離婚請求本訴, 同反訴事件
上告代理人〇〇〇〇の上告受理申立て理由第1について
1 記録によれば,本件の経粋の概要は,次のとおりである。
被上告人が上告人に対して離婚を求める訴訟を提起したところ,第1審判決は,被上告人の詰求を認容した。上告人は,第1審判決を不服として控訴を提起し,原審において,上記離婚の請求が認容されることを条件として,予備的に,慰謝料及びこれに対する遅延損害金の支払を求める反訴 の提起並びに財産分与及びこれに対する遅延損害金の支払を求める申立てをしたが,被上告人はこの予備的な反訴の提起及び申立てについて同意しなかった。
2 原審は,上告人の控訴を棄却するとともに,上告人の上記予備的な反訴の提起及び申立てについては,相手方である被上告人の同意がなく, 不適法であるとして,その訴え及び申立てを却下した。
3 しかしながら,原審の上記判断のうち,上記予備的な反訴請求に係る訴え及び申立てを却下した部分は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
離婚の訴えの原因である事実によって生じた損害賠償詰求の反訴の提起及び離婚の訴えに附帯してする財産分与の申立てについては,人事訴訟手続法8条の規定の趣旨により,控訴審においても,その提起及び申立てに ついて相手方の同意を要しないものと解すべきである(最高裁昭和41年同第972号同年12月23日第三小法廷判決・裁判集民事85号869頁.最高裁昭和 56年同第1087号同58年3月10日第一小法廷判決・裁判集民事138号257頁参照)。
なお,当審係属後に,人事訴訟法(平成15年法律第109号。平成16年4月1日施行)が制定,施行され,人事訴訟手続法は人事訴訟法附則2条 の規定により廃止されたが,上記予備的な反訴の提起及び申立ての適否については,同法附則3条ただし岳の規定により,人事訴訟手続法8条の規定(その内容は,人事訴訟法18条の規定の内容と同旨である。)によって判断されるべきものである。
これと異なる原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,原判決は破棄を免れない。論旨は理由がある。
そして,人事訴訟法32条1項(同法附則3条本文, 8条参照)は,家庭 裁判所が審判を行うべき事項とされている財産分与の申立て(家事審判法 9条1項乙類5号)につき,手続の経済と当事者の便宜とを考慮して,訴訟事件である離婚の訴えに附帯して申し立てることを認め,両者を同ーの訴訟手続内で審理判断し,同時に解決することができるようにしたものである。
したがって,原審の口頭弁論の終結に至るまでに離婚請求に附帯して財産分与の申立てがされた場合において,上訴審が,原審の判断のうち財産分与の申立てに係る部分について違法があることを理由に原判決を破棄し,又は取り消して当該事件を原審に差し戻すとの判断に至ったときには,離婚請求を認容した原審の判断に違法がない場合であっても,財産分与の申立てに係る部分のみならず,離婚請求に係る部分をも破棄し,又は取り消して,共に原審に差し戻すこととするのが相当である。
以上のとおりであるから,上記予備的反訴請求及び予備的申立てに係る部分はもとより,本訴請求部分も含めて原判決を全部破棄して,慰謝料及び財産分与の点について更に審理を尽くさせるため, 本件を原審に差し戻すこととする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。(裁判長裁判官 泉徳治 裁判官 横尾和子 甲斐中辰夫 島田仁郎 才口千晴)
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2012年2月26日 | コメント/トラックバック(0) |
審判前の保全処分(子の監護者指定,子の引渡し)申立各却下審判に対する抗告事件
第一
抗告の趣旨及び理由並びこれらに対する相手方の応答抗告の趣旨及び理由は別紙1に, これらに対する相手方の応答は別紙2にそれぞれ記載のとおりである。
第2 当裁判所の判断
1 本件は,子の監護者の指定及び子の引渡しの申立てを本案として,抗告人が自らを仮に未成年者の監護者と定めた上,未成年者を連れ去った相手方に対し未成年者の抗告人に対する仮の引渡しを命ずる審判前の保全処分を申し立てる事案である。原審は,抗告人の申立てをいずれも却下した。
2 前提となる事実関係は,原審判の該当部分について次のとおり補正するほか, その「理由欄の「2 事案の概要」に記載のとおりであるから, これを引用する。
(1) 2頁21行目の「いう約束をし」を「抗告人と約束した上で」に,25行目の「調停を」を「調停による協議」に, 同じく「15日に」を「15日には, 」にそれぞれ改める。3頁1行目;から5行目までを次のとおり改める。相手方は,上記夫婦関係調整調停の途中から代理人を選任し,その代理人と抗告人の代理人との聞で,同調停の期日聞にも,相手方と未成年者の面接交渉や未成年者の親権,監護権についての意見交換が行われたが,結局, この調停は平成20年×月×日に,離婚の合意には至ったものの親権者の指定については合意が成立する見込みがないとして, 不成立で終了した。その後も,離婚訴訟の提起を前提として,代理人間で未成年者と相手方の面接交渉についての交渉,意見交換が行われた。
(6) 相手方は,代理人にゆだねていた未成年者との面接交渉がなかなか実現に至らず, これ以上待てないと思い,親や代理人に相談することなく,未成年者を保育園から連れて帰ることを計画し,1週間ほど東京に滞在し,保育園の様子を見ながら決行するつもりで,上京した当日の平成20年×月×日午後×時すぎころ,未成年者が通園していた保育園を訪れたところ,未成年者が他の園児ともども園庭で遊んでいるのを見つけ,保育土がいないすきをついて門のかんぬきを外して圏内に入り込み,未成年者を連れ出した。その後,相手方は自らの母親に未成年者を連れ出したこと,xxの友人のところに行くことを電話連絡した。その後, この連絡を受けた相手方の母親が同保育園に相手方が未成年者を連れ出したことを電話で伝えた。
(3) 同頁6行自のr(6)Jをr(7)Jに改める。
3(1) 前提となる事実関係から明らかなとおり,本年×月×日,父である抗告人の下で事実上監護されていた3歳になる男児である未成年者を別居中の母で・ある相手方が連れ去ったところ,その翌々日である同月×日には抗告人から本件申立てがされている。そして,相手方による未成年者の連れ去りの経緯,態様は,要するに,離婚訴訟の提起を前提として未成年者との面接交渉についての交渉を代理人に依頼する一方で,面接交渉がなかなか実現には至らないとみるや,保育園において預かり保育中の未成年者を抗告人はもとより保育園にも何の断りもなしに,保育士のすきをついて保育閣内に侵入して連れ去り,現在に至るも抗告人には未成年者の居場所を明らかにしないというものである。ところで,別居中の夫婦の聞における子の連れ去りに対処するための法的手段としては.審判前の保全処分として未成年者の仮の引渡しを求める方法と人身保護諦求による方法とが存するところ,最高裁平成11年4月26日第一小法廷判決・半例タイムズ1004号107頁は,離婚等の調停の進行過程における夫婦聞の合意に基づく幼児との面接の機会に夫婦の一方がその幼児を連れ去ったという事案について,同幼児が現に良好な養育環境の下にあるとしても,その拘束には人身保護法2条1項,人身保護規則4条に規定する顕著な違法性があるとして,幼児の引渡請求を認めている。また,最高裁判例は,共に親権を有する別居中の夫婦の聞における監護権をめぐる紛争は,まずは,こうした問題の調査,裁判のためにふさわしい家事審判制度を担当し,また,そのための人的,物的な機構,設備を有する家庭裁判所における審判前の保全処分によるのが相当であるとの考え方に立っているものと解される(最高裁平成6年4月26日第三小法廷判決・民集48巻3号992頁は.