性別の取扱いの変更申立却下審判に対する即時抗告事件

1 本件抗告の趣旨及び理由
別紙即時抗告申立書記載のとおり
2 事案の概要
〔抗告人〕A
(1) 本件は.抗告人が,性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(以下「法」という。) 3条に基づき,性別の取扱いを男から女に変更する審判を求めた事案である。
(2) 原審は,抗告人には離婚した配偶者との聞に2子がいるから,法3条1項3号の要件を欠くと判断して,本件性別の取扱いの変更の申立てを却下した。
3 当裁判所の判断
(1) 当裁判所札本件性別の取扱いの変更の申立てを却下すべきものと判断する。その理由は,原審判説示の理由と閉じであるから,これを引用する。
(2) 抗告人は,抗告理由として,法3条1項1号から5号までの要件(以下5要件」という。)は,憲法13条.14条1項に違反するものであり,性同一性障害者である限り性別の取扱いの変更を認めるべきであると主張する。
法は,性同一性障害者に関する法令上の性別の取扱いの変更を認める特例を定めるものであり(1条).家庭裁判所は,性同一性障害者であって一定の要件を満たすものについて,その者の請求により,性別の取扱いの変更の審判をすることができ(3条).性別の取扱いの変更の審判を受けた者は.民法その他の法令の規定の適用については,法律に別段の定めがある場合を除き,その性別につき他の性別に変わったものとみなすものとして(4条).性同一性障害者の性別の取扱いの特例が認められる対象者を,性同一性障害者のうち5要件を満たすものに限っている(3条1項)。そこで. 5要件のそれぞれについてみると,性別はその人の人格にかかわる重大な事柄である上,その変更は不可逆的なものとなるため,本人に慎重に判断させる必要があることなどから法3条1項1号を,同性婚という現行法秩序において解決困難な問題の発生を回避する必要があることから同項2号を,親子関係などの家族秩序に混乱を生じさせたり,子の福祉に影響を及ぼすことがないようにする必要があることから同項3号を,性別の取扱いの変更を認める以上, 元の性別の生殖能力等が残っているのは相当でないことから同項4号を,他の性別に係る外性器に近似する外観がないことによって生ずる可能性のある社会生活上の混乱を回避する必要があることから同項5号を,それぞれ要件として定めたものと解される。そうすると. 5要件は,いずれも十分な合理的根拠があるものというべきであって. 5要件の存在により,これを満たさない性同一性障害者の利益が制約されるとしても,そのような規制が立法府の裁量権を逸脱し,著しく不合理であることが明白であるといえず, 憲法13条に違反するものでない。そして. 5要件はいずれも十分な合理的根拠があることは前示のとおりであるから.5要件により,これを満たす性同一性障害者とこれを満たさない性同一障害者との聞に区別が生じることになるとしても,館法14条1項に違反するものでない。したがって,抗告人の上記主彊はいずれも採用することができない。
(3) 以上によれば,本件性別の取扱いの変更の申立てを却下すべきであり,これと同旨の原審判は相当である。
よって,本件抗告を棄却することとし,主文のとおり決定する。
( 裁判長裁判官福岡右武裁判官畠山稔菅野雅之)

