒絶するなど,様々な問題が発生しているとしみ現実もあるところ,このような問題が発生した場合,懐胎,出産した女性,卵子を提供した女性及び子との聞の関係が法律上明確に定められていなければ,子の地位が不安定になり,また,関係者の聞の紛争を招くことともなって,子の福祉を著しく害する・こと?をなるおそれがある。また,代理出産を一定の場合に認めるとするのであれば,出生するぜ子の福祉ギ親子関係の公益性,代理出産する女性の保護などの観点から,代理出産契約が有効と認められるための明確な要件が定められる必要がある。さらに,その要件を満たしていることが代理出産を依頼した女性との実親子関係を認めるための要件となるとすれば,実親子関係の有無の判断が個別の事案ごとにされる代理出産契約の有効性につい7ての判断に左右されることになり,実親子関係を不安定にすることになるばかりでなく,客観的には同様の経過を経て出生する子の間で,ある者は実子と認められ,ある者は実子と認められないという結果を生ずることも考慮しなければならない。そうすると,本件のように,代理出産によらなければ自己の卵子による遺伝的なつながりのある子を持つことができないとし、う特別の事情については十分理解てきるし,また,生まれてきた子の福祉は極めて重要で・あり,十分に考慮されなければならないところではあるが,代理出産に伴って生じ得る様々な問題について何ら法制度が整備されていない状況の下では,子を懐胎,出産し,新しい生命を現に誕生させた女性を母とする原則を変更して,卵子を提供した女性を母とすることにはちゅうちょを感じぎるを得なし、。生殖補助医療の発達によって今後も同様の問題が生ずることが予想されることから,代理出産やそれに伴う親子関係等の問題については,法廷意見の指摘する様々な問題点について検討をした上,早急に立法による対応がなされることを強く望みたし、。諸外国の事情をみても,米国の一部の州やイギリスでは代理出産が認められているが,その中でも,出産した女性を母とした上で,依額した夫婦を親とする措置を出生後にとることとしているものと,出生時から依頼した者を親とするものとがあり,また,伏理出産契約を有効とする要件についても所によって異なる。一方r ドイツ,フランスや米国の一部の州などにおいては,代理出産がおよそ禁止されているとともに,代理出産による子があった場合でも出産した女性を母とすることとされているが,その子と依頼者との聞で養子縁組を認めるものと養子縁組も認めないものとがあるなど,代理出産に関しては,それぞれの国の国情を踏まえ,多様に法制jが分かれている。このことは,代理出産に関しては,様々な面において考え方が多様に分かれるものであることを示しているといえ,立法による対応が強く望まれるゆえんである。なお,本件において,相手方らが本件子らを自らの子として養育したいとし、う希望は尊重されるべきであり,そのためには法的に親子関係が成立することが重要なところ,現行法においても, Aらが,自らが親として養育する意思がなく,相手方らを親とするヒとに同意する旨を,外国の裁判所ではあっても裁判所に対し明確に表明しているなどの事情を考慮すれば.特別稜子縁組を成立させる余地は十分にあると考える。裁判官今井功の補足意見は,次のとおりである。私は.’相手方らと本件子らとの聞に嫡出親子関係が成立しないとの法廷意見に賛成するものであるが,本件のような民法の想定しない事態についての親子関係に関する問題の解決について,私の考えを述べておきたし、。本件で直接問われているのは.相手方らと本件子らとの聞に実親子関係を認めた外国の裁判が我が固において効力を有するかとし、う問題であるが,法廷意見のとおり,親子関係のように我が国の身分法秩序の根幹をなす基本原則ないし基本理念に関する事柄については,我が民法の解釈として容認されない内容の外国の裁判は,民訴法118条3号の公序良俗に反するものとして,我が固においてその効力を認められないのであるからJ結局は,我が民法において代理出産により出生した子の母子関係はどのように解釈すべきかとし、う問題に帰着することになる。