子の監護に関する処分(養育費)〔減額〕申立事
第 1 申立ての趣旨
主文同旨
第 2 当裁判所の判断
1 本件一件記録によれば,次の事実を認めることができる。
( 1 ) 申立人(昭和43 年O 月O日生)と相手方(昭和42 年O月O日生) は,平成3年11 月26 日婚姻し,平成 4年O 月O日に長女である未成 年者 c(以下「長女Jという。) .平成7 年O月O日に二女である未 成年者 D(以下「二女」とし、ぅ。)がそれぞれ生まれた。
(2) 申立人は,平成1 6 年2 月末か 3 月初めころ,相手方から離婚の申 し入れを受けた。申立人としては突然のことであり ,離婚したくは なかったが,相手方の強い意向を受け,離婚することを了承した。 また,申立人は,その際,相手方から口頭で,長女及ひ’二女の養 育費として 1 人月額1 0 万円.2 人分計20 万円の支払いを求められた が応じなかったところ,その後,相手方から. 1 人月額8 万円.2 人分計1 6 万円の養育費を申立人が相手方に支払 うことを内容とする 離婚協議書に押印するよう求められた。申立人は,離婚協議書への 押印は断qたものの,結局. 1 人h 額 7万円. 2 人分計1 4 万円の養 育貨を支払う ζとを了承した。そこで,相手方は,平成1 6 年×月× 日ころ,申立人との養育費の取り決めを公正証書にすべく ,公証人役場に行き,公正証書の作成を依頼した。
( 3 ) 申立人と相手方は,同年×月×日,公証人役場に赴き,長女及び 二女の親権者を相手方と定め近日協議離婚することを前提に,東京 法務局所属公証人口口口口作成句平成16 年第xx 号離婚給付等契約 公正証書‘ (以下 「本件公正証書Jとし、う。)に署名押印l!- .申立人 は,相手方に対し,その第 l条第 1 項をもって,平成16 年 4月か ら,長女及び二女がそれぞれ大学を卒業する月までの聞の毎月,長 女及び二女の養育費として. 1 人当たり各月額7 万円を支払う旨, また,第l 条第 2 項をもって,前項の月額養育費については,当月 分を毎月末日限り( 第 1回目の支払については,平成16 年4 月25 日 限り) .相手方に持参文は相手方が指定する銀行口座に振込手数料 を申立人が負担して振り込み支払う旨をそれぞれ約した(以下,本 件公正証書の第 1 条第 1 項及び第 2 項を併せ.i 本件養育費約定J ‘とし、う。)。 なお,本件公正証宮中の第3 条には,申立人が本件養育費約定に 定められた月額養育費の支払いを 2 か月分以上遅滞したときは,分 割払いの期限の利誌を喪失し,申立人は,相手方に対し, その遅滞 額及び将来にわたる未払月額養育費の合計額を一括して直ちに支払 う旨が定められている( 以下 「本件期限の利益喪失約定」と い う。)。
(4) 申立人と相手方は,翌 3月18 日, 長女及び二女の親権者を相手方 と定め,協議離婚した。 しかし,申立人としては,当時特段の替えもなく ,すぐに家を出 て行ける状況にはなかったことや, 相手方からも,号| っ越し費用が 貯まるまでは同居してよいと言われていたことから,離婚後も当分 の聞は相手方及び未成年者らと同居生活を継続できると考えてお裁判 例 (~(事) り,平成16 年・ 3 月分の給与についても,従前どおり.. 全額相手方に 渡した。ところが,現実に同居生活を続けてみると,離婚した相手 方との生活は思いのほか辛く,また,相手方が長女に申立人との離 婚を告げたのを知って,申立人は,相手方及び未成年者らとの同居 生活を続けることに耐えられなくなり ,平成16 年 4 月3 0 日, 家を出 て申立人の両親が住む都営住宅に一時身を寄せたものの,収入及び 居住制限のある都営住宅に住み続けるわけにもいかず,周年7月, 現住所地のマンションを賃借の上,転居した。
( 5) 申立人は, 相手方との婚姻~Þ. 相手方に給与の全額を渡し家計の 管理一切を任せていたため,別居した場合に生活費がどれだけかか るのかなどについて十分認識していなかったところ,別居後の平成 16 年5月から本件養育費約定どおり相手方に対し,長女及び二女の 養育費として毎月14 万円を支払うようになった。しかし.2 人分の 月額養育費と して1 4 万円を支払うと,毎月の生活費が足りなくな り,申立人は,やむなく不足分を申立人の父母からの援助(借入 れ)によって補い生活していたものの,このままでは経済的に破綻 するとして,同年 7月2日,当庁に本件養育費約定に基づく養育費 の減額を求め,本件子の監護に関する処分(養育費)の調停(以下 「本件養育費減額調停」とし、う。)を申し立てた。 申立人は,当初.2 人分の月額養育費を 6 万500 0 円に減額するこ とを求めたが,相手方は減額すべき事情変更がないとしてこれに応 じず,その後も 2 人分の月額養育費として,申立人は7 万円への減 額を,相手方は12 万円を限度としての減額をそれぞれ主張して議ら なかったことから,調停委員会は. ~人分の月 額養育費を10万円に 減額する調停案を提示した。相手方は,この調停案を受け入れる旨 表明したが,申立人は,期日聞に,父母からの援助が実は父母の庖の客である Eからの借入金であるとの事情が新たに判明し,申立 人自身が Eに対し100 万円近い借入金の返済をしなければならなく なったことを理由に.調停案を受け入れることはできない旨回答し た。そのため,調停委員会は,新たに判明した事情を裏付ける資料 を申立人から提出させた上,2 人分の月額養育賀を 9 万円に減額すす る旨の再度の調停案を提示したところ,申立人は,これを受け入れ る旨表明した。しかし,申立人が平成16 年5 月から平成17 年 2 月ま では本件養育費約定どおり 2 人分の養育費として毎月14 万円を支払 ってきたのに,同年3 月からは一方的に 9 万円に減額して支払うよ うになったことから,相手方は,これに納得できないとして,再度 の調停案の受け入れを拒否したため,同年4月27 日,調停不成立と なり,本件審判に移行した。
( 6 ) 申立人は,現在,現住所地のマンション(月額賃料8 万5000 円) で,一人暮らしをしている。申立人は,和食の調理師で,所属する にわJの斡旋を受け,派遣された佐事先から給与を得ている。申 立人は,平成1 6 年 2 月から,派遣先のムムの口口の ro ムJに勤務 しているが,雇用期聞は定められておらず,勤務条件については, 毎月25 日出勤 ・ 手取り給与( 基本給)35 万円となってお り,賞与が 支給されるかどうかは決まっていなし、。 また,申立人は,ふぐの調 理師免許を取得しているため,ふぐの季節である1 2 月から3 月には 季節手当( 月2 万円)がつき,週 1 回の休みの日に,庖の都合で出 勤すると超過勤務手当がつく。申立人の平成1 6 年の給与等の総収入 は492 万3 620 円(甲35 )であり .平成1 6 年 2 月から同年12 月までの ro ムJからの超過勤務手当分は2 万8 000 円,季節手当分は2 万円, ‘此与は58 万6 160 円(6 月賞与2 1 万9 8 00 円, 12 月11 与36 万6360 円)で ある。また,平成17 年の給与等の総収入は,563 万8856 円である(甲13 ,甲3 7 )が,勤務条件については平成16 年と変更はなく,平 成16 年より総収入が増えたのは,賞与及び手当(特に超過勤務手 当)の増加によるものであり ,平成1 7 年は,基本給税込み年収439 万63 20 円のほかに,超過勤務手当分が2 1 万円,季節手当分が 8 万 円,賞与が95 万2536 円 ( 7 月貸与4 0 万2996 円,12 月賞与54 万9540 円)となっている。
( 7 )相手方は,現在,申立人との婚姻中居住していた現住所地の区営 住宅に,長女(公立中学2 年)及び二女(公立小学校6 年)の3 人 で生活している。現住所地の区営住宅は,協議離婚に際し,相手方 が申立人からその契約者名義を引き継いだもので(本件公正証書第 4 条参照) ,月額家賃は収入に応じ決定されるが,平成17 年7 月現 在では4 万4 000 円である。 相手方は,本件公正証書作成当時,株式会社060 に勤務してお り,勤務当初はパートであったが.平成16 年3月1 7 日正社員となっ た。基本給は月11 万円で(乙 2の1-3) ,1t与はない。 相手方は.平成1 6 年 6 月から株式会社O ムムに転職し現在に至っ ており ,正社員として主に経理関係の仕事をしている。基本給は, 月2 0 万円で(乙 3 ,乙 4の 1-5) ,貸与はない。平成1 7 年分の給 与所得の源泉徴収票によれば,相手方の平成17 年の総収λは, 240 万6000 円である。
2 そこで,前記 1で認定の事実をふまえ,本件養育費約定により合意 された月額養育費を減額すべき事情変更の有無等について,以下検討 する。 ところで,本件公正証哲作成当時の申立人の総収入を平成16 年の給 与等の総収入である492 万362 0 円とし.相手方の総収入を,当時相手 方が勤務していた株式会社OムOの月額給与から推計した年収132 万養育 円として,算定表(判例タイムズ1111 号285 頁以下)の「表 3 2 人分の標準 費・子 2 人表(第 1 子及び第 2 子 0-14 歳)Jにより, 6 万円から 8 万円の範囲内の下限の 6 的な月額養育費を算出すると, 万円に近い数値となる。また,相手方が平成16 年 6 月から転職し,給 与も上がったことから,転職先の株式会社O ムムの給与により年収を 同様に これを相手方の平成16 年の総収入とみて, 240 万円と推計し, 4 万円から 6 万円の範囲 2 人分の標準的な月額養育費を算出すると, 内の上限の 6 万円に近い数値となる。もっとも,申立人の平成17 年の 給与等の総収入は563 万8856 円であり,平成16 年より増収となってい るが,相手方の平成17 年の総収λも240 万6000 円で,本件公正証書作 成当時より増収となっているため,算定表の表 3 により算出される 2 6 万円から 8 万円の範囲内の下限 人分の標準的な月額養育費の額は, そうすると,本件養育費約定により合意された 2 人分の月額養育費 の額は, 14 万円であり,算定表による 2 人分の標準的な月額養育費の 額(約6 万円)の 2 倍以上の額であることが明らかであるから,申立 これを支払い続けることが相当に困難な額であ 人の収入額からみて, ったというべきであること,現に,相手方自身も, r 養育費の14 万円 (相手方審問 は臨時出費分も考慮した金額」である旨述べていること また,本件公正証書作成当時,申立人としては,離婚後 調書11 項) , も当分の間同居生活を継続できるものと考えていたこと,申立人は別 の6 万円に近い数値となり,本件公正証書作成当時の額とほぼ同じで ある。 居後も両親の援助を得て 2 人分の養育費として毎月14 万円を 1 年近く 支払ってきたが,両親からの援助が実は他人からの借入れによってh たことが後になって判明し,両親からの援助が期待できなくなっただ けでなく,申立人自身が借入金の返済をしなければならなくなったこその他,本件公正証書作成の経緯等,前記 1 で認定の諸事情を考 と, 慮、すると,本件においては,当事者聞に,公正証書によってされた本 双方の生活を公平に 件養育費約定に基づく合意、が存在するとはし、え, 維持してし、くためにも,本件養育費約定により合意された養育費の月 額を減額変更することが必要とされるだけの事情の変更があるもの三 認められる。 申立人の平成17 年分の収入が,本件公正証書作成当時より増収とな っていることは事実であるが他方相手方の収入も増加しているこ と,また,前記 1 (6) で・認定のとおり,申立人の基本給や勤務条件に変 更はなく,平成17 年の総収入が増えたのは,もっぱら,支給の有無や 額が不確定な賞与収入が増加したことと,申立人が休み返上で働いた 結果である超過勤務手当が増加したことによるものであること, さら に,増収後の申立人の収入によっても,算定表により算出される標準 的な月額養育費の額にほとんど差はなく,なお 本件養育費約定によ り合意された月額養育費の額が,申立人の収入に比し,高額であるこ とに変わりはないことなどをも翻酌すれば,上記説示のとおり,減額 変更を認めることはやむを得ないというべきである。 そして,本件は公正証書をもって当事者間で合意された本件養育費 約定に定める月額養育費の額を減額変更するものであるこ-とに加え, 前記 1 で認定の本件公正証書作成の経緯,別居後の当事者双方の生活 その他,算定表による標準的な月額養育費の 状況.本件調停の経過, 額や,申立人が平成16 年5 月から平成17 年 2 月までほぼ 1 年近く本件 養育費約定に定められた 2 人分の月額養育費14 万円を支払い,平成17 年3 月以降現在までは毎月 9 万円を支払・つできていることなど,本件 • ‘.、 一件記録によっrて認められる諸事情を考慮、すると,申立人が相手方に 支払うべき養育費を, 2 人分計9 万円に減額変 1 人月額4 万5000 円,この額は,算定表による標準的な (ちなみに, 更するのが相当であり また,本件における養育費の減額 月額養育費の1.5 倍に相当する。), は,本件養育費減額調停が申し立てられた後である平成17 年3 月から 減額されるものとするのが相当である。
3なお,相手方は,申立人が,本件養育費約定により定められた 2 人 分の月額養育費14 万円につき,平成16 年 4月分の支払いをしていない 上,平成17 年 3 月からは 9 万円しか支払っていないのであるから,本 3 件期限の利益喪失約定(本件公正証書第 3 条)により,既に分割払い の期限の利益を喪失するに至ったものであり,遅滞額及び将来にわた る未払い月額養育費の各合計額を一括して支払う義務を負っている以 もはや養育費の減額を請求する余地はない旨主張する。確かに, 上 申立人が本件養育費約定に定められた平成16 年 4月25 日限り相手方に 支払うべき 2 人分の月額養育費14 万円を支払ったことを認めるに足り る証拠はなし、。申立人は,平成16 年 3 月末の給与を全額相手方に渡し ているのであるから 実質的に平成16 年 4 月分の養育費も支払済みと 評価すべきである旨主張するが,平成16 年 3 月末に相手方に渡された 同月分の同居の生活費とし 給与は,申立人自身も認めているように, て渡されたもので・あって,平成16 年4 月分の養育費の弁済として支払 (したがって,申立人は相手方 われたものでないことは明らかである に対し,未払いの養育費14 万円を早急に支払うべきである。)。しかし その定期金としての本質上,毎月ごとに具体的な ながら,養育費は, そもそも本件期限の利 養育費支払請求権が発生するものであるから, また,養育費 の定期金としての本質から生じる事情変更による減額変更が,本件期 限の利益喪失約定により許されなくなる理由もない。そして,本件に 益喪失約定に親しまない性質のものというべきであり, おいては,平成17 年 3 月以降申立人が相手方に支払うべき養育費を,2 人分計9 万円に減額変更すべきことは前記2 1 人月額4 万5000 円, に説示のとおりであるから,相手方の上記主張は失当といわざるを得 ない。 土居葉子) よって,主文のとおり審判する。(家事審判官
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名の変更許可申立却下審判に対する即時抗告事件
第1 抗告の趣旨及び理由