タグ

2012年2月27日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:未分類

認知請求事件

第1
請求原告が,亡A(略?の子であることを認知する。
第2 事案の概要1 原告の母であり,法定代理人親権者であるBは, 内縁関係にあったAの死亡後.同人の生前に採取し,凍結保存していた精子を使用して体外受精を行い,原告を出産した。,本件は,原告が,民法787条,廃止前人事訴訟手続法32条2項. 2条3項に基づき,検察官を被告として,原告の認知を求めた事案である。2 前提となる事実(1) 事実関係(略)(2) 法整備に関する検討状況ア厚生科学審議会生殖補助医療部会(略)イ法制審議会生殖補助医療関連親子法制部会(略)3 争点精子提供者の死後,その精子を使用した体外受精により懐胎出生した子からの認知の訴えの可否4 争点についての当事者の主張(略)
第3 争点、に対する判断1 認知の訴え(民法787条)とは,婚姻関係にない男女の聞に出生した子ム遺伝的な血縁関係のある男性との聞に,法律上の親子関係を創設する形成の訴えて’あるがすなわち,民法においては,婚姻関係にない男女の聞に出生した子の場合,父子聞では,遺伝的な血縁関係があっても,当然には法律上の親子関係が成立せず,男性から任意に認知がされるか,あるいは,子文はその法定代理人による認知の訴えを認容する判決がされた場合に限り,父子聞に法律上の親子関係が成立するものとされている。2 法律上の親子関係(父子関係に限り,また,養親子関係を除く。以下も同様である。)の意義(1) 法律上の親子関係の成否を判断するに当たっては,遺伝的な血縁関係の有無が第ーの基準となるのは当然である。しかしながら,法律上の親子関係とは,必ずしも遺伝的な血縁関係があることとは同壌ではなく,例えば,遺伝的な血縁関係のある男性に対して,その死後3年を経過した後に認知の訴えが提起されても,出訴期間の経・過により,その訴えは認められないから,遺伝的な血縁関係があったとしても,法律上の親子関係は成立する余魁がないことになる(民法787条但書)し,冶た他方,婚姻中の女性の子であれば,その夫と子との聞に遺伝的な血縁関係がなくとも,嫡出の推定により法律上の親子関係が成立し,夫が子の出生を知ったときから1年を経過すれば,嫡出否認の訴えを提起することも認められないこととされている(民法772条.777条)。したがって,法律上の親子関係とは,単に遺伝的な血縁関係があるという意味での事実概念に止まらず,法的な評価を含んだ法律上の概念と解するべきである。そこでまず,上記の法律上の親子関係の成否を判断するための具体的な要件について検討する。(2)ア制定当初に民法が想定していた認知の訴えは,自然的な生殖により懐胎出生した子からのものであり,この場合には,干と父となるべき男性との聞に遺伝的な血縁関係が認められれば,出訴期間の制限内である限り,法律上の親子関係を成立させることになる。そのため, 自然的な生殖により懐胎出生した子からの認知の訴えの場-告,法律上の親ヂ関係の成否は,専ら遺伝的な血縁関係の有無を検討すれば足りることどされてきた。イこれに対して,近年,生殖補助医療の急速な進展により,必ずしも男女の性行為がなくとも,女性が子を懐胎出産することも可能な状況が生ずるようになった。その結果,精子提供者である男性の意思には関わ.りなく,その男性と遺伝的な血縁関係を有する子が出生する可能性を生ずるに至った。例えば,研究や疾病等の検査目的で精子を採取した後,その精子が採取された男性の意思に反して他の女性の生殖補助医療に使用され, 子が出生した場合などが想定される。このような生殖補助医療により子が懐胎出生した場合の法律上の親子関係の成否をどのように考えるかは困難な問題であるが,認知の訴えが制定された当初,民法が単に想定していなかったというだけで,認知め訴えが認められないとするのが相当ではないのは原告が指摘するとおりである。そして,様々の要望や期待・に応えて生殖補助医療が進展してきたことに照らすと,生殖補助医療により懐胎出生した子からの認知の訴えの可否は,諸般の事情を総合的に考慮して判断されるべきものである。ウそこで,次に,原告とA との聞の法律上の親子関係の成否を判断するために, 具体的にどのような事情を考慮すべきかについて検討する。この点について,原告は,本件のような場合に認知の訴えを認めるための要件としては,遺伝的な血縁関係の存在のほかには,精子提供者である男性に父となる意思があれば足りると主張する。たしかに,法律上の親子関係の成否を検討するーに当たって,精子提供者の意思が重要な考慮要素になることは原告が指摘するとおりである。例えば,イに挙げた例のような場合,男性と子との聞には,遺伝的な血縁関係はあるものの,法律上の親子関係の成立を認めることは相当とはL、えなし了。これらの判断及び理由付けについては議論があるが,結局,当該男性には,採取した精子が生殖補助医療に使用され, 自己と遺伝的な血縁関係を有する子が出生することに対オる認識がもともとないため,法律上の親子関係の成立を認めるのは相当ではないといぢことになるものと考えられる。しかしながら,法律上の親子関係は,民法における身分法秩序の中核をなすものであり,多数の関係者の利害に関わる社会一般の関心事でもあるから,当事者間だけでの自・由な処分が認められるものではな’く,公益的な性質も有しているニ&いうべきであり,単に精子提供者である男性に交となる意思が認められれば直ちに法律上の親子関係を成立させるべきであると考えることは相当とはいえない。そこで,このような場合における法津上の親子関係の成否については,そのための規定が整備されていない以上,条理に基づいて法律上の親子関係があると評価するに足りる事情の有無を裁判所が判断して決するのが相当であり,具体的には,認知の訴えの制度趣旨を踏まえ,精子提供者である男性の意思のほか,当該生殖補助医療の在会的相当性,現行法制度との整合性,子の利益などを総合考慮.して判断せざるを得ないも.のである。・なお,原告は,認知の訴えの制度趣旨が子の利益の実現にあるとして,遺伝的な血縁関係があることが明らかであるにもかかわらず.父の死亡により認知ができない場合には,精子提供者である男性に父となる意思が認められる限り\子からの認知の訴えを肯定するべきであり,本件も,遺伝的な血縁関係があることが明らかで,父が死亡している場合に該当するから,子の利益の観点からも,認知の訴えを認めるべきであると主張する。たしかに,認知の訴えの制度が,子の利益の実現を目的としていることは原告が主張するとおりであり, したがって,子の利益を重要な考慮要紫とすべきであることは当然である。しかし,前記のとおり,法律上の親子関係は,身分法秩序の中核として公益的な性質をも有しているのであるから,子の利益だけに配慮して認知の訴えの可否を決することは相当とはし、えず,前記のような事情を総合的に検討して判断する必要があるというべきである。3 本件における法律上の親子関係の成否(1)遺伝的な血縁関係. . .o00によれば,原告とAとの聞には,遺伝的な血縁関係があることが認め4れ,この認定に反する証拠はない。(2)精子提供者の意思ーやw ・ア前記のとおり,生殖補助医療によって懐胎出生した子と精子提供者との聞に法律上の親子関係が成立するか否かを判断するに当たっては,精子提供者の意思に反するような場合に法律上の親子関係を成立させることは相当ではないことから,採取した精子を生殖補助医療に使用することに関する精子提供者の同意の有無が問題となる。そして,この同意は,医療部会報告書にもあるとおり.生殖補助医療の実施の度に明確なものとして確認される必要があり,iた,生殖補助医療の実施前であれば撤回も許されると解するべきである。(略)イところで,本件においては,精子提供者であるAが,その精子を使用した生殖補助医療の実施時に既に死亡していたという事情が認められる。このような場合,精子提供者が,採取していた精子を生殖補助医療に使用することに生前は同意していたとしても,死亡により.その意思はどのような影響を受けるのかについても検討する必要がある。(ア) 00によれば, Aは,体外受精の目的で,顕徴授精5四分の精子を採取したこと,Aは,本件医院の医師から,体外受精の意思があることの確認を受け,採取された精子は,凍結保存された後, (略)子が誕生するまで継統して用いられるとの説明を受けたこと,Aは.第2回目の体外受精に際し, (略)子の名前を考え,胎児認知の準備をしてその誕生を待ち望んでいたことが認められるのであり,Aは,生前,体外受精の方法により(略)子が出生することに同意していたものと推認することができる。(イ) ところで,亡くなった人の意思をぜの死後にも実現する制度としては,民法上も遺言の制度を定めており,また,遺言がなかったとしても,亡くなった人の生前の意思は可能な限り尊重されるべきものであることは当然である。しかしながら,人は,死亡により権利能力を喪失し,権利義務の主体とはなり得ーなくなるのが大前提であるから,死者の意思も死亡時以降年おいてはその存在を観念し得なくなると考えるのが自然である。そして,本件におし、て, .Aは,第4回目の体外受精の実施時には既に死亡していたのであるから,そもそも第4回目の体外受精の実施時におけるAの意思というものを観念できるかについて疑問があるうえ,夜亡時と同様の意思が,第4回目の体外受精の実施時においても存在したと考えることにも問題があるといわざるを得なし、。(ウ) これに対して, Aが死亡した時点でその意思は不動のものとして確定し,死亡時の意思によって,第4回目の体外受精の実施もAの意思に基づくものと擬制できるとの考えもあり得るところである。しかし,身分関係に関する事項は,対世的に重大な影響を与えるものであるから,その判断は慎重にする必要があるところ,死亡時以降はその同意を撤回することもできなくなるのであるから,死亡時にその意思があったからといって,死後である第4回目の体外受精の実施時におけるAの意思の存在を僚制することは相当ではないと解するべきである。また,原告は,本件においては, Aが死亡する1年3か月前に精子を採取保存して.直ちに体外受精を実施しており,Aの生前に行われた第1回目から第3回固までの体外受精と,原告が出生するに至った第4回目の体外受精とは一連の行為と捉えることができ芸と主張する。しかし,前述のとおり,本来,精子提供者の意思は,・生殖補助医療の実施の度に明確なものとして確認される必要があると解するのが相当であり,原告が主張するように一連の行為として捉えること自体に疑問があるだけではなく, Aの死亡時と体外受精の実施時が時間的にいかに近接していたとしても,体外受精が, Aの死後に実施されたことには変わりはないのであるから,Aが第4回目の体外受精の実施時に,その精子を使用した体外受精の実施に同意していたと擬制するのは相当とはし、えない。(3) 本件生殖補助医療の社会的相当性ア前述のとおり,現行民法の認知の訴えの制度は,自然的な生殖により懐胎出生した子とその父の場合を想定していることは明らかであるa 自然的な生殖においては,男性が生殖行為そのものに直接関与するのに対し,本件の生殖補助医療においては,精子提供者であるAは,精子の採取とし、う限度でこれに関与しているにすぎず,さらに,原告が懐胎出生するに至った第4回目の体外受精の実施時には,既に死亡してに、た。このような生殖補助医療によって子が懐胎出生することを,民法は想定していないのみならず, 自然的な生矩との聞にかし、離があることは否定できなし、から,本件のような態様の生殖補助医療が,在会的に受容されるか否かも検討する必要がある。イ医療部会報告書では, (略)精子提供者の死後に当該精子を使用することは,既に死亡している者の精子による子が出生するという倫理上の大きな問題があり, また,遺伝上。親が出生時から存在しないことは,子の福祉の観点からも問題があると指摘し,精子提供者の死亡が確認されたときには,提供された精子を廃棄するべきであるとしている。他方,中間試案でば, (略)夫の死後に凍結精子を使用して生殖補助医療を行った場合の父子関係に闘する特段の規定は置かれなかったが,その補足説明では,夫の死後に凍結精子を用いるなどして生殖補助医療を行った場合の父子関係の規律について親子法制部会でも検討が行われたものの.医療部会における医療法制の考え方が不明確であるにもかかわらず,親子法制に関して独自の規律を定めることは適当でないと考えられたため,更なる検討は行われなかったとしている。したがって,医療部会としては,精子提供者の死後に,その精子を使用して生殖補助医療を実施することについては否定的な方向で意見がまとめられており,親子法制部会としては,意見がまとまって-いない状況にある。ウ生殖補助医療そのものについて,また,生殖補助医療の在り方を巡っては,医学界,法曹界を初めとして様々の議論があり,未だ社会一般の見解が確立したとはし、えない状況にあることは公知の事実である。