医学の進歩は著しく,生殖1i1i助医療の分野においても,様々な新しい技術が開発され,実施されてし、る。これらの技術の進歩により,これまで子を持つことができなかった夫婦や男女が子を持つことが可能になったが,これに伴い.従来では想定されなかった様々な法律問題が生じている。精子提供者が死亡した後に実施された凍結精子を用いた体外受精による精子提供者と子との聞の父子関係の成否の問題がその一つであり(最高裁平成16年開第1748号同18年9月4日第二小法廷判決・民集60巻7号2563頁).本件の代理出産の問題もその一つである。このような技術の進歩に伴って生ずる身分法上の問題について民民法の制定当時には,想定されていなかったので岳る金ぬぷを払に闘し民法が規定を設けていないことはいうまでもない。この場合に,民法が規定を設けていなし、からといって,そのことだけで直ちにこれを否定することは相当ではないσ 問題となった法律関係の内容に照らし,現行法の解釈として認められるものについては,身分関係を認めることは裁判所のなすべき責務で争る。しかし,身分関係.中でも実親子関係の成否は,法廷意見の述べるように,社会生活上の関係の基礎となるものであって,身分法秩序の根幹をなす基本原則ないし基本理念にかかわる問題である。具体的な事案の中で,関係当事者の権利利益を保護すべきか否かとL、う側面からの考察のみではなく,そのような関係を法的に認めることが,我が国の身分法秩序等にどのような影響を及ぼすかについて司考察をしなければならなし、。本件においては,相手方らは本件子らと血縁関係を有すること,相手方らの遺伝子を受け継ぐ子を得るためには他の方法がなかったこと,本件代理出産契約はその動機目的において不当な要素をうかがうことができず,その内容においても代理出産した女性の尊厳を侵害する要紫を見出すことはできないこと,代理出産した女性及びその夫は本件子らを自らの子とすることは望まず,相手方らは本件子らを実子として養育することを強く望んでいること等原審の認定する事実関係によれば,本件子らの福祉という点から考えれば,あるいは,本件子らと相手方らとの聞の法的な実親子関係を認めることヵ. その福祉にかなうということができるかもしれない。しかし.ことは,それほど単純ではなし、。本件のような場合に実親子関係を法的に認めることの我が国の身分法秩序等に及ぼす影響をも視野に入れた考察をしなければなpない。代理出産に関しては.生命倫理や医療C倫理として許容されるか,許容きれるとしてもーどのような条件が必要かについて多様な意見があり,また,出生した子やその子を懐胎出産した女性,卵子を提供した女性その他の関係者の聞の法律関係をどのように規整するかについても,議論のあり得るところである。本件において,現行法の解釈として相手方ら正本件子らとの聞の実親子関係を法的に認めることは,現段階においては医学界においても,その実施の当否について議論があり,否定的な意見も多い代理出産を結果的に追認することになるほか,関係者の聞に未解決の法律問題を残すことになり,そのような結果を招来することには,大いに疑問がある。この問題の解決のためには医療法制,親子法制の面から多角的な観点にわたる検討を踏まえた法の整備が必要である。すなわち,医療法制上,代理出産が是認されるのか,是認されるとすればどのような条件が満たされる必要があるのか, とし、う問題について検討が必要であり,親子法制の面では.医療法制面の検討を前提とした上,出生した子,その子を懐胎し出産した女性,卵子を提供した女性, これらの女性の配偶者等の関係者間の法律関係をどのように規整するかについて,十分な検討が行われ,これを踏まえた法整備が必要である。この問題に関係する者の正当な権利利益の保護,子の福祉といった問題もこのような法制度の整備により初めて,公平公正に解決されるということができる。関係者が多く,多様な関係者の聞に様々な意見が存在することから,妥当な合意、を得ることは,必ずしも容易ではないとは考えおが,困難であるからといって,これを放置することは,既成事実が積み重ねられる結果となり,出生してくる子の福祉にとっても決して良い結果をもたらさないことは明らかである。医学の進歩がもたらす恩恵を多くの者が安心して享受できるようにするためにも,できるだけ早く,社会的な合意に向けた努力をし,これに基づいた立法がされることが望まれるゆえんである。なお,本件子らと相手方らとの聞に特別養子縁組を成立させる余地は十分にあるとする点においては,津野修裁判官,吉田佑紀裁判官の補足意見のとおりと考える。(裁判長裁判官古田佑紀裁判官津野修今井功中川了,滋)