本件は,抗告人が,外国人登録上の名「春子」を「夏江」と変更することの許.可を求めたところ,原容は, 日本国籍を有しない外国人について外国人登録上の名の変更を許可すべきか否かを判断する権限を家庭裁判所に与えた規定は存在しなし、から,上記申立ては,家庭裁判所に判断する権限がある事項とはじえず,不適法として却下するほかないとして,これを却下したところ,抗告人は,これを不服とし即時抗告を申し立てた。その抗告の趣旨は,r原審判を取り消し,抗告人の名を『春子』から『夏江』と変更することを許可する。Jとの裁判を求めるものであり,その理由は,抗告人の外国人登録上の国籍欄には「朝鮮」と記載されているが.日本で出生し.特別永住者の資格で日本に居住し,生活の本拠が日本にある抗告人の出生届は,韓国又は朝鮮民主主義人民・共和国のいずれの本国官署にもされておらず, 日本国の官署へ出生届をして外国人登録,在留資絡を受けているのみで,その国籍の属する本国において登録された公簿上の名を全く持たないので,その外国人登録上の名の変更をするには.戸籍法107条の2を準用して.日本の家庭裁判所の審判でその許可を得るほかに方法がなく,また,本件のような外国人登録上の名の変更許可の申立てを許す審判例も存在しており,抗告人の上記申立てを許すべきであるというものである。
第2 当裁判所の判断
1 一件記録によれば,抗告人は, 1958年(昭和33年)x月×日, 日本で出生し,その外国人登録原票(以下「登録原票」という。)には,国籍として「朝鮮」と,在留資格として「特別永住者Jと, その氏名として「甲春子(甲夏江)Jとそれぞれ登録されていることが認められる。登録原票の国籍「朝鮮Jという記載のみでは,抗告人の国籍が「韓国J文は「朝鮮民主主義人民共和国Jのいずれであるか不分明であるが,抗告人の国籍がし、ずれであっても,原審判のなお書きにおいて説示しているとおり,外国人登録法9条1項が規定する趣旨に従い,外国人は登録原票の記載事項の氏名等に変更を生じた場合には,その変更を生じた日から14日以内に,その居住地の市町村の長に対し, 変更登録申請書及びその変更を生じたこと官証する文告を提出して,その記載事項の変更の登録を申結しなければならず.土記の変更の登録を申請するには.rその変更を生じたことを証する文書Jとして,当該外国人が国籍を有する国の公的機関が発行した証明書を提出する必要があるとするのが,本来の姿である。しかし,抗告人の国籍が韓国であろうと,朝鮮民主主義人民共和国であろうと,いずれにしても,一件記録上抗告人は,いずれの国においても,そめ名につい’て,公簿上の登録を受けていないこと,抗告人は. 7歳のころから名を「夏江Jと称しこの名で,昭和O年口口を卒業し,平成O年にムムも修了しているのを初め, 日常生活においても一貫してこの名を使用し,公的生活及び私的生活の両面において周囲の者からもこの名で呼ばれていることがそれぞれ認められる。
2 したがって,抗告人は,国籍が韓国又は朝鮮民主主義人民共和国のいずれにしても,両国の公簿上その名が登録されていないのであるから,両国の公的機関に対してその変更手続を行い,その証明書の交付を受けることは事実上不可能であるといわざるを得ない。その上J抗告人は,登録原簿,上記口口卒業証明書,上記修了証書,厚生年金保険証書やはがき等から,抗告人は,日本で出生し. 49年間にわたり,特別永住者の資格で我が園で生活していること,我が国においては,国民の身分関係を登録公証する戸籍制度が存し,我が固に居住する外国人については登録原簿が戸籍と同様の機能を果たしていることなどから,抗告人の登録原簿に登録された「名」の変更については,戸籍法107条の2に準じて,正当な理由があるときに限り,家庭裁判所の許可を受けて,これを許すことができると解するのが相当である。そして,抗告人は,上記認定のとおり. 7歳のころから「夏江Jの名を使用し,社会生活上その名で認識され,登録原簿にもこれが通称として登録されているので,抗告人の名の変更については,戸籍法107条の2所定の「正当な事由Jがあるというべきである。また,抗告人に名の変.更を許した場合に不都合な事態が生ずるこせこが危倶されるような事情も,一件記録上.見当たらない以上の次第で,これと結論を異にする原審判を取り消し,抗告人の外国人登録上の名「春子Jを「夏江Jと変更することを許可することとし,主文のとおり決定する。(裁判長裁判官宮崎公男裁判官山本博今泉秀和)
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親子関係不存在確認請求事件
上告代理人口口口口, 同◯◯◯◯上告受理申立て理由について
1 本件は,被上告人が,戸籍上被上告人の子とされている上告人との聞の実親子関係が存在しないことの確認を求める事案である。
2 原審の確定した事実関係の概要は,次のとおりである。
(1) 被上告人(明治41i年生まれ) と亡A (明治’.40年生まれ)は,昭和12年A月A日,婚姻の届出をした。同年A月A日,被上告人とAの夫婦(以下rA夫婦」とし、う。)の聞に長男Bが出生した。A夫婦聞に昭和18 年A月A日に出生した子として出生の届出をしたが,上告人はA夫婦の実子ではなく,Aは,上告人について,
(2) Aが経営していた 高校卒業後, 婦の下でその子として養育され,そば庖を手伝うようになった。Aの相続人と Aは,昭和51 年A月企日に死亡した。上告人は,
(3) 不存在確認を求める調停を申し立てたが,後でとれを取り下げた。
(4) 被上告人は,平成16 年 4月ころ,上告人を相手方として,再度,同 向調停は, 実親子関係不存在確認を求める調停を申し立てたが,不成立により終了した。 年 6 月,同年に申し立 しかも, 在確認調停の申立て等の手続を採ることなく,てた調停を取下げにより終了させていること,本訴請求は被上告人の相続を有利にしようとする Bの意向によること,判決をもって上告人の戸籍上の地位が訂正されると上告人が精神的苦痛を受けることなどの事情に照らすと,本訴請求は権利の濫用であると主張した。原審は,次のとおり判断して,被上告人の請求を認容すべきものと 4 した。身分関係存否確認訴訟は,身分法秩序の板幹を成す基本的親族関係A夫 同月ころから, この届出は虚偽の届出であった。上告人は,して Aの遺産の約 3 分の l 相当を取得したものとされた。
(5)被上告人は,平成 6 年ころ,上告人を相手方として,実親子関係上告人は,被上告人が上告人との問で長期間親子としての社会生活Aの死後も平成 6年まで実親子関係不存. を送ってをたものであり,3 の存否について関係者聞に紛争がある場合に対世的効力を有する判決ひいてはこれにより身分関係を公証する を,もって画一的確定を図り,戸籍の記載の正確性を確保する機能を有する。被上告人は真実の身分関係の確定を求めて本件訴訟を提起したものであるから,上告人と被上告人との間で長年にわたり親子と同様の生活の実体があったこと,被上告人が Aの死亡後も長期間にわたり実親子関係不存在確認訴訟を提起Lなかったことなどを考慮しても,被上告人の本訴請求が権利の濫用に当たるとはし、えなし、。仮に本訴請求が相続を有利にしようとする Bの意向によるものであるとしても,上記判断を左右しない。
しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理 由は,次のとおりである。実親子関係不存在確認訴訟は,実親子関係としろ基本的親族関係の存否について関係者聞に紛争がある場合に対世的効力を有する判決をこれにより実親子関係を公証する戸籍の記 もって画一的確定を図り,載の正確性を確保する機能を有するものであるから,真実の実親子関係と戸籍の記載が異なる場合には,実親子関係が存在しないことの確認を求めることができるのが原則である。しかしながら,上記戸籍の記載の正確性の要請等が例外を認めないものではないことは,民法が一定の場合に戸籍の記載を真実の実親子関係と合致させることについ(776 条, 777 条, 782 条, 783 条, 785 条)な て制限を設けていることどから明らかである。真実の親子関係と異なる出生の届出に基づき戸籍上甲の嫡出子として記載されている乙が,甲との間で長期間にわたり実の親子と同様に生活し,関係者もこれを前提として社会生活上の関係を形成してきた場合において,実親子関係が存在しないことを判決で確定するときは,乙に軽視し得ない精神的苦痛,経済的不利益を強いることになるばかりか,関係者聞に形成された社会的秩序が一挙に破壊されることにもなりかねなし、。また,虚偽の出生の届出がされることについて乙には何ら帰責事由がないのに対し,そのような届出文はこれを容認した甲が,当該届出から極めて長期間が戸籍の記載が真実と異なる旨主張することは,当 経過した後になり,を自ら行い,事者間の公平に著しく反する行為といえる。そこで,甲がその戸籍上の子である乙との聞の実親子関係の存在しないことの確認を求めている場合においては,甲乙聞に実の親子と同様の生活の実体があった期間の長さ,判決をもって実親子関係の不存在を確定することにより乙及びその関係者の受ける精神的苦痛,経済的不利益,甲が実親子関係の不存在確認請求をするに至った経緯及び請求をする動機, 目的,~ ;実v親子関係が存在しないことが確定されないとした場合に甲以外に著しい不利益を受ける者の有無等の諸般の事情を考慮し,実親子関係の不存在を確定することが著しく不当な結果をもたらすものといえるときには,当該確認請求は権利の濫用に当たり許されないものというべきである。そして,本件においては,前記事実関係広よれば,次のような事情があることが明らかである。
(1) 上告人は,昭和18 年 5月ころ以降, A夫婦の下で実子として養育され,被上告人が平成6 年に第 1 回目の調停を申し立てるまでの約51 年間にわたり,上告人と被上告人との聞で実の親子と同様の生活の実体があり,かつ,被上告人は,第 1 回目の調停申立てまでの間,上告人が被上告人の実子であることを否定したことはなかった。
(2) 判決をもって上告人と被上告人との聞の実親子関係の不存在が確定されるならば,上告人が受ける精神的苦痛は,軽視し得ないものであることが予想され,また,被上告人は.A の遺産の相当部分を相続したことがうかがわれるので,被上告人の相続が発生した場合に,上告ふが受ける経済的不利益も軽視し得ないものである可能性が高し、。(3) 被上告人が,上記第 1 回目の調停申立てをした動機, 目的は明ら裁判例(家事)かでないし,その申立てを取り下げた理由も明らかではない。その後,約10 年が経過して再度調停を申し立て,更には本訴訴訟を提起するに至ったことについても,被上告人が上告人との聞の実親子関係を否定しなければならないような合理的な事情があることはうかがわれない。以上によれば,上告人と被上告人との間で長期間にわたり実親子と同様の生活の実体があったことを重視せず,また,上告人が受ける精神的〉苦痛.経済的不利益,被上告人が上告人との実親子関係を否定するため再度調停を申し立てるなどした動機,目的等を十分検討することなく,被上告人において上記実親子関係の存在しないことの確認を求めることが権利の濫用に当たらないとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことの明らかな法令の違反がある。論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり,原判決は破棄を免れない。そして,以上の見解の下に被上告人の上記確認請求が権利の濫用に当たるかどうかについ.て更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。(裁判長裁判官古田佑紀裁判官滝井繁男津野修今井功中川了滋)
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離婚無効確認等請求控訴事件,同附帯控訴事件
第1 当事者の求める裁判
l 控訴人らの控訴の趣旨
(1) 原判決を取り消す。
(2)被控訴人の請求をいずれも棄却する。
(3) 訴訟費用は;第1, 2審とも被控訴人の負担とする。
2 被控訴人の控訴の趣旨に対する答弁
(1) 控訴人らの控訴ぜいずれも棄却する。
(2) 控訴費用は,控訴人らの負担とする。
3 被控訴人の附帯控訴の趣旨
(1) 平成17年×月×日付けで00区長に対する届出によりされた控訴人Aと控訴人Bの婚姻が無効であることを確認する(当審における訴えの追加的選択的請求)。
(2) 附帯控訴費用は,控訴人らの負担とする。
4 控訴人らの附帯控訴の趣旨に対する答弁
(1) 本件附帯控訴による請求の変更に係る訴えを却下する。
(2) 予備的に本件附帯控訴に係る請求を棄却する。第2 事案の概要1 控訴人Aと被控訴人は,平成10年×月×日,婚姻の届出をした夫婦であり,その聞に長女D (平成13年×月×日生,以下「長女」という。)が生まれたところ,控訴人Aが被控訴人に無断で平成16年×月×日付けで00区長に対し,長女の親権者を控訴人Aとする協議離婚屈を提出して受理され,その後,同区長に,平成17年×月× 日付吋で控訴人Bとの婚姻届を提出して受理されたとして,被控訴人が,上記協議離婚(以下「本件雌婚」といい,届出を「本件離婚の届出Jとしみ。)の無効の確認及び控訴人Aと控訴人Bとの婚姻(以下「本件婚姻」としみ。)の取消しを求めた事案である。原判決は,本件離婚の無効を確認し.本件婚姻を取り消したところ,控訴人らが控訴し,被控訴人は,本件婚姻について無効の確認を求める請求を選択的に追加する附帯控訴をした。
2 当事者の主張
(1)被控訴人① 被控訴人は, 控訴人Aと婚姻後,長女をもうけ,控訴人Aの肩書住所地で3人で生活していたが,平成16年5月×日にcx:xコにより救急車で病院に搬送されて約3週間入院した後,中国で00手術を受けることとし.同年5月×自に単身で中国に帰国し,Cわ市内の病院に入院した。②’ところが,被控訴人は,00市内の病院に入院中に,控訴人Aから,病気が治らないのであれば帰ってくるななどと言われたため,平成16年7月×日に日本に戻ったところ.本件離婚の届出がされていたことが判明した。③ 本件離婚の届出は,被控訴人に無断で提出されたものであり,被控訴人には,控訴人Aとの離婚意思及び離婚届の届出意思がないから無効である。また,その後,控訴人らの婚姻届出がなされたが,本件婚姻は,重婚となる。よって.被控訴人は,控訴人Aに対し,本件離婚が無効であることの確認を求めるとともに,控訴人らに対し,本件婚姻について,無効の確認又は取消しを選択的に求める。
(2)控訴人ら① 控訴人Aは,被控訴人が中国に帰りたがり, 日本に戻ってくるか否か分からなかったため,やむなく被控訴人と離婚する旨の合意をした。②仮に被控訴人が控訴人Aと離婚していないと考えているのであれば, 日本に戻った後,控訴人Aのもとに来るはずであるのに,被控訴人は.控訴人Aのもとに戻らないばかりか,保育園から長女を連れ去ったまま居所を明らかにせず,長女の親権を要求している。③被控訴人が長女の親権を要求する目的は,婚姻の維持ではなく.在留資格の保持にあることは明らかであり,本件離婚の届出の前後を通じて婚姻継続の意思がなかったことは明らかである。④ したがって,本件離婚は有効であるから,本件婚姻もまた有効にされたことになる。⑤ 本件婚姻の無効の確認を求める訴えは,過去の法律関係の確認を求めることになるから,確認の利益がない。
第3 当裁判所の判断
1 本件は,下記2(1)のように. 日本国籍を有し, 日本に常居所を有する控訴人Aと,中国籍を有する被控訴人との離婚が成立してし4るかどうかの問題であるから,離婚の成立については,法の適用に関する通則法(以下「通則法」としみ。)27条により(なお,通則法附則2条参照), 日本法が準拠法となる。また,離婚の方式についても,通則法34条により(なお,通則法附則2条参照), 日本法が準拠法となるものである。したがって,以下では, 日本法により,離婚が成立しているかどうかを検討する。