そのような状況において,本件のように,既に死亡している者の精子を使用して,新しい生命を誕生させるということについてはさらに大きな違和感を抱く者も少なくないことと推認される。自然的な生殖においては,父母の双方が生存していなければ,子の懐胎出生ということはあり得ないことであり,精子提供者であるAが,第4回目の体外受精の実施時に既に死亡していた本件は,その意味で, 自然的な生殖とのかし、離が著しいといわざるを得ないものである。また,生殖補助医療において死.亡している者の精子を使用したことは,生存している男女の性行為により子が懐胎出生するとし、う生殖の自・然的な態様に照らしLイの医療部会報告書の指摘にもあるとおり,倫理面での大きな問題があることも否定できなふところである。エ原告は,本件においては.Aが死亡するl年3か月前に精子を採取保存して,直ちに体外受精を実施しており.Aの生前に行われた第1回目から第3回目までの体外受精と,原告が出生するに至った体外受精とは一連の行為と捉えることができること,Aの死亡から原告の出生までに(略)しか経過していないことから,自然、的な生殖とのかし、離が極めて小さいと主張する。生殖補助医療では,精子の採取以降,精子提供者の関与なくして生殖過程が進むことから,体外受精や懐胎の時期と,精子提供者の死亡時とが極めて近接する事態が生じ得る。しかし,自然的な生殖においては,男性が死亡していれば生殖行為を行うことはできないのであるから,時間的にいかに近接していたとしても,ー体外受精が.Aの死後に行われたものである以上,それは質的に異なるものというべきであげ,自然的な生殖とのかし、離が小さくなるとは考えることができなし、。オ以上の結果を総合すると精子提供者の死後に,提供された精子を使用して生殖補助医療を行うことについて,現段階では,これを受容する共通の社会的な認識が出来ているとまでは認めることができず,本件において原告とAとの聞に法律上の親子関係を成立させることは社会的相当性の観点からも問題があるというべきである。なお. (略)本件関係者は,原告とAとの聞に法律上の親子関係を成立させることについて,何ら反対の意思を表明しておらず.0:..コは,これに賛同している。精子提供者の死後に,その精子を生殖補助医療に使用することが,社会的に受容されているか否かを考えるに当たっては,精子提供者やその妻らの関係者がどのような認識を有しているかという点についても,当然配慮する必要がある。しかし..前述のとおり,親子関係とし、う身分法秩序の中肢となる事項については,当事者及びその関係者だけによる自由な処分は許されていなし、のであるから,本件関係者が,原告とAとの聞に法律上の親子関係を成立させる立とに賛同しているからといって,上記判断を左ちすることにはならない。(4) 現行法制度との整合性ア認知の訴えが制定された趣旨は,遺伝的な血縁関係を有する男性が, 子古をピ任;意官上の親子関係を形成して,親子関係から生ずる権利を確保し,父に親としての責任を果たさせることにある。そして,認知の効果は,子の出生時に遡るところ(民法784条).認知の訴えが認められれば,民法で定められている法律上の親子関係に基づく扶養,親権,相続等の権利義務関係が父と子との聞に発生することになるのが原則である。したがって,法律上の親子関係が成立した場合,民法は,上記のような法的効果が発生することを予定しているのであるから,本件において原告とAとの聞の法律上の親子関係の成否を検討するに当たっても,仮に本件の認知の訴えを肯定した場合に,原告とAとの聞に,同様の法的効果を発生させる余地があるか否かを検討する必要があるというべきである。イ扶養, 親権扶養,親権については,精子提供者であるAが原告の出生の時点で死亡している以上,原告とA との聞に法律上の親子関係が成立するとしたとしても.Aが,父として原告を扶養する義務を負ったり,母であるBとの協議を経て親権者となることはあり得なU、。もっとも, 自然的な生殖の場合においても,死後認知の場合は,男性と子との聞に法律上の親子関係が成立することになっても,男性は,扶養義務を負うことはないし,親権者となること込あり得ないから,これらの法的効果が生じない場合があることについては,民法自体も予定しているということができる。ウ相続現行民法は,相続人と被相続人の同時存在の原則を採用しており,例外的に,被相続人の死亡時に,相続人が胎児であったときには,相続時に出生していたことを綴制することによって,相続権を認めている(民法886条)。本件のようにAの死後に懐胎出生した原告は.Aが死亡した時点で胎児でもなかったのであるかち,仮に,原告とAとの聞に法律上の親子関係が成立する主じたとしても,民法886条の定める要件には該当せず,原告がAを相続する余地はないものと判断される。エ代襲相続原告Aとの聞に法律上の親子関係が成立するとすれば. Aの父母の相続開始時に,被代襲者であるAが死としているのであるから.Aの死後に懐胎出生した原告が.Aを代襲するという見解を採り得る余地もあるとも考えられる。しかしながら,代接相続の趣旨は,被代襲者が相続権を失っていなければ,被代襲者が被相続人を相続し,被代襲者の子が被相続人の遺産を相続できたとし、う期待を有していたにもかかわらず,被代襲者が相続権を失った結果,その直系卑属が遺産を相続できなくなることは,代襲者の期待を害するのて\被代襲者と同順位で,代襲者に相続を認めたというところにあるものと解される。ところで,本件では,前記ウで判断したをおり,精子提供者であるAの死後に懐胎出生した原告には.Aを相続する余地がなく,したがってAの父母の遺産を代襲相続する期待権はもともと生じておらず,代襲相続の趣旨は当てはまらないというべきであるから,原告が,Aの父母の遺産を代襲相続することはあり得ないと解するのが相当である。なお,原告は,代襲相続が, 血縁の流れに従って,上からでへ死者の財産を受け継がせようとする制度であり,原告とAとの聞に父子関係が認められれば.Aの父母.A.原告とし、う血縁の流れに従って財産は承継されると主張する。その趣旨は必ずじも明らかではないが,前述のとおり,原告とAとの聞に法律上の親子関係を成立させたとしても,原告がAを相続する.余地はないのであるから, Aの父母, A,原告という順に財産が承継されることにはならず,原告の主張作,本件の場合長代襲相続を認める根拠とはなり得ないというべきである。また,原告は,被代襲者が廃除や欠格により相続権を失った場合と同様に考えて,本件の場合も代襲相続が認められるべきであると主張する。しかし,被代襲者が廃除や欠格により相続権を失っても代襲相続の効果が生ずるためには,代襲者が被代襲者を相続する関係にあることを前提としているところ.前述のとおり,本件の場合には,そもそも原告がAを相続する余地はないのであるから,原告の主張を採用することはできないと解するのが相当である。オその他fア) 民法721条は,胎児について,損害賠償請求権については既に生まれたものとみなすと規定している(民法721条)。ιかι 本件のように,Aの死後に懐胎出生した原告は,Aの死亡時には胎児でもないから,仮に,原告とAとの間に法律上の親子関係が成立するとしたとしても,民法721条の定める要件には該当せず,Aの死後に懐]J台した原告が, Aに関する損害賠償請求権を行使する余地はないものと解される。(イ)精子提供者が子の懐胎前に死亡したとしても,両者に法律上あ親子関係が成立すれば,出生した子と精子提供者の直系血族等との間で,扶養義務が肯定される可能性があり,本件の場合札原告と母を異にする兄弟姉妹やAの父母との聞で,扶養の権利義務関係が生ずる余地はあるものと解される。カ前述のとおり,認知の訴えは,子の側から,法律上の親子関係の形成を求めることを認めた制度であり,法律上の親子関係が成立することにより生ずる民法上の法的効果としては,扶養,親権,相続が主要なものである。そして,仮に, Aと,その死後に懐胎出生した原告との聞に法律上の親子関係の成立を認めたとしても,異母兄弟姉妹,Aの父母との間で扶養の権利義務関係が生ずる余地はあるものの,原告とAとの間では,扶養,親権はもちろんのこと,相続の効果も発生せず,法律上の親子関係に基づき本来発生するはずの法的効果のうち主要なものは全て発生. ーする余地がないことになるところ,そのような関係にすぎない原告とAとの聞に法律上の親子関係を成立さぜることについては,発生する法的効果という観点からも疑問があるといわざるを得なし、。(5) 子の利益ア前記のとおり,認知の制度は,子の利益の実現を図ることを白的としているから,本件の原告とAとの聞の法律上の親子関係の成否を判断するに当たっては原告の主張するような子の利益の有無,また,その利益は法律上の親子関係を創誌することによって実現されるべきものであるかについても.検討する必要がある。この点について,原告は,本件の認知の訴えが認められないとすると,原告には法律上の父がし、ないことになり,戸籍の父の側が空白のままとなって,学校の入進学,就職,結婚等の際に放置することのできない不利益を被る百能性がおき:rE:主張する。たしかに,法律上の父が存在しないことによる社会的な不利益の発生は少なくないことが予想され,その意味で,原告が主張するところも理解できないわけではない。そして,前記のとおり,認知の制度が.子の判益の実現を目的としているにとゐ否定できないところである。しかしながら,原告が主張する不利益の多くは事実上のものであるうえ,そもそも戸籍は,民法上の身分際係の実体を公示するものであり,実体的な身分関係があれば戸籍にその記・.1肢がされるとし、う関係にあるにすぎないの℃・あるから,原告の主張する戸籍の父の欄にAの氏名が記載されるとしみ利益は,法律上の親子関係が成立したことによる派生的な結果にとどまるというべきである。イまた,原告は,子の出自を知る利益の保護の観点から,認知の訴えを認めることの実益があると主張する。しかし,子の出自を知る利益とは,子が,生殖補助医療により出生した場合に,自己が生殖補助医療によって生まれたという事実や,生殖補助医療に用いられた精子等の提供者に関する個人情報を知る利益であると解されるところ,本件においては.原告が,Aとの聞で遺伝的な血縁関係を有していることは既に明白になっているというべきであるから,子の出自を知る利益を理由に,本件の認知の訴えを認めるべきであるともいえない。ウさらに,原告は,扶養の権利義務,親族聞の協力義務が生ずること等においても本件の認知の訴えを認めることの実益があるとも主張する。たしかに,異母兄弟姉妹,Aの父母との間で扶養義務や協力義務が生ずる余地はあるものの,これらは.前述のとおり,原告とAとの聞の父子関係に基づき発生する主要な法的効果とはし、えないと解するべきである。4 以上の3(1)ないし(5)の検討結果によれば,本件については,第4回自の体外受精の実施時におけるAの意思というものを観念できるかについて疑問があるうえ,死亡時と同様の意思が,第4回目の体外受精の実施時におし、ても存在したと考えることにも問題があること,本件のような死亡した者の精子を使用する態織の生殖補助医療は,自然的な生殖とのかし、離が大きく,現段階では,これを受容する共通の社会的な認識があるとはいえず,社会的相当性の観点からも問題があること,また,原告とAとの聞では,扶養,親権,相続及び代襲相続など法律土の親子関係がある場合に民法が発生を予定している法的効果のうち父子関係に関する主要なものは発生する余地がないことが指摘でき毛のであり,その他,原告が主張する干の利益を考f直したとしても,精子提供者であるAと,その死後に懐胎出生した子である原告との関係には,遺伝的な血縁関係は認められるものの,法律上の親子関係があると評価するに足りる事情は認められなふというべきである。したがって,原告の主張には理由がなく,精子提供者であるAの死後に懐胎出生した子で・ある原告からの本件認知の訴えを認めることはできないと判断するのが相当である。なお,原告が,今後健やかに成長していくために,本件関係者はもちろんのことγ 国や社会としても可能な限りの配f起をしていく必要があるととはし、うまでもないことである。その意味で,死亡した精子提供者の精子を使用した体外受精を禁止すべきかどうかという問題と,その結果;既に生まれてきた子の地位をどうするかをいう問題とは区別して考えられるべきであるとの原告の主張も理解できないわけではない。しかし,既に述べたような理由により,当裁判所は上記のとおり判断するものであるが,今後も発生が予想される本件のような事態を解決するためにも,急速に進展する生殖補助医療に関する早急な法整備が求められるところである。
5 結論以上によれば,原告の本訴請求は理由がないから, これを棄却することとし,主文のとおり判決する。(裁判長裁判官奥回隆文裁判官杉山順一岡本典子)