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2012年2月27日 | コメント/トラックバック(0) |
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遺族厚生年金不支給処分取消請求事件
上告伏理人◯◯◯◯ほかの上告受理申立て
1 本件は,厚生年金保険の被保険者であったA (上告人の父の弟。以下「A」 という。)との間で内縁関係にあった上告人が, Aの死亡後,上告人は厚生年金保険法(以下「法」とし、ぅ。) 3条2項にいう「婚姻の届出をしていないが, 事実上婚姻関係と同様の事情にある者Jとして法59条l項本文所定の被保険者であった者の配偶者に当たり,Aの死亡当時,同人によって生計を維持していたと主張して,被上告人に対し,Aの遺族としての遺族厚生年金の裁定を請求したところ.被上告人から,上記内縁関係は,民法734条l項により婚姻が禁1.h.される近親者との聞の内縁関係に当たり,上告人は法59条l項本文所定の配偶者とは認められないとして,追族厚生年金を支給しない旨の裁定(以下「本件不支給処分Jという。)を受けたことからs その取消しを求める事案である。
2 原審の適法に確定した事実関係の概要は,次のとおりである。
(1) Aて昭和×年×月×日生)は, a県b郡のc(1可(現在のd市)において,父B(上告人にとっては祖父),母,弟及び妹と同居していた。Aは,昭和×年×月×日, cと婚姻し,両者の聞に,同年×月×日,長女Dが生まれたが, cは,Dの出産前後から統合失調症に権患し,同×年末には,Dを残して実家に帰ってしまった。Aは,cとの婚姻関係の継続は困難であると考え,離婚を決意し,その協議を重ねたが, cの精神状態が原因で協議自体が困難で令あった上, Cの両親が,Cとの離婚後にAがCの妹と結婚することを強く望み,AはCを気追ってこれに応じなかったため,協議は4年間にわたり続いた。
(2) Aは,当時,Eに勤務しており, cが実家に戻った後は,勤務の都合上, Dの世話はAの父母が行ってし、た。しかし, Aの父母らは,良業を営み年中多忙であったことから, Dに行き届いた世話をできる状況にはなかった。そのなめ, Dは,離乳食なども余り食べることが59・7-64可・裁判例(家事)できず,栄養失調気味であり.その衣類の洗糧も十分に行われていなかった。
(3) Aの兄の長女である上告人(昭和×年×月×自生)は,春休み,夏休みなどの長期の休みには,祖父母の手伝いをするため;Aの住む父の実家を訪れ,その際にDのおしめを替えて洗濯寸rるなどJ Dの面倒を見た。Dも,親族の中で最も上告人になついていた。Bは,Dが上告人に一番なついていること,AがBの田畑を継ぐ可能性が高く,親族関係にある者をAの妻としたいと考えていたこと,親戚の中では上告人の年齢がAに一番近いこと, Aには既に午がおり,夜勤も多句、上,その妻になれば同居している老父母の世話や農業の手伝いもじなければならないとし、う事情があり.結婚相手を見つけることが困難であったこと等から,Aの姪に当たる上告人とAとの結婚を提案した。
(4) 上告・人は,BからAとの縁談を聞き,余りにも身近な関係にあったため,当初は驚いたものの, Dがやせ細り,その衣類も汚れたままになっていたこと等に同情し, Dのために結婚を決意し,昭和×年×月末ころから,Aと夫婦としての共同生活を始めた。上告人とAは,共同生活を始めるに当たり,2泊3日で新婚旅行に出かけ,旅行から戻った後,親戚に集まってもらい,結婚を祝う会を聞いてもらったが,その媒酌人は,へとCの結婚の際り媒酌人で・もあったAの親族が務めた。