人身保護請求の要件が充足される具体的な場合を示すについて,家庭裁判所の手続が先行することを前提としている。なお,最高裁平成5年10月19日第三小法廷判決・民集47巻8号5099頁〔特に,可部恒雄裁判官の補足意見〕参照)。そして,本件は,相手方による未成年者の連れ去りがあった後,抗告人から直ちに申し立てられたものであるところ,このような場合,人身保護法による詰求の場合における法的枠組みをも考慮して,申立ての当否を判断することが上記の最高裁判例の趣旨に沿うものと考えられる。特に,既に説示したような相手方による連れ去りの態様は,上記最高裁平成11年4月26日判決の事案と比しても違法性が顕著であるというべきところ(本件は,別居中の共同親権者の一方が他方の監護下にある幼児を連れ去った行為について未成年者略取罪の成立を認めた最高裁平成17年12月6日第二小法廷決定・刑集59巻10号1901頁の事案にも類する事案であるということができる。相手方は,平成20年×月×日から×日までの聞に未成年者と会わせるとし、う約束を抗告人が破ったなどと主張しているが,その証拠として提示するファクシミリ送付書によっても必ずしもその事実は認められない上,相手方の主張を前提としてもその行為を正当化することはできないというべきである。),申立ての根拠とする法令の選択によって裁判規範が著しく異なることとなれば,結局,人身保護請求に先んじて審判前の保全処分が活用されるべきであるとする最高裁判例の趣旨が没却されてしまうことは多言を要しない。以上の検討によれば,本件のように共同親権者である夫婦が別居中,その一方の下で事実上監護されていた未成年者を他方が一方的に連れ去った場合において,従前未成年者を監護していた親権者が速やかに未成年者の仮の引渡しを求める審判前の保全処分を申し立てたときは,従前監護していた親権者による監護の下に戻すと未成年者の健康が著しく損なわれたり,必要な養育監護が施されなかったりするなど,未成年者の福祉に反し,親権行使の態様として容認することができない状態となることが見込まれる特段の事情がない限り,その申立てを認め,しかる後に監護者の指定等の本案の審判において” いずれの親が未成年者を監護することがその福祉にかなうかを判断することとするのが相当である(原審は,子の引渡しは未成年者の保護環境を激変させ,子の福祉に重大な影響を与えるので監護者が頻繁に変更される事態は極力避けるべきであり,保全の必要性と本案認容の蓋然性について慎重に判断すべきものとしている。この点,その必要もないのに未成年者の保護環境を変更させないよう配慮すべき要部ーがあることはそのとおりであるとしても,審判前の保全処分が対象とする事案は様々であり,事案に応じて審理判断の在り方は異なるから,これを原審のように一律に解することは失当であるといわざるを得なし、。殊に本件においては,明らかに違法な行為によって法的に保護されるべき状態が侵害されて作出された事態に関して,それが作出された直後におけるいわば原状への回複を求めることの当否が問題となっているのに,その事態を審理判断の所与の出発点であるかのように解し,原審のいうように慎重に審理判断したのでは,既に説示した最高裁判例の考え方に明らかに反し,家庭裁判所に期待された役割を放棄することになるばかりか,かえって違法行為の結果の既成事実化に手助けしたこととなってしまう。また,このことは,違法行為の結果を事実上,優先し,保護するような状況を招来するから,結果的に自力救済を容認し,違法行為者にかえって有利な地位を認めることになりかねない。そのような対応では,実力による子の奪い合いを助長し,家庭裁判所の紛争解決機能を低下させるばかりか,元来趣旨としたはずの未成年者の福祉にも反する事態へと立ち至ることが明らかであって,本件のような事案を前提とした場合,原審のような枠組みで審理判断をすることは明らかに相当性を欠くというべきである。)。
(3) これを本件についてみるに,関係記録に照らしても,抗告人の未成年者に対する監護について上記の特段の事情は認めることができない。そうすると,相手方に対し,未成年者を抗告人に仮に引き渡すとの審判前の保全処分を求める抗告人の申立ては理由があるというべきである。他方,抗告人は,別途, 自らを仮に未成年者の監護者と定める審判前の保全処分を申し立てているが,未成年者の仮の引渡しのほかに監護者の仮指定を必要とする事情は関係記録上認められないから,この申立ては却下するのが相当である。
4 よって,これと異なる原審判をその範囲で・変更することとして,主文のとおり決定する。(裁判長裁判官園部秀穂裁判官平林慶一小海隆則)
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間接強制決定に対する執行抗告事件
第1 抗告の趣旨
本件抗告の趣旨は,別紙「執行抗告申立話」の「第1 執行抗告の趣旨Jに記載のとおりである。
第2 事案の概要
1 本件は,相手方ー(債権者)が抗告人(債務者)に対し,子の監護に関する処分(子の引渡し)申立事件及び子の監護者指定申立事件についてされた「未成年者の監護者を相手方と指定する。抗告人は相手方に対し未成年者を引き渡せ。」との審判(債務名義)に基づき,強制執行(僻怠1日につき10万円を支払う告の間接強制)を求めている事案である。
2 原審は,執行開始の要件も含め間接強制発令の要件を充たすとして,相手方の申立てをすべて認容する決定をしたところ,抗告人が即時抗告を申し立てた。本件抗告の理由は,別紙「執行抗告申立書」の「第2 抗告の理由」及び「執行抗告理由補充魯Jに記載のとおりである。
第3 当裁判所の判断
1 本件の事実関係は,原決定の「理由J欄の2記載のとおりであるからこれを引用する。ただし,原決定3頁7行目末尾に「抗告人(債務者)は,同決定に対し,最高裁判所に特別抗告をしたが,同裁判所は,平成20年4月11日, 同抗告を棄却する旨の決定をした。」を加える。
2 抗告人は,抗告人自身は未成年者を相手方に引き渡すことに異議がなく,そのように未成年者を説得し,相手方において未成年者を任意に同行できるよう未成年者を相手方に引き渡しているが,未成年者は相手方との生活を拒絶し,相手方と行動を共にしないとして,未成年者の立場や心身への影響を考服すると,本件は間接強制になじまなし、と主張する。しかしながら.本件債務名義は,親の監護権の行使に対する妨害排除請求権に基づき「未成年者を引き渡す」旨を抗告人(債務者)に命じるものでーあって,妨害の態様に応じて種々の作為義務が想定されるものの,実行について第三者の協力が必要でそれが容易に得られる見込みがないとか,債務者の意思を抑圧したのでは本来の権利が実現できない等, 間接強制ではその目的を達することができない事情は認められない。そうすると,本件債務名義の命じた義務が間接強制になじまないということはできず,抗告人の主張は理由がない。なお,抗告人の主張を,既に本件の債務を履行し債務が消滅したとの主張と解しでも,これは,請求異議の事由として主張すべきことであって,執行抗告の理由にはならないから,主張自体失当である。
3 次に抗告人は,原審が定めた1日10万円という金額は過大であると主張する。執行裁判所は,民事執行法172条1項の「債務の履行を確保するために相当と認める一定の額Jを定めるについては広い裁量を有しており,殊に,債務の内容が,債務者の意思のみによって容易に履行され得るものであれば,その額が相当高額となっても,やむを得ないということができる。.しかしながら,記録によれば,本件においては,未成年者が相手方の下に行くことについて拒否的な態度をとっている面があることが認められ,未成年者の態度が抗告人に影響されているところがあるとしても,既に10歳という未成年者の年齢から考えると,本件債務名義の命じる義務は,その性質が上記2のようなものであることをしんしゃくしても,抗告人がその意思だけで履行するのは困難な面があるものであることは否定できない。そのような抗告人の債務の内容等に照らすと,原審の定めた上記金額は著しく過大であるといわざるを得ず,抗告人の主張はその点で理由がある。そして,本件記録に現れた一切の事情に照らすと同金額は1日3万円と定めるのが相当である。