タグ

2012年2月27日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:未分類

遺産分割審判に対する即時抗告事件

抗告の趣旨及び理由
本件抗告の趣旨は,原審判を取り消し,被相続人の遺産を適正な方法で分官Fする旨の裁判を求めるというものであり,抗告の理由の要旨は以下のとおりである。
(1) 原審判は, αコ生命保険相互会社の生命保険(契約者は彼相続人。)①保険金額5000万円(証券番号xxx一xxxx一xxxx。平成7年8月8日に受取人がDから抗告人に変更。抗告人が5007万6582円を受領。)②保険金惣5000万円(証券番号x0x 0 x 0 x – 0x 0 x 0平成5年12月15日に受取人をDか.ら苧告人に変更。抗告人が5122万3498円を受領。)及び③生命保険(ムムムム。平成5年四月20日.411万6650円を支払って契約(被保険者・被相続人・,受取λ・被相続人)。保険期間5年。満期保険金500万円。平成8年5月22日,契約者,受取人を抗告人に変更し,同年11月14日,死亡保険金受取人をEと変更。相続開始時の解約返戻金は449万4500円で源泉徴収税を控除した残額は441万8931円.である。) をいずれも抗告人の特別受益と認め,持ち戻し免除の意思表示を認めなかったが,以下めとおり不当である。(2) 死亡保町金請求権は,受取人が固有に取得するものであって,贈与や贈与に類似するものではなく.CXコ生命保険①,②は抗告人が固有の権利により保険金を受領したものである。また,受取人を変更する行為が民法903条に定める贈与又は巡目白に該当し私いことも明らかである。そして,仮に,特別受益に当たるとしても,被相続人の妻Dは平成7年7月11日に死亡しており,被相続人は.00生命保険②はそのl年7か月前に受取人を抗告人に変更し.同①はDの死亡の1か月後に,相手方が相続人として受取人になることを嫌って,受取人を抗・告人と変更したものであり,抗告人に被相続人夫婦や被相続人の老後の世話を委せようと考えてなされたものであり,持ち戻じ免除の意思表示があったと考えるのが自然である。cxコ生命保険③は,被相続人の希望により,抗告人が被相続みから買い取ったものであり,特別受益となるものではない。
(3) 相手方は, αχわ大学に入学し,卒業後も被相続人から費用負担イ|を受け,平成8年に35歳で医師免許を取得した。そのために要した以下の費用合計6784万7413円は,被相続λ計の資本とする趣旨で負担したことが明らかであるから,相手方の特別受益である。(ア) 高校留年期間1年間の生活費(月額6万円) 72万円予倣の授業料(研数学館) 3年分断円|予備校3年間の生活費400万3200円. I大学受験料(3年間) 64万3200円卒業時の教授への謝礼. 200万円付) 大学通学等の費用5年分の授業料,国家試験受験料1120万円生活費の援助2154万2800円国家試験予備校授業料410万円国家試験資料費60万円(ウ) 自家用車2台402万3000円上記車両の相続開始時までの維持費等599万7315円マンションの賃料(1年) 430万円ガレージ工事費,部匿改装費100万円同遺産である借地の借地料平成9年8月分から平成13年11月分190万5748円同社団法人CD区医師会からの弔慰金120万円中小企業小規模共済金259万5000円(カ) 平成8年の準確定申告による還付請求権9万7150円イしかるに,原審判が裁量により3000万円を相手方の特別受益と認定したのは不当であり,相手方の怠惰により被相続人が上記負担を強いられたものであるから,全額を特別受益と認めるべきである。
(4) また,原審判の認定によっても,相手方の特別受益は3379万円であ’り(上記3000万円に社団法人Cわ区医師会からの弔慰金120万円及び中小企業小規模共済金259万円を加えたもの。).みなし相続財産は2億4462万円に鑑定費用を加えた金額となる。
2 抗告の理由についての相手方の反論
(1) 生命保険金が特別受益となるか否かは,相続人聞の公平を図るか否かにあり.CXコ生命保険①ないし③は,受け取った保険金額や受取人変更の経緯等に照らし,これに該当することが明らかである。
(2) また.抗告人はCD生命保険②の受取人変更が被控訴人夫婦の老後介護を抗告人にしてもらうためであったと主張するが.被相続人がそのように依頼したことに沿う証拠ばなく,当時.Dが入退院を繰り返し肝硬変に伴う肝性脳症(意識障害)をきたし,受取人を変更する必要があったためにすぎない。
(3) 原審判が相手方の特別受益と認めたものも,実際の評価は次のとおりであり,その合計額ほ1447万円であり,原審判が特別受益を3000万円としたことは高額にすぎる。予備校の費用30万円一大学受験料27万円大学授業料等850万円大学5年の生活費360万円国家試験関連費180万円
3 当裁判所の判断
(1) 当裁判所弘被相続人の遺産は相手方が取得し,抗告人に以下に認定する代償金を支払うのが相当であると判断する。
(2) 相続の開始,法定相続人,法定相続分及び本件で分割すべき遺産の範囲については,次のとおり抗告理由に対する判断を付加するほか,原審判理由説示(第3の1, 2) に記載のとおりである(ただし.「別紙遺産目録」とあるのをすべて「原審判別紙遺産目録Jと改める。)から,これを引用する。抗告人は,原審判が預金額を79万円としたことにつき,鑑定費用分を加えるべきであると主張する。しかし,抗告人は,遺産である建物及び借地権の価格につき鑑定を申し立てたが,費用質担を望まず,原審第6回審判期日において,鑑定費用につき預金の取り崩しにより負担するか,相手方と半額ずつを負担することを希望し.第7回期日においては預金の取り崩し等遺産により負担することを希望し,相手方が,上記希望につき検討し,第8回期日においてこれに同意したものである。そして,第4回期日において迫産として分割対象とすることを確認していた4口の預金のうち,口口口口銀行ムム支庖(現口O口。銀行)の預金から払い戻して必要額を予納金に充て,これが鑑定費用として支出されたものであり,そのことについて当事者双方代理人が合意書(乙29)を作成した。そして,当事者双方は,第22回期日において,上記預金の残高が相続開始時及び遺産分割時において15万7912円であることを確認している。そうすると第4 回~び第22回審判期日において確認された預金額が79万円(1万円未満端数切り捨て)であり,これが分割対象となる預金であることが明らかである。また,抗告人は,原審判別紙遺産目録4記載の口ム海上の長期総合保険(火災保険)につき,満期金450万円と評価すべきであると主張するようであるが,原審において,当事者双方がこの保険契約上の地位をどのように扱うかにつき検討を求められ,第21回審判期日において,平成14年10月当時の解約返戻金額が91万5510円であること(乙41) を確認したことから,この額をもって遺産と扱うこととしたものであり,この保険契約は被相続人が平成5年4月25日に締結した保険期間を10年間とする本件建物及び建物内の什器備品類を対象とする保険であり,保険料が年間47万8950円で平成8年4月に支払期のきた保険料まで被相続人において支払っていたものであるからよこれを遺産と扱うこと,上記額により評価するのが相当であることが明らかである。
(3) 特別受益にづいてア抗告人の特別受益抗告人は.被相続人が契約した(x)生命保険①②(保険金額各5000万円)につき受取人となることで,固有の権利として死亡保険金請求権を取得し保険金を受領したものであり,これは民法903条1項に規定する逝蛸文は贈与に当たらない.と解されるが, i保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との聞で生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には,同条の類推適用により,当該死亡保険金請求権は特別受益に準じて持戻しの対象となると解するのが相当である。J(最高裁平成16年10月29日決定民集58巻7号1979頁)。本件においては,抗告人が00生命保険q渇により受領した保険金額は合計l憶0129万円(1万円未満切捨)に及び,遺産の総額(相続開始時評価額1億0134万円)に匹敵する巨額の利益を得ており,受取人の変更がなされた時期やその当時抗告人が被相続人と同居しておらず,被相続人夫婦の扶養や療養介護を託するといった明確な意図のもとに上記変更がなされたと認.めることも困難であることからすると,一件記録から留められる,それぞれが上記生命保険金とは別に各保険金額1000万円の生命保険契約につき死亡保険金を受取人として受領したことやそれぞれの生活実態及び被相続人との関係の推移を総合考慮しても,上記特段の事情が存することが明らかというべきである。したがって,(わ生命保険①②について抗告人が受け取った死亡保険金額の合計1億0129万円(1万円未満切捨)は抗告人の特別受益に準じて持戻しの対象となると解される。また,抗告人は,平成8年5月22E.,保険料が全納されていたOO生命保険③の契約者.受取人となることにより,被相続人から契約上の地位の移転を受けたものであり,これが生計の資本としての贈与にあたるものであり,その相続開始時の解約返戻金額441万円をもって特別受主主頒と評価するのが相当である。抗告人は,同③の契約上の地位を被相続人の求めに応じ買い取ったと主張するが,その事実を認めるに足りる証拠はない。そして,抗告人は,上記変更等による利益の付与につき,被相続人から持ち戻し免除の意思表示がなされたと主張するが.その事実を認めるに足りる証拠はない。すなわち,抗告人は,平成3年5月には歯科医師国家試験に合格し.上記付与の当時歯科医師として稼働しており,被相続人において,抗告人の生活を保障する趣旨で上記利益を付与したとは考えがたく,また,相手方と抗告人とを対比し,抗告人に被相続人や被相続人夫婦の扶養や療養介護を託するといった明確な意図のもとに上記利益を付与したとみることも困難である。そして,一件記録によれば,被相続人は,抗告人とは良好な闘係にあったが,相手方とは暴力を振るわれるといった事態に至るなど関係に苦慮していたことが認められるが,遺言訟を作成したり.遺産の相続について特別の意思を表明した事実は認められないのであって,被相続人が上記持ち戻し免除の意思表示をしたと認めることは困難である。相手方は,上記以外の特別受益として,0606を転換してムOムOとして契約した保険契約により支払われた50万7625円.エレクトーンの個別指導に関連して要した費用及び歯科医師免許取得後被相続人から受けたとする経済的援助を主張するが,これらが特別受益にあたると認めることはできない(原審判理由説示の当該部分を引用する。)。したがって,抗告人の特別受益額はl億0570万円である。イ相手方の特別受援について(その1)社団法人Cわ区医師会から被相続人死亡に対する弔慰金120万円が相手方に支給され, 00事業団から小規模企業共済法に基づく共済契約により個人事業主である被相続人の死亡を原因として共済金等259万5000円が相手方の口座(ムム銀行ムム支庖}に振り込まれた。相手方は,これらについては,抗告人が取得した保険金が特別受益と評価される場合には特別受益と評価されてもやむを得ないと主張しているから,その相続開始時における評価額を受領額とし,その額の特別受益があったと認めるのが相当である。したがって,この特別受益額は合計額379万円(1万円未満切捨)である。ウ相手方の特別受益について(その2)一件記録によれば,相手方につき次の事実が認められる。
(7)相手方(昭和36年×月xx日生)は,昭和51年4月,(わ高校に入学し,1年で中退後に都立66高校に入学し,昭和55年3月同校を卒業し,大学受験に失敗し3年間浪人し,大学受験予備校であるOム口に通った後,昭和58年4月,0000大学に入学し,留年したり卒業できなかったことから,在学生活が長引き.平成6年3月に卒業し(通常は6年間で卒業できるところ, 5年間余計に在学期聞を要した。),歯科医師国家試験に2年続けて不合格となり,国家試験予備伎に通い(2年間余計に期聞を要した。),平成8年4月に歯科医師の免許を取得したが,相続開始時までの間,無収入であり,被相続人から上記歯科医師になるため,抗告人に要したような通常要する費用以上の負担をしてもらった。また,被相続人は,代金を負担し昭和58年に乗用自動車(口口口口口),平成5年に乗用自動車(C丈AX:X))を購入し,もつばら相手方に上記自動車を使用させていたものであり,いずれも生計の資本として付与されたものというべきであるから,以下の合計額3001万円(相続開始時における評価額)が特別受益と認めることができる。付) その具体額は次のとおりと認められる。a 大学受験予備校に通学した学費(3年分)b 大学受験料3年分c 大学授業料(平成元年度から平成5年度までの授業料・) 850万円192万円• 64万円d 大学5年間の生活費月額12万円720万円e 国家試験受験予備校の費用(授業料年額180万円の2年分。夏期講習20万円) 380万円f 国家試験受験中(2年間)の生活費月額12万円288万円g 自動車2台402万円維持費(自動車税等) 105万円合計3001万円(ウ) 他方,抗告人は,相手方が要した高校留年期間1年聞や予備校3年間の生活費を特別受益に当たると主張するが,高校を卒業するのに4年を要し歯科大学合格のために3年程度を要することは一般にありうることであり,被相続人が開業医であったことを考慮、すると,その聞の生活費の負担は扶養義務の範囲というべきであり,生計の資本としての贈与には該当しない。抗告人が主張する補欠入学時に入学金を負担した事実は認めるに足りる的確な証拠がなく,抗告人と相手方の大学学貨の差額(正規の課程である6年間の分)はやむを得ない負担であり,いずれも特別受益に当たらず,卒業時の教授への謝礼を負担した事実は認めるに足る証拠がない。また.マンション賃料(1年分)は,相手方にもつばら使用させるため被相続人がマンションを賃借したとまで認めることができないのであり,その賃借が相手方への利益の提供であるとは認められなし、。歯科医師国家試験の資料費は,生活費として考慮し,ガレージの鉱張工事費用及び部屋改装費の負担は具体的な支出額を認めるに足りる証拠がなく,生計の資本としての贈与といえるものであるか明らかではなし、。抗告人が主張する生計の資本の贈与にあたる動産類の贈与があったと認めることはできないし,遺産である借地につき相続後に支払;った借地料が特別受益に当たらないことは明らかである。また,抗告人が主強する平成8年の準確定申告により生じた還付請求権は,可分債権であって,逃産として分割帰属すべきものであり,特別受益となるものではなし、。したがって,抗告人が主張する前記認定以外ーの相手方の特別受益は認めることができなL、。エ相手方の特別受益額は,以上の合計3380万円(379+3001)であlili- -る。(4) 遺産の分割ア遺産の相続開始時の評価額は①本件建物(9893万円)②預貯金(79万円)③電話加入権(9-万円)④ロム海上の長期総合保険(91万円)⑤家財道具(62万円)の合計1億0134万円であり, みなし相続財産は,これに特別受益(抗告人の特別受益1億0570万円,相手方の特別受益3380万円)を加えた2億4084万円であり, 各自の具体的相続分は1億2042万円となり,抗告人の未取得分は,具体的相続分から特別受益分を控除した1472万円であり,相手方の未取得分は8662万円となる。イ遺産の逃産分割時の価格は,①本件建物(8700万円)となるほかは,相続開始時と閉じであるから,その総額は8941万円であり,これを,前記未取得分の割合で分けると,抗告人が1298万7124円(8941万円x (1472/10134),円未満切り捨て),相手方が7642万2875円(8941万円x(8662/10134),円未満切り捨て)となる。ウ相手方が本件建物に居住していることからすると,相手方に本件建物を含め全ての遺産を取得させた上,抗告人に対し代償金を支払.わせるのが相当である。したがって, 抗告人が取得する代償金額は上記抗告人の取得すべき額の1万円未満を切り捨てた1298万円となる。
(5) よって,原審判は,結論において相当であるから.本件抗告を棄却することとし, 主文のとおり決定する。(裁判長裁判官西田美昭裁判官犬飼良二小池喜彦)