2 証拠(甲1ないし4,甲5の1・2,甲6,7,被控訴人,控訴人A) 及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
(1)被控訴人は中国の国籍を.控訴人Aは日本の国籍をそれぞれ有しているところ,両名は,平成10年×月×日, 日本において婚姻の届出をし,その後,長女が生まれ,控訴人Aの肩書住所地で3人で生活していた。
(2) 被控訴人は,平成16年5月×日に体調を崩し,救急車で病院に搬送された。そして.CわOよ診断され,約3週間入院した。その‘後,被控訴人は,中国で治療を受けることとし,同年5月× 日に単身で中国に帰国し.CD市内の病院に入院した。
(3)控訴人Aは,被控訴人に,手術費用として相当の額の金員を渡していたが.被控訴人の両親から更に多額の費用が必要だなどといわれたことなどから,被控訴人と離.婚 したL、と考丸被控訴人.に は無断で,協議離婚用紙に,長女の親権者を控訴人Aとする旨の記載をした上,被控訴人名義の署名をし,残されていた被控訴人の印鑑を利用してこれに押印して,平成16年×月× 日付けでCD区長にこれを提出した。
(4) なお,中国に帰国する前に.被控訴人と控訴人Aとの問で,離婚の話が出たことはない。
(5)被控訴人は.CD市内の病院に入院中,被控訴人の父から,平成16年6月×日ころに控訴人Aの母が電話で「長女が風邪を引いて保育園を休んでいる。ムム症の母が生んだ子供はいらない。おたくの娘もいらない。J という趣旨の話をしたことを聞かされ,不安になり.控訴人Aに電話をした。ところが,控訴人Aも.電話で「病気が治らないなら, 日本に帰らないでいい。」という発言をしたため,被控訴人は,控訴人Aやその母が被控訴人を追い出そうとしていると考え,同年7月× 日, 急漣.日本に戻った。しかし,控訴人Aとの電話のやりとりから,同居はあきらめて,控訴人Aの下には戻らず,保育園から長女を連れ出し.長女とともに生活している。
(6) 被控訴人は,同年7月半ばころ,控訴人Aからの手紙(甲5の1 . 2) とそこに同封してあった離婚届奮の受理証明書(甲4)から,本件離婚の届出がされたことを知り, その後,自分でも控訴人Aの戸籍謄本で本件離婚を確認した。控訴人Aの手紙には.r受理証明書の日付で正式に離婚が成立したことや,長女の親権が控訴人Aに帰すること,これらのことは被控訴人が望んだことだと思弘被控訴人はお金ばかり要求する,また.被控訴人が家事をしなし、こと.CDに病気があることを知りながら,被控訴人の父が控訴人Aと結婚させたのは.-詐欺であるJといったことが記されている。
(7) 被控訴人は,東京家庭裁判所に本件離婚の届出が無効であるとの確認を求める旨の調停(平成16年(家イ)第xx号)を申し立てたが,平成16年10月×日,当事者間に合意が成立する見込みがないとして不成立となった。
(8) その後,控訴人A及びぜ訴人Bは,平成17年×月×日付けでO0区長に対して本件婚姻の届出をした。
3(1) 以上によれば,控訴人Aが本件離婚の届出用紙を作成し, これを00区長に提出した際,被控訴人には,控訴人Aとの離婚意思はなかったものと認められる。
(2) なお,控訴人Aは,中国にいる被控訴仔電話で話したときに,離婚する旨の合意をしたので,本件離婚の届出用紙に被控訴人の署名をし,被控訴人の印鑑を押印したと供述する。しかしながら,この供述は,以下の点に照らし, 信用し難し、といわなければならない。すなわち.被控訴人が中国に帰国する前の段階では,被控訴人と控訴人Aとの間で離婚の話などは出ていなかったのであるから,控訴人Aの供述どおりだとすると,唐突に離婚の話になったということになるが,被控訴人は,当時Cだわの治療のため中国に戻っている状況にあったのであり,離婚となると生活上の不安もあるはずであるから,被控訴人が突然の離婚の話に電話でのやりとりだけで簡単に応じるということは非常に不自然である。しかも,両者のF聞にはまだ3歳にもならない幼い子供がし、たのであるから,離婚となれば,当然どちらが子供の親権者になって子供を育てるか話し合いがされるのが普通であるが,当時そのような話し合いがされたこともうかがわれないのである。こういった点を考えると,控訴人Aの上記供述は信用し難し、。なお,確かに,被控訴人は,中国からの帰国後控訴人Aの下に戻らず,別々に生活しているが,これは控訴λAとの電話のやりとりから同居することをあきらめた結果であるから,このことから,被控訴人が事前に離婚を承諾していた,あるいは追認したなどということはできないものである。むしろ,本件離婚届出は,控訴人Aが,被控訴人の治療費が更に必要だなどといわれ,病弱の被控訴人に嫌気がさして,被控訴人に無断で離婚届を提出しt~認めるのが相当である(控訴人A の手紙(甲5の1・2,甲6) の内容からも,そのことが十分うかがえるというべきである。)。
4 次に,被控訴人と控訴人Aとの本件離婚が無効であるため,控訴人Aと控訴人Bの婚姻は,重婚ということになる。ところで,既に他に配偶者がし、る者がした婚姻が有効なのか無効なのか,誰がその婚姻の無効を主張し得るかといった問題札、婚姻からどのような効果が生ずるかという婚姻の効力の問題でなく,婚姻の成立に関する問題であるから.’通則法24条(通則法附則2条参照)によって準拠法を判断すべきである。したがって,各当事者の本国法が適用されるところ,控訴人Aの本国法である日本法では,重婚は婚姻取消し事由になる1- (民法744条)のに対し,控訴人Bの本国法である中国法では,当然無効になる(中華人民共和国婚姻法10条)。このような場合,より厳格な効果を認める方の法律を適用すべきであるから,本件婚姻は当然無効になるというべきである。なお,本件で,婚姻無効の確認を求める訴えが不適法であるとする根拠はない(人事訴訟法2条1号参照。)。
5 以上によると本件離婚は無効であるとともに,本件婚姻も無効ということになる。したがって,被控訴人の附帯控訴に基づいて原判決主文2項を主文のとおり変更することとした._また,控訴人らの本件控訴はいずれも理由が沿いので,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。( 裁判長裁判官大坪丘裁判官宇田川基中山直子)
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2012年2月26日 | コメント/トラックバック(0) |
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親子関係不存在確認請求事件
上告代理人口口口口ほかの上告受理申立て理由について
1 本件は,被上告人が,戸籍上被上告人の弟とされている上告人は両親の実子でも養子でもないと主張して上告人と両親との聞の実親子関係及び養親子関係がそれぞれ存在しないことの確認を求める事案である。
2 原審の確定した事実関係の概要は,次のとおりである。
(1). 被上告人は,大正12年A月A日,亡Aと亡Bの夫婦(以下fA夫婦Jとし、う。)の長女として出生し,昭和5年A月A日,亡Dと亡Eの夫婦(以下rD夫婦Jとし、う。)と養子縁組をし,その後,D夫婦の子として養育された。亡Cは,大正14年企月A日.A夫婦の二女として出生した。
(2) 上告人は,昭和16年A月ころ,亡Fと亡Gの夫婦(以下rF夫婦Jとしみ。)の聞に出生した。F夫婦は.Aに対し,上告人をA夫婦の嫡出子として出生の届出をするよう懇請し.Aは,上告人についてA夫婦の聞に同月A日に出生した長男として出生の届出をした。
(3) A夫婦は,上告人を同夫婦の実子として養育した。上告入は,高校卒業のころ,自分がA夫婦の実子ではないのではないかという疑問を抱いたことはあったが.A夫婦を含む周囲の者からそのA夫婦の実子であると思い続けていた。その後,上告人は,大学に進学し,卒業後,婚姻したが,昭和旨を告げられることはなく,上告人の 51 年まで A夫婦及びCと生活を共にした。また, c は,学費を負担するなど上告人の養育に協力した。 Aは,昭和49 年A月A日に死亡したが 生前上告人が自分の子ではない旨を述べたことはなかった。 Aの遺産はすべて妻である Bが相続した。上告人は,平成 2年ころ実母である Gの喜寿を祝う集まりに呼
(4) 自分が真実はF夫婦の聞に生まれた子 ばれ,平成 5年ころには,その後も,従前と同様に; B , であることを認識するに至ったが,同人らも,上 C及び被上告人との聞で家族としての関係を継続し,告人がA夫婦の間の子であることを否定したことはなかった。Bは平成8 年A月A日に死亡した。その遺産は遺言によりすべて
(5) かがわれる。独りで生活していたCは,平成14 年A月A日ころ自宅で死亡し,
(6) その約10 日後に発見された。 Cは, Bの死亡後も,上告人がA夫婦の実子であることを否定する旨を述べたことはない。上告人がCの安否の確認をしなかったためにCの・ 被上告入札
(7) 死亡の発見が遅れたと思い憤りを感じていたところ, c の法要の参列者を上告人が被上告人に相談なく決めようとしたことなどに反発A夫婦は,生涯上告人との実親子関係を継 して生活していたこと,このような遺言がされたのは.遺産の主なものがBとCが居住していた自宅の土地建物であり, Bの死後も Cが引き続きこれに居住できるようにBが配慮、したためであることがうし,上告人と A夫婦との聞の実親子関係を否定するに至った。D夫婦の子とA夫婦は 死亡するまでこれを否定することはなかったこと,Cが相続したが,
3上告人は,被上告人がD夫婦と養子縁組をした後, 3 統し,死亡したため,現在では,上告人がA夫婦との聞で・養子縁組をすることはできない状況にあること,被上告人は, Cの死後,その遺産の相続について上告人と話し合うなかで,上告人が A夫婦と親子関係がなく, c の相続人ではないと主張するに至ったのであって,本訴請求は専ら被上告人が上記遺産の独占を図る目的のものであることな,どの事情に照らすと,本訴請求は権利の濫用であると主張した。
4原審は,次のとおり判断して,被上告人の請求をいずれも認容すベ きものとした。身分関係を公証する戸籍にはその記載が正確であることを確保すベき要請があること,身分関係の存否確認訴訟の判決には対世的効力があるからその訴えの提起者に関する個別事情を重視するのは相当ではないこと,現在の特別養子縁組制度においても厳格な要件と重大な効果が法定されてレることに照らせば,本件訴訟に至る経緯,本訴請求が認容されるよとにより上告人の受けるであろう精神的苦痛等を考慮、しでも,本訴請求が権利の濫用に当たるとまでいうことはできなし、。しかしながら,原審の上記判断のうち実親子関係不存在確認請求を することが権利の濫用に当たらないとした部分は是認することができない。その理由は,次のとおりである。実親子関係不存在確認訴訟は,実親子関係とし、う基本的親族関係の存否について関係者聞に紛争がある場合に対世的効力を有する判決をこれにより実親子関係を公証する戸籍の記 もって画一的確定を図り,載の正確性を確保する機能を有するものであるから,真実の実親子関係と戸籍の記載が異なる場合には,実親子関係が存在しないことの確認を求めることができるのが原別である。
5 しかしながら,上記戸籍の記載の正確性の要請等が例外を認めないものではないことは,民法が一定の場合に,戸籍の記載を真実の実親子関係と合致させることについて制限を設けていること(776条. 777条. 782条. 783条. 785条)などから明らかである。真実の親子関係と異なる出生の届出に基づき戸籍上甲乙夫婦の嫡出子として記載されている丙が,甲乙夫婦との間で長期間にわたり実の親子と同様に生活し,関係者もこれを前提として社会生活上の関係を形成してきた場合においてJ実親子関係が存在しないことを判決で確定するときは,虚偽の届出について何ら帰責事由のない丙に軽視し得ない精神的苦痛,経済的不利益を強いることになるばかりか,関係者聞に形成された社会的秩序が一挙に破壊されることにもなりかねない。そして,甲乙夫婦が既に死亡しているときには,丙は甲乙夫婦と改めて養子縁組の届出をする手続を採って同夫婦の嫡出子の身分を取得することもできない。そこで,戸籍上の両親以外の第三者である丁が甲乙夫婦とその戸籍上の子である丙との聞の実親子関係が存在しないことの確認を求めている場合においては,甲乙夫婦と丙との聞に実の親子と同様の生活の実体があった期間の長さ,判決をもって実親子関係の不存在を確定することにより丙及びその関係者の被る精神的苦痛,経済的不利益,改めて養子縁組の届出をすることにより丙が甲乙夫婦の嫡出子としての身分を取得する可能性の有無,丁が実親子関係の不存在確認請求をするに至った経緯及び請求をする動機,目的,実親子関係が存在しないことが確定されないとした場合に丁以外に著しい不利益を受ける者の有無等の諸般の事情を考慮、し,実親子関係の不存在を確定することが著しく不当な結果をもたらすものといえるときには,当該確認請求は権利の濫用に当たり許されないものというべきである。そして,本件においては,前記事実関係によれば,次のような事情があることが明らかである。
(1) 上告人の出生の届出がされた昭和16年からBが死亡した平成8年までの約55年間にわたり,上告人とA夫婦ないしBとの問で実の親子と同様の生活の実体があり,かつ,被上告人は.cの死亡によりその相続が問題となるまで,上告人がA夫婦の実子であることを否定したことはない。
(2) 判決をもって上告人とA夫婦の実親子関係の不存在が確定されるならば,上告人が受ける精神的苦痛は軽視し得ないものであることが予想され,また,土地建物を中心とするA夫婦の遺産をすべて承継したCの死亡によりその相続が問題となっていることから,上告人が受ける経済的不利益も軽視し得ないものである可能性が高い
(3) A夫婦は,上告人が実の子ではない旨を述べたことはなく,上告人との間で嫡出子としての関係を維持したいと望んでいたことが推認されるのに.A夫婦が死亡した現時点において,上告人がA夫婦との間で養子縁組をして嫡出子としての身分を取得することは不可能である。
(4) 被上告人は.Cの死亡の発見が遅れたことについて憤りを感じたこと.Cの法要の参列者が被上告人に相談なく決めようとされたことなどから,上告人とA夫婦との親子関係を否定するに至ったというのであるが,そのような動機に基づくものであったということは,被上告人が上告人とA夫婦との間の実親子関係を否定する合理的な事情とはし、えない。以上によれば,上告人とA夫婦との聞で長期間にわたり実親子と同様の生活の実体があったこと.A夫婦が既に死亡しており上告人がA夫婦との周で養子縁組ーをすることがもはや不可能であることを重視せず,また,上告人が受ける精神的苦痛,経済的不利益,被上告人が上告人とA夫婦との実親子関係を否定するに至った動機,目的等を十分検討することなく,被上告人において上記実親子関係の存在しないことの確認を求めることが権利の濫用に当たらないとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことの明らかな法令の違反がある。論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり,原判決のうち実親子関係不存在確認請求に関する部分は破棄を免れない。そしてf以上の見解の下に被上告人の上記確認請求が権利の濫用に当たるかどうかについて更に審理を尽くさせるため,上記部分につき本件を原審に差し戻すこととする。
6前記事実関係によれば,上告人はA夫婦の養子としての生活をしてきたものではなし、から,被上告人が上告人とA夫婦との聞の養親子関係が存在しないことの確認を求めることが権利の濫用に当たるとはいえない。原判決のうち養親子関係不存在確認請求に関する部分は, 正当として是認することができ, 同部分に係る上告は, これを棄却することとする。よって,裁判官全員一致の意見で, 主文のとおり判決する。(裁判長裁判官今井功裁判官滝井繁男津野修中川了滋古田佑紀)