(5) AとCとの協議離婚は,昭和× 年×月×日に成立した。Aは,税金の控除や出産費用の支給等を受けるため,上告人とAが結婚したことについて,同月×日付けで,証人2人の署名入りの証明願をCllly長あてに提出.k,同証明願に「右願出の通り相違ないことを証明するJとの文言及びc町長の記名押印を種主。同証明願にはAの勤務先の上司の記名押印も認められる。上告人は, Aを世帯主とする健康保険証に氏名を記載され,源泉徴収票にも配偶者控除の対象として記載されていた。また,上告人の出産に際し,E共済組合から出産費用が支給された。
(6) 上告人とAは, Aが平成X年に死亡するまで,約42年間にわたり夫婦としての生活を送り,両者の聞には,昭和×年にFが,同×年にはGが出生し,Aは両名の認知をした。上告人, A, 0, F及びGは, Aの収入から生活費を支出し,上告人が家事を担当1.:.-, 5人で円満な家族生活を送った。上告人は, Aの葬式の際も,Aの妻として挨拶を行う等,共同生活を始めた当初から終始,事実上の妻としての役割を果たしてきた。Aは,上告人に対し.年金に関する手続の仕方を記した資料の所在を教えた上,自分が先に死亡した場合には,これをよく見て手続をするようにと常に言い聞かせていた。
(7) 上告人は,平成13年10月19日付けで,遺族厚生年金の裁定を請求したところ,被上告人から,同月31日付けで, r追族の範囲に該当しないため。(近親婚にあたり,内縁の妻として認められないため。)Jとの理由により本件不支給処分を受けた。
(8) なお,上告人の周囲には,代々農業で生計を立てている者が多く,そのような地域的な特性から,親戚同士で結婚する例も多くあった。上告人の近い親戚の中には,いとこ同士で結婚した夫婦が2組あったほか,上告人の知っている範囲でも,おじと姪で事実上の夫婦として生活する者がAの勤務先で2組,親戚に1組あった。
3 原審は,上記事実関係の下において,次のとおり判断して,上告人の詰求を棄却すべきものとした。
(1)厚生年金保険制度は,労働者の老齢,障害又は死亡について保険給付を行い,労働者及びその遺族の生掃の安定と福祉の向上に寄与する59・7-66裁判、伊IJ (家事)‘ことを目的とした,政府が管掌する公的年金制度であり,遺族厚生年金が公的財源によって賄われている社会保障的性格の強い給付であることを考慮すると,その受給権者としての「事実上婚姻関係と同様の事情にある者J(法3条2項)に該当するか否かの判断に当たっては,民法上の婚姻の届出をした配偶者に準じて,公的保護の対象にふさわーしい内縁関係にある者で・あるかと・うかとしJう観点かbの判断が求められ,その意味て・の公益i的要請を無視することはできないものというべきである。
(2) ところで,法は,婚姻関係について別段の定めを置いておらず,婚姻関係の一般法で・ある民法が定める婚姻法秩序を当然の前提としてい.ると解されるから,上記(1)の判断に当たっては,民法の規定及びその趣旨が尊重されるべきであり,法は,上記婚姻法秩序を前提とした婚畑関係と同様の事情にある者を遺族厚生年金の受給権者として保護す. る趣旨で・あって,上記婚姻法秩序に反する内縁関係にある者をも保護する趣旨ではないと解される。そして,民法734条1項は.三親等内の傍系血族聞の近親婚を禁止しているが,その趣旨は,社会倫理的配慮及び優生学的配慮とし、う公益的要請に基づくものであり,合理性があるというべきである。
(3) 三親等内の傍系血族聞の婚姻関係は,我が国の婚姻法秩序において,反倫理的で公益を害するものとされている上,その反倫理性,反公益性は,時の経過¢よっても治癒されることのあり得ない性質のものであるから,法は,民法734条1項により婚姻が禁止される三親等内の傍系血族間で内縁関係にある者を遺族厚生年金とし、う公的給付を受給し得る者として保護することを予定していないというべきである。したがって,上告人は,法3条2項にいう「婚姻の届出をしていないが,事実上婚姻関係と同様のiJj:情にある者」には当たらないと解される。