タグ

2012年2月27日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:未分類

親子関係不存在確認請求控訴事件

第1 控訴の趣旨
主文と同旨。
第2 事案の概要
1 控訴人は,戸籍上, c (昭和53年5月21日死亡。)とD (昭和46年6月22日死亡。)との間の子(昭和12年xx月xx日生。長男)であり,被控訴人は,同じく両名の子(昭和9年xx月xx日生。二女)とされている。本件は.控ー訴人が,被控訴人と被控訴人の戸籍上の父母である亡C及び亡D (以下rc夫婦Jともしづ。)との聞には,いずれも親子関係が存在しないとして,その確認を求めた事案である。
2 原審は,原審における鑑定の結果によると,控訴人及びC夫婦の戸籍上の二男であるEは亡C及び亡Dとの聞に生物学的な親子関係が認められること,控訴人及びEと被控訴人との聞には両親を同じくする全同胞の関係は認められないが,父又は母の一方を同じくする半同胞の関係が認められること,したがって,被控訴人が亡C文は亡Dのいずれか一方との聞に親子関係が存在する可能性を否定することができないところ,証拠上,そのどちらかの不存在を断定することはできないとして,請求を棄却したため.控訴人がこれを不服として控訴した。
3 当事者の主張(f).控訴人控訴人と被控訴人とは,戸籍上,いずれも亡C及び亡Dの子とされているが,控訴人を含めた兄弟親戚の中に,被控訴人の存在を知る者はいない。戸籍の記載によると,被控訴人は, 6歳のころFと養子縁組をしているが,それ以前からC夫婦に旋育された形跡はない。一方,上記縁組当時,養母であるFは,33歳の独身であり, 6歳の被控訴人と養子縁組する必然性もないことからすると,真実は,控訴人は, Fの実子でありながら,戸籍上, C夫婦の子として虚偽の出生届がされたが,就学を控えて実母と5聖子縁組したと考えるのが自然、である。また,DNA鑑定によっても,控訴人と被控訴人との聞に.全同胞関係も半同胞関係も認められていない。(2) 被控訴人被控訴人は,子供のころの記憶に乏しいが,養母から,何かあったらCの所へ行くように言われ,実際に訪ねて行ったこともある。亡Cに会ったことはないが,亡Dは優しく対応してくれた。ま正,・被控訴人の容姿は, :CCの写真(甲5の1)と非常によく似ている。一方,誼控訴人は.養母からは母親としての愛情を受けた記憶もなく,控訴人が主彊する事情も,被控訴人とC夫婦との親子関係を否定する理由とはならない。科学は,多くの場合絶対の真理ではなく,C説の子は, 長女Gのほか,被控訴人及び控訴人が,いずれもC夫婦の婚姻前に出生しており, C夫婦の婚姻の届出によって嫡出やの苛分を取得した経緯があることからして,そもそも控訴人とC夫婦との聞に血縁関係があることを前提とすることができない。
第3 当裁判所の判断
1 証拠(甲1ないし9,乙3ないし6 (枝番を含む。以下,同じ。),被控訴人本人)及び弁論の全題旨によると,以下の事実が認められる。(1) C夫婦とその子に関しては,戸籍上.次の記載が認められる(甲1, 2,乙6)。ア明治36年xx月xx日,亡C出生イ明治45年XX月xx日,亡B出生ウ昭和7年×月xx日,長女G出生(父届出)エ昭和9年×月×汽日,二女B(被控訴人)出生(父届出)オ昭和12年×月xx日,長男A (控訴人)出生(父届出)カ同年4月四日,亡C分家キ同月30日.亡Cと亡Dが婚姻の届出ク同日,婚姻届出によりG,被控訴人及び控訴人が嫡出干の身分を取得ケ昭和16年2月6日,被控訴人とFとの養子縁組を届出コ昭和17年×月xx日,二男H出生(父届出)サ昭和20年×月x-x日.三男E出生(父届出)(2) また,Fに関しては,戸籍上,次の記載が認められる(甲3)。ア明治40年×月xx日,F出生イ昭和15年12月24日,戸主Iの戸籍から分家ウ昭和16年2月6日,被控訴人との養子縁組を届出エ昭和21年×月xx日,長男J出生(母届出)オ昭和28年2月12日, K (同月7日Jを認知)と婚姻の届出(3)控訴人やEは,出生以来, c夫婦から被控訴人の存在を聞いたことはなく(甲7),亡Dの姉の子であるLにも,昭和9年から11年ころ,亡Dが妊婦であったり,乳飲み子治旬、たとし、う記憶はない1甲6)。昭和12年に撮影された家族の写真(甲5の1)及び同年亡Cが出征する際に撮影された集合写真(甲5の2)には,いずれも,c夫婦と控訴人及びその姉の長女Gが写っているが,被控訴人の姿-はない。控訴人は,平成13年7月10日に独身であった弟Hが死亡したことから,戸籍を調査した結果,被控訴人の存在を知り,同年8月.被控訴人に対し,登記に必要な曾類へのが1I印を求める手紙を送付したが(乙4),被控訴人にこれを断られた。(4) 被控訴人には,就学前の記憶はほとんどない。被控訴人は,物心ついたころから,何かあったらC夫婦の家に行きなさいと養母のFに言われて育ち,被控訴人が小学校3年生ころ,週末になると養母からC夫婦宅に遊びに行くように言われ週末ごとにC夫婦の家を訪ね,時には宿泊することもあり,Gが被控訴人を迎えに来たこともあった。C夫婦の家では亡Dが優しくしてくれたが,亡Cに会ったことはなかった。小学校4年生ころ,学童醜聞の際には, リユツクにC夫婦の家の住所が記載された布が縫いつけられていたという記憶がある(乙5,被控訴人本人)。
2 ところで,控訴人及びEと彼控訴人とが親を同じくする関係にあるか否かについて,原審においてDNA鑑定が行為れ,その結果ーとして,株式会社cxxわ(鑑定人ムAム6) の平成14年1~月29 日付け鑑定書(以下「第1鑑定Jという。)及び口口口口株式会社の平成15年11月11日付け鑑定註(以下「第2鑑定」という。)が提出されており.また,当審においては,第1鑑定の鑑定を担当したムムムム作成の意見岱(甲13) 及び補充意見書(甲14) が提出され.さらに,これらの資料を踏まえた鑑定の結果として,鑑定人OムOムの平成17年”,-、日付け鑑定書(以下「第3鑑定Jとしみ。)が提出されている。その.慨要は,次のとおりである。(1) 第1鑑定では,控訴人及びEと被控訴人との間に,全同胞関係があるとすることに矛盾する結果が得られ,このため.生物学的な兄弟姉妹(全同胞)関係は存在しないとの鑑定結果が報告された。この鑑定結果の報告では,控訴人及びEと被控訴人との半同胞関係の有無については触れられていなかった。しかし,第1鑑定を担当したムムムムの報告書(甲13,14) によると,第1鑑定及び第2鑑定の検査データによって,控訴人及びEと被控訴人との聞には半同胞の関係も認められないとの結論が導かれるとされ,第3鑑定も,その結論を肯定しているsァニすなわち,第1鑑定は,採取した血液から抽出精製したDNAをSLP(SIng! Locus Probe)法を用いて,8種類のミニサテライト領域(ヒトDNAの中の独立したまとまりのある部位で; ローカス(遺伝子座)と呼ばれる。)を分析したものである。1個のローカスには.父由来と母由来の2個のアリール〈対立遺伝子)が存在する。したがって,父母を同じくする子が共有するのは最大4個の・アリールとなる。これを第1鑑定の際の分析デーτタでみると,控訴人, E,被控訴人の聞では,8個のローカスのうち,5個のローカスで5個のアリール, 1個のローカスでは, 6個のアリールを示している。したがって,控訴人,E,被控訴人には,それぞれ全同胞の関係が認められないとし、う結論になる。控訴人とEとが全同胞の関係にあることを前提にして,被控訴人が半同胞の関係にあると仮定すれば.最大限5個のアリールが示されることになる。しかし,上記のとおり,6個のアリールが示されているローカスがあり,これは,被控訴人が半同胞の関係にあることにも矛盾することになる。イもっとも,この矛盾のデータは, 1個のローカスで示されたものであって,いわゆる孤立否定の場合であるから,それが突然変異である可能性がある。したがって, 一般に,上記の結果のみで直ち恒結論を導くことはされていなし、。甲13,14においては,その他の7個のローカスのデータから,控訴人及lfEと被控訴人との聞に半同胞関係が存在すると仮定したときに検査結果が得られる確率と,半同胞関係がないとしたときにその検査結果が得られる確率により,その確率の比LR(Likelinhood Ratio,尤度比)を求め,また,この確率を基に.事前確率を0.5(50パ一セント)として,肯定確率を求めた結果,総合LRは0.000272,総合肯定確率は, 0.0272パ一セントとの数値が得られた。甲13では,この数値は,控訴人及びEと被控訴人との聞に,生物学的な半同胞関係の存在する確率が極めて低いものであることを示しτおり,半同胞闘係が存在しないと強く推定できるとの結論が導かれる。ウなお,上記鑑定では.控訴人とEとの全同胞関係を前提としているが,第3鑑定によれば,第i鑑定及ひ’甲1与における控訴人とEのデータを比較することにより.控訴人とEの聞には,全体のアリールの共有割合が43.75%となることが認められ,これは,全同胞者のDNAの共有の理論値(50%)に極めて近似値となっていることから,その前提は正しいものと考えられるが,一方,被控訴人と控訴人及びEとを同様にデータでみると,いずれも全体で6.25%の共有にとどまっており,全開胞の理論値から遠い値となっていることが認められる。(2) 第2鑑定では, STR (Short Tandem Repeat)法により.被験者の15個の遺伝子e座を検査したデータに基づし;て,次のとおりの結論が導かれている。アEは, 15個の遺伝子座のうち14個が控訴人の遺伝子マーカーと一致しており,生物学的全同胞である確率は99..98パーセントとかなり高い。総合全詞胞献は4656klt これは, 2人が全同胞であることを示している。イ被控訴人は, 15個の逃伝子座のうち12個が控訴人の遺伝子マーカーと一致しているため,生物学的半同胞である確率は77.89パーセントとかなり高L、。半同胞指数は&-52で,これは, 2人が半同胞であることを示している。ウ・被控訴人は, 15個の遺伝子座のうち10個がEーの遺伝子マーカーと一致しているため,生物学的半同胞である確率は70.37パーセントとかなり高し、。半同胞指数は2.38で, 2人が半同胞であることを示している。第2鑑定によると,控訴人とEとは全同胞の関係にあると認められ,控訴人と被控訴人,Eと被控訴人とはそれぞれ半同胞の関係にあるとし、う結論が導かれる。(3) 第3鑑定では,以上の第l鑑定(甲13. 14を含む。)及び第2鑑定について検討した結果.SLP法による第1鑑定の手法や判定はおおむね正当であるが,第2鑑定の採用したSTR法には限界があり,判定も正確性を欠くことが指摘さねている。すなわち,第3鑑定によると,次の京が認められる。ア.第2鑑定が用いたSTR法は,標準的には頬粘膜細胞がサンプルに用いられ, ヒトDNAの中にある数塩基単位の縦列反復配列であるSTR(マイクロサテライトともいう。)の反復配列(リピート)数の違い(多型)をローカスとして判定するものであり.広く利用されているが,血液をサンプルとするSLP法のミニサテライトに比べ,識別力は大きく劣る。イ全同胞は,理論的には.50パーセントのDNAを共有する関係であるが,親子の場合とは違って1個のローカスで2個のアリールを比べた場合.’4分のlが両方とも一致.2分のlが一方のみ一致.4分のlがし、ずれも異なるということになり,一方は必ず辿伝するというような限定がない長ぬ,確率計算が上がりにくく.STR法によって15個程度のローカスを検査しても. 99.9パーセント以上の確率はなかなか得られない。半同胞の鑑定は,理論的には25パーセントのDNAを共有することになるが,全同胞に比べて更に確率が上がりにくし品常のSTR法で半同胞の鑑定を行っても99ノ宅一セントの確率となるものはほとんどない。そして.99ノ宅一セント未満の値では判定はしないのが一般の扱いであるから,通常のSTR法では半同胞の鑑定は無理と考えられている。ウ血液型検査の時代にフンメル(Hummel) が提示した父権肯定確率の評価基準では,確率99.8パプセント以上の場合に「父と判定してよいJとされ.99パーセント以上の場合には「きわめて父らしいJ とされ,逆に,確率が0′.2パーセント以下の場合には「父でないと判定してよし、」とされていた。DNA鑑定の時代になってからは. 99.8パーセントの確率を満たすの時当然とされ,99.9パーセントないしそれと同等のLR1000以上を基準として判定する機関が多い。エ甲13.14では,総合LR及び総合肯定確率の算定について都立’否定のデータを除外して計算しているが,突然変異の取扱いに関する近時の考え方に従って, これを含めて計算して総合LRを算出してみると.0.00000541となる。この結果からみても,控訴人及びEと被控訴人との間には半同胞の関係が認められないど判定してよいJ.以上の各鑑定の結果からすると,・第2鑑定が用いたS-’PR法では半同胞の鑑定にはもともと困難があり,また,同鑑定の必析話果から,前記(2)イ及びウのように半同胞関係があるとの判定をすること自体,一般的巴は困難とされており,判定不能とすべきものであることが認められる。したがって,第2確定ゐ示す上記結論部・分は,こむを採用することができない。一方,第1鑑定が採用したSLP法では, より詳細な分析が可能であり,同鑑定のデータに基づく甲13.14並びに第3鑑定を総合すると,控訴人とEとは全同胞関係が認められ,一方,控訴人及びEと被控訴人との聞には,半同胞関係も認められないという結論が導かれる。そして,上記の鑑定結果に.前記lで認定した事実関係を併せ考えると,控訴人及びEは亡C及び亡Dの子であり.一方,被控訴人と亡C及び亡Dとの聞にはいずれも親子関係が存在しないものと認められ,他に,この認定を左右するに足りる証拠はない。
3 よって,控訴人の諦求はいずれも理由があるから.これと異なる原判決を取り消し,被控訴人と亡C及び亡Dとの聞にはいずれも親子関係が存在しないことを確認することとし,主文のとおり判決する。( 裁判長裁判官横山匡輝裁判官佐藤公美石井忠雄)