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2012年2月26日 | コメント/トラックバック(0) |
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請求すべき按分割合に関する処分申立事件
(申立ての趣旨等)
申立人と相手方は,共同して婚姻生活を営み夫婦として生活していたが,離婚した。申立人と相手方との聞の離婚成立日,離婚時年金分割制度’に係る第一号改定者及び第二号改定者の別,対象期間及び按分割合の範囲
は,別紙1のとおりである。よって,主文同旨の審判を求める。
(当裁判所の判断)
本件記録によれば,前記申立ての趣旨等の事実が認められる。対象期間における保険料納付に対する夫婦の寄与は,特別の事情がない限り,互いに同等と見るのを原則と考えるべきであるところ,本件においては,相手方から書面照会に対する回答書の提出もなく,かかる特別の事情があると認めることはできないから,申立人と相手方との聞の別紙1記載の情報に係る年金分割についての請求すべき按分割合を.0.5と定めるのが相当である。
よって,主文のとおり審判する。(家事審判官西前ゆう子)
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親権者変更申立事件
l 申立ての要旨
申立人と相手方は,平成21年×月×日,未成年者の親権者を相手方と定めて調停離婚した。もともと離婚など考えていなかった申立人は,万が一離婚するとしても,未成年者の親権者になることを希望したが,相手方が00市の自宅で責任を持って未成年者を監護養育するとの意向であっfこので,未成年者が住み慣れた自宅に住み,同じ学校に通うことができ,埼玉県内に住む申立人といつでも会うことができるのであれば,未成年者にとって,離婚による不利益を最小限度に止めることができると考え,相手方を親権者とすることに同意した。ところが,相手方は,周年×月,未成年者を北海道Ox市に住む相手方の両親に預けた。申立人はp 未成年者と電話で話すことも拒否され,面会することもできなくなった。相手方は自ら監護することを放棄したもので,相手方の両親には健康上の不安もある。慣れない北海道で,母親である申立人から意図的見遠ざけられている未成年者のことを思い,申立人は,自与親権者となって未成年者を監護養育していくことを決意したが,相手方は,親権を譲らないと主張している。そこで,未成年者の親権者を相手方から申立人に変更する旨の審判を求める。2 本件記録及び平成20年(家ィ:)第xxx号夫婦関係調整調停事件のー記録によれば,以下の事実が認められる。
(1) 申立人と相手方は,平成10年×月×日に婚姻し,平成11年×月×日に長男の未成年者をもうけた。相手方から見ると,申立人は感情の起伏が激しく,何かにつけて相手方を強い口調で非難したり,相手方を見下したような言動をするように感じられ,両者の間で口喧嘩になることが多かった。平成20年×月×日,未成年者のことに端を発し.て,申立人と相手方は大喧嘩になった。相手方は,申立人との生活に限界を感じ,同月×日,自宅を出て,賃貸アパートにd住み始めた。平成20年×月×日,相手方は,離婚を求めて夫婦関係調整調停事件を申し立てた。申立人は,当初離婚を拒否していたが,第3回目と第4回目の調停期日の聞の同年×月×日ころ,未成年者を連れずに自宅を出て,埼玉県ムム市内の申立人の実家に帰った。相手方は,未成年者からの連絡でこれを知ったため,すぐに自宅に戻り,以後,未成年者と自宅で暮らすようになった。申立人は,実家に戻った後は,未成年者を引き取って監護養育することや未成年者の親権者になる旨を主張することもなく,平成21年×月×日の第5回調停期日で,未成年者の親権者を相手方と定めて調停離婚すること,相手方が申立人に対し,離婚に伴う解決金xx×万円を平成24年×月までの分割lで支払うこと,申立人は,未成年者と面接できること等が合意され’.調停が成立Lた。
(2) 市手方IJ:, 001こ勤めていたが,勤務は3交代制で, 3日にl日の・割合で夜勤があるため,夜勤の日は未成年者が夜間一人で過ごすことになる。離婚調停が成立した3日後である平成21年×月× 日,児童相談所の職員が,突然,相手方の自宅を訪問し,未成年者が夜間一人で自宅にいるのは,児童虐待にあたるど説明し,生活状況を改善するようにと指導を受けた。相手方は,同月×日,離婚調停の際に代理人で・あった弁護士に相.談に行色勤務形態を日勤だけにするとか,夜間未成年者を預けーら抗る施設を探したり,自宅に親戚や知人に来てもらうなどの方法を検討するよ?助言を受けた。相手方は,助言に従って施設や人材がないか探したが,内容的に適当な方法はなかった。児童相談所からは月にl回電話連絡があり,同年×月×日には,未成年者が夜間一人で自宅にいるー状態を改善しな句れは\未成年者を一時保護し,施設入所させる措置を検討するごとになると通告された。相手方は,同年×月×日,児童相談所に行って,宿題を見たり,休みの日には一緒に遊ぶなど,未成年者の世話を怠ることなく行っており,夜勤があるときでも食事は全て相手方・が用意していることなど詳しい状況を説明し, 理解を求めたが,児童相談所の方針は変わらなかっfこ。
(3) 申立人は,離婚後も,未成年者との聞で,電話やメールを利用して連絡を取っていた。未成年者は,相手方が夜勤で留守になると,一人で心細くなり,申立人にメールで連絡を入れたりしていた。例えば,平成21年×月×日夜には,rお母さんお母さん・・・・・」と多数回にわたり繰り返すメールを送信している。申立人は,都合のつくときには,相手方の自宅に行って未成年者の面倒を見たり,泊まったりしていた。相手方は,未成年者の求めに応・じて,申立人が泊まったりしていることには気付いていたが,笹め立てすることもないと考え,黙認していた。ま元,未成年者は,相手方と暮らすようになっても,申立人と相手方の離婚を巡る紛争状態を感じ取り,たとえば, r僕はおかあ8んなんか,みすてない。J(同年×月×日), rありがとうお母さん大好き」(同年×月×日), rお父さんとわかれるなら,おかあさんのところにいくJ(同年×月×日)等のメールを申立人宛に送信している。
(4) 平成21年×月× 日, 相手方は,未成年者に対し,相手方と一緒に暮らすことが困難であるから, 今後の生活をどうするか意向を確認した。未成年者は, Ox市の相手方の実家で,祖父母の下で生活することを希望する旨を述べた。相手方の両親は,未成年者の世話をすることを快諾し,同月×臼,相手方の自宅に来て, 1か月ほど未成年者と過ごし, 1学期が終了した後, Oxに未成年者を連れて帰った。
(5) 平成21年×月ころ,申立人は,未成年者が通っていた学習塾を辞めたり,所属していた野球チームを辞めたりしたほか,未成年者が転校するという噂を聞いたので,未成年者に電話で確認した。未成年者は,はっきりしたことを答えず, Oxに行くことを申立人に明かさなかった。申立人は,未成年者と同月×日に会う約束をしていたが,未成年者から電話が入り, r会えなくなってしまった。Jrお母さん死なないで・。J等と告げられた。
(6) 未成年者は, 2学期から, Oxの市立小学校に通っている。学校生活にも慣れて,後期の成績は前期よりも非常に良くなり,学習面でもこつこつと努力している。未成年者は,私立中学校に行くことを希望しているので,新学年から学習塾にも通うようになった。62・12-104裁判例・( 家事)二父方祖父は, 00を定年退職し,年金収入で暮らしており,父方祖母は専業主婦である。相手方の妹は00の事務職員として勤務し,未成年者の遊ひ’相手にもなっている。自宅は,父方祖父名義の持ち家で, 4LDKの間取りで,未成年者の部屋もある。相手方は,夜勤の日以外は,夜9時頃に電話をして,その日の出来事などを話している。まとまった休みが取れると,Oxに帰省し,未成年者と一緒の時閣を過ごしている。相手方は, ー未成年者の生活費として1か月×万円を送金している。
(7) 申立人は,実家でj 申立人の実父と,昭和63年に再婚した義母,その閣の長男及び実父の母が同居している。実父は,00であり,経済的には安定している。実家は, 2棟の2階建ての建物が廊下でつながったもので,実父の営む00の2階部分は,申立人だけで使用しており,未成年者と暮らしでも十分な広さである。なお,申立人の実母は, 00市に住んでいる。経済的には余裕があり,未成年者を始めとする孫たちに進学費用を援助することも可能である。申立人は,将来的に00の資格を取って生活を安定させたいと考えており, 00学校に通う予定である。申立人は,離婚当時は,バートをしていたが,平成22年×月からはムム市内の00で働いている。・
(8) 申立人は,未成年者と電話で話すこともできないので,手紙を送っているが,未成年者は開封していなし、。また,クリスマスに送られたお菓子にも手を付けなかった。平成22年×月×日,家庭裁判所調査官は,当庁において未成年者と面接を実施した。未成年者は,概略以下のようなことを述べた。ア申立人と相手方が,喧嘩をし,相手方がこれ以上未成年者に心配をかけたくなし、からと, 自宅から出て行った。申立人と二人で暮らしていたときは,毎日叩かれていた。申立人から,r他の子産むから。」と言われた。イ相手方が夜勤でいないときは,一人では怖いから申立人に来てもらっていた。本当は来て欲しくなかったので,いやいや電話していた。相手方が作り置きした夕食を,申立人が「まずいから」と勝手にすり替えてしまい,申立人が作ってきたサンドイツチを食べさせた。ウQxに行くことは自分で選んだもので,迷いはなかった。仕方なく行ったわけではなく,自分から進んで行く気持ちだった。申立人と会えなくなるのは,嬉しかった。エ転校して,初めは緊張したが,すぐ慣れて,友達もたくさんできた。父方祖母から, 申立人がQxの学校は.レベルが低いと言っていると聞いたが,パカにしないでほしい。パカにされたくないから,勉強もすごく頑張っている。オ父方祖父母はやさしし、。埼玉にいるときより,外でいっぱい遊べるようになった。申立人といたころより,Qxに来てからの方が楽しい。相手方とは夜勤の日以外毎日電話で話しているし,休みのときはQxに来てくれる。未成年者がしつこく物をねだったり,言うことを聞かないときには叱られる。父方祖父母も,物をねだると,「我慢も必要だ。」と教えてくれる。カ申立人は,未成年者のことなんか思っていない。テストで頑張っーて90点とっても, 100点が取れないと言って,頬を平手で叩かれ・た。拳骨で殴られたこともあった。申立人は,とっても嫌な人だし.,最低 な人だ。大好きな物を買ってくれると約.束しで も,買ってくれなかったり,大好きな物を取り上げたりもした。申立人とは会うのも嫌だ。絶対に会いたくない。他の子産むつ・て言われて傷ついた。一緒に住みたいと言われでも,会いたいと言われでも,何を今さらと思う。
3 上記2認定の事実に基づき,親権者変更の可否について検討する。
(1) 相手方は,離婚当初,自分の手で日常の未成年者の監護をすべて行おうと努力したが,児童相談所から夜勤の際の監護について問題を指摘され,その結果, Qx市内に住む相手方の両親に未成年者を託したものである。一方,申立人は,監護環境も整え,申立人自身で毎日未成年者を監護養育することが可能であるといえる。しかしながら,本件は,新たに親権者を定める場合とは異なるから,現時点の親権者による未成年者の養育監護状況が劣悪であるなど,未成年者の福祉に反する状態が認められる場合に,親権者を変更すべき事情があるというべきである。
(2) 申立人は,離婚後,未成年者の自宅を訪問するなどして,事実上監謎の手助けをしていた形になっていたから,申立人と相手方が,離婚後に未成年者のために助け合って監護をしていくことは,客観的には不可能ではなかったといえる。しかしながら,申立人と相手方は,離婚から聞がないこともあって,互いに不信感も根強く,実際のところは話し合うことず与困難な状況であったものと推察されるから,。×の祖父母に監護を委託するという相手方が採用した選択肢はやむをf尋ないものといえる。確かに,相手方は, 日常的に未成年者と生活をともにすることはできず,その点が未成年者の監護面での不安材料である。しかしながら,ー相手方は, 日常的にこまめに電話や手紙で未成年者とやり取りを。して意思疎通を図っているほか,担手方がQxに帰省する際には,日頃一緒に過ごせない分を取り戻すべく,父子での時閣を楽しんでいるものである。未成年者は,新しい環境に馴染み,転校先で学習面でも努力をしており, 目下のところ生活上で心配な点は窺われない。-
(3) 未成年者は,家庭裁判所調査官に対し,申立人の下で暮らすことよりも, Oxの父方祖父母の下で暮らすことを自ら選択したと述べ,申立人に対する拒否的感情を露わにし,申立人を全面的に拒絶する発言をした。しかしながら, Oxに行くまでの聞には,未成年者は,申立人とめ間で親和的なメールをやりとりしたり,申立人が夜間自宅に宿泊したこともあったことなど,未成年者が申立人を完全に拒絶していたとは到底思われない言動があったことが認められ,未成年者が,本当は母である申立人を求めている部分がある可能性は否定できなし、。この未成年者の矛盾した感情を分析すると,未成年者は,平成21年×月に,未成年者なりに党悟を決めてOxに行き, 父方祖父母という新たな拠り所を得て, Oxでの生活を安定したものとするべくド種々の面で努力をしている最中であると解される。また,父母の誇いを間近で見聞きしてきた未成年者は, 申立人が未成年者と関わりを持つことで,諦いが再燃することをおそれ,申立人を遠ざけようとする意識が働いているものとも解される。いずれにしても,現時点で未成年者の生活環境を大きく変更することは,未成年者自身が欲しないものであると解される。
(4) 以上のとおりで,親権者である相手方が, Oxの祖父母に未成年者の盤育監護を託している状況ではあるが,未成年者の現在の養育監護に大きな問題は見当たらず,未成年者の福祉に反するというべき事情は認められなし、。したがって,未成年者の親権者を相手方から申立人に変更することは未成年者の福祉に適うものとは認められないから,本件申立ては理由がなえ,主文のとおり審判する。(家事審判官生島恭子)
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2012年2月26日 | コメント/トラックバック(0) |
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扶養に関する処分申立事件
l 申立ての要旨
申立人,相手方及び多加人は,事件本人の子である。事件本人は. 4年前から口口に入所中であったが,平成17年11月×日に00で病院に入院した際.△△が悪化,口口口が必要となった。ロロからは,症状悪化を理由に退所を余儀なくされ,ケアワーカーと相談.○○を紹介され,過日,入所した。申立人は,従前,事件本人を扶養してきたが,年金生活となった。事件本人の子らで,施設の入居時一時金,月々の室料等の諸経費及び医療費の分担をしたい。相手方に対し,入居時一時金の分担金として90万円,月々の室料等の諸経費及び医療費の分担金として月3万5000円の負担を求める。
2 相手方の意見月額利用料として1万円を負担するが,それ以外の負担は無理である。申立人は,父母と・同居し,経済的援助等を受けてきた{父め相続時,相手方や参加人が相続分を主張しなかったのは,申立人が参加人や事件本人の面倒を見るということだったからであり,その後, 事件本人から実家の土地建物の持分贈与も受けている。今になって相手方らに応分の負担を求めるのはおかしい。