第4 結論よって,これと結論を異にする原決定主文第2項を変更することとし,主文のとおり決定する。 ( 裁判長裁判官鈴木健太裁判官福島節男内藤正之)
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児童福祉施設入所措置等の期間更新の承認申立事件
第1 申立ての趣旨
申立人が事件本人に対する児童養護施設入所措置の期間を平成21年×月×日から更新することを承認する。
第2 当裁判所の判断
l 一件記録によれば.以下の事実が認められる。
(1) 関係者等事件本人(平成9年×月×日生)は,事件本人親権者母(以下「母Jという。)及び父Cの長男である。母は.平成15年×月×日,Cと調停離婚し同日以後母が事件本人の親権者である。
(2) 原審判前の事情母は,平成17年×月×ー日,00児童相談所に対し,電話で,事件本人に関し「子供を殺してしまいそう。」などと言って相談し,00児童相談所は,周年×月×日から同年×月×日まで事件本人を一時保護した。母と事件本人は,平成17年×月×日,00市内の母子生活支援施設iOOホーム」に入所した。母は, 00ホーム入所後も,事件本人の盗癖や虚言癖等を理由に,事件本人を居室から追い出して入室を拒んだり,事件本人を残して行く先を告げずに外泊し,あるいは執働に事件本人を責めるなどした。事件本人は,平成18年×月×目,ムム児童相談所の一時保護所に入所した。00児童相談所比同年×月×白.事件本人を00市内の児童養護施設iOO学園」に一時保護委託した。その後,事件本人の生活状況は落ち着いた。母は, 00児童相談所及び00ホームの職員に強い不信感を持ち,00児童相談所との関わりを強く拒否していた。母比ー平成18年×月×日,青森県00市在住の当時の交際相手の自宅に転居した。
(3) 原審判平成18年×月×日,秋田家庭裁判所大館支部において,概ね(1)及び(2)記載の事実を前提として,母が事件本人の心身の成長及び人格形成を妨げる行為をしており,今後も同様の行為が繰り返される蓋然性が高いとして,申立人が事件本人を児童養護施設に入所させることを承認する旨の審判がされ(原審判),平成19年×月×臼,原審判は確定した。申立人は,同日,事件本人を00学園へ入所させる措置をとっfこ。
(4) 原審判後の事情
ア母の00児童相談所及び00学園に対する対応母は,平成19年×月×日, 00児童相談所の担当者に対し,「虐待したとは思っていないが,子にしてみればつらかったと思う。かわいそうなことをしたと思う。」と述べた。母は,周年×月×日, 00児童相談所の担当者らに対し,事件本人との面会に同担当者らが立ち会うことに不満を述べた。母は,同日以外にも度々,同械の不満を述べたり, 00児童相談所の担当者や00学園の職員らの事件本人や母への対応について不満を述べ,あるいは批判をした。母は,周年×月×日, 00児童相談所の担当者に対し,事件本人と一日も早く同居するには何をすればよいかを質問し,これに対し, 00児童相談所の担当者は,虐待を認め事件本人に謝罪すること,00学闘を信頼することが必要である旨説明した。母は,虐待は認め,事件本人にも謝罪した, 00学園に対しては同学園がきちんとした対応をすれば何も言わない旨述べた。母は,同年×月×日, 00児童相談所の担当者に対し,事件本人の心理を知りたい,面会頻度の根拠を説明し.てほしい,事件本人の学校行事に参加したいと述べたほか,母自身が変わる必要を感じたこと等から。。児童相談所との今後の関わり方のあり方について質問したが,一方で,児童相談所は敵である旨も述べた。母は,平成20年×月×日.00学園の職員に対し,虐待の後遺症を解く方法について質問した。母は,同年×月×臼.00児童相談所の担当者に対し,母と事件本人との外出時の様子を00児童相談所の担当者に対して説明することに難色を示したものの,協力する旨述べた。
イ事件本人の状況等事件本人は,平成19年×月×日.00学園の職員に対し,母について. i寂しくなった。でも頻繁に会うと一緒に居た時の嫌なことを思い出すので, ずっと一緒には居たくない。Jと述べた。事件本人は,同月ころ,母からもらったタオルを踏みつけた。事件本人は,同年×月ころ.00学園の職員らに対し,母について,好きであり,二人きりで面会したいが, 同居するのは現在は無理だと思っている旨述べた。事件本人は,平成20年×月×日ころ.00児童相談所の担当者に対し,母は以前より優しくなり,中学校入学後同居したい旨述べ,同年×月×日にも同旨の内容を述べた。事件本人は.00学園に入所してからは他人の物を盗む行為をしていないが,自分より弱い子供に圧力を掛けたり,女子職員に対して挑発的な言動をしたり,嘘をついたりするなどの行動面での過ちについては,自己の非を十分に認めることができていなし、。
ウ母と事件本人との面会等母と事件本人とは,平成19年×月×日から平成20年×月×日に至るまでの間,概ね1か月から3か月の聞にl度程度,面会,外也若しくは外泊するなどした。平成20年×月×日以降, 0。児童相談所は母と事件本人との面会等を禁止した。
エ事件本人の養育状況に関する母の現在の認識,母の現在の生活状況等母は,原審判時の交際相手方から,平成19年×月×日に転居し,同居宅においては, 6畳間l室を事件本人の居室にあてることが可能である。母は,!~件本人を養育するには十分な程度の収入を有している。母は,現在は,精神的にゆとりがあり,原審判時のような母子.関係にはならないし,仮に事件本人に虚言癖や盗癖が発露したとしでも,原審判時のような対応をせず.暖かく見守って受け入れる旨述べている。また,母は,原審判以前に.おける事件本人への対応方法について,愛情に基づ・くものであったが,行きすぎた点があり.事件本人からすればつらかったと思う旨述べ,事件本人と同居した場合には,今後も事件本人の盛育に関して背森県00市の児童相談所の継続的な指導を受けるほか,職場の関係者や事件本人の祖母に相談していく意向を明らかにしている。
2 以上の事実を前提として判断するに,原審判時以前における事件本人の問題行動のうち,盗癖については改善していると認められる。一方,その余の問題行動については,今後も事件本人においてこれらの行動が発現する可能性は否定できないので,母が,事件本人と同居し,かっ,事件本人にこれらの行動がみられた場合において,事件本人を居宅から追い出したり,事件本人に行き先を告げずに外泊したり,執均に事件本人を責めたりするなど.事件本人に対する虐待,監護保; 怠その他の事件本人の福祉を害する対応をするおそれの有無を検 ,討する。前記認定のとおり,母は.00 児童相談所や00 学園に対して批判的な言動をしつつ も.(1) 原審判時以前における 自らの事件本人に対する対応の仕方に行きすぎた部分があったこと,これを改める必要性,事件本人の養育方法について児童相談所ほかの関係機関の関与を受け入れる必要性を各認識している こと.(2) 母が事件本人のための居室を準備し,経済的にも事件本人を受け入れることが可能な状況にあること.( 3) 事件本人が母との同居を強く望んでいる ことがそれぞれ認められる。以上の各事情からすると,ー 原審判に基づく措置を継続しなければ母が事件本人を虐待し,著しくその監護を怠るなどして著しく事件本人の福祉を害すると認めることはできない。申立人は,上記各事情のほか,母の影響から事件本人が母の存在をかさにき た威圧的な言動をすることをも本件申立の理由としてその具体的な言動とは,①00 学園の職員が預金通 主張するところ,帳を事件本人に開示することを拒んだ際,事件本人が. r 無くしたら記各言動をするような影響を与えていた可能性は否定しがたいもの今後は,関係機関に 一方で,母が,本件の審問手続きにおいて, の,これを事件本人に伝達するなど事 不信感を抱くことがあるとしても,なお,母さんに怒られる。母さんは怒ったら怖いや。」と述べたこと及び②00 学園の職員が就寝後騒いでいた事件本人に対し. r 俺の家にはお金がいっぱいある。」と述べたことである。母が00 学園を含む関係機関の対応に批判的な言動をじていたことからするム事件本人に上件本人へ悪影響を与えるような行為はしない旨述べていることをも併せ鑑みるに,これが事件本人の虐待や監護の著しい慨怠若しくはこれらに比肩しうるような事件本人の福祉を著しく害する行為を推認させる事情であるとは評価しがたい。