タグ

2012年2月27日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:未分類

財産分与審判に対する即時抗告事件

第1 抗告の趣旨及び理由
1 抗告人は,原審判を取り消す,相手方は,”抗告人に対し,財産分与として,金2600万円及びこれに対する平成15年9月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え, との裁判を求めた。
2 抗告理由は,別紙のとおりであるが,その要旨は,次のとおりである。
(1) 原審判は,平成15年1月から同年3月までの間,相手方から135万円の支払を受けたことを,財産分与の先行取得であるとして控除したが,上記金員は婚姻費用としての支払であって,控除するのは相当でない。
(2) ,原審判は,相手方が受領した損害保険金(傷害慰謝料,後迫・障害慰謝料,逸失利益) 5200万円のうぢ,財産分与の対象となるものを,症状固定時の翌月から離婚成立の月までの聞の逸失利益額に限定したが,財産分与には扶養的意味も含まれるから.上記のように限定する根拠はなく,上記保険金全額とすべきであり,少なくとも逸失利益は全額を対象とすべきである。
(3) 抗告人は,平成13年1月ころまで相手方の事業に対し,電話受付,配送作業,ハウスクリーニングの担当,資材,コンテナ賃貸料の支払などの手伝いをしており.他方,相手方は賭麻雀に漫り,家庭を願みない生活を続けた結果,多額の負債を負い,借金の取り立てにより,抗告人は平穏な家庭生活を送ることができなかった事実があるから,これら事情を,抗告人の寄与筈1合を算定するうえで考慮すべきである。
第2 当裁判所の判断
1 一件記録によれば.原審判3頁20行目から同6頁22行固までの事実を認めることができる(ただし,同3頁27行自の「申立人」を「相手方」と,同4頁7行自の「述とベ」を「と述べ」と,同頁19行自の「自動車損害賠償Jを「自動車損害賠償保険Jと,各改め.同5頁17行自の「治療費等Jの次にr(休業損害1560万円(52万円x30か月》・を含む。)Jを加える。)。
2 財産分与の対象財産は,婚姻中に夫婦の協力により維持又は取得した財産であるところ,上記保険金のうち,傷害慰謝料,後遺障害慰謝料に対応する部分は,事故により受傷し.入通院治療を受け,後退障害が残存したことにより相手方が被った精神的苦痛を慰謝するためのものであり,抗告人が上記取得に答干与したものではないから,.相手方の特有財産というべきである。これに対し,逸失利益に対応する部分は.後退障害がなかったとしたら得られたはずの症状固定時以後の将来における労働による対価を算出して現在の額に引き直したものであり,上記稼働期間中,配偶者の寄与がある以上,財産分z与の対象となると解するのが相当である。本件においては,症状固定時(記録によれば,相手方は.0ム口大学病院脳神経外科で,一且,頭部外協の症状が平成14年2月4日に固定したと診断されたが,その後の経過から,同病院で,同年12月9B. 改めて症状が固定し,大脳萎縮の充進があり記憶障害など高次脳機能障害が残存したと診断されたことが認められ,症状固定日は同年12月9日と認めるのが相当である。)から,離婚調停が成立した自の前日である平成15年9月18日までの284日間の分につき財産分与の対象と認めるのが相当である。以与を前提に,上記期間の逸失利益相当額を算定すると,次の計算式のとおり概ね307万1626円となる。515600円x12 xO .67 xO .95 23 x2 84 -;-365 =3 071626円3 記録によれば.相手方は.症状固定後も,平成15年3月までの間,上記保険会社から月額52万円の支払を受け, うち45万円を抗告人に渡し,生活費として費消されたことが認められる。これには,上記逸失利益の期間と垂範する部分(平成14年12月9日から平成15年3月までの労働の対価〉があるが,保険会社仰で何らかの事情ーにより重複支払をしたに過ぎないとみられるから,これを財産分与の先行取得と扱う必要はないというべきである。抗告理由(1)は,上記の限度で理由がある』
4 そして,記録によれば,抗告人は,家事育児全般に従事し,その結果.相手方が事業に専念できたと認められるから,寄与割合は,概ね2分のlと認めるのが相当である。以上によれば,相手方の抗告人に対する財産分与額は,上記金額の概ね2分のlに当たる金額である154万円と定め,抗告人に同額を取得させるのが相当である。よって,相手方に対し.154万円及びこれに対する本裁判確定の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を抗告人に支払うことを命じるものとする(財産分与の裁判は形成の裁判であるから.財産分与金に対する遅延損害金の支払は,裁判確定の自の翌日からとするのが相当である。)。
5 その他の抗告理由について(1) 同(2)保険金のうち慰謝料に対応する部分が夫婦の協力により形成された財産といえないことは上記のとおりであり, また, 離婚後の逸失利益相当額についても,清算的財産分与の対象とすべき根拠はないといわざるを得なし、。そして,相手方の上記後退障害の内容及び程度,双方の生活状況(記録によれば,抗告人はパートタイマーの仕事により月額約10万円の収入があり,他方,相手方は,上記後退障害のため, 自動車の運転もをきないことから,将来定職に就くことは実際上困難と認められる。)からすれば,相手方に抗告人に対し扶袈的財産分与として給付すべきものがあると認めることは相当ではなく.抗告人の主張は採用できない。(2) 同(3)抗告人の主張する相手方事業を手伝った事実を前提としても,これにより,抗告人に通常の配偶者としての寄与を超える特別の事情があるとはいい難い。また,相手方が賭麻雀に授り,家庭を顧みない生活を続けたとの点については,相手方が有賀の配偶者であって,有責行為により慰謝料が発生するのであればこれを含めて財産分与としての給付額を定めることもできるというべきであるが,本件においては,相手方は上記事実を否定しているところ,相手方が離婚につき有賀であると認めることができる確たる資料も見当たらないので,上記主張は,採用できない。
6 以上の次第で,本件抗告は.以上の説示に沿う限度で理由があるので,家事審判規則19条2項に従い.原審判を変更する裁判をすることとして,主文のとおり決定する。(裁判長裁判官田中世太裁判官松本久村田龍平)

タグ

2012年2月27日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:未分類

子の監護者の指定申立及び子の引渡し申立各認容審判に対する即時抗告事件

第1 事案の概要等
1 事案の概要
(1) 相手方(妻)は.抗告人(夫)と別居した後s 自己の監護下にあった未成年者を抗告んが実力で連れ去ったため(平成16年9月26日).抗告人に対し,相手方を未成年者の監護者に指定し,未成年者を相手方に引き渡すことを求める審判申立て及び同趣旨の審判前の保全処分申立てをした。
(2) 原審は,平成16年12月15日,相手方の申立てを認容し,未成年者の監護者として相手方を仮に指定し,未成年者を相手方に仮に引き渡すべきことを命じる審判(審判前の保全処分)をし, この審判は,抗告審である当裁判所も支持しだ(平成17年2月28日)。
(3) 抗告人は,上記保全処分審判に基づく履行勧告に応ぜず.また,2回にわたる強制執行(平成16年12月28日,平成17年1月7日)にも従わず,上記抗告審決定後(平成17年3月31日)にされた強制執行においても,未成年者の所在を秘匿して,これを阻止した。
(4)原審は,平成17年4月5日. 相手方の本案の申立てを認容し, 未成年者の監護者として相手方を指定し,未成年者を相手方に引き渡すべきことを命じる原審判をし,抗告人が抗告を申し立てた。これが本件である。
2 抗告の趣旨及び理由
(1) 原審判を取り消し,本件を原審に差し戻す旨の裁判を求めた。
(2) 抗告理由は,別紙のとおりであるが,その要旨は,次のとおりである。ア未成年者は,抗告人が44歳になって初めて得た子で, 目の中に入れても痛くないほど可愛がっている子である。このような親子の情愛を考えれば,抗告人が平成16年9月26日に未成年者を連れ去ったことには,否定し得ない面がある。イ相手方は,具体的な離婚原因がないにもかかわらず,未成年者を連れて別居し,平穏な家庭生活を破壊したものである。未成年者を連れ去った抗告人の行為が許されないのなら,このような相手方の行為も許されないはずである。ウ本件申立ての当否の判断に当たっては,未成年者は,抗告人と相手方のどちらに監護されるのが,未成年者の利益になるのか,具体的な判断が必要である。しかるに,原審判は.抗告人が批護者になると,面接交渉に協力するかどうか疑わしいとか,抗告人による監護が長期化すると,未成年者にとって適切な監護環境とはいい難いものになる可能性があるとか,抽象的な判断しかじていない。エ未成年者は,現在,抗告人に設育監護されて,良好な環境下にあるのであって, このような環境を変更すべき具体的な必要性は認められない。
第2 当裁判所の判断
1 当裁判所も,原審判と同じく,本件に顕われた事実関係の下においては,未成年者のより健全な成長を図るという福祉の観点からみて,早急に未成年者を相手方の監護の下に戻すのが適切て“あるから,未成年者の監護者を相手方と定め,抗告人に対し,相手方への未成年者の引渡しを命じるのが相当であると判断する。その理由は,原審判の理由説示のとおりであるから, これを引用する。
2 抗告理由は,次のとおり,いずれも採用できない。
(1) 抗告理由アについて記録によれば,抗告人と未成年者との面接については,平成16年9月6日に相手方申立てに係志夫婦問調整(離婚)調停事件が不成立になった後も,引き続き協議することが予怠され,抗告人は,面接交渉を求める調停を別途申し立てる意向を示していた。それにもかかわらず,抗告人は,調停の申し立てをすることなく,同月26日,相手方の膝下で平穏に監護されていた未成年者を実力で連れ去ったものであり,この行為をもって,未成年者を見かけて思わずとってしまったもので,偶然に発生したことなどと評価することはできない。このような,抗告人の行為は,例え,それが未成年者に対する愛情に基づくもので、あふたとしみ面があるとしても,・法的手続を軽視するものと評されて当然のもめであるだけでなく,相手方と未成年者との親密平穏な母子関係を事実上断絶させるとし、う深刻な結果をもたらす点においても看過しがたいものというべきであって,これを正当化するいささかの事情も認められない(なお,審判前の保全処分審判に基づく数次の強制執行における持告人の態度は極めて遺憾であり,今後の法的手続において,抗告人の人的評価,親権者適格等にかかわる重要な事情として考慮されるべきことは,同事件における当審決定においても言及したところである。)。
(2) 同イについて抗告人と相手方の別居の主たる原因がし、ずれにあるかについては,終局的には今後の法的手続において解明されるべきことであるが(記録に照らすと,当事者聞においては,既に離婚訴戸が係属中であることが窺われる。),本件記録に顕われた事実関係に照らすと,別居の原因が相手方にのみ存するとは到底判断できなし、から,抗告人の主張は,その前提を欠くものというべきである。,また,相手方は,未成年者の出生から抗告人との別居までの間,未成年者の監護を主と-して担っていたものであるから,そのような相手方が抗告人と別居するに際して,今後も監護を継続する意思で,未成年者とともに家を出るのは,むしろ当然のことであって,それ自体,何ら非難されるべきことではない。相手方の上記行為は,相手方の監護の下にある未成年者を実力で・連れ去った抗告人の行為とは全く異質のものというべきである。
(3) 同ウについて本件申立ての当否は,未成年者の福祉の観点から決せられるべき-ことは,抗告人の主張のとおりであるが,原審判は,そのような観点から適正に本件申立ての当否を判断しているものといえる。すなわち,原審判は,本件では監護の継続性が最重要視されるべきところ,認定事実からは,相手方が未成年者の監護のために果たした役割や相手方と未成年者との結びつきは,抗告人のそれに比ベて大きく強いといえることを第1の理由とし,法的手続を軽視するこれまでの抗告人の種々の行為からは,抗告人を監護者とすると,相手方と未成年者の面接交渉に協力するかどうか疑わしいと推認できることを第2の理由として,本件の結論を導いているのちあって,その、判断は,適正なものである。これが抽象的な判断に過ぎないとの抗告人の主張は,本来維持されるべき未成年者と相手方との密接な関係を切断した自らの行為の意味を自覚しない,自己中心的な見解で,到底採用することができない。
(4) エについて抗告人が両親の援助を受け,現在のところ,未成年者を適切に監護している模様であることは,原審判の認定するところである(もっとも,相手方による強制執行を警戒するため,未成年者の所在を秘匿している昨今の抗告人の態度からみおと,これが未成年者にと.って適切な監護環境とはいし、難いものとなる可能性があることは原審指摘のとおりである。)が,この点を考慮しても,出生時からの監護の継続性のほか,原審判の説示する上記理由を総合的に考え併せると,抗告〉人で‘はなく相手方において未成年者を監護するのが,未成年者の福祉に適うとし、うべきである。抗告人は,真に未成年者の福祉を考えるのであれば,これまでの頑なな態度を改め,原審判に従い,自発的に,かつ,できるだけ速やかに未成年者を相手方の許に戻すことが必要である。
3 以上の次第で原審判は正当であり,本件抗告は,理由がないから棄却することとし,主文のとおり決定する。(裁判長裁判官田中社太裁判官松本久村田龍平)