3 当裁判所の判断
(1) 本件記録によれば,以下の事実が認められる。ア事件本人は,大正8年×月×日.E. Fの二女として出生,昭和16年×月×日.Gと婚姻し,申立人A.相手方B.参加人Dをもうけた。事件本人は,平成13年ころから,口口に入所していたが,平成17年11月×日に○○病院に入院した際,ムムが悪化し,口口口が必要となった。ロロからは,症状悪化を理由に退所するよう言われ.ケアワーカーと相談したところ,ζXヌコを紹介された。事件本人は,平成18年3月×日,株式会社○○○との間で,有料老人ホーム入居契約を締結し,口口口を受けられるOO()(以下「本件老人ホーム」という。)に入所した。身元引受人には,申立人と参加人がなった。本件老人ホームは,終身利用権方誌をとっており,終身利用のためには,居室のタイフ・に応じた入居時一時金と月々の室料等の諸経費を支払う必要がある。入居時一時金は;契約時に20%.残額が5年間月割で償却される。事件本人は,入居に際し,入居一時金270万円を支払ったが,同金員のうち,申立人が180方円,参加人が90万円を負担した。事件本人が本件老人ホームを利用するにつき,月々かかる諸経費は,室料が4万5150円. 管理費が4万5150円(平成18年5月以後値上げされた。従前は3万6750円)及び食費7万3500円(合計16万3800円)のほか,電気料(23円/KWH).電話料,居宅サービス介護利用者負担額(549円/目。なお,平成18年10月から616円/自に値上げされた。).施設立替金等である。事件本人は,本件老人ホームから,平成18年3月31日付けで20万6336円(繰越金額を除く。以下同じ。).同年4月30日付けで17万3695円を,同年5月31日付けで18万2665円,同年6月30日付けで18万1803円:同年7月31日付けで18万2426円,同年8月31日付けで18万3622円,同年9月30日付けで18万2068円,同年10月31日付けで18万4193円を請求された。事件本人は,平成17年中.厚生年金108万96円,国民年金10万6296円の給付を受けている。申立人が管理する事件本人名義のoa担行Cわ支庖の普通預金口座の残高は. 1万5705円(平成18年1月×日付けに口口銀行の普通預金口座の残高は33万6478円(平成18年1月×日付け)にすぎなし、。なおi 申立人は.本件老人ホームからの請求に対し,平成18年4月25日に11万円,以後,各月10万円ずつ,事件本人が給付を受けた年金を原資として,請求額の一部を支払っている。本件老人ホームからの同年10月31日付けの請求において,支払いがなく,同日までに繰り越された金額は.58万2615円となっている。イ申立人は.00として勤務した後,退職,現在は,年金生活者となった。平成17年に支払を受けた年金額は.299万5300円である。申立人は,婚姻後も,父母であるG.事件本人と実家に同居し,昭和57年7月×日.父Gが死亡した際には,実家の土地建物を事件本人1/2.申立人1/2の持分割合で相続した。申立人は,事件本人から.突家の土地建物の事件本人持分につき,平成13年8月×日,平成14年3月×日と2回にわたって贈与を受け,その全部を譲り受け,移転登記を経由している。ウ相手方は,ムムに勤務しており平成17年中に支払を受けた給与等の金額は880万2049円である。相手方の妻であるHは,口口口口の障害により身体障害者等級2級の判断を受けている。同人は,口口口口の治療のため6.6.病院への入・通院を余儀なくされるなどしており.相手方は,平成18年1月に16万4637円,同年2月には8万1776円,同年5月には7万6430円を支払った。相手方は,住宅ローンとして,平成10年4月×日cxコ銀行から1470万円を,平成4年3月×日口口から1300万円を借り入れており,その返済として.1月. 7月に37万3027円. 2月-5月.8月-11月が7万9498円.一6月. 12月が22万5742円を支払っており,その額は年額183万3522円(月額15万2793円)となる。相手方は,平成16年6月,平成17年1月から同年12月まで月額l万円ずつ,事件本人名義の口口銀行の普通預金口座へ振り込んでいた。妻以外に扶養親族はいない。ェー参加入は,ムムに勤務しており,平成17年中に支払を受けた給与等の金額は872万9882円である。参加入には,高校2年生,小学校3年生の息子がいる。オ申立人,相手方及ひe参加人は,事件本人が介護付有料老人ホームである本件老人ホームに入居することについて,異議を述べていない。
(2) 事件本人の扶養の必要性まず,事件本人は,ムムの悪化により口口口を必要とするため,本件老人ホームに入所しており,事件本人が同施設で生活を行うことにつき,申立人,相手方及ひ’参加人の聞で異議が述べられていkぃ以上.同人が同所で生活を行うことを前提として,扶養の要否を検討せざるを得ない。事件本人名義の預金残高は.本件老人ホームの入居に必要な入居一時金にすら足りず,必要であった270万円は,申立人が180万円,参加入が90万円を負担していることや,事件本人が本件老人ホームを利用する上では,およそ月額18万5000円弱(平成18年5月から同年9月までの間,本件老人ホムムから請求された額の平均額は18万2516円であり,同年10月以後,居宅サービス介護利用者負担額の値上げにより約QOOO円の増額となる。).年間-:-c約222万円を要するところ,事件本人の年間収入は,約120万円(118万6392円)にすぎず,年間102万円(月額8万5000円)が不足する。したがって,事件本人は,本件老人ホームで生活する上での生活費が不足していることが明らかであり,事件本人には扶養の必要がある。
(3) 相手方の負担額申立人は,相手方に対し,入居時一時金の分担金として90万円,月々の室料等の諸経費及び医療費の分担金として月3万5000円の負担を求め,相手方は,月1万円以上の負担は無理である旨主張する。上記(2)で認定したとおり, 事件本人が本件老人ホームで生活する上で,その生活費として,年間102万円(月額8万5000円)が不足する。この不足する生活費を事件本人の子である申立人,相手方及び参加人で均等に負担するというのであれば,月額2万8333円,季節での増減等や今後の施設費用の値上げ等を考慮すれば,月額3万円を負担するということになる。事件本人が入所する本件老人ホームは.口口口を受け入れる施設であり,申立人,相手方及び参加人の間で事件本人が同所で生活を行うことに異議がない以上,事件本人が同所で生活を送る上で必要となる生活費を子らで応分に負担することが望ましい。ところが,子の老親に対する扶設義務(民法877条1項)は,いわゆる生活扶助義務,すなわち,自らの社会的身分に相応しい生活をしてなお余力がある限りにおいて負う義務であり,余力のなし.、者に対して負担を義務づけることはできない。そこで,相手方の余力に応じた負担の程度を検討する。上記認定のとおり,相手方が平成17年中に支払を受けた金額は880万2049円であるところ,総務省統計局の家計調査年報平成16年《家計収支編(二人以上の世裕))第14表(住宅ローン返済世帯)世帯主の・年齢階級・年間収入五分位階級別1世帯当たり年平均1か月間の収入と支出(勤労者世帯)によれば,年間収入五分位階級(N 干7,470,000-9,580,000) の場合, 実収入が66万3295円(月額。以下同じ),実支出が49万4788円,保健医療1万3403円,土地家屋借金返済10万232円,繰越金6万8572円,黒字国万8507円(うち貯蓄純増5万4229円)となっている。上記統計は,住宅ローン返済世帯であって世帯主の年間収入が相手方と同レベル世帯の家計収支であるから,相手方の余力の有無を検討する上で重要といわなければならず,相手方と同一条件と思われる世帯においては,繰越金の額と貯蓄純増の額を合計した12万2801円が余力に当たると解される。,そして,上記認定のとおり,相手方の住宅ローン返済額は月額15万2793円と上記統計数値より5万円強(5万2561円)多いばかりか,妻であるHが口口口口の治療のため入通院を余儀なくされ,多額の医療費の出資(半年間での出費であると考えると,月額5万3807円となり,統計数値より4万404円多い。)を余儀な心されているが,他方,相手方世帯には扶養親族はいないが,上記統計数値の世帯人員は平均3.74人であるから,その家計の消費支出は相手方家庭よりは多くなるはずであると予測されること,相手芳は,事件本人の生活費として月額1万円を負担していたこと等を総合勘案すれば.相手方には.上述した事件本人の子ら3人で均等に負担するということを前提とした額を負担する余力が存するものと認めるのが相当である。また,事件本人は,本件老人ホーム昨入居するに際し,入居時一時金として270万円を支払ったが,同金員のうち,申立人が180万円,参加人が90万円を負担している。このような入居時一時金のような経常的に発生しない,多額の出費は,関係者の月々の収入によって賄えるものではない。相手方は,事件本人が本件老人ホームで生活することについて異議を述べず.事件本人を同所で暮らさせることを望んでいるのであるから,蓄えから支出せざるを得ないとしても入居時一時金についても応分の負担をするのが相当である。上記認定のとおり,申立人が入居時一時金のうち180万円を負担しているから,相手方は,申立人に対し, 90万円を支払うべきである。
(4) よって,主文のとおり審判する。(家事審判官鈴木正弘)
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子の監護者の指定申立事件,子の引渡申立事件
申立て
第 l事件
本人の監護者を申立人と定める。 ,申立人に対し,事件本人を引き渡せ。 相手方は,事案の概要本{牛各事件は,婚姻中の夫婦聞において,現在,相手方(母)の下で監護養育されている事件本人(8 歳の男児)について,申立人(父)が,相手方に対し,事件本人の監護者の指定(第 1 事件)及びその引第000 号各事件記録によれば,以下の事実 年(家イ)第000 号,第 2が認められる。婚姻及び事件本人の出生等当庁平成2 1渡し(第 2 事件)を求めたものである。家庭裁判所調査官作成の調査報告書を含む本件各記録,) 1 (当裁判所の判断 第 3例(家事)申立人 c 昭和49 年×月×臼生)及び相手方(昭和48 年×月×日生〉は,平成11 年×月×日,婚姻の届出をし,平成13 年×月×日,判 裁長男である事件本人をもうけた。別居に至る経緯等
(2) 相手方は,婚姻後,申立人から,行動を監視8れたり,威迫的な申立人に対して不信感及び恐怖心 言動を受けたりしていると感じ,を抱いていたところ,平成20 年夏ころ,体調を崩したことを契機にxx 及び0.6と診断された。相手方は,障害を 00 科を受診し,うまくケアすることで自分の状態が良くなれば申立人とのコミュニ土品た,事件本人にもOム特有の行動が見られたことから,早いうちから受診させて対応した方が良いと考え,自己の障害や事件本人の受申立人は, r お前は子 診について申立人に相談した。 これに対し,供を障害者に したいのか。お前は障害者になりたいのか。俺は障害なんて認めない。医者にも一緒に行かなし、。喧嘩になるから。J ,rc 障害i こ関する)本は全部捨てろ。ネットもそうい うページは見るな。」と怒鳴ったり,相手方が病院からもらってきたバンフレットをその場で・捨てたりした。相手方は,申立人から,自己の存在を全て否定されたような気持ちになり,絶望感を味わった。ノ児 区のムムセンタ ーや口口諜, 平成21 年×月初旬, 相手方は,」れ以上申立人に恐怖を感じたまま生活するのは自分と事件本人のために良くないと考えるようになり,同月×日,事件本人を連れて自宅を出て別居するに至った。申立人の状況等申立人は,現在,株式会社00 に勤務しており,年収約 xxケーシ ョンがスムーズにいくよ うになるかもしれないと思い,童相談所等に相談し,別居した方が良いとのアドバイスを受け,
(3 Y
ア×万円弱(平成21年度の源泉徴収票の支払金額はxxx万円)を得ている。申立人は,現在,単身で戸建てーの自宅に居住している。申立人は,持病等はなく.健康である。
イ申立人は,平成21年×月までは夫婦円満であったと認識しており,相手方は申立人の家庭内暴力や事件本人に対する虐待の事実を主張したいがために同年×月にん・ってから申立人を挑発する行動を取り,無断で財産を持ち出すなどした上で計画的に別居したと考えている。なお,申立人は,別居前から相手方の病状等を気遣っていたと述べており,現在は,相手方の主治医と面談したり,病気についての哲籍を読むなどし,相手方の病状に対する理解を深める努力をしている。ウ申立人は,事件本人の監護者として申立人を指定してほしいと考えている。理由は次のとおりであ手。(ア)相手方は,事件本人に対し,別居前から虐待をしている疑いが濃厚である。なお,申立人は,事件本人を叱るときに叩いたことがあるが,怪我をするような力で叩L、たことはなく,拳で殴ったこともなし、。叱った際にはなぜ悪いかを説明しており,最後には必ず許しており,相手方にすぐ慰めるように依頼す?などしてきた。また,申立人は,休日は事件本人と一緒に過ごすようにしており,その時閣を大切にして幸たび付)相手方がOムに擢患していることを考えると,現在,事件本人が安定した生活状態にあっても,閉じような状況が将来的に続くかどうか分からない。(ウ) 申立人の周囲には,申立人の母,兄叔母,従姉妹等沢山の援助者がおり,事件本人の監護を安定して行っていくことが可能であるo(.:r.) 申立人が事件本人の引渡しを受け,監護する場合は,相手方と事件本人とをいつでも会わせるつもりであり,事件本人をカウンセリングに通わせるなど精神面をサポートしたいと考えている。(オ) 申立人は,相手方との復縁を希望しており,事件本人のためにも家族3人でやり直したいと考えており,申立人が事件本人を引き取ることが,相手方に申立人との関係改善を考えさせる契機の一つになると考えている。
4) 相手方の状況ア相手方は,婚姻後2か月程度の間は主婦業に従事していたが,平成11年×月,口口株式会社に就職し,平成13年×月,出産のために同社を退職した。その後,平成14年×月,株式会社口0に就職し, ー平成18年に00の資格を取得したことから,平成19年×月に同社を退社し,口ムに就職した。その後,平成20年×月,00を発症したことから休職し,同年×月,0ムが発覚したことから同ロムを退職した。平成22年×月×日以降,某00法人にパート従業員として就職し(同月から同年×月までは試用期間),現在に至っている。試周期間後の相手方の勤務条件は,勤務時聞が午前8時30分から午後5時15分まで,勤務回数は週5日,収入は時給xxx円(月収約xx万円)の予定である。相手方は,現在,両親の住む実家から徒歩約×分程度の距離にある賃貸アパートに事件本人とともに生活している。イ相手方は, 0ムと診断されており,毎週l回,00病院に通院レ,主として00を受けている。相手方の主治厚である00医師9lは,相手方と事件本人とが2人きりで生活することについて,虐待が絶対にないとはいえないが,この病気だから絶対にあるとはいえない,むしろ,相手方が自分の病気について治そうといラ気持ちを持って医療機関と繋がっていることが大事である,事件本人が申立人,相手方のいずれの環境で安心できるかとの観点から考えることが大切である,できれば申立人が相手方の病気を理解し,相手方の行動傾向の特性を理解して対応していくことが相手方の精神的安定に繋がると述べている。ウ相手方は,事件本人の監護者として相手方を指定してほしいと考えている。理由は次のとおりである。(ア)相手方が事件本人を虐待した事実はない。しつけの際には,言葉で言い聞かせており,叩いたとしても軽く叩く程度であった。事件本人を虐待したのは,申立人の方であり,申立人は,事件本人が3歳になった平成16年以降,事件本人に対し,言うことを聞かないという理由で怒鳴ったり,頬に平手打ちをしたり,相手方が制止しても何発も叩き続ける等の暴行を加えた。(イ)現在,相手方と事件本人の生活は安定している。相手方は,0ムに擢患していることをふまえ,毎週l回,医療機関に通院して00を受けている。相手方は,申立人に対し, 0ムを十分に理解してほしいという気持ちを強く持っている。(ウ)相手方は,相手方の両親の住む実家の近隣に居住している。相手方の父は66歳,母は60歳であり,父母とも働いているが,健康であり,監護補助者として事件本人の面倒を見ることが可能である。事件本人と相手方の両親との関係は良好である。相手方は,自分の病状が悪化しそうだと感じた場合には,事件本人を実家で預かってもらうなどして両親φサポートを得ょうと62・12-92裁判例( 家事)考えている。同相手方は,申立人と事件本人との面接交渉を一切拒否するわけではない。従前は,事件本人自身が申立人と会うことを拒否していたが,今後は,試行面接を経た上で・面接交渉のルール作ーりをした方がよいと思っている。(オ) 申立人との婚姻生活の全てが嫌なことばかりだったわけではないが,相手方としては,申立人に相手方の存在そのものを否定されているような感じを受けており,恐怖感がある。