3 よって,主文のとおり審判する。
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特別縁故者に対する相続財産分与申立事件
1 申立ての要旨
申立人は,被相続人の相続財産の分与を求め,その理由として要旨次のとおり主張した。
(1) 被相続人(大正15年×月×日生)は,平成18年×月×日に死亡し,相続が開始した。
(2) 被相続人には法定の相続人が存することが明らかでなかったので,申立人の申立てにより相続財産管理人が選任され,民法957条及び同法958条の手続が行われたが,申立人が相続債権につき請求の申出をしたほかは,所定の期間内に相続債権者,受遺者又は相続人であるとして請求の申出又は権利の主張をするものはなかった。
(3) 相続債務を清算した後の被相続人の相続財産は別紙財産目録記載のとおりであるところ.申立人は,被相続人の生前,同人と特別の縁故関係があった。
2 当裁判所の判断
(1)事実関係本件記録及び関連事件(平成xx年闘第xxx号相続財産管理人選任申立事件,同年俸)第xxx号相続人捜索の公告申立事件)の各記録によれば,以下の事実が認められる。ア被相続人は,大正15年×月×日に父C,母Dの長男として00市で出生し,父母の死亡後,口口市に出て働いたのち00市に戻り,市内のC丈わに勤務し,60歳で定年退職した。退職後,被相続人は,老人ホームに入所した。その際,被相続人の元同僚が身元引受人となったが,同人は平成14年ころ,事故で寝たきりとなった。イ申立人(昭和10年×月×日生)は,昭和30年×月×日に夫Eと結婚した。Eは,被相続人の又従兄弟(被相続人の父CとEの父Fが従兄弟)であるところ,平成14年×月×日,老人ホームの担当者から依願され,前記の事情で新たな身元引受人が必要となった被相続人のために身元引受人となり,以来,老人ホームの行事に参加したり,時には被相続人が申立人夫婦宅を訪れてEと酒を酌み交わすなど,親交が深まった。なお,申立人は,Eの母Gとともに,かねて,被相続人の実家のC家がムム町に残した墓の守りをC家の者に代わってしてきており,昭和62年に被相続人が両親の墓を00市内のOx寺に移した後も,ムム町に残された被相続人の祖父母の墓を守ってきた。その間,被相続人はC家の長男として,盆や彼岸に墓参りに来ており,G家にも挨拶に来て,申立人とも顔見知りとなっていた。.Gは平成15年に死亡したが,申立人は,その後もC家の墓守を続けてきた。ウEは,平成18年×月×日,交通事故で死亡した。その1か月後,被相続人と老人ホームの担当者が申立人を訪ねて来て,申立人に対し被相続人の身元引受人となることを依頼し,申立人はこれを引き受けた。申立人は,身元引受人となった後,被相続人のため,再々,下着等の衣類を自費で購入して届け,その際,みやげ物を持参したこともある。同年9月ころ,老人ホームが廃止となるとの話が持ち上がり,申立人は,身元引受人として,その説明会に3,4回参加し,また被相続人の相談に乗るなどしていたが,被相続人から後見人となることを依頼され,同年×月×日,被相続人との間で,申立人を受任者とする任意後見契約を締結した。なおまた,申立人は,被相続人からOx寺にあるC家の墓の永代供養に関する相談も受け, 被相続人に同伴してOx寺に赴き,住職に永代供養の申し入れを行った。永代供養料100万円のうち50万円は岡田被相続人が支払い,残金50万円は,被相続人の死亡後,相続財産から支払われた。エ同年×月×日朝,被相続人は,老人ホームにおいて,起床時間になっても起き.てこず, 自室で,喉に疾を詰まらせ死亡しているのが発見された。同日午前4時ころ死亡したものと推定されている。申立人は,前記任意後見契約に基づき,被相続人の葬儀やOx寺への納骨を執り行い,葬儀費用等103万7212円を立替払した(立替金は,既に相続財産から弁済済み)。オ申立人は,被相続人のため老人ホームの退寮手続を行い,同月×日に遺品を引き取ったところ, 1週間後,遺品中のノートに, r遺言書自分死亡した後全財産を成年後見人おゆずりしますA氏に平成十八年×月×日ムム町BJと書かれた書面が挟まれており,また, ノート自体にも「遺言証書右B A氏に自分全財産をおゆずりします十八年×月×日」と嘗かれているのを発見した(以下,これらの記載を「本件メモ書き」という。)。なお,被相続人は,前記任意後見契約に際し,公証人から,遺言書の作成についても示唆を受けていた。カ申立人は,被相続人の死亡後弘前記のC家の墓を守り,また,Ox寺への墓参りを続けているーキ申立人は,被相続人に法定の相続人がし、ないため,当庁に相続財産管理人の選任を申し立て, H弁護士が相続財産管理人に選任され,民法957条及び同法958条の手続が行われたが,申立人が上記立替金につき請求の申し出をしたほかは,所定の期間内に相続債権者,受遺者文は相続人であるとして請求の申出文は権利の主張をするものはなかった。ク平成20年×月×臼現在の被相続人の相続財産は,別紙財産目録記載のとおりであり,これから,相続財産管理人の報酬の支出が予定されている。
(2) 以上の事実によれば,平成14年×月以降,申立人の夫が文従兄弟の関係にある被相続人の老人ホーム入所につき身元引受人となったもので,その間申立人も妻として相応の協力をしたものと推定されるし,夫が死亡した後は,短期間ではあるが,自ら身元引受人となり,衣類を届けるなど身辺の世話をしていたものであること.さらに,被相続人の依頼により,任意後見契約を結んでおり,被相続人から厚い信頼を得ており,同人の精神的支えとなっていたことが窺われること,被相続人の死亡後は,葬儀等や退寮手続を行い,身辺整理をするなどしたこと,また,かねて, c家の墓守をしており,死亡後もその墓守を続けるとともに,納骨したOx寺への墓参りも行っていること,そして,被相続人は,申立人に相続財産を包括遺贈する旨の本件メモ書きを残しており,有効な迫言の方式を備えていないものの,相続財産を遺贈する意向を明確に表示していることなどを考慮すると,被相続人と特別の縁故があったものと認めるのが相当である。
(3) そこで分与額につき検討すると,申立人は,一定期間被相続人の身辺監護を支援するなどし,被相続人は申立人に相続財産を包括遺贈する旨の本件メモ書きを残しているなどの事情が認められるが,他方.本件メモ書きは遺言告としての方式を備えず不完全なものであるところ,公証人から遺言書の作成につき示唆を受けたのに,かかる書面を作成するに止まった具体的な事情は明らかでないが,客観的,外形的に見て,被相続人の申立人に対する包括遺贈の意思が未だ確定的ならのとなっていなかったといわざるを得ないこと.また,申立人は,被相続人の相続財産の形成,維持に寄与したものではないこと,その他前記認定説示の諸事情を総合考慮し,相続財産管理人の意見を聴いた上,申立人に対し,別紙財産目録記載の財産のうち600万円を分与するのを相当と認めて,主文のとおり審判する。(家事審判官田中澄夫)
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2012年2月26日 | コメント/トラックバック(0) |
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児童福祉施設入所の承認申立却乍審判に対する抗告事件
第l 抗告の趣旨及び理由