タグ

2012年2月27日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:未分類

子の監護者の指定申立及び子の引渡し申立各認容審判に対する即時抗告事件

第1 抗告の趣旨及び理由
別紙「即時抗告申立おJr主張書面J(写し)記載のとおりである。
第2 裁判所の判断
1 当裁判所も,未成年者の監護者を相手方と定め,抗告人は.未成年者を相手方に引き渡すのが相当である判断する。fその理由は,次のとおり,加削訂正するほか,原審判書「理由J欄の「第2 当裁判所の判断」のとおりであるから,これを引用する。
(1) 原審判書2頁3行自の「おっぱい」を「授乳」に改める。
(2) 原審判書2頁17行目から18行自の「申立人’の実母がこれを拒否して」を「相手方の実母がこれを拒否したところ,抗告人は,未成年者を奪って抱きかかえた。相手方の実母が抗告人のベルトをつかんで放さないため」に改める。
(3) 原審判書2頁19行目「話合いを続けたが,Jの後に, 「抗告人は,泣き叫ぶ未成年者を抱えたまま放さず,女性警察官から未成年者がかわいそうだと諭されても一切応じず, 3時間近くも押し問答が続いたが,Jを加える。(4)原審判書21行自の「これに対し, Jから24行目の「いわざるを得ない。」までを「加えて,抗告人は,上記のとおり,相手方.と相手方実母の元にいた未成年者を無理矢理奪い取りL 泣き叫ぶ未成年者を抱きかかえたまま,相手方や女性警察官からの説諭にも一切応じなかったところ,未成年者のために相手方が譲歩し,未成年者を抗告人が連れ帰るのを承諾したのに,以後,未成年者を相手方に面会させていないのであるから.抗告人が未成年者を監護している現状は,相手方の未成年者に対する監護権を侵害する違法状態と評価するほかない。」に改める。
2 なお,抗告理由にかんがみ,付言する。抗告人民未成年の安定した状態,抗告人の実母の協力による監護態勢,抗告人の資力等.子の福祉としろ観点から,監護者は抗告人が適当であると主張する。しかしながら,相手方の監護権を侵害した違法状態を継続している抗告人が現在の安定した状態を主強することは到底許されるものではない。また,未成年者がし、まだ2歳の女児であり,本来母親の監護が望ましい年齢にあることに加え,記録hらは,相手方が育児をすることについて不適格な事情が認められない本件では,未成年者の監護者として相手方が相当であることは明白である。したがって,相手方を監護者!と定め,抗告人に対し,未成年者を相手方に引き渡すよう命じた原審判は相当である。抗告人の主張は採用できない。よって,本件抗告は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり決定する。(裁判長裁判官末永進裁判官千葉和則杉浦徳宏)

タグ

2012年2月27日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:未分類

未成年者略取被告事件

弁護人○○の止告趣意、は,憲法違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。なお, 所論にかんがみ,未成年者略取罪の成否について,職権をもって検討する。
1 原判決及びその是認する第1審判決並びに記録によれば,本件の事実関係は以下の左おりであると認められる。(1) 被告人は,別居中の妻であるBが養育している長男c(当時2歳)を連れ去ることを企て,平成14年11月22日午後3時45分ころ,青森県cxコ市内の保育園の南側歩道上において.Bの母であるDに連れられて帰宅しようとしていたCを抱きかかえて,同所付近に駐車中の普通乗用自動車にCを同乗させた上,同事を発進させてCを連れ去り.cを自分の支配下に置いた。
(2) 上記連れ去り行為の態様は, cが通う保育園へBに代わって迎えに来たDが, 自分の自動車にCを乗せる準備をしているすきをついて,被告人が,c に向かつて駆け寄り, 背後から自らの両手を両わきに入れてCを持ち上げ,抱きかかえて,あらかじめドアロックをせず, エンジンも・作動させたまま停車させていた被告人の自動車まで全力で疾走じ, cを抱えたまま運転席に乗り込み, ドアをロックしてから,cを助手席に座らせ,Dが,同車の運転席の外側に立ち,運転席のドアノブをつかんで・開けようとしたり,窓ガラスを手でたたいて制止するのも意に介さず,自車を発進させて走り去ったというものである。被告人は,同日午後10時20分ころ,青森県口口郡ムム町内の付近に民家等のない林道上において, cと共に車内にいるところを警察官に発見され.通常逮捕された。(何ω3剖) 被告人が土記行為に及んだ経紳被告人は, Bとの聞にCが生まれたことから婚姻し,東京都内で3人壬・生活していたが,平成13年9月15日, Bと口論した際,被告人が暴力を振るうなどしたことから, Bは,cを連れて青森県co市内のBの実家に身を寄せ,これ以降,被告人と別居し, 自分の両親及びCと共に実家で暮らすようになった。被告人は,巴と会うこともままならないことから,CをBの下から奪い,自分の支配下に置いて監護養育しようと企て, 自宅のある東京からCらの生活するCわに出向き,本件行為に及んだ。なお,被告人は,平成14年8月にも,知人の女性にCの身内を装わせて上記保育闘からCを連れ出させ.ホテルを転々とするなどした末, 9日後に沖縄県下において未成年者略取の被疑者として逮捕されるまでの間, cを自分の支配下に置いたことがある。
(4) Bは,被告人を相手方として,夫婦関係調整の調停や離婚訴訟を提起し,係争中であったが.本件当時,cに対する被告人の親権ないし監護権について,これを制約するような法的処分は行われていなかった。
2 以上の事実関係によれば,被告人は,巴の共同親権者の1人であるBの実家においてB及びその両親に監護養育されて平穏に生活していたCK 祖母のDに伴われ妻:固から帰宅する途中に前昇のような態様で有形力を用いて連れ去り,$護されている環境から引き離して自分の事実的支配下に置いたのであるから,その行為が未成年者略取罪の構成要件に該当することは明らかであり,被告人が親権者の1人であることは,その行為の違法性が例外的に阻却されるかどうかの判断において考慮されるベーき事情であると解される(最高裁平成14年(あ)第805号同1-5年3月18日第二小法廷決定・刑集57巻3号371頁参照)。本件において.被告人は,離婚係争中の他方親権者であるBの下からCを奪取して自分の手元に置こうとしたものであって,そのような行動に出ることにつき, Cの監護養育上それが現に必要とされるような特段の事情は認められないから,その行為は,親権者によるものであるとしても,正当なものということはできな’い。また,本件の行為態様が組暴で強引なものであること, cが自公の生活環境についての判断・選択の能力が備わっていない2歳の幼児であること,その年齢上,常時監護養育が必要とされるのに,略取後の監護養育について確たる見通Lがあったとも認め難いことなどに徴すると,家族聞における行為として社会通念上許容され得る枠外にとどまるものと評することもできなし、。以上によれば.本件行為につき,違法性が阻却されるべき事情は認められないのであり,未成年者略取罪の成立を認めた原判断は,正当である。よって, 刑訴法414条,386条1項3号により,主文のとおり決定する。

タグ

2012年2月27日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:未分類

婚姻費用分担申立認容審判に対する即時抗告事件

第1 申立ての趣旨及び理由
本件抗告の趣旨は主文と同旨であり,その理由は,別紙に記載のとおりである。
第2 事案の概要
l 申立て,争点及び各審級における判断の各概要本件(平成16年2月25日調停申立て,同年5月7日審判移行)は,抗告人(原審相手方。夫58歳)と相手方(原審申立入。妻54歳。以下,両者を「本件夫婦」という。)は,既民成人した子3人をもうけ,婚姻(以下「本件婚姻」という。)の届出から24年を経て別居した夫婦であるところ,現に無職無収入であるとし、う相手方からさ社員の抗告人に対し,相手方が無収入となった平成16年4月以降,.1か月6万円の婚姻費用の分担支払いを求めた(ただし,調停積立番では1か月10万円の請求であった。)ところ,抗告人が,相手方は,他男と不貞に及んで抗告人と別居したものであり,別居につき有責配偶者であるから,抗告人には婚姻費用分担義務はない旨主張して.本件申立てを争うものである。したがって,本件の争点は,(1)別居につき相手方の有賀性(不貞)の有無,(2相手方(有賀配偶者)の婚姻費用分担請求権の成否, (具体的分担義務(分担方法及び金額等)いかんであり,なお.本件夫婦問では,相手方から抗告人に対する離婚請求訴訟において,原審判後,離婚を認容する1審判決がされ,抗告人がこれに対.して控訴中である。これに対し,原審判IJ (平成16年7月14日審判)は,争点(1)についてはJ相手方の不貞の事実を否定し,同(2),(剖については,平成16年4月以降,本件夫婦の離婚文は別居解消に至るまで毎月末日限り5万円の支払いを命じたため,抗告人が本件抗告に及んだものである。本決定は,争点(1)については,相手方の他男との不貞の事実を認め,同(2)については, これが原因で本件婚姻関係は破綻したものであって相手方は有賀配偶者であり,しかもその相手方は訴訟を提起して抗告人に離婚を求めているのであるから,かかる相手方から抗告人に対して婚姻費用の分担を求めることは,信義則に反して許されないものと判断し,原審判を取り消した上,相手方の本件原事件申立てを理由がないものとして却下するものである。
2 基本的事実(以下の事実関係は,記録(本件抗告事件記録)により認めることができる事実である。)(1) 抗告人(夫。昭和22年O月Cわ日生)と相手方(妻。昭和25年O月Cわ日生)は,昭和53年4月6日,本件婚姻の届出をした夫婦であり,その間には.既に成人した長女c(昭和53年O月Cわ日生。神奈川県XX市所在の会社勤務,単身生活).長男D (昭和54年O月Cわ日生。6.6.市所在の仏教寺院で住職見習い,同前)及び二女E (昭和57年O月Cわ日生。口口大学在学中の大学生,同前)の3.人の子がある。
(2) 本件夫婦は,本件婚姻の届出に先立つ昭和52年2月11日, 挙式と同時に同居を開始し,昭和58年9月までに抗告人名義で同人肩書住所に土地建物(以下,同所を「自宅」という。)を取得新築し,爾来,同所で子供らともども家庭生活を営んでいたが,平成13年9月,相手方は.再度,単身自宅を出てOXIT所在の同人の実家(両’親が居る。)に単身戻って抗告人と別居(以下「本件別居」という。)し,さらに, 同年11月,肩古住所の借家に単身転居し,本件別居状態は,現在まで継続されている(ただし,平成15年1月ころまでは,時には自宅に戻ることもあった。)。