(5) 事件本への状況ア事件本人は,平成21年×月×臼に現在の小学校に転校しており, 3年生に在籍している。事件本人は,学校生活に適応しており,問題行動はなく,交友関係も良好である。成績は,中位にあり,一生懸命頑張っている様子がみられる。事件本人は,相手方が平成22年×月×日に就職するまでは,放課後は児童館で過ごした後,相手方の両親宅に行き,相手方の父に宿題を教わったり,遊んでもらったりした。相手方が就職した後は,学童保育に入所し,放課後は同所で過ごしている。週末は,相手方の実家に行って遊んだり,自宅で宿題をしたり,近所の友だちと遊んだりして過ごしている。なお,事件本人は,同年×月から,学校主催の土曜学習に参加するようになり,月に2回,土曜日(半日)を学校で過ごしている。イ事件本人は,平成21年×月ころまで,二,三週間に1回の割合で,相手方とともに00病院に通院して00を受けた。00医師は,事件本人について, 06にみられる特徴が観察されるが現在のところは落ち着いており,それが相手方の情緒安定にも繋がっていると述べている。また,事件本人は,相手方が児童相談所に相談したこと巳より.2回ほど児童相談所に通い,指導を受けた。相手方は,児童相談所の担当者から,事件本人が現状では落ち着いていることイ医療機関に既に相談済みであることから, しばらく様子を見るということでよいのではないかとの助言を受けた。ウ事件本人は,平成21年×月×日,家庭裁判所調査官から申立人について質問を受けた際.i最近は会つてない。会いたくない。J.i叩くから。暴れそうで。気に食わない時,大体15回くらい叩く。いっぱいやられた。あいつ来たらぶち殺してやるんだ。ゲームですっきりする。お母さんを叩いたことがあります。お母さんに叩かれたことは1回しかなし、。いったーったか覚えていないけと‘。」等述べた。エ事件本人は,申立人との面接交渉について明極的な意向を示していたが,相手方が当庁において試行面接が実施できるように積極的に働きかけた結果,平成22年×月×日,当庁の児童室において,申立人と試行面接を行った。申立人Rび事件本人は,約10か月ぷりの面会であったが,各種遊具を使った遊びを通じて自然に交流することができた。事件本人は,申立人との試行面接が終了した後,家庭裁判所調査官から. iおiとさんと会ってどうだった?Jと質問されたのに対し,特に明確な返答をしなかった。また,事件本人は,試行面接終了後,当庁の児童室にある大きなぬいぐるみを両腕で思い切り殴り続けるという行動をとった。
(6) 事件本人の監護状況ア従前の監謹状況相手方は,従前,事件本人の戸常的な監護を主として担ってき62・12-94、1裁判例( 家事)た。申立入札休日には事件本人と過ごすなどして積極的に監護に関わってきた。イ別居後の相手方による監護状況相手方は,平成21年×月×日から同年×月下旬まで,相手方両親の住む実家において事件本人とともに生活し,以後,実家の近隣のアパートに移り, 事件本人と生活している。相手方は,別居後は,事件本人の監謹をほぼl人で行っている。
(7) 相手方は,平成21年×月xa.当庁に対し,婚姻費用分担の調停及び夫婦関係調整の荷停を申し立てた。申立人は,周年×月×日,当庁に対し,子の監護に関する処分(面接交渉)の調停を申し立てたが,同年×月×日,取り下げ,子の監護に関する処分(子の監護者の指定,第l事件).子の監謹に関する処分(子の引渡し,第2事件)及びこれらの事件を本案とする保全処分を申し立てた。夫婦関係調整の調停事件は,同日,不成立となり,婚姻費用分担の調停は,同年×月×日,申立人が相手方に対して月額×万円の婚姻費用を支払う等の合意により成立した。申立人は,平成22年×月×日,上記保全処分を取り下げた。2 第l事件(子の監護者の指定)について(1) 本件においては,上記認定事実のとおり,事件本人は,現在,相手方と生活しているが,申立人は,事件本人の引渡しを求める前提として, 監護者としては申立人がふさわしいと主張していること,一方,相手方も自己を事件本人の監護者として指定することを望んでいること,事件本人の心情及び生活基盤の安定という面からするならば,申立人と相手方のいずれが監護者であるかを明らかにした方が事件本人の福祉に沿うと解されること,その他本件に顕れた一切の事情を総合するな,らば,申立人と相手方のいずれが事件本人の95監護者としてふさわしいかについて判断するのが相当と解される。そこで,上記認定事実を筒提に,双方の事件本人の監護者としての適格性にづいて,養育能力,経済力,心身の健康・性格,子に対する愛情・熱意,居住条件・居住環境,監護の実績及び継続性,監護補助者その他の援助態勢の有無,連れ去りの態様・違法性の程度等の点から検討することとする。ア申立人について(ア) 申立人は,会社員として安定した収入を得ており,事件本人を養育していくことが可能である。申立人は,事件本人に対する愛情及び熱意を強く持っており,健康上の問題はない。(イ) 申立人の居住している自宅は,事件本人がこれまで育ってきた場所であり,事件本人の養育環境としてふさわしいということができる。(ウ) 別居するまでの事件本人の監護養育は,主として,相手方が担ってきたということができるが,申立人も,積極的に関わってきたということカtできる。伴) 申立人の周囲には,申立人の母,兄,叔母,従姉妹等の監護補助者がいる。(オ) 上記ケ)ないし(エ)は,申立人について,事件本人の監護者としての適格性を肯定する事由に当たるということができるが,一方で,上記認定事実のとおり,事件本人は,申立人について,「最近は会つてなし、。会いたくない。J,r叩くから。暴れそうで。気に食わない時,大体15回くらい叩く。いっぱいやられた。あいつ来たらぶち殺してやるんだ。ゲームですっきりす.る。お母さんを叩いたことがあります。お母さんに叩かれたことはl回しかなし、。いつだったか覚えていないけと.oJ等述べ62・12-96裁判例(家事)たことが認めらhる。この点,一般的に,一方の親と同居し,その監護下にある未成年者は.監護親から受ける影響や.監護親に対する忠誠心等から,非監護親について否定的な評価を表明することがあるから,本件における事件本人の心情についても慎重に考察する必要があると解される。そこで検討するに,上記認定事実のとおり,事件本人は,申立人との面接交渉について消極的な意向を示していたが,相手方が事件本人に積極的に働きかけた結果,当庁の児童室において約10か月ぶりに申立人と面会し,自然に交流することができたこと,事件本人は,申立人との面会終了後,申立人と会ったことについての明確な感想を述べることなく,当庁の児童室にある大きなぬいぐるみを両腕で思い切り殴り続けるという行動をとったことが認められ,これらの事実に本件に顕れた一切の事情を総合するならば,事件本人は,その心の根底に’は申立人に対する愛情や信頼を有しているもの.の,現在は,両親の不和という心理的に辛い状況の中にあって,過去に申立人から受け・た体罰の記憶等の影響から,申立人に対して非常に複雑な感情を持っていることがうかがわれる。したがって,本件において,事件本人の監護者について判断するに際しては,上記のような事件宅入の複雑な感情に十分配慮し.その心情の安定を図ることができるように考慮する必要があると解される。イ相手方について{ア)相手方は,平成22年×月×日から,某00法人に就職し,安定した収入を得る見込みがあり,事件本人を養育していくことが可能である。相手方は,事件本人に対する愛情及ひ’熱意を強く持っており,事件本人との関係は良好である。(イ) 栢手方宅は,自宅と比較すると広さ等の点で劣る面があるが,近隣には,慣れ親しんでいる相手方の両親が住む実家があること等からすると,事件本人の養育環境ぜこしてその福祉において問題があるということはできない。(ウ) 相手方は,事件本人が出生してから継続してその監護に当たってきており,十分な監護の実績及び継続性があるといえる。件) 近隣に居住する相手方の両親は,ともに健康であり,事件本人とや関係は良好である。相手方は,緊急の場合のみならず日常的に相手方の両親の援助を受けることが可能である。(オ)上記(ηないし(エ)は,相手方について,事件本人の監護者としての適格性を肯定する事由に当たるということができるが,一方で,上記認定事実のとおり,相手方は.06に擢患していることから,監謹者としての適格性に問題がないかどうか慎重に考察する必要がある。そこで検討するに,上記認定事実のとおり,相手方の主治医は,相手方と事件本人とが2人きりで生活することについて,虐待が絶対にないとはいえないがこの病気だから絶対にあるとはいえない,むしろ,相手方が自分の病気について治そうという気持ちを持って医療機関と繋がっていることが大事である,事件本人が申立人,相手方のいずれの環境で安心できるかとの観点から考えることが大切である,できれば申立人が相手方の病気を理解し,相手方の行動傾向の特性を理解して対応していくことが相手方の精神的安定に繋がると述べていること,現在,相手方及び事件本人の状態は安定していること,相手方はh 自己の病気について十分な認識を持ち,毎週!回,医療機62・12-98裁判例( 家事)関に通院し,必要な医療措置を受けていること,相手方の両親は,相手方宅の近隣に居住しており,相手方は,いつでもその援助を受けることが可能であること,実際,相手方は,自分の病状が悪化しそうだと感じた場合には,事件本人を実家で預かってもらうなどして両親のサポートを得ようと考えていること等からするならば,相手方がOムに樫患していることをもーって直ちに事件本人の監護者としての適格性を否定するごとにはならないと解される。(カ) また,申立人は,相手方が事件本人を虐待している疑いが濃厚であると主張するので,その点、について検討する。この点i上記認定事実から明らかなとおり,相手方は事件本人を叩いたことがあることを認めており,相手方がOムに擢患していることを考えると,事件本人に対する叱り方等において不適切な対応があった可能性を否定しきれないが,本件に顕れた一切の事・情によっても,それが虐待に当たる程度であり,今後,相手方が事件本人を虐待する可能性が高いとまでいうことは困難である。(キ) さらに,相手方が事件本人を連れて別居するに至った経緯について検討するに,上記認定事実のとおり,相手方は,婚姻後,申立人から行動を監視されたり,威迫的な言動を受けたりしてUると感じ,不信感及び恐怖心を抱いていたところ.06と診断されたことについて申立人から十分な理解を得ることができないと感じ,自己の存在を全て否定されたような気持ちになり,絶望感を味わったこと,相手方は,複数の公的機関に相談した上で別居した方が良いとのアドパイスを受け, これ以上申立人に不信感及び恐怖感を持ったま,ま生活するのは自分と事{牛本人のために良くないと考え,事件本人を連れて別居するに.至ったことが認められ,その他本件に顕れた一切の事情を総合するならば,相手方が事件本人を連れて別居した行有が違法であるということは困難である。(2) 検討上記検討の結果及び本件に顕れた一切の事情を総合するならば,.双方とも,事件本人の監護者としての適格性を有するということができるが,事件本人の生活基盤及び心情の安定を図るという観点から,ー現段階においては,事件本人の監護者としては,相手方を指定するのが相当と解される。.3 第2事件(子の引渡し)について上記2において検討したとおり,事件本λの監護者として相手方を指定するのが相当であるから,申立人から相手方に対する子の引渡しの申立てを認めることはできない。
4 結論
以上により,事件本人の監謹者として相手方を指定し,申立人のその余の申立てを却下することとする。よって,主文のとおり審判する。(家事審判官細矢郁)
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2012年2月26日 | コメント/トラックバック(0) |
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遺産分割申立事件寄与分を定める処分申立事件
一件記録に基づく当事者の主張,当裁判所の事実認定及び法律判断は,以下のとおりである。
1 被相続人は不成14年×月×日死亡し,相続が開始した。相続人は,被相続人の子らである申立人B,相手方C,相手方D及び申立人Bの夫であり被相続人の養子である申立人Aである。各人の法定相続分は,いずれも1/4である。
2 遺産の範囲及び評価現在残存する遺産として認められるのは, 別紙1遺産目録に記載した預貯金,現金,保管金.配当金である。本件係属当初来分割遺産であったαコ市ムム町に所在てる不動産につ・いては,平成17年×斤×日に全員が1/4ずつ共有取得することで一部調停が成立した。本件係属当初存在した被相続人名義の株券や有価証券は,当事者合意の上,申立人ら代理人弁護士がすべて売却し,売却代金を問弁護士名義の預金口座で保管している。現在保管している売却代金は,別紙1遺産目録4記載の保管金記載のとおりである。したがって,現時点における分割すべき遺産の総額は,別紙1遺産目録記載の財産の総額である2億2902万8389円となる。