抗告人は,大阪家庭裁判所岸和田支部平成20年働第1345号,同第1346号児童福祉法28条1項i号に基づく承認申立事件の平成21年4月3日付け審判を取り消し,抗告人が事件本人Aを児童養護施設に,事件本人Bを乳児院文は児童養護施設に入所させることをいずれも承認するとの決定を求め,抗告の理由として,原審は,親権者父による事件本人らに対する性的虐待の危険性を過小評価する一方で親権者らの監護窓欲について過大評価していること,事件本人らを親権者らに監護させるのでは著しく事件本人らの福祉を害することなどを主張しfこ。
第2 当裁判所の判断
l 事実関係次のとおり付加訂正するほかは,原審判2頁9行自から6頁16行目までに記載のとおりであるからこれを引用する。
(1) 2頁18行自の「同母は.Jの次に「平成14年×月ころから同居するようになり.Jを力日える。
(2) 2頁20行自の「親権者父は.Jの次に「親権者母と婚姻する前に.Jを加える。
(3) 2頁22行自の「親権者母は.Jの次に「親権者父と婚姻する前に.Jを加える。
(4) 2頁25行目の「申立人」から3・頁l行自の「第000号)J までを「平成17年×月×日,親権者を前夫に変更するとの調停が成立し(原審平成17年僚イ)第000号)Jに改める。
(5) 3頁l行自の末尾の次に改行して以下を加える。「カ親権者父母は,平成16年×月から.E及ひ’親権者父の子であるFと同居するようになったが,同月×日.Eが親権者父から虐待されている疑いがあるとの通告が00から抗告人に対してなされた。そこで,抗告人は.Eを一時保護した上..担当者が親権者父と面接したところ,親権者父は,火が消えたばかりのライターがEの手に当たり火傷をさせたことがあること,愛情表現ないしスキンシップのつもりでEのズボンをずらしたり胸を触ったりしたことなどを述べた。また.Eは,同年×月XB.産婦人科で・性暴力受傷疑いと診断された。抗告人は,親権者父による性的虐待のおそれがあるなどとして.Eについて,児霊福祉法28条1項l号に基づく承認を求める申立てをした(原審平成17年劇第000号)が,上記のとおりEの親権者が前夫に変更されたため,これを取り下げた。」
(6) 3頁4行自の「送った後.Jの次に「同女を施設に入所させることを親権者母が抗告人に求めたことから.Jを加える。
(7) 3頁5行自のrx月.Jをrx月×目,年齢超過により」に改める。
(8) 3頁8行自の「結局」を「近隣の保育所への入所が決まったこともあってJに改める。
(9) 3頁10行目の「を約束させた」から12行目の「合理的である。)Jまでを「の指導をした」に改める。(lω 3頁13行自の「保育所に通っていたところJを「同居している親権者父と2人で入浴することもあったが.Jに改め.r平成18年×月×日,Jの次に「産婦人科を受診したところ,性暴力受傷後ムムとの診断がなされ,Jを加.える。
(11) 3頁14行目の末尾の次に改行して以下を加える。r Aは,上記産婦人科の医師から「お父さんが指を入れたのJ,r痛かったの」と質問され,いずれも首を縦に振り肯定的な返事をしたほか,平成18年×月×日には,抗告人の担当者に対しても,親権者父(当時は非親権者)から性器を触られた旨話した。上記産婦人科の医師は,親権者父の刑事事件(下記(3)) において証人となり,上35傷害は,腫入口から宅内に向かって物体を挿入することで生じるものであり,人の指を挿入することで生じると考えても矛盾がないこと,体を洗う際に同部をつめで強くひっかくことで同様の傷害が生じる可能性も絶対にないとはいえないことなどを供述している。また,医師000は,上記損傷にっし:て,腫入口から腔内に向かつてある程度の径をもっ物体が進入したことで生じた可能性が高いこと,体を洗うなどの過程で偶然生じる損傷とは考えにくいことなどを記載した意見書を作成した(なお,この意見書は,親権者父の刑事事件(下記(3)) の判決宣告後に作成されたものである)oJω 3頁16行自の「申立人は,Jの次に「平成19年×月×日, jを加-えるoil–
(13) 4頁4行自の「平成16年×月×日」の次に「ころ」を加える0u
4) 4頁5行目の「押しつけて」の次に「少なくとも」を加えるo同4頁9行自の「大阪府」の次にroo市」を加える。
U6) 4頁10行目の「全治」の次に「約」を加える。(1司4頁22行自の末尾の次に改行して以下を加える。「抗告人は,親権者父の逮捕後,親権者母との信頼関係を築くことができなくな?ていたが,上記無罪判決により,親権者父母の態度はいっそう硬化し,抗告人は親権者父母に対する指導や援助ができなくなったのみならず,親権者父母の現状を把握することもできなくなった。」同5頁3行目の「出生児は,超未熟児であうたが」を「出生時は,超未熟児であり」に改める。側5頁4行自の「近づきつつある」の次に「が,知的発達には,なお遅れがみられる」を加える。側5頁11行自の「多かったJの次に「が;親権烹母よりも祖母の方が積極的にBの世話をし,親権者母とBの情緒的関わりを補っτいた」を加える。倒5頁14行目の「遅くともJから22行目の「言い渡され, jまで及ぴ22行自から23行目にかけてのT親権者父母はJを削除する。倒5頁26行目の「二聞があり.Jの次にfA,Bの写真やAの賞状が壁に掲げられている。」を加える。倒6頁l行目の末尾の次に「近隣の保育所文は幼稚園にBが入園できるとは限らないことから,親権者母が自宅でBを監護養育するつもりである。また, Aの小学校への通学には徒歩で30分を要することから,親権者母がAの送迎をするつもりである。」を加える。凶6頁2行自のf親権者父は,j-の次に「鉄道の」を加えるo側6頁3行自のroo万円から00万円」をroo万円から00万円」に改めるo倒6頁4行自の「あったが,Jの次に「口口の治療に専念するために休職し,その後も体調が戻らなかったため退職し.jを加えるo間6頁5行目の「示している。」の次に「親権者父母は,いずれも,平成15年ころに自己破産をしたが,その後も借金をし,現在では」を力日える。倒6頁10行目の「申立員」を「抗告人」に改める。ω1) 6頁12行目から13行目にかけての「思っていると述べた上?親権者父とAらが一緒に風自に入れない」を「思っており,親権者父との間で,性的虐待を疑われないようにするための具体的方策について話し合ったこともないと述べた上,ー事件本人らの入浴を親権者父にはできるだけ頼まないようにし,なるべく自分で事件本人らを入浴させる」に改める。
2 上記事実関係に基づき検討する。
(1) 抗告人は,事件本人らと親権者父母とが家族として再統合するための調整期間として概ね1年程度を確保するために,事件本人らを引き続き児童養護施設等に入所させることの承認を求め,その理由として,親権者父母の監護能力等からすると,事件本人らを直ちに親権者父母らに引き渡すのでは著しく事件本人らの福祉を害すると主張し,親権者父母は,事件本人らを直ちに引き取ることを希望し,本件申立ての却下を求めている。
(2) 上記1の事実によると,親権者父母は,これまでも,事件本人らを乳児院文は児童養護施設に預けるなどしていたもので,自ら事件本人らの育児をした経験に乏しいことや, Eは親権者父から被害を受け,親権者母はこれを防止できなかったことなどを考慮すると,監護能力及び監護者としての適格性に疑問があり,加えて,事件本人らは,超未熟児として出生し,現在でも心身の発達に遅れがあり, 00病院で定期的に検診を受けているのであって,かかる事件本人らを親権者父母が適切に監護養育できるかについては,不安を払拭することができなし、。また,親権者父の夜勤が多いことから,親権者母が育児の主体と62・7-66裁,判例(家事)なることが予想されるが,親権者母は,口口で体調が思わし《なく,仕事への復帰もできない状態であって,健康面にも不安がある。さらに,親権者父母がAを自宅で養育していた際は,保育所による育児の援助があったが,親権者父母は, Bを保育所に入所させずに自宅で監護養育する意向を有しているから,今後, Bの育児についての支援は抗告人が中心とならざるを得なわところ,抗告人と親権者父母との信頼関係が構築されているとはいい難い。以上によると,親権者父母が直ちに事件本人らを引き取ることが可能な状態になっているとはいい難く,親権者父母が事件本人らを受け入れるための準備や環境整備のための期間が必要であるというべきである。