4 しかしながら,原審の上記3の判断のうち,岡山及び(2)は是認することができるが.同(3)は是認することができなし、。その理由は,次のとおりである。
(1) 法は,遺族厚生年金の支給を受けることができる遺族の範囲について,被保険者又は被保険者であった者(以下,併せて「被保険者等」という。)の配偶者等であって,被保険者等の死亡の当時その者によって生計を維持していたものとし(59条1項本文).上記配偶者について.r婚姻の届出をしていなし、が.事実上婚姻関係と同様の事情にある者Jを含むものと規定している(3条2項)。法が,このように,遺族厚生年金の支給を受けることができる地位を内縁の配偶者にも認めることとしたのは,労働者の死亡について保険給付を行い,その遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与するという法の目的にかんがみ,遺族厚生年金の受給権者である配偶者について,必ずしも民法上の配偶者の概念と同ーのものとしなければならないものではなく,被保険者等との関係において.互いに協力して社会通念上夫婦としての共同生活を現実に営んでいた者にこれを支給することが,遺族厚生年金の社会保障的な性格や法の上記目的にも適合すると考えられたことによるものと解される。他方,厚生年金保険制度が政府の管掌する公的年金制度てあり(法1条. 2条).被保険者及び事業主の意思にかかわりなく強制的に徴収される保険料に国庫負担を加えた財源によって賄われていること(法80条. 82条)を考慮すると,民法の定める婚姻法秩序に反するような内縁関係にある者まで,一般的に遺族厚生年金の支給を受けることができる配偶者に当たると解することはできない。
(2) ところで.民法734条1項によって婚姻が禁止される近親者聞の内59・7-68裁判例(家事)縁関係は,時の経過ないし事情の変化によって婚姻障害事由が消滅ないし減退することがあり得ない性質のものである。しかも,上記近親者間で婚姻が禁止されるのは,社会倫理的配慮及び優生学的配慮という公益的要請を理由とするものであるから,上記近親者聞における内縁関係は, 一般的に反倫理性,反公益性の大きい関係というべきである。殊に,直系血族間,二親等の傍系血族聞の内縁関係は,我が国の現在の婚姻法秩序又は社会通念を前提とする限り,反倫理性,反公益性が極めて大きいと考えられるのであって,し、かにその当事者が社会通念上夫婦としての共同生活を営んでいたとしても,法3条2項によって保護される配偶者には当たらないものと解される。そして,三親等の傍系血族聞の内縁関係も, このような反倫理性,反公益性という観点からみれば,基本的にはこれと変わりがないものというべきである。
(3) もっ・とも,我が国では,かつて,段業後継者の確保等の要請から親・族聞の結婚が少なからす・行われていたことは公知の事実であり,前記事実関係によれば,上告人の周囲でも,前記のような地域的特性から親族聞の結婚が比較的多く行われるとともに.おじと姪との聞の内縁も散見されたというのであって,そのような関係が地域社会や親族内において抵抗感なく受け容れられている例も存在したことがうかがわれるのである。このような社会的,時代的背景の下に形成された三親等の傍系血族聞の内縁関係については.それが形成されるに至った経緯,周囲や地域社会の受け止め方,共同生活期間の長短,子の有無.夫婦生活の安定性等に照らし,反倫理性,反公益性が婚姻法秩序維持等の観点から問題とする必要がない程度に著しく低いと認められる場合には,上記近親者間における婚姻を禁止すべき公益的要請よりも逝族の生活の安定と福祉の向上に寄与するとし、う法の目的を優先させるベき特段の事情があるものというべきである。Lたがって.このような事情が認めらかる場合その内縁関係が民法により婚姻が禁止さでる近親者聞におけるものであるという一事をもって遺族厚生年金の支給権を否定することは許されず,上記内縁関係の当事者は法3条2項にいう「婚姻の届出をしていないが.事実上婚姻闘係と同様の事情にある者Jに該当すると解するのが相当である。なお被上告人の引用する判例(最高裁昭和59年(行ツ)第335号同一年2月14日第一小法廷判決訟務月報3削号切2捌2却0傾) は事案を異にし本件に適切でない。