(3) 本件別居中, 抗告人は, 相手方に対し, 平成~4年3 月, 夫婦関係調整調停事件(宮崎家庭裁判所同年(家イ) 第cxxわ号)の申立てをしたが,同事件は,同年9月10日,不成立により終了した。また,相手方は,抗告人に対し,平成15年5月,不動産仮差押命令(被保全権利は,清算的・扶養的財産分与諸求権923万5000円,慰謝料請求権500万円)及び面会禁止等仮処分命令(宮崎地方裁判所同年(ヨ)第00号)の各申立てをし,同6月16日,その旨の保全決定を得た。また,相手方は,抗告人に対し,同年7月22日,離婚等詰求事件(同裁判所同年伊)第00号)を提起し,民法770条1項5号に基づく離婚,財産分与(・清算的,扶養的財産分与)及び離婚慰謝料500万円の支払いを求め. また,抗告人は,相手方に対し,同年12月11Ei.予備的反訴請求事件(同裁判所同年(タ)第00号)を提起し,離婚慰謝料(不貞)500万円の支払いを求めた(以下,これらの訴訟を「別件訴訟Jという。)。
(4) 本件は,平成16年2月25日,宮崎家庭裁判所同等(家イ)第00ζわ号調停事件として申立てがされ.同年5月7日,不成立により審判に移行した。
(5) 抗告人は,会社員であるが.相手方は,昭和59年ころから平成14年ころまでピアノ教師(自宅で指導).ー昭和63年ころから平成11年3月まで水泳コーチをし,同年4月からは口&白色生命.の保険外交員として稼働し,平成16年3月30日,同社を自己都合退臓し.爾後.収入を得。ていない。
(6) fは,本件夫婦の上記子供の通っていた高校の教諭(平成15年3月をもって定年退職) である。相手方,抗告人.F及びその妻G4者聞において,△△を立会人として,弁護士の指導を受けた上で,平成14年2月22日什けの「合意書J(以下「第1合意書Jという。)が作成された。第1合意書では,①相手方とFは,本日をもって互いに一切の交際を断ち.今後一切面会,電話等で交信しないこと(1条).②Fは,抗告人に「本件の解決金Jとして.本日.30万円を支払い,抗告人はこれを受領したこと,抗告人は.Fに対し, 今後一切の金銭その他の請求をせず,面会,電話等で交信しないこと(2条).③Gは,相手方に名目のいかんを問わず,金銭その他一切の請求をしないこと(3条).④上記4者は,互いに「本件」に関し,他に債権債務のないことを確認すること(4条)が合意されている。
(7) 平成14年12月22日,相手方は.Fと2人だけで自動車に乗り,人目を避けて駐車しでいるところを,抗告人の依頼を受けた興信所の調査員にその場面を撮影された。
(8) 抗告人代理人の口口口口弁護士からFあての平成15年2月付けの「ご通知書」と題する文書には.Fが配偶者(抗告人)のある女性(相手方)と野合関係をもったことについての慰謝料の支払いについて話し合いたく連絡をもらいたい旨, もし連絡がない場合には,法的手続をとる旨記載されている。また,口口口口弁護士からF代理人の00△△弁護士あての平成15年3月10日付け「御連絡書」と題する文書には,抗告人は.Fが相手方と今後一切面接交渉をしないこと及び違反の場合の違約罰を文書で約束するならば,納得するのではないかと思われるめで,解決方法を考慮されたい旨記i除されている。
(9) 口口口口弁護士とcxコムム弁護土との間で平成15年4月4日付け「合意程J(以下「第2合意書」という。)が取り交わされた。第2合意書では,①Fは,抗告人に対し,今後,相手方との間でし、かなる手段によっても面接その他一切の交渉を行わないことを約束すること(1条).②上記違反のときは,違約金300万円を支払うこと(2 条).③Fは,これまでの言動により抗告人に迷惑をかけた解決金として70万円を平成15年4月10日限り支払う-こと(3条).④ 抗告人とFは,相互にその親族を含め,面会したり電話等で交信しないこと(後略) (4条).⑤抗告人は, 自己文は第三者をしてFの職場を訪問し,文書,電話等で申立てや報告等をしないこと,その違反のときは,違約金100万円を支払うこと(5条).⑥抗告人とFは.r本件」に関し,本合意書に定めるほか,相互に債権債務の・ないことを確認すること(6条)が合意されている。(l同相手方は,平成14年8月30日以降.Ox町所在のO口O口病院,ム×ム×病院を受診し.r適応障害(遷延性抑ーうつ反応)Jとの診断を受け,その後,薬物療法,精神療法,睡眠薬を処方されて服用し,心理テストを受けている。
(11) 別件訴訟は,反訴については,平成16年12月8自の同事件の第4回口頭弁論期日において相手方(本訴原告・反訴被告)の同君、を得て訴え(反訴)の取下げがされ,本訴については,平成17年2月15日. 1審判決の言渡しがされた。同判決は,相手方よFの不貞の事実を認定した上,本件婚姻関係はこれによち破綻したものであり,相手方はこれについて有賀であるが,いわゆる苛酷条項の適用はないものと判断して相手方の離婚請求を認容し,相手方の慰謝料請求を棄却し,抗告人に対し,財産分与として.621万2035円の支払を命じたものであり,抗告人がこれを不服として控訴の申立てをしている。
第3 当裁判所の判断
1 争点(1)(相手方の不貞)本件抗告事件記録により認められる基本的事実によれば,相手方がFと不貞に及んでこれを維持継続したことを有に推認することができる。
2 争点(2) (相手方の婚姻費用分担詰求権の存否)上記によれば,相手方は.Fと不貞に及び,これを維持継続したことにより本件婚姻関係が破綻したものというべきであり,これにつき相手方は,有賀配偶者であり,その相手方が婚姻関係が破綻したものとして抗告人に対して離婚訴訟を提起して離婚を求めるということは,一組の男女の永続的な精神的,経済的及び性的な紐帯である婚姻共同生活体が崩壊し,最早,夫婦聞の具体的同居協力扶助の義務が喪失したことを自認することに他ならないのであるから,このような相手方から抗告人に対して婚姻費用の分担を求めることは信義則に照らして許されないものと解するのが相当である。
3 小括よって,その余の点について判断するまでもなく,相手方の本件婚姻費用分担申立ては理由がない。
第4 結論よって,当裁判所の上記判断と異なる原審判は失当であるからこれを取り消した上,相手方の本件婚姻費用分担申立てを却下することとして,主文のとおり決定する。(裁判長裁判官桜井登美雄裁判官黒津英明浅井窓)

タグ

2012年2月27日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:未分類

遺産分割審判に対する抗告書の変更決定に対する許可抗告事件

抗告代理人○○ほかの抗告理由について
1 本件は,先に死亡したAの遺産の分割申立て事件とその後に死亡した同人の萎Bの遺産の分割申立て事件とが併合された事件である。
2 記録によれば,本件の経緯は次のとおりである。
(1) 抗告人と相手方らは,いずれもA とBの間の子である。Aは平成7年12月7臼に, Bは平成10年4月10日に,それぞれ死亡した。Aの法定相続人は, B,抗告人及び相手方らであり, Bの法定相続人は,抗告人及び相手方らである。
(2) 被相続人Aに係る遺産分割lの対象となる遺産は,原決定別表1の番号1-5記載の不動産並びに同別表の番号6及び7記載の現金である。抗告人及び相手方Y2には,Aとの関係で民法903条1賓の特別受益がある。
(3) 被相続人Bは,原決定別表2の番号12及び13記載の不動産を所有していたが,遺言公正証書により,これを相手方Xに相続させる旨の遺言をした。同相手方は,Bの死亡により,同遺言に基づ弘上記不動産を単独で取得した。Bは,上記不動産以外に遺産分割の対象となる国有の財産を有していなかった。
(4) 抗告人及び相手方Xは,相手方Y2はBから特別受益に当たる贈与を受けた旨の主張をしている。
3 原審は,次のとおり半IJ示して,Bに係る遺産の分割申立ては不適法であるとしてこれを却下し,上記2(2)記i肢のAの追産について, Aとの関係における特別受益のみを持ち戻して抗告人及び相手方らの各具体的相続分を算定して, これを分割した。
(1) Bには,その相続開始時において,追産分割の対象となる固有の財産はなく,Aの遺産に対するBの相続分は,Aの遺産を取得することができるという抽象的な法的地位であって,遺産分割の対象となり得る具体的な財産権ではない。そうすると.審判によって分割すべき’8の遺産は存在しなし、から,Bに係る遺産の分書IJ申立ては不適法である。
(2) 上記Bの相続分は,上記(1)に記載した内容のものであるから,追産分割手続を要せずして, Bの相続人である抗告人及び相手方らに民法900条所定の割合に応じて当然に承継される。そして,遺産分割手続によらない承継には民法903条は適用されず、また,Bにはその相続開始時に遺産分割の対象となる固有の財産もないから,相手方について主張されているBからの特別受益を考慮する場面はない。したがって, Aの遺産については, Aとの関係における抗告人及び相手方Y2の各特別受益を持ち戻して算定される抗告人及び相手方らの各具体的相続分に基づいて分割することとなる。
4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。遺産は,相続人が数人ある場合において,それが当然に分割されるものでないときは,相続開始から遺産分割までの間,共同相続人の共有に属し,この共有の性質は,基本的には民法249条以下に規定する共有と性質’を異にするものではない(最高裁昭和28年同第163号同30年5月31日第三小法廷判決・民集9巻6号793頁.最高裁昭和47年同第121号同50年11月7白第二小法廷判決・民集29巻10号1525頁,最高裁昭和57年同第184号同61年3月13日第一小法廷判決・民集40巻2号389頁参照)。そうすると,共同相続人が取得する遺産の共有持分権は,実体上の権利で-あって遺産分割の対象となるというべきである。本件におけるA及びBの各相続の経緯は,Aが死亡してその相続が開始し,次いで, Aの遺産の分割が未了の聞にAの相続人でもあるBが死亡してその相続が開始したというものである。そうすると, Bは, Aの相続の開始と同時に, Aの遺産について相続分に応じた共有持分権を取得しており,これはBの遺産を構成するものであるから,これをBの共同相続人である抗告人及び相手方らに分属させるには,遺産分割手続を経る必要があり,共同相続人の中にBから特別受益に当たる贈与を受けた者があるときは,その持戻しをして各共同相続人の具体的相続分を算定しなければならない。・以上と異なり,審判によって分割すべきBの遺産はなく, Bとの関係における特別受益を考慮する場面はないとした原審の判断には,裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるというべきである。論旨は理由があり,原決定は破棄を免れない。そして,更に審理を尽くさせるため,‘本件を原審に差し戻すこととする。よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。(裁判長裁判官堀龍幸男裁判官積田邦夫上回豊三藤田宙靖)

タグ

2012年2月27日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:未分類

このページの先頭へ