{3} また,抗告人は,親権者父が事件本人らに性的虐待をする危険があると主張するo上記1の事実によると,親権者父は, Eに対する強制わいせつ罪で有罪判決を受けており,親権者母がAを引き取った後, Aがムムの傷害を負い,その原因についての医師の意見やAの医師に対する応答からすると,刑事事件の判決はあっても,親権者父の性的虐待、を疑う事情があることは否定できないところ,親権者母は,今後,事件本人らの入浴をなるべく親権者父lζ 頼まないようにするとは述べているが,親権者父に事件本人らの入浴を依頼しないとまでは述べておらず,また,親権者母は,今後,親権者父による性的虐待を疑われないようにするための対策について夫婦問で話し合うことすらしていない。以上によると,親権者父が現在執行猶予中であることを考慮しても,親権者母だけで事件本人らが性的虐待の被害に遭うことを防止ある程度の期間,抗告人によって親権者父母に対する適切な指導を実施する必要があるというべきである。なお疑問を抱かざるを得ず, できるかについては,抗告人は,親子の再統合のためには最低で約 1 年間の親子再統合
(4) プログラムを行うことが必要であると主張しているが,一件記録によると,親権者父の裁判が係属していたこともあって,抗告人が親権者父母との信頼関係を構築することかできず,同プログラムの開始には至っていないことが認められる。
(5) 以上を総合すると,事件本人らを直ちに親権者父母の監護に服させるのでは事件本人らの福祉を著しく害するおそれがあるというべ1 年 きであり,親権者父母が事件本人らを監護養育するに先立ち,したがって,かかる準 程度の準備期間が必要であると認められる。備期間を確保するため,抗告人が事件本人らを児童養護施設等に入よって,本件抗告は理由があるから,家事審判規則19 条 2 項により原審判を取り消し,審判に代わる裁判をすることとし,主文のとおり3 所させることを承認するのが相当である。岡口基一) 田中義則 裁判官 松本哲弘 決定する。(裁判長裁判官
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2012年2月26日 | コメント/トラックバック(0) |
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遺言確認申立却下審判に対する抗告事件
第1 抗告の趣旨及び理由
本件抗告の趣旨及び理由は,別紙「即時抗告申立書」のとおりである。
第2 事案の慨要
1 本件は,追言者がした別紙の危急時遺言(本件遺言)について,その証人となった抗告人が遺言の確認を求める事案である。
2 原審は,本件遺言が遺言者の真意に基づいてされたものと認めることは困難であるとしてJ本件申立てを却下したところ,抗告人がこれを不服として本件抗告を申し立てた。
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所は,原審と異なり,遺言者は,遺言執行者としてC弁護士を指定する部分を除いて,本件遺言をしたことを確認すべきものと判断した。
2 本件記録によると,以下の事実が認められる。
(1) 遺言者は,平成20年×月×日に死亡した。
(2)遺言者は,長年入院をしていたが,平成20年初めころに退院し最後の住所地に所在する口口口(本件居室)に住むようになり,遺言者の義姉であるDの世話になりながら静養を続けていた。
(3) Dは,抗告人(抗告人は,本件居室の所在するマンションを管理する00の管理ディレクターを務めている。)から紹介を受けたC弁護士に遺言者の遺言書の作成について相談をしていたところ,同年×月×日ころ,遺言者の容態が悪化したため,抗告人に危急時遺言の作成を依頼し,抗告人はC弁護士に相談し,遺言書の内容について聞いた上で下書きを作成した。
(4) 抗告人及び00の社員であるE. Fは,同月×日本件居室に赴き,遺言者にDから依頼されて遺言芭を作成しにきたと伝えたところ,遺言者は,その財産をすべてDに贈りたいと述べたので,抗告人は,これをメモとして書き取った上,このメモを遺言者に読み聞かせ,遺言者の了解を得た。その後,抗告人は,本件居室から出てC弁護士に電話をし,遺言書の作成方法を聞いた上で,本件遺言書を作成し,抗告人E及びFは,本件遺言密の筆記が正確なことを承認し,証人として署名した。本件遺言書には.c弁護士を遺言執行者に指定する旨の記載があるが,抗告人が遺言者から話を聞いたときには,遺言者はそのようなことを述べなかった。
3 家庭裁判所は,危急時遺言が遺言者の真意に出たものであるとの心証を得なければこれを確認することはできないが,この確認には既判力がなく,他方でこの確認を経なければ遺言は効力を生じないことに確定するから,真意に出たものであるとの心証は,確信の程度に及ぶ必要はないものと解される。本件では,本件遺言の証人である抗告人及びFは,遺言者が本件遺言の内容を話し,これを抗告人が書き取り,書き取った内容を読み上げて遺言者の確認を得た旨を述べ.Eは遺言者は話をしなかったと述べているものの,抗告人が遺言の内容を記載した書面を読み聞かせ,遺言者がこれに額いたと述べている。証人らの供述には徴妙な違いはあるものの,証人となった3名が遺言者との聞に特別の利害を有していることを示す証拠はないから,上記2のとおりの事実を認定できるというべきであり,本件遺言のうち,遺言執行者の指定に関する部分を除けば,これが遺言者の真意に出たものであると認めるのが相当である。なお,上記認定のとおり,本件遺言のうち,遺言執行者の指定に関する部分は遺言者が口述していないもので,その真意に出たものとは認められない。
4 よって,主文のとおり決定する。(裁判長裁判官一宮なほみ裁判官田川直之小野瀬厚)
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婚姻費用分担審判に対する抗告事件
第 l抗告の趣旨及び理由
原審判を取り消し.更に相当な裁判をすることその理由は.別紙「即時抗告申立書Jに記載の本件抗告の趣旨は.を求めるものであり,原審判を次のとおり改める。 ただし原審判 2頁2行自の「当事者双方のJから 3行目末尾までを「当 ) – ( 本件記録及び若手間の全趣旨を総合すると. 事者双方の審問. の結果,次の事実が認められる。 Jと訂正する。原審判 2頁18 行目 官頭の「すべきか」の後に「といった点につ ( 2 ) 相 また, いては同居当初から抗告人と相手方との意見が一致せず.原審判 5頁4行目冒頭から 7 行目末尾までの全文を除く。相手方が抗告人に対し20 万3000 円の返還を求める部分は(3) 一件記録によれば,抗告人は,婚姻の翌日である平成19 年×月×
( 2 ) とおりである。当裁判所の判断当裁判所は.抗告人(原審相手方)に対し婚姻費用として平成20年×月以降当事者の離婚又は別居状態の解消に至るまで毎月末日限り 7万円を相手方(原審申立人)に支払うことを命ずるのが相当であると判断する。その理由は,次項で相手方の本件婚姻資ー 用分担の申圭てのう3 項号刃 ..心、これを引用する。 定事実と判断Jに記載のとおりであるから,手方の就労継続を含む結婚生活の在り方などの将来設計をどうするかJを加える。二女C についての特別児童扶養手当(月額5 万075 0 円)の平成19 年×月から平成20 年×月分までの合計額の金銭の返還を求める申立てである。E’ . x. 平成2 0 年×月×日,第 2ち20 万3000 円の返還(支払)を求める部分についての判断を示しで抗告理由に対する説示を加えるli か.原審判の「理由」中の 122 ( 1 ) C の特別児童扶養手当の受給申請をし 日.給資格及び手当の額について認定を受け,周年×月 x日に同年×月から×月までの分として合計15 万2250 円について抗告人の銀行口座その聞の向年×月×日. c を監 への振込みによる支給を受けたが.護していないとして受給資格を失ったことが認められる。ところで・ 特別児童扶養手当は.特別児童扶養手当等の支給に関の規定に基づき