3 申立人Bの寄与分主張について(1) 申立人Bの主張ア被相続人宅の家事労働など被相続人は, 自らは家事労働を全く行えず,申立人らを同居させ,申立人Bに家事労働一切を行わせた。・被相続人は偏食が多いなど,申立人Bは気を追うことが多かった。昭和59年6月,病院で寝たきりの状態だった被相続人の夫Fの母Gを被相続人宅で引き取り,昭和60年1月まで, Fとその弟らが交代で介護した。その間申立人Bは,GやFの弟らの食事の支度など家事の負担が増えた。昭和60年1月にFの弟らがGの介護から手を号|し、た後, Gが亡くなる昭和61年10月まで,申立人BがGを介護した。イ被相続人の洗髪や排出tの介助など平成8年ころ以降,被相続人は, 自分で入浴はするが,洗髪ができず,申立人Bがこれを介助した。また,被相続人が排世に失敗することがあり,申立人Bは,その介助や後始末もするようになった。家事労働一切についても,従前どおり,申立人Bがこれに従事した。ウ被相続人の自宅風巴場で、の転倒時から平誌13年11月ころまで被相続人は,平成12年8月24日に自宅の風呂場で転倒し,以後,身動きが不自由となった。申立人Bは,洗面,食事,風呂,排祉など自宅内での移動も含め,被相続人の移動に絶えず付き添った。平成12年9月以降,被相続人の生活が昼夜逆転となり,夜中1時2時まで就寝せず,就寝した後も一晩に2,3回排世のために申立人Bを起こす状況となった。平成13年5月には申立人Bが体調を崩したこともあり,申立人Aはxx歳で勤務先を退職した。このように,申立人Bは,被相続人の移動,入浴,排世(深夜を含む。)などの介助に加え,家事労働一切を行った。被相続人は,他人に介護されたり,病院に入院したりすることを極端に嫌い,介護センターから派遣された担当者の次回の訪問を拒否するほどだった。申立人Bはそのような被相続人の性格を知づて,在宅介護を続けた。エ申立人Bの寄与分の評価申立人らが被相続人と同居を始めた昭和48年から平成7年12月末ころまでの申立人Bの家事労働に関する寄与分は,1日当たり少なくとも2000円として,1600万円(=2000円/日×約8000日)である。平成8年から平成12年8月24日まで(約170O臼)の洗髪‘介助につー-いては, 1回の介助を300円,3日に1固として約574回で17万2200円である。排世の介助, 後始末などの身辺介助を1回1000円, 1日1固として,合計170万円である。さらに,この聞の家事労働一般を1日5000円として, 850万円である。したがって,この期間の申立人Bの寄与分は,これらの合計の1037万2200円である。平成12年8月25日から平成13年11月まで(約450臼)の介護に関する寄与分は,平成12年に導みされた介護保険制度の基準を参費にすると,入浴介助は1回1万3250円として450日で596万2500円となる。排世介助は1回400円で,1日4回として算定すると72万円である。家事一般は1日l万円で,450万円である。深夜の排世介助は1回1000円,2日に1回程度として20万円となる。したがって,この期間の寄与分ほ,これらの合計の1138万2500円である。以上を合計した3775万4700円が申立人Bの寄与分である。オ平成7年12月にFが亡くなるまでは,被相続人夫婦と申立人らは,生活費を折半で負担していた。平成7年12月のFの死後,被相続人は,生活費として,年金や,恩給から月額平均10万円を申立人らに交付してきた。しかし,これのみでは被相続人の生活費を賄L、きれず,申立人Bは, 自らが小泣いとして被相続人から取得した金銭からも,被相続人の生活費を支出していた。
(2)相手方らの反論ア相手方Cの主張a 申立人らとの同居を望んだのは被相続人ではなく,むしろFであった。Fは,申立人必噌犠子とした結果;申立人Aを00家を継承する者と扱い同居するのが当然と考えたからである。b 被相続人は,自宅風呂場で転倒するまでは介護を要する状態ではなかった。それまでの間了浄立人8が何らかの世話をしたとしても,家族の助け合いの域を超えるものではない。また,平成7年12月×臼にFが亡くなって以降は,相手方C一家も,週1,2回程度,申立人Bの留守時に被相続人の食事の支度をするなど,家族ぐるみでー被相続人の世話を手伝った。c 平成12年8月以降,被相続人は歩行が困難になり,徐々に介助が必要となった。この介助は,相手方Cの家族をはじめ各相続人の協力により行われ,申立人らのみの手によるものではない。d 平成13年10月ころ,被相続人が風邪をこじらせ,12月にはCわを起こした。相手方C自身は,平成13年×月に00で緊急入院r して以来入通院治療中だったが,相手方Cの夫で相手方Cの許可代理人であるHやその長女1,次女Jが,週し、くどか,申立人Bの留守時などに,被相続人を看護した。被相続人が平成13年12月×日にムム病院に入院してからCわ病院で死亡するまでは,各相続人がその家族を含めて,交代で被相続人の付添い看護に当たった。e 申立人Bは,毎月10万円の介護料を被相続人か.ら受領していた。その他にも.被相続人から,平成8年から12年にかけて合計928万円の資金供与.生活費として452万円,さらに被相続人の生活費の余剰金168万円などの供与を受けており,既に申立人Bの寄与をはるかに超える金額を受領済みである。f 申立人らによる介護には不適切な面があり,寄与というべきでない。おそくとも平成13年12月初旬ころまでに,被相続人は00の兆候を示し,客観的に在宅看護には相応しくない状態だった。主治医からも規模の大きい病院での検査,治療や入院を勧められ,1も申立人Bに,被相続人を入院させるよう依頼していた。しかし,申立人らは被相続人の入院に消極的だった。被相続人が入院したのは,平成13年12月×日にムムを発症して救急入院した時点であり,このときも,1が申立人らを説得して.ょうやく実現したものだった。イ相手方Dの主張a 平成7年12月にFが死亡するまでの被相続人は,口口の上に既氏。散も患ってし、たが,Fの食事の支度をするなどの家事を行っており,申立人Bのみが被相続人宅の家事に従事したのではない。また,被相続人宅と申立入ら宅は二世帯住宅だったが,生活の主要部分は共用であり,申立人Bがこの部分を掃除しでも,通常の協力の範囲内であり,特別の寄与とはし、えない。b 平成7年12月にFが死亡してから,被相続人は,口口と00病の進行に伴い,体調が悪化した。その後の被相続人の世話,被相続人の死亡前1年間の介護については,各相続人がそれぞれの立場に応じて協力して行ったもので,申立人Bのみが特別に寄与したわけではなし、。相手方D は,夫の住~で住居地の口口から毎月大阪を訪れており.来阪時に申立人Bの依頼を受けて被相続人宅に滞在し,申立人Bの留守中,被相続人の介助や家事ぜどに当たった。相手方Cの娘らもたびたび被相続人宅を訪れ,被相続人の入浴,洗髪,排世の介助などをした。c 被相続人が独りで歩行することが困難となり,介助を要するようになったのは,平成12年7,8月ころに転倒して腰と膝を痛めて以後である。申立人Bが本格的に介護に携わったのはこれ以降である。d 被相続人は.家事労働のために他人を雇って賃金を払うよりも実子の収入となる方がよいと考え.昭和48年から平成7年12月まで,申立人らに,毎克少なくとC10万円を支払っており,支払合計額は2660万円(=10万/月X266か月)に上る。昭和48年当時は大卒の初任給がせいぜい10万円程度だったのと比較しても高額の報酬であり,申立人Bは既に報酬を受けている。e 申立入らによる被相続人の介護には不適切な面があり,これをーもって寄与というべきではない。被相続人の自立生活が徐々に困難となり,介護を要する状態になったのは,食事やリハビリなど日々の介助が適切に行われなかったことが原因の一端である。申立人Bは,被相続人の00病と極度の口口への配慮が乏しく,医師の食事指導に従わず,被相続人の欲しがるままに甘い菓子などを与えた。このような不適切な食事管理により,被相続人の(x)病が悪化し,口口口症を招き,後の介護の負担を重くする結果となった。排便介助についても,申立人Bは,被相続人が排世を終わっても. 1時間以上便座に座らせておくことがあった。被相続人の排況!ι の失敗は,申立人Bの介助の方法にも原因があったと思われる。申立人Bによる介護には,濡れている紙オムツを取り替えないことがあるなど,清潔さが十分でなく,被相続人の疾患が悪化す.る一因となった。被相続人の緊急入院の原因となったムムは,ムム症による00炎が引き金となり口口口を引き起こしたもので,これらの疾患の根本原因は,不潔さと不適切な介護にあった。また,被相続人が起きていると仕事にならないとして, 日中被相続人を寝かせておくので,被相続人の生活が昼夜逆転した。f 申立人らは,被相続人の介護を適時に,へルパーなど第三者に委任するのが相当だったが, これに消極的だった。被相続人の介護が徐々に重度になった平成12年後半,相手方Cは,申立人Bに対し,ヘルパーに依頼するよう勧めたが,申立人Bは,これを受け容れなかった。相手方Dも申立人Bの介護の状況をみかねて,被相続人を引き取る旨申し出たが,申立人Bはこれを断った。申立人Bは,他人を介護に関与させることを拒否し,適切,な介護を否定・した。ピ被相続人の入院時期の判断も不適切だった。申立人Bほ,平成13年12月× 日の検査で被相続人のムム症が判明l-.医師が入院を勧めた際も,被相続人が入院を嫌がったとして..入院させなかった。
(3) 認定事実一件記録によると,以下の事実が認められる。ア申立人Bは,昭和48年×月,申立人Aと婚姻した。申立人Aは,婚姻に伴い,被相続人夫婦と養子縁組をした。申立人らは,婚姻当初から,被相続人宅で被相続人と同居した。当時, 被相続人の夫Fはムム方面に単身赴任中で,単身赴任を終える昭和59年6月まで,申立人ら・と被相続人の3人で生活した。被相続人は,若いころから血圧が高く, 失神することもあるなど,健康状態が不安定だった。イ.昭和57年ころ,被相続人は,高血圧の投薬治療のため通院するようになった。以後,申立人Bは,被相続人の通院に付き添ったり,被相続人の代理で薬を受け取ったりした。また,発症の時期は明確でないが,被相続人は.(x)病をも患った。被相続人は,その姉であるKのCわ療法を継続的に受けていた。申立人Bは,その施療や後片づけを手伝った。ウ昭和59年6月,病院で寝たきりだったFの母Gを被相続人宅に引き取った。昭和59年7月から昭和60年1月まで.Fとその弟らが交代でGを介護した。昭和60年1月から昭和61年11月にGが死亡するまでは,申立人BがGを介護した。エ昭和61年から昭和62年にかけて,被相続人の視力が悪化した。老齢化によるもので,治療は困難と診断された。オ平成6年から7年ころ,被相続人の装着した義歯の具合が悪く,申立人Bは,食材をミキサーやすり鉢ですり下ろすなどの手聞をかけて被相続人の食事の支度をするようになった。カ平成7年12月×日, Fが死亡した。以後,被相続人は,自らの収入のうち月額10万円程度を生活費として,申立人らに渡すようになった。このころの被相続人の年収は,厚生年金.恩給,株式配当金など合計で300万円余りであった。キ被相続人は, Fの遺産分割により,00市ムムの自宅,相続税申告当時8762万余円相当の口口口株式会社の株式,手Ij付国債10万余円相当,投資信託約9107万円相当,現金及び詣金1391万余円などを取得するほか.保険の満期返戻金約2571万円の支払いを受けた。被相続人は,その後析に触れ.相続人らや孫らに多額の小遣いを与えた。平成8年から平成12年9月にかけて,被相続人が各自に与えた小遣いの合計の概算額は,以下のとおりである。申立人B 1108万円申立人A 54万円相手方C 556万円H 14万円118万円J 320万円相手方D 794万円相手方Dの子2人合計104万円ク平成8年ころ以降.被相続人は,口口のため,洗髪が一人でできなくなり,申立人Bがこれを介助した。また,平成8年4月とろから同10年11月ころまで失禁が続き,申立人Bは.その都度,汚れた衣類の洗濯や部屋,椅子の掃除など後始末に追われた。ケ平成11年から12年ころ,被相続人は,転倒して自力で起きあがれず,他人に助けを求めることが幾虚もあった。被相続入は,身長××センチ,体重xxキロ程度としみ体型であった。コ平成12年3月,口口に居住する相手方Dは,夫の仕事の都合で.兵庫県ムム市のマンションに毎月10日ほど滞在するようになった。その間,申立人らの依頼で,被相続人宅に宿泊することがあった。サ平成12年8月24日,被相続人は.自宅の風呂場で・転倒した。申立人Bだけでは助け起こせずγ偶然居合わせた知人の手を借りて3人がかりで助け起こした。以後.被相続人は,歩行に介助を要するようになった。被相続人の主治医は被相続人の入院を勧めたが.被相続人は,これを拒否した。シ平成12年9月ころ,被相続人宅のl階をパりアフリーに改造した。申立人Bは,足の悪い被相続人に常に付き添っていた。ベッドや椅子から滑り落ちた被相続人を,申立人Bがさらしを腰に巻いて引き上げたこともあった。排池-の際は,申立人Bが被相続人の手を号|し、てトイレに連れて行ったがj失禁することもあり.下着の洗濯などの後始末を申立人Bが行った。申立人Bは,入浴の介助も行った。被相続人は,生活時間の昼夜が逆転するようになり,夜中まで就寝しないようになった。夜中の排世の回数も増え.申立人Bは,一晩に幾度も排i1!!:を介助することがあった。このころ,相手方Cの子らである!,Jも, 3日に1度程度,被相続人宅を訪れ,入浴,排世なとeの介護を手伝っていた。相手方Di 被相続人宅を訪れたときは,同様の手伝いをした。ス平成12年9月,被相続人は,介護保険の介護認定で,要介護度2と認定された。相手方らは,申立人Bに対し,へルパーなど第三者の支援を求めるよう助言しど。セ平成13年2月には被相続人の要介護度が3となり,平成13年5月,被相続人は,介護センターの介護士によるリハビりを週l回在宅で受けるようになった。被相続人は,訪問した介護士に対し,次回の訪問を拒否する発言をすることがあった。ソ申立人Aは,平成13年ころ,x x歳で勤務先を退職した。タ平成13年6月, 相手方Cが00で入院した。相手方Cの子である!,Jは,以後4か月ほど.被相続人の介護を手伝うことができなかったが,平成13年10月末以後再び,被相続人宅を訪れ弐イト護を手伝った。ヂ平成13年12月,被相続人が体調を崩した。Iは,申立人Bに, 自宅介護の限界を述ベ,被相続人を入院させるよう勧めた。地相続人の主治医も,かねてから,入院して検査を受けることを勧めていた。ツ平成13年12月× 日, 再び体調を崩した被相続人を主治医が往診した。主治医は,’00の兆候を認めて被相続人に入院を勧めたが,被相続人がこれを受け付けなかった。テ平成13年12月×日xxころ,被相続人の体調が急激に悪化した。被相続人の様子を見に被相続人宅を訪れていたIは,相手方Dの夫に相談の上,申立人らを説得し,救急車で被相続人をムム病院に搬送して緊急入院させた。被相続人はCわを発症しており,申立人らとIの相談の上,手術を受けさせた。その後平成14年2月×日まで.被相続人は,ムム病院で入院治療を受けた。その間,申立人ら,相手方0,相手方Cとその家族は,e 交代で被相続人の付き添い看護に当たった。.平成14年2月×日,被相続人はCわ病院に転院bた。転院後も申立人ら,相手方0,I相手方Cとその家族は,交代で付き添い看護に当たった。平成14年4月×日,被相続人はCわ病院において死亡した。
