婚姻費用分担審判に対する抗告事件

第 l抗告の趣旨及び理由
原審判を取り消し.更に相当な裁判をすることその理由は.別紙「即時抗告申立書Jに記載の本件抗告の趣旨は.を求めるものであり,原審判を次のとおり改める。 ただし原審判 2頁2行自の「当事者双方のJから 3行目末尾までを「当 ) – ( 本件記録及び若手間の全趣旨を総合すると. 事者双方の審問. の結果,次の事実が認められる。 Jと訂正する。原審判 2頁18 行目 官頭の「すべきか」の後に「といった点につ ( 2 ) 相 また, いては同居当初から抗告人と相手方との意見が一致せず.原審判 5頁4行目冒頭から 7 行目末尾までの全文を除く。相手方が抗告人に対し20 万3000 円の返還を求める部分は(3) 一件記録によれば,抗告人は,婚姻の翌日である平成19 年×月×
( 2 ) とおりである。当裁判所の判断当裁判所は.抗告人(原審相手方)に対し婚姻費用として平成20年×月以降当事者の離婚又は別居状態の解消に至るまで毎月末日限り 7万円を相手方(原審申立人)に支払うことを命ずるのが相当であると判断する。その理由は,次項で相手方の本件婚姻資ー 用分担の申圭てのう3 項号刃 ..心、これを引用する。 定事実と判断Jに記載のとおりであるから,手方の就労継続を含む結婚生活の在り方などの将来設計をどうするかJを加える。二女C についての特別児童扶養手当(月額5 万075 0 円)の平成19 年×月から平成20 年×月分までの合計額の金銭の返還を求める申立てである。E’ . x. 平成2 0 年×月×日,第 2ち20 万3000 円の返還(支払)を求める部分についての判断を示しで抗告理由に対する説示を加えるli か.原審判の「理由」中の 122 ( 1 ) C の特別児童扶養手当の受給申請をし 日.給資格及び手当の額について認定を受け,周年×月 x日に同年×月から×月までの分として合計15 万2250 円について抗告人の銀行口座その聞の向年×月×日. c を監 への振込みによる支給を受けたが.護していないとして受給資格を失ったことが認められる。ところで・ 特別児童扶養手当は.特別児童扶養手当等の支給に関の規定に基づき
( 3 ) する法律 ( UB 和39 年法律第134 号) 同法所定の障害児を監護するその父又は母等に対して支給される公的扶助としての国の手当であるが ( 司法3条 l 項.を受け.所定の手続の下に同手当の支給を受けた者は受給資格の認定障害児の生活の向上に寄与するために支給されるものであるとの趣旨に従って用いる義務を負うものの ( 同法3 条5 項) • これを保管費消することができる とともに 他方の配偶者が同手当の支給を受けた父又は母に対しその引波しや文払を当然に梢求することができると はj 押されなけ、ら.民法760 条の規定による婚姻から生ずる費用の分担に閲する処分(家事審判法 9 条 l 項乙類 3 号)けた父又は母に対し他方の配偶者に対する引渡しゃ支払を命ずるとして.その受給を受ことはできないものと解される。この点について.相手方は.特別児童扶養手当も.子の扶養を目
( 4 ) 的とするものであか婚姻費用には子の養育費分が含まれるのであるから.返還又は支払の義務の有無は.婚姻費用分担申立事件にお同手 ける審判事項になり得るも・ のであり.当の受給を受けた父である抗告人がC の監護をせず.相手方がその抗告人は,相手方との関係においては法 監護に当たっている以上,律上の原因なく同手当を利得していることになるから,相手方は.その引渡し又は支払 抗告人に対し不当利得返還請求権に基づき.を請求することができる旨主張する。2項参照) • かつ,本件においては
(5) たしかに, 一件記録によれば.相手方は.平成20年×月末ころから抗告人と別居し以後Cを監護養育していることが認められるが,抗告人がCの監護養育について何らかの関与をしていることをうかがわせる資料は見出されないから.実質的には抗告人がその受給した特別児童扶養手当を保持費消する利益も理由もなく. また.同手当の趣旨にかんがみれば,抗告人がCの監護以外の目的に同手当を用いることは本来許されないものである。したがって社会通念上,また.道義上も. 抗告人からCを監護している相手方に同手当と同額の金員が支払われるべきである。しかし家庭裁判所は.婚姻費用分担の家事調停手続において婚姻費用の分担に係る乙類事項だけでなく一般に家庭に関する紛争事項として抗告人と相手方間で上記手当と同額の金員を支払うことの合意が成立した場合にこの部分を含めて上記調停を成立させることはできるが(家事審判法17条. 21条).調停の不成立による審判移行後の家事審判手続において.抗告人に対し相手方への同手当の返還又は支払を命じる審判をすることは家事審判法上困難であるというほかない。なぜならば.審判に移行するのは,婚姻費用の分担に係る乙類審判事項の申立てだけに限られるからである。なお.本件のような特別児童扶接手当と同額-の金貝の返還文は支払を求める申立部分(原審記録中の申立ての趣旨参照)について怯.原則として,移行後の審判の主文において格別の応答をすべき必要はないと解するのが相当であるから. 当審主文においても同様とする。
3 (1) 抗告人は.抗告理由として. 原審判が婚姻費用の分担額として毎月7万円の支払を命じた部分につき,抗告人と相手方とは. その婚姻生活に閑し実質的な話合いをしたことはなく, 両人の意見の対立や紛争が顕在化することもなく.特段のl:J由がなかったにもかかわらず.相手方は.突然.強園な離婚意思を示し,一方的に抗告人と別居しCを連れて実家に戻か人工妊娠中絶を強行して本件婚姻関係を完全に破読させ.実質的に離婚が成立していたのであるから,抗告人が婚姻費用を分担する義務はない旨主張する。婚姻費用の分担額を算定するについては夫婦が別居に至った原因が権型者側又は義務者側のいずれにあるか,
(2)活状況に照らし相応の額の調整をする余地がまったくないとはいその責任の程度や生えない。一件記録によれば.抗告人と相手方との婚姻同居期検討するに聞は.約1か月程度であり.相手方が抗告人と別居する際.抗告人と婚姻生活を続けることは困難であることや妊娠中の抗告人の子を堕胎したい旨述べるなどしたことが認められるけれども.同時に.抗告人が配慮を欠く言葉でCを呼称したか相手方との間で生活費の分担や居宅マンシヨンの利用方法をめぐって意見が一致しない状況にあったりしたことも認められこれらの点を勘案すると.抗告人と相手方との別居の原因がすべて相手方にあり,又は抗告人の婚畑費用の分担額を減ずべきほどに別居についての相手方の帰資性が大きいと断ずべき事実関係があるとまではいえず,他にそのように認めるべき資料は見出されない。以上のほか, 抗告人及び相手方は. なお法律上の夫婦であり,婚姻費用の分担は,夫婦がそれぞれ負う生活保持義務の履行としてされるべきものであることに寄託すれば・抗告人の上記主張を採用することはできない。全会膏δ‘亦口”国1以上の次第で,抗告人!え相手方に対し平成20年×月以降車~î者の雌婚又は別居状態の解消に至るまで毎月末日限り7万円を支払うべきところ,原審判は.これと一致する限度で相当であるが,これと異なる限度で不相当であるから.これを変更することとし主文のとおり決定する。( 裁判長裁判官稲田龍樹裁判官浅香紀久雄内堀宏達)〔編注〕別紙は省略した。

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