(4) これを本件についてみると,前記事実関係によれば,上告人とAとの内縁関係は,Dの養育を主たる動機として形成され,媒酌人を立て新婚旅行,親戚聞の祝宴を経て.地元町長やAの職場の長もその成立を認証したというのであり.当初から反倫理的,反社会的な側面をもったものとはし、し、難く,親戚闘では抵抗感なく承認され.地域社会やAの職場でも宇然、と受け容れられていたものである。また,上告人とAは,その後2人の子にも恵まれ, Aの死亡まで約42年間にわたり円満な夫婦生活を安定的に継続したというのであり,その間.上告人は,共済組合の短期給付,国民健康保険及び源泉徴収の面でAの内縁の妻として扱われていたことがうかがわれるのである。これらの事情からすれば,上記内縁関係の反倫理性,反公誌性は,婚姻法秩序維持等の観点から問題とする必要がない程度に著しく低いものであったと認められる。そうすると.上告人とAとの内縁関係については,上記の特段の事情が認められ,上告人は,法3条2項にいう「事実上婚姻関係と同様の事情にある者Jに該当し,法59条1項本文により遺族厚生年金の支給を受けることができる配偶者に当たるものというべ主である。
5 以上によれば,上告人の遺族厚生年金の受給権を否定し本件不支給処分に違法はないとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨はとり趣旨をいうものとして理由があり,-原判決は破棄を免れなし、。上告人の請求には理由があり,これを認容しhた第1審判決は正当であるから.被上告人の控訴を棄却すべきである。よって,裁判官横尾和子の反対意見があるほか,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。裁判官横尾和子の反対意見は,次のとおりである。私は,本件不支給処分が違法であるとする多数意見に賛成することができなし、。その理由は,次のとおりである。1 多数意見は,直系血族問,二親等の傍系血族聞の内縁関係は,我が国の現在の婚姻法秩序文は社会通念を前提とする限り,反倫理性.反公益性が極めて大きいと考えられるとしつつ.他方,三親等の傍系血族聞の内縁関係については,その反倫理性,反公益性が婚姻法秩序維持等の観点から問題とする必要がなL、程度に著しく低いと認められる場合のあることを判断の前提としている。しかし,民法734条1項は,三親等の傍系血族問の婚姻について何らの留保も置かず禁止しているのであり,各婚姻関係間において,反倫理性,反公益性の大小を論ずることには踏踏せざるを得ない。
2 また,法は,遺族の生活り安定と福祉の向上に寄与することをその目的とするが,遺族の範囲については,原則として親族に関する民法の規定を前提としつつ,立法政策として民法の秩序によらず給付等を行う場合は明文の規定を定め,厚生年金保険制度上の国民の権利及び義務を明らかにしているものと解される。同様に,法3条2項も,婚姻関係の一般法である民法が定める婚姻法秩序を当然の前提としていると解され,三親等の傍系血族聞の内縁関係についてのみ上記当然、の前提要件を緩和し,諸事情を総合勘案する旨の定めはない。したがって,被上告人が本件不支給処分を行うに当たり,本件申請について,婚姻を禁止すべき公益的要請に優先する個別事情の存否を考慮、しなかったことに違法は認められなし、。3 そうすると,上告人は,法3条2項にいう「事実上婚姻関係と同様の事情にある者Jには該当せず,法59条1項本文により遺族厚生年金の支給を受けることができる配偶者には当たらないものというべきである。これと同旨の原審の判断は,正当として是認することができ,上告人の請求には理由がないから,本件上告を棄却するのが相当である。(裁判長裁判官泉徳治裁判官横尾和子甲斐中辰夫才口千晴)