( 3 ) する法律 ( UB 和39 年法律第134 号) 同法所定の障害児を監護するその父又は母等に対して支給される公的扶助としての国の手当であるが ( 司法3条 l 項.を受け.所定の手続の下に同手当の支給を受けた者は受給資格の認定障害児の生活の向上に寄与するために支給されるものであるとの趣旨に従って用いる義務を負うものの ( 同法3 条5 項) • これを保管費消することができる とともに 他方の配偶者が同手当の支給を受けた父又は母に対しその引波しや文払を当然に梢求することができると はj 押されなけ、ら.民法760 条の規定による婚姻から生ずる費用の分担に閲する処分(家事審判法 9 条 l 項乙類 3 号)けた父又は母に対し他方の配偶者に対する引渡しゃ支払を命ずるとして.その受給を受ことはできないものと解される。この点について.相手方は.特別児童扶養手当も.子の扶養を目
( 4 ) 的とするものであか婚姻費用には子の養育費分が含まれるのであるから.返還又は支払の義務の有無は.婚姻費用分担申立事件にお同手 ける審判事項になり得るも・ のであり.当の受給を受けた父である抗告人がC の監護をせず.相手方がその抗告人は,相手方との関係においては法 監護に当たっている以上,律上の原因なく同手当を利得していることになるから,相手方は.その引渡し又は支払 抗告人に対し不当利得返還請求権に基づき.を請求することができる旨主張する。2項参照) • かつ,本件においては
(5) たしかに, 一件記録によれば.相手方は.平成20年×月末ころから抗告人と別居し以後Cを監護養育していることが認められるが,抗告人がCの監護養育について何らかの関与をしていることをうかがわせる資料は見出されないから.実質的には抗告人がその受給した特別児童扶養手当を保持費消する利益も理由もなく. また.同手当の趣旨にかんがみれば,抗告人がCの監護以外の目的に同手当を用いることは本来許されないものである。したがって社会通念上,また.道義上も. 抗告人からCを監護している相手方に同手当と同額の金員が支払われるべきである。しかし家庭裁判所は.婚姻費用分担の家事調停手続において婚姻費用の分担に係る乙類事項だけでなく一般に家庭に関する紛争事項として抗告人と相手方間で上記手当と同額の金員を支払うことの合意が成立した場合にこの部分を含めて上記調停を成立させることはできるが(家事審判法17条. 21条).調停の不成立による審判移行後の家事審判手続において.抗告人に対し相手方への同手当の返還又は支払を命じる審判をすることは家事審判法上困難であるというほかない。なぜならば.審判に移行するのは,婚姻費用の分担に係る乙類審判事項の申立てだけに限られるからである。なお.本件のような特別児童扶接手当と同額-の金貝の返還文は支払を求める申立部分(原審記録中の申立ての趣旨参照)について怯.原則として,移行後の審判の主文において格別の応答をすべき必要はないと解するのが相当であるから. 当審主文においても同様とする。
3 (1) 抗告人は.抗告理由として. 原審判が婚姻費用の分担額として毎月7万円の支払を命じた部分につき,抗告人と相手方とは. その婚姻生活に閑し実質的な話合いをしたことはなく, 両人の意見の対立や紛争が顕在化することもなく.特段のl:J由がなかったにもかかわらず.相手方は.突然.強園な離婚意思を示し,一方的に抗告人と別居しCを連れて実家に戻か人工妊娠中絶を強行して本件婚姻関係を完全に破読させ.実質的に離婚が成立していたのであるから,抗告人が婚姻費用を分担する義務はない旨主張する。婚姻費用の分担額を算定するについては夫婦が別居に至った原因が権型者側又は義務者側のいずれにあるか,
(2)活状況に照らし相応の額の調整をする余地がまったくないとはいその責任の程度や生えない。一件記録によれば.抗告人と相手方との婚姻同居期検討するに聞は.約1か月程度であり.相手方が抗告人と別居する際.抗告人と婚姻生活を続けることは困難であることや妊娠中の抗告人の子を堕胎したい旨述べるなどしたことが認められるけれども.同時に.抗告人が配慮を欠く言葉でCを呼称したか相手方との間で生活費の分担や居宅マンシヨンの利用方法をめぐって意見が一致しない状況にあったりしたことも認められこれらの点を勘案すると.抗告人と相手方との別居の原因がすべて相手方にあり,又は抗告人の婚畑費用の分担額を減ずべきほどに別居についての相手方の帰資性が大きいと断ずべき事実関係があるとまではいえず,他にそのように認めるべき資料は見出されない。以上のほか, 抗告人及び相手方は. なお法律上の夫婦であり,婚姻費用の分担は,夫婦がそれぞれ負う生活保持義務の履行としてされるべきものであることに寄託すれば・抗告人の上記主張を採用することはできない。全会膏δ‘亦口”国1以上の次第で,抗告人!え相手方に対し平成20年×月以降車~î者の雌婚又は別居状態の解消に至るまで毎月末日限り7万円を支払うべきところ,原審判は.これと一致する限度で相当であるが,これと異なる限度で不相当であるから.これを変更することとし主文のとおり決定する。( 裁判長裁判官稲田龍樹裁判官浅香紀久雄内堀宏達)〔編注〕別紙は省略した。
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特別縁故者に対する相続財産分与審判に対する抗告事件
第1 事案の概要等
1 事案の概要理由
(1) 被相続人(明治43年×月×日生)は,平成19年×月×日死亡した(97歳)。同女には法定の相続人が見当たらなかったので,抗告人B (被相続人の成年後見人。以下rBJとしみ。)の申立て(平成19年×月×日)によって相続財産管理人が選任され,相続人捜索の公告がされたが,期間内にその権利を主張する者はなかった。
(2) 被相統人の相続財産は,相続財産管理人によって管理されている預金6283万円余り及び別紙動産類目録(原審判のそれと同じもの)記械の宝石類等(以下「本件遺産動産」という。)である。
(3) 抗告人A (以下rAJという。)は,被相続人の父の妹の孫に当たり, Bは, Aの夫である。A及びBは,平成20年×月×日,それぞれ,被相続人と特別の縁故関係があったとして,相続財産の分与を求めた。
(4) 原審は,A及びBと被相続人との関係は,被相続人が89歳の高齢に達して老人ホームに入所するまでは,通常の親族関係の域を出るものではなかったけれども.老人ホーム入所後は,被相続人の療養看護,財産管理及び死後の法要等に尽力したものとみることができるから,いずれも特別縁故者に当たるとした上,特別縁故の性質,内容,程度,葬儀法要等のため負担した費用の額,相続財産の種類及び金額その他一切の事情を考慮、して,相続財産から,Aに対しては金300万円及び本件遺産動産,Bに対しては金300万円をそれぞれ分与する旨の原審判をした。
(5) A及びBが原審判を不服として即時抗告したのが本件である。
2 抗告の趣旨及び理由
(1)抗告の趣旨抗告人両名は,原審判を取り消し,本件を京都家庭裁判所に差し戻すとの裁判を求めた。
(2) 抗告の理由抗告の理由は,別紙のとおりであって,結論的には,A及びBの抗告人両名に対し,相続財産の全部を分与すべきであるとするものであるが.その要旨は,次のとおりである。ア被相続人が老人ホームに入所するまでのA及びBと被相続人との関係は,遠隔地とはいえ,入所の10年も前から,極めて親密な交流を継続してきたものであるから,これを, 「通常の親戚関係の域を出るものではなかった」とした原審の認定は,重大な事実誤認というべきである。イBは,成年後見人の通常の職務内容を超え, Aとともに,法定相続人による場合に勝るとも劣らないほど,献身的に被相続人の療養看護に尽くしたものであるのに,原審はこれを其に考慮しているとは見られない。財産管理についても同様である。ウ死後の法要等に関する貢献については,原審判後にされた三回忌法要及び永代供養等に必要な出費を考慮すべきである。
