親子関係不存在確認審判に対する異議申立却下審判に対する抗告事件

第1 抗告の趣旨及び理由
本件抗告の趣旨及び理由は,別紙即時抗告申立書(写し)記載のとおりである。
第2 当裁判所の判断
1 本件の事実関係及び抗告人の主張は,原審判1頁14行目から同2頁3行目までのとおりであるから,これを引用する。
2 本件抗告理由について抗告人は,①家事審判に対する利害白係は,法律上の利害関係のみではなく,事実上の利害関係があればよく,家事審判法の規定する利害関係は,可及的に広く解すべきであるから,原審は法の解釈適用を誤づている,② 抗告人は.BやCらがBの父親であると主張している者であるが, もはや嫡出否認の訴えの提起期聞を経過している以上,本来親子関係は確定しているのに.Bあるいはその母親がCと君、を通じてBとCとの親子関係を否定した上で,抗告人にBの認知を求め,かつ,財産請求をすゐ意図で,敢えて親子関係不存在確認を申し立てたのが本件審判の実態であり, これを認めることは,民法の規定の趣旨を没却するものであり.本件審判が確定してし主えば,こうした実態を主張できなくなるから,抗告人の異議申立てを認めないのは極めて不合理である,と主張する。そこで検討するに,家事審判法23条の審判に対して異議の申立てをすることができる「利害関係人J(家事審判規則139条1項)とは,法律上の利害関係を有す‘る者をいうが,これは,当該審判により直接身分関係に何らかの変動が生ずる者に限られず,当該審判を前提に一定の身分関係の変動が生じる蓋然性が現実化している者もこれに含まれると解するのが相当である。これを本件についてみるに,抗告入については.本件審判の理由中に. DNA鑑定によれば.Bが抗告人の子である可能性は99.9997%である旨の事実認定がされており, これを根拠にBとCとの聞に親子関係が存在しないことを確認する本件審判がされていること.Bの母Dは,抗告人に対し再三認知諮求をしており,平成18年3月22日には,最終通告として,抗告人に対し,抗告人の署名捺印をした認知屈の郵送,養育費として認知届受理の月から毎月5万円の支払,未払い養育費として85万円の支払,出産費用25万円の支払等を求める在面を送付していることが認めら.れるから.以上の状況に,抗告人は,本件審判が確定することにより.Bとの親子’関係が形成される可能性があり(なお,抗告人の本件異議を許容することにより本件審判が確定せず.Bが親子関係不存在確認の訴えを提起する場合には. Bが実質的に民法772条の推定を受けない嫡出子であると認められ,嫡出関係にある親子関係の不存在確認諾求が許容されるような特段の事情の存否とし、う訴訟の適法要件の有無から審理判断されることが想定され,同訴訟の結果に利害関係を有する第三者として,抗告人は同訴訟の被告側に補助参加し,訴訟の適法要件や親子関係の存否を争うことになろう。).Bとの親子関係を前提に親としての義務を請求されているとし、う関係にあるから,本件審判につき法律上の利害関係があるというべきである。そうすると,家事審判法23条の規定による本件審判に対する抗告人の異議はこれを適法であると認めるのが相当であり.これを却下した原審判は違法である。第3 よって..本件抗告は理由があるから,原審判を取り消すこととし,主文のとおり決定する。(裁判長裁判官南敏文裁判官安藤裕子生野考司)〔編注〕別紙は省略した。

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