(4) 申立人Bの寄与伎の有無及び評価寄与分を認ぜよるためには,当該行為がし、わゆる専従性,無償性を満たし,一般的な親族聞の扶養ないし協力義務を超える特別な寄与行為に当たると評価できることが必要である。以下, (3)の認定事実に基づき,検討する。ア平成8年ころまでの家事労働などについて申立人Bの結婚当初から平成8年ころまでについて,被相続人宅の家事労働を申立人Bのみが全面的に行った事実は認められない。また仮に,申立人Bが被相続人の居住範貝の掃除,被相続人の食事の支度その他の家事を担当したので・あっても,同居の親族の協力義務の.範囲を超える特別の寄与には当たらない。申立人Bは,Fの母Gを引き取って介護したり,・介護に訪れたFの弟らの食事の世話をしたことなどの負担を主聾する。これらは被相続人宅の家事の延長ではあるが,むしろFとの関連の出来事であり,必ずしも被相続人に関する寄与というのは相応しくない。また,その期間や負担の程度に照らして,同居の親族の協力義務の範囲を超えるものではない上,申立人Bのこの点に関する主張が,財産的寄与というよりは精神的負担を述べる点でも, 寄与分にはなじみにくい。また,被相続人は,若いころから血圧が高く,口口体型で\後にはCわ病をも患うなど,申立人らとの同居当初から健康状態が不安定であったも申立人Bは,通院に付き添ったり.00治療の手伝いをしたり,被相続人の視力が悪化した後はその安全面にも配慮するなどした。義歯を入れてからは調理法にも配慮していたが, これらの事実も,いまだ同居の親族の協力義務の範囲を超える寄与に該当するとまではいえない。イ平成8年以降の入浴介助,排世介助,家事労働についてこの聞の家事労働については,同居の親族の協力義務の範囲を超えるものでなく,これによる寄与分は認められない。他方,平成8年ころから,申立人Bが被相続人の洗髪や排j世を介助したり,失禁の後始末をするなど,身体介助の側面が認められるようになる。特に,排世介助は,この時点で被相続人が一応独りで歩行できたこ・とに照らすと申立人Bがこれに専従したとまで評価するかは徴妙だが,作業の性質や作業盆にかんがみ,相当の負担になったことは推認できる。平成12年8月以降の介護と併せて,寄与分の評価のー要素にはなりうる。ウ平成12年8月から平成13年12月の入院までの在宅介護についてa 介護の専従性平成11年ころ以降,被相続人が転倒して自力で起きあがれないことが幾度も起きるなど,被相続人の下肢が弱っていた。特に平成12年8月に風呂場で転倒した後は,歩行や移動に常に介助を要する状態となった。加えて,排mt介助(深夜も含む。)や失禁の後始末,入浴介助,転倒時の助け起こしなどの介護の大半を申立人Bが担っており,申立人Bが家事労働をこなしながらこれらの介護を行ったことからすると,その作業量,肉体的負担,所要時聞を考慮、して,申立人Bの生活の中心を被相続人の介護作業が占めたといっても過言ではないと推認できる。.したがって,この間の申立人Bの被相続人の在宅介護について,専従性が認められる。相手方らは,被相続人り介護は申立人Bゐ玄ポ行ったのではなく,相手方らやその家族も協力して行った旨主張する。たしかに,相手方ら及びその家族弘被相続人の介護に協力した事実が認められる。特に,相手方Cの子であるI. Jはしばしば被相続人宅を訪れ,入浴,排便などの介護に相当貢献したと認められる。しかしながら,申立人Bは深夜も含めだ鈍時間被相続人を介護する状態であったことによれば,他の親族の協力を得たからといって,申立人Bの介護の専従性が全面的に減殺されるわけではない。b 介護の無償性相手方Dは,申立人Bが昭和48年以来,毎月10万円を被相続人から受け取っていたと主張しまた相手方Cも同趣旨の主張をし,申立人Bの介護は有償であり寄与分の要件としての無償性を欠くと主張する。以下,この主張を踏まえて, 申立人Bの介護の無償性を検討する。(3)の認定事実によると,申立人Bが平成8年から12年9月にかけて総額1060万円以上の小遣いを貰っていること,平成8年以降,月額10万円の生活費を受け取ってきたことが認められる。相手方Dの主張する,平成8年以前も毎月10万円を受け取ってし、た事実は,一件記録中これを認めるに足りる資料がない。この事実を前提にすると,たしかに,申立人Bが受け取った小泣いが高額である上.平成8年以降,被相続人が自らの最低限の生活費を分担していたとの評価が可能であり,被相続人が何らの費用分担をしていない事案とは別途の考慮、が必要である。しかし他方,被相続人から小遣いを貰ったのは申立人Bのみならず,相手方Cも500万円以上,相手方Dは800万円弱,被相続λの孫Jも320万円程度,その他の孫らも数十万円以上を貰っている。各自の小遣いの金額を比較すると,申立人Bが小遣いを貰った事実から,その介護の無償性を全面的に否定することは相当でない。相手方らや一部の孫らが被相続人の介護に協力した事実を考慮、しても,小遣いの金額が必ずしも協力の程度に比例するとは認められないからである。また,被相続人が分担した毎月10万円の生活費は,その金額に照らし.食費その他の一般的な家計費に主として充てられたことに疑問はなく,介護に対する報酬としての側面は必ずしも大きくないといえる。したがって,申立人Bの介護の無償性は否定されない。もっとも,申立人B出相続人中で最も多額の小遣いを貰っていた事実は,申立人Bの寄与分の評価をする上を,考慮を要する事実には当たる。c その他の相手方らの反論について相手方らは,①へルパーへの依頼や入院に消極的であるなど,申立人Bの介護方針には不適切な点があった,特に入院し、かん.時期の判断は妥当で・なかった,②申立人Bの介護は,食事療法が徹底されず,清潔さも不十分で, 日中被相続人を寝かせておくなどの不適切な点があったなど主張する。①の点については,被相続人自身が親族以外の者の世話になることや,入院することを嫌っていたことを考慮すると,申立人Bの介護の思庇として申立人Bの寄与を大きく減殺する事情とはいえない。②の点については,少人数で在宅介護を担った場合一般に起こりうる事柄であり;仮に申立人Bの介護が完壁なものでなかったとしても,それによって全面的に寄与分を否定する事情とまではいえない。したがってr 結論として,申立人B’の介助及び介護について,寄与分を認めることが可能である。エ申立人Bの寄与分の評価(3)の認定事実を前提に,以下,申立人Bの寄与分の評価につき検討する。a 申立人Bが被相続人の介護にほぼ専従したのは,平成12年8月24日の風呂場での転倒時から平成13年12月末ころまでの約16か月間(486日間)である。b 看護師家政婦紹介所が看護師等を派遣する際の標準賃金表(ただし平成17年当時の基準)によれば,看護師の場合,①泊込勤務が1万8000円, ②午前9時から午後5時までの通勤勤務が1万3000円である。ケアワーカーの場合は,泊込勤務が1万2100円,②午前9時から午後5時までの日勤が7800円である。いずれも泊込勤務の際,午後10時から午前6時まで特に介護を要した場合,泊り料金の1筈肋おら2割増しとなり,徹夜勤務の場合は5割増しとなっている。c 上記の標準賃金を参考にしつつ,申立人Bの介護が①勤務としてではなく,あくまで親族介護であること,②少人数による在宅介護のため,完壁な介護状態を保つことは困難だったと窺われること,③申立人Bが他の親族より多額の小泣いを取得していたこと,④昼間は,他の親族も交代で-被相続人の介護を手伝っていたこと.⑤被相続人の生活が次第に昼夜逆転し,深夜の排世介助もしばしばあったことは負担感を増したといえること,⑤被相続人が口口体型であり,介護の肉体的負担が極めて大きかったといえることなどを考慮して,一日当たりの介護費用を1万2000-l万3000円程度として算定することとする。とすれば,申立人Bの当該期間の介護労働を金銭的に換算すると. 600万円程度との評価が可能である。-d 上記の数字は,専ら当該期間中の介護面のみを抽出して金銭換算したものであるが,最終的な寄与分評価としては,上記の数字を踏まえ,相続財産の額その他一切の事情を考慮(民法904条の2) し,相続人間の実質的衡平に資するべく評価を決定することとなる。本件において,申立人Bは,①平成8年4月以来,被相続人の洗髪を介助するなど,軽度の身体介助は相当早期から始まっていたこと,②失禁の後始末など排世にまつおる介助も平成8年ころから既に行っていたこと,③平成11年ころから.被相続人が幾度も転倒しており,その行動k注意を要する状態は既に始まっていたことなどを併せて考慮すれば.最終的な寄与分の評価としては,遺産総額中の3.2%強である750万円と認めることとする。
4 申立人Aの寄与分主張について
(1) 申立人Aの主張アa 被相続人は. Fの遺産から取得した口口口の株式配当金を年額80万円程度受領しており,市民税を支払う必要があった。申立人Aは,税金対策として被相続人に助言の上,被相続人の口口口の株式(Fから相続したもののほか,被相続人が以前から保有していたものも含む。)を売却した。また,その売却益を原資に新たな株式や投資信託による資金運用を行って合計2941万8128円の売却益を上げ,配当金や分配金(以下「分配金等」とし、う。)合計1105万2822円と併せて4047万0950円の利益を実現じ,被相続人の生活費や親族への配分金の原資とした。詳細は,別紙2から4までに記載のとおりである。他方J口口口の株式を保有し続けたとすれば配当金として年間80万円. 6年間で’480万円の入金が見込まれたことから,これを控除した差額である約3500万円が申泣人Aの寄与分である。b 株式などにより収益を上げるには相応の注意深い市場観察を要し,その行為の無償性を考えると,民法904条の2rその他の方法による労務の提供」として寄与分に該当する。イあるいは,被相続人がFから相続した資産がそのままの状態で被相続人の死亡時まで保たれた場合の評価総額との比較でも,申立人Aの寄与分が認められる。つまり.被相続人がFから相続した資産のうち預貯金.有価証券たど金融資産の評価総額は相続当時2億1696万624~ 円であったが,これらが平成14年4 月22 日まで存在したと仮定すると,別紙5記載のとおり, 評価額は2億1988万2245円と予測される。平成8年から14年にかけての被相続人の家計収支は,別紙6から8までに記載のとおり,平成8年から13年までの収入合計が2010万円,生活費支出合計が3056万円,臨時支出合計が47叩万円.平成14年の収支は399万円である。とすれば,被相続人死亡時のFから相続した資産の残額は,別紙5に記載のとおり1億5813万2245円となーるはずであるが,現実には1億8210万5834向存在し. 2397万3589円増加した。これは.Fから被相続人が相続した資産を申立人Aが運用した結果であり,申立人Aの寄与分に当たる。
(2) 相手方Cの反論ア申立人Aの主張する株式等の売却益の大半は,被相続人がFから相続した口口口株式の株価が一時期上昇したことによって得られたものに過ぎず,申立人A自身が売買した株式,公社債投資信託に限定して運用損益を見ると,入金された配当金等を考慮しても,何ら寄与とはなっていない。イ$立人Aは,被相続人の生活費とし主年間共通経費分担額188万円との前提で主張するが,被相続人と申立人らの経費を折半するのは不当である。その他の支出額にも相当でないものがある。被相続人の年間生活費はせいぜし、307万円程度と見積もるべきである。ウFの死亡当時,被相続人は,口口口株式5930株.cxxコ株式1000株,ムAム株式2000株,利付国債,定期預金合計2500万円を闇有資産として保有しており,これらの当時の評価額は合計で.4176万5325円で.あった。申立人Aが運用する以前の被相続人の資産には..F. から相続した遺産にこれらを加えるべきであり,そうして計算すると,申立人Aの資産運用によって,被問t人の資産はかえって減少している。
(3) 認定事実一件記録によれば,以下の事実が認められる。ア被相続人がFから相続した不動産以外の資産は,①現金及び預金合計1391万余円,②口口口の株式16万5644株(当時の株単価529円).③当時の評価額10万余円の利付国債,④当時の評価額合計9107万余円の投資信託などである。その他に,保険の満期返戻金約2571万円の支払いを受けた。イ被相続人は.Fの死亡当時,その固有資産として少なくともCわ01000株,ムムム2000株,口口口8500株の各株式,定期預金合計2500万円を保有していた。ゥ口口口の株単価は. Fの死亡後1000円程度まで上昇したが,被相続人の相続開始時である平成14年4月当時は5担円であった。その後さらに下落し,平成16年9月時点では375円となっている。エ申立人Aは,平成8年4月から平成12年10月ころにかけて,被相続人の口口口の株式17万4144株を,株単価おおむね600円以上975円以下の価格で売却した。オ申立人Aは,口口口以外にも, 別紙2記載のような株式,投資信託の取引を行った。損益状況は別紙2記載のとおりである。カ被相続人の平成8年から13年までの平均年収は,思給54万余円,厚生年金200万余円,配当金73万余円の合計327万円程度であった。キ被相続人は,平成8年から13年にかけて,生活費以外に.}3IJ紙8に記i肢のとおり,親族に対する小遣い,バリアフリーその他の工事費用,法事費用,交際費,高額商品の購:入などで4700万円程度を支出した。ク被相続人の相統開始当時の株式,有価証券の評価額は合計1toJ1503万5000円程度,現金預金は合計6875万円程度で・あった。これらの内訳は別紙9記械のとおりである。
(4) 判断ア株式,投資信託による資産運用には利益の可能性とともに,常に損失のリスクを伴う。しかるに,一部の相続人が被相続人の資産を運用した場合,その損失によるリスクは負担せずに,たまたま利益の生じた場合には寄与と主張することは,いわば自己に都合の良い面だけをつまみ食い的に主張するものであり,そのような利益に寄与分を認めることが相続人間の衡平に資するとは,一般的にはいいがたい。イ申立人Aの寄与分主彊のアについて見ると,株式等の運用益の大半を占めるのは”被相続人がFから相続した口口口株式の売却益2824万余円である。これ以外の取引には大幅な損失を生じた取引もあり,被相続人の相続開始時までに売買を完了した取引に限っても,損益合計で若干の利益に止まっている。被相続人の死亡時に残存した株式等の評価については,かえって大幅な評価損を生じていた可能性すら否定できなし、。申立人Aの購入した株式,投資信託によって,6年間で合計1105万余円の配当金等を得ており,口口口株式を保有し続けた場合よりも多くの配当金等を得た事実は窺われる。しかしながら, もともと被相続人の保有資産は多額であり,それと比すると死亡時に残存した株式等が評価損を生じていた可能性も否定できないことなどを考え併せると,より多くの配当金等を得たからといって,申立人Aの資産運用が被相続人の遺産に寄与したとはし、まだ認められない。口口口の取引については,株価が上昇した時点で売却したことで,大幅な利益を生じてい予。しかしながら,株価の上昇自体は偶然、であり,単にその時期を捉えて保有株式を売却した行為のみで,特別の寄与と評価するには値せず, この点においても,申立人Aの資産運用に寄与分は認められない。ウ申立人Aの寄与分主張のイは,要するに,申立人Aが資産運用した結果,そのまま被相続人の資産を維持した場合と比較して,被相続人の支出による資産の目減りを少なくした旨の主張である。しかしながら, この主張の中で,被相続人が6年間で支出したとされる生活費(高額商品の購入等は除く。) 3056万円は,一般的な生活費と比較すると相当高額であるd しかるに,被相続人がそのような高額な生活費を現に支出したことを裏付ける的確な資料は一件記録中見当たらない。また,この主張における計算方法では, Fの相続時点の被相続人の固有資産が考慮されていないが,被相続入が少なくとも(3)認定事実のイ記載の資産を保有していたことによれば,これを考慮しない計算方法は妥当でなし、。このように,寄与分算定の前提とする数字や計算方法の妥当性に疑問があることからすると,寄与分主張イの観点からしても,申立人Aの資産運用が被相続人の遺産に寄与したとはし、まだ認められない。エしたがって,申立人Aの寄与分に関する主張は認められない。
5 当裁判所の定める分割方法(1) 各自の具体的相続分現時点における分割すべき遺産の総額は, 2億2902万8389円1);’ある。申立人Bの寄与分を750万円認めた各自の具体的相続分は,以下のとおりとなる。申立人B 6288万2098円申立人A 5538万2097円相手方C 5538万2097円相手方o5538万2097円(2) 具体的分割方法、.現時点の遺産は, ー預貯金,申立人Aの手元現金.申立入ら代理人弁護土保管金,株式配当金であり,いずれも容易に換金可能なものである。従前からこれらの財産を申立人Aにおいて主として管理してきたことによれば,逃産の現物をすべて申立人Aに取得させk上で,申立人Aから他の当事者に対しで,各自の具体的相続分に相当する代償金の支払いを命じることとする。
6 手続費用の負担手続費用はいずれも,それぞれ支出した当事者に負担させるのが相当である。よって,主文の左おり審判する。(家事審判官山本由美子)
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2012年2月26日 | コメント/トラックバック(0) |
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