第2 当裁判所の判断
1 当裁判所は,原審判中,被相続人の相続財産から, Aに対し本件遺産動産を分与した点は相当であるが, A及びBに対しそれぞれ300万円を分与するとした点は,やや低額であるので,これを変更し, A及びBに対し,それぞれ500万円を分与するのが相当であると判断する。その理由は,次のとおりである。
2 記録によれば,原審判2頁7行目から3頁23行自までの事実が認められる。
3 以上の事実関係によると,被相続人が高齢及び認知症状により一人暮らしが困難となって老人ホームに入所するまでの聞は, A及びBと被相続人は,遠隔地に居住していたこともあって,その関係は,精神的な交流を中心とするもので.親しい親戚関係の範囲内にあるものと評価することはできるが,相続財産の分与を相当とする関係に達Lているとまでみることは困難というえきである。しかし,被相続人が平成11年に老人ホームに入所してからは, Bが,入所時の身元保証人や成年後見人となったほか, AとBは,多数回にわたって,遠距離の旅程をものともせず,老人ホームや入院先を訪れて,親身になって被相続人の療養看護や財産管理に尽くした上,相当額の費用を負担して,被相続人の葬儀を主宰したり,その供養も行っているものである。このような関係をみると, AとBは,被相続人と通常の親族としての交際ないし成年後見人の一般的職務の程度を超える親しい関係にあり,被相続人からも信頼を寄せられていたものと評価することができるから,民法958条の3所定の,いわゆる特別縁故者に該当するものと認めるのが相当である。
4 そこで,被相続人の相続財産からどの程度の財産をAとBに分与すべきかについてみるに,上記のA及びBと被相続人の特別の縁故関係,相続財産管理人保管に係る相続財産が,本件遺産動産のほか預金約6283万円であること,その他,本件に表れた一切の事情を考I置すると,原審の定めた金額はやや低額とみることができ,被相続人の相続財産からAに対し本件遺産動産及び500万円を, Bに対し500万円を,それぞれ分与するのが相当というべきである。抗告理由は,この限度においては,理由がある。
5 なお,A及びBは,更に上記のとおり,同人らに相続財産の全部を分与するのが相当であると主張するが,採用できない。すなわち,(1) 被相続人が老人ホームに入所するまでのA及びBと被相続人との関係は,上記のとおりにみることが相当であるけれども,特別縁故とみるに至らない点では原審と同旨であるから,原審の認定に重大な事実誤認があるということはできない。(2) また, A及びBの療養看護上及び財産管理上の貢献並びに被相続人の死後の供養については,これらを十分割酌した上で,上記のとおり分与額を定めるのが相当というべきであり,これを更に増額すべき事情があると認めることはできない。
6 以上の次第で,本件抗告は.上記説示に沿う限度で理由があるから,.家事審判規則19条2項に従い,これと異なる原審判を変更することとし,主文のとおり決定する。(裁判長裁判官田中j仕太裁判官小野木等久保井恵子)
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2012年2月26日 | コメント/トラックバック(0) |
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離婚請求事件、同反訴請求事件
第1
申立て本訴被告(反訴原告。以下,単に「被告」という。)は,本件訴訟が係属していることを前提に,主文第2項掲記の住面をもって本件訴訟につき口頭弁論期日の指定を求めた。
第2 事案の概要
1 前提事実
(1) 本訴原告(反訴被告。以下,単に「原告」としろ。)と被告は,平成14年×月×日婚姻の届出をした夫婦であった(甲1)。
(2) 原告は,平成19年×月×日被告との離婚を求める本訴を提起し,その後.被告も同年×月×日,原告の不法行為によって離婚に至ったことによる慰謝料請求の予備的反訴を提起した(顕著な事実)。
(3) 当裁判所の口頭弁論調岳によれば,平成20年×月×日に聞かれた第3回口頭弁論期日において,原告,同訴訟代理人,被告及び利害関係人C各出頭の上,当事者及び利害関係人の間で,要旨,次のとおりの訴訟上の和解(以下「本件和解」という。)が成立したことになっている。なお,利害関係人は,原告の現在の交際相手である(原告本人)。① 原告と被告は,和解離婚する。② D (平成19年×月×日生)の親権者を原告と定める。③ 原告は,被告に対し,和解金として金120万円の支払義務のあることを確認する。④利害関係人は,被告に対し,前項の債務を連帯保証する。⑤原告と利害関係人は,被告に対し,連帯して,第③項の金員を,次のとおり分割して支払う。平成20年×月末日限り,金10万円平成20年×月から平成24年×月まで毎月末日限り,金2万円⑥ 上記分割金の支払を怠り,その金額が4万円に達したときは期限の利益を失い, 原告と利害関係人は,被告に対し,残金に対する期限の利益を失った日の翌日から支払済みまで・年10ノ宅一セントの遅延損害金を支払う。⑦ 被告は,その余の請求を放棄する。③ 原告と被告との間,被告と利害関係人との聞には,本和解条項に定めるほかに債権債務がないことを確認する。⑨訴訟費用及び和解費用は各自の負担とする。
2 被告の主張被告は,たしかに本件訴訟で和解はしたが,上記口頭弁論調書に記載されたような和解をした覚えはない。すなわち,本件和解条項第①項によれば,直ちに離婚したことになっているが,被告は和解金が全額支払われた時点で離婚をする趣旨であった。また,本件和解条項第⑧項,同第⑨項もそのような和解をした覚えがない。
3 原告の反論本件訴訟は,本件和解が成立したことによって,終了した。
第3 裁判所の判断
1 当裁判所の口頭弁論調書によれば.本件和解が成立したことによって,本件訴訟は終了しており, 口頭弁論の方式に関する規定の遵守は調書によってのみ証明することができる上(民事訴訟法160条3項).本件和解が成立していないとする証拠もない。もっとも.被告の真意は,和解の成立自体を争うものではなく,和解の内容を争うことにあるのかもしれないが,被告主張のように和解金を支払った時点で離婚が成立するような条件付きの身分行為を成立させることは.あり得ないのであり,また.本件和解条項第③項のいわゆる清算条項,同第⑨項の訴訟費用の合意は,どのような和解においても一般的に合意されるもので, これを欠くような和解はほぼあり得ないと思われる。いずれにしても,当裁判所の口頭弁論調書記載の本件和解条項の記載に誤記等はなく, この内容で和解が成立しており, これに反する証拠はない。
2 また,被告は,本件和解について錯誤があると主張する趣旨かもしれないが,本件和解は,被告が離婚に同意する代わりに,原告及び原告の現在の交際相手であった利害関係人に対して,連帯して和解金120万円の支払義務を課すというものであって,利害関係人の連帯保証を認めさせた点で,判決よりも被告に有利な面があり,かつ,和解金の金額自体には被告が不服を持っていないことが明らかであること(本件期目指定申立て後に実施された被告本人尋問の結果)に照らすと,本件和解について,上記被告の主張する点を含め,特段の錯誤があったとは認められず, 被告の錯誤を認めるに足りる証拠はない。
3 なお,被告の書面には,それ以外にも他々不服な点の記載があるが,本件和解の成否及びその効力の問題と直接関係するものとは認められない。
4 したがって,本件訴訟は,本件和解の成立によって,終了したことが明らかであって,本件和解について無効となるような事情は認められないから,主文のとおり判決する。(裁判官松谷佳樹)
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