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後見開始審判に対する即時抗告事件守
本件抗告の趣旨
i原審判を取り消し, 岡山家庭裁判所倉敷支部に差し戻すJとの裁判を求める,というものであり,その理由は別紙のとおりである。
当裁判所の判断
(1) 当裁判所も,本人は精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあり,本人について後見の開始をするのが相当と判断する。抗告人も,原審判中の後見開始申立てを認容じた部分について異論はなし、としてし、る。
(2)裁判初IJ (家事)抗告人は,原審判が,本人の成年後見人としてれ本人の先妻の子モあるCを選任したのは不当であると主張する。しかし,審判に対しては最高裁判所の定めちをころにより即時抗告のみをすることができるところー(家事審判法14条),成年後見人選任の審判に対し即時抗告をすることができる旨の規定はなし、。家事審判規則27条1項は,民法7条に掲げる者は後見開始の審判に対し即時抗告をすることができる旨を規定しているが,その趣旨は,民法7条に掲げる者で後見開始の審判に不服のある者に即時抗告の権利を認めたものであり, これと同時にされた成年後克人選任の審判に対し即時抗告を認めたものではなし、。よ祖Lたがって,後見地合審物こ対する即時抗告において,後見人選任の不当を抗告理由とすることはできず,抗告裁判所も原審判中の成年後見人選任部分の当否を審査することはできなし、。法は,後見人にその任務に適しない事由があるときには,家庭裁判所は,・被後見人の親族等の請求又は職権により, これを解任するこ・とができる(民法846条)などと定めるにとどめているものである。
(3) よって,本件抗告は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり決定する。(裁判長裁判官前坂光雄裁判官岩坪朗彦横溝邦彦)(別紙)抗告の理由本人に後見を開始することについて異論はない。、しかし,後見人としてCを選任することは問題である。2 抗告人は,抗告人がこれまで通り本人の年金で生活し,病気入院などρ予定外の支出があるばあいに本人.の蓄えをつかうことができればそれでよいと考えてきた。そして,cと相談し,同人が,このような抗告人の意向に添うと述べてきたので,cが後見人となることにあえて反対を唱えないでいた。3 Cは,本人の先妻の子であるところ,本人が本籍地に所有する宅地をζわに賃貸し,同社はその地でムムの事業を行おうとしている。このような行動から,抗告人の兄弟は,cが本人の財産を独り占めしようとしているのではないかとの疑いをもってきた。
4 このような経緯の中で,2006 (平成18) 年×月× 日抗告人とCが話し合いを持った結果,cは,後見人となることを辞退することを約束した。ところが.岡山家庭裁判所倉敷支部から×月ズ日ザげで-届いた通知書には, Cを後見人に選任する旨の記載があり, cが後見人を辞退するという約束を破っていたことが判明した。5 このようなCの行動から,同人に本人の財産管理を任せると,ー抗告人自身の生活に支障を来すのそはないかとの不安を抱くにいたっている。そこで,後見人として公平な第三者を選任していただきたく,即時抗告を申し立てる。
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2012年2月27日 | コメント/トラックバック(0) |
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審判前の保全処分申立事件
第1申立ての趣旨
主文と同旨
第2 当裁判所の判断
1 本件記録及び当庁平成18年岡第xx号事件記録によると,以下の事実が一応認められる。
(1) 保護者親権者父Bと保護者親権者母Cは,平成11年×月×日婚姻の届出をした夫婦であり,両者の聞には長女D(平成11年×月×日生).二女E (平成12年×月×日生).三女F(平成13年×月×日生).四女G (平成14年×月×日生).長男H (平成15年×月×日生).五女1(平成16年×月× 日生)及び二男である事件本人(平成17年×月×日生)がある。
(2)父は.CXわを自称しているところ,現在,組織からの離脱を図り,正業に就くことを考えており,そのために00免許を取得した旨述べている。母は,療養手帳を有しており,その級はxxである。
(3) 母は,平成17年×・月×日午後×時×分ころ,事件本人の母方祖母と司E件本人を抱きかかえた男ほか1名を伴い.cb消防署を訪れ,事件本人に沸騰した鍋の湯がかかって火悔を負ったので手当をして欲しいと述べた。同署救急隊員は,事件本人の火傷が顕著であることを確認し.00病院に事件本人を搬送し,事件本人は緊急入院した。事件本人は,胸以下.下半身火傷H度(深達性)であり,火傷が全身の約50パーセントに至っていること,胸部及び背部の火傷の境界がほぼ一直線になっていることから,事故というには不自然であり,虐待が強く疑われるものでーあった。また,父と母の司王件本人受傷状況に関する説明には矛盾があった。
(4) 司E件本人の火傷は,重篤であり, 皮膚の移植手術を施しても救命率は50パーセント以下と目されていたところ,父及び母は,事件本人の手術につきなかなか同意をしなかったが,同年×月×日,手術の同意、をしたことから,同日午後,同病院において,事件本人の手術が行われたJ
(5) その後.事件本人は,平成18年×月×日までの聞に,同病院において.4回にわたり手術を受けた。
(6) 父は,同月×回以降,事件本人を退院させて欲しいと依頼しJ 母も同様の依頼をしていた。これ民対し,同病院医師は, この時点では転院さえ無理な状態にあると考えていたことから,退院は無理である旨回答した。
(7) 父は,同年×月×日午後×時×分ころ,同病院に電話をかけ,「今から連れ;て帰るので退院できるよう準備しておけ。Jと述べたことから,同病院では,連れ去りを防止すベく警戒態勢をとった。父母は,事件本人の母方祖母,成人男性2名及び父母夫婦の長男とともに6名で同病院を訪れ.HCUに押し入札.同病院職員の制止を振り切り事件本人を連れ去った。同病院は,直ちに110番通報をし,警察において事件本人を捜索後,医師や警察官が事件本人を同病院に戻すように説得したが,父はこれを拒否した。その後,父は,事件本人を同病院に戻すと連絡してきたが, しばらく経っても同病院には現れなかった。
(8) しかして,事件本人は,父母らと一緒に,事件本人の母方祖母宅付近にいるところを偶然発見された。事件本人は,同日午後×時×分ころ,瞥ら用無線自動車により保護に向かった警察官により保護され,事件本人の母方祖母に同伴されて同病院に戻った。(9) 00児童相談所は,事件本人を一時保護した。2 前示の事実のほか,本件及び本件本案事案の審理の経過等諸般の事情を総合勘案すると,①事件本人は,父母による養育中,何らかの事情により,重篤な火傷を負っていること,②その受傷状況に関し,父母ないしその関係者は,不自然な供述をしており,虐待の可能性も否定できないこと,③事件本人が転院さえ無理な状態にあるにも関わらず.父母は退院要求を繰り返したこと,④父母は,夜間にもかかわらず退院を迫り,その親族らとともに,事件本人を入院中の病院のHCUから,病院職員の制止を振り切り連れ去っていること,⑤事件本入は,現在落ち着いた環境で順調に回復しつつあること,⑥父は,本件本案の審問期日に出頭せず,当庁家庭裁判所調査官による面接調査をも拒否していること,⑦父は,当庁への出頭を拒む理由につき,αわに見つかると危険である旨述べていることが認められる。
3 そうすると,本件本案の審判がその効力を生ずるに至るまでの問,父母両名と事件本人との面会及び通信を制限することが必要であると認められる。よって,当裁判所は,申立人の本件申立てを相当と認め,特別家事審判規則18条の2′ ~,こ基づき,主文のとおり審判する。(家事審判官甲良充一郎)
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