審判前の保全処分申立事件

第1申立ての趣旨
主文と同旨
第2 当裁判所の判断
1 本件記録及び当庁平成18年岡第xx号事件記録によると,以下の事実が一応認められる。
(1) 保護者親権者父Bと保護者親権者母Cは,平成11年×月×日婚姻の届出をした夫婦であり,両者の聞には長女D(平成11年×月×日生).二女E (平成12年×月×日生).三女F(平成13年×月×日生).四女G (平成14年×月×日生).長男H (平成15年×月×日生).五女1(平成16年×月× 日生)及び二男である事件本人(平成17年×月×日生)がある。
(2)父は.CXわを自称しているところ,現在,組織からの離脱を図り,正業に就くことを考えており,そのために00免許を取得した旨述べている。母は,療養手帳を有しており,その級はxxである。
(3) 母は,平成17年×・月×日午後×時×分ころ,事件本人の母方祖母と司E件本人を抱きかかえた男ほか1名を伴い.cb消防署を訪れ,事件本人に沸騰した鍋の湯がかかって火悔を負ったので手当をして欲しいと述べた。同署救急隊員は,事件本人の火傷が顕著であることを確認し.00病院に事件本人を搬送し,事件本人は緊急入院した。事件本人は,胸以下.下半身火傷H度(深達性)であり,火傷が全身の約50パーセントに至っていること,胸部及び背部の火傷の境界がほぼ一直線になっていることから,事故というには不自然であり,虐待が強く疑われるものでーあった。また,父と母の司王件本人受傷状況に関する説明には矛盾があった。
(4) 司E件本人の火傷は,重篤であり, 皮膚の移植手術を施しても救命率は50パーセント以下と目されていたところ,父及び母は,事件本人の手術につきなかなか同意をしなかったが,同年×月×日,手術の同意、をしたことから,同日午後,同病院において,事件本人の手術が行われたJ
(5) その後.事件本人は,平成18年×月×日までの聞に,同病院において.4回にわたり手術を受けた。
(6) 父は,同月×回以降,事件本人を退院させて欲しいと依頼しJ 母も同様の依頼をしていた。これ民対し,同病院医師は, この時点では転院さえ無理な状態にあると考えていたことから,退院は無理である旨回答した。
(7) 父は,同年×月×日午後×時×分ころ,同病院に電話をかけ,「今から連れ;て帰るので退院できるよう準備しておけ。Jと述べたことから,同病院では,連れ去りを防止すベく警戒態勢をとった。父母は,事件本人の母方祖母,成人男性2名及び父母夫婦の長男とともに6名で同病院を訪れ.HCUに押し入札.同病院職員の制止を振り切り事件本人を連れ去った。同病院は,直ちに110番通報をし,警察において事件本人を捜索後,医師や警察官が事件本人を同病院に戻すように説得したが,父はこれを拒否した。その後,父は,事件本人を同病院に戻すと連絡してきたが, しばらく経っても同病院には現れなかった。
(8) しかして,事件本人は,父母らと一緒に,事件本人の母方祖母宅付近にいるところを偶然発見された。事件本人は,同日午後×時×分ころ,瞥ら用無線自動車により保護に向かった警察官により保護され,事件本人の母方祖母に同伴されて同病院に戻った。(9) 00児童相談所は,事件本人を一時保護した。2 前示の事実のほか,本件及び本件本案事案の審理の経過等諸般の事情を総合勘案すると,①事件本人は,父母による養育中,何らかの事情により,重篤な火傷を負っていること,②その受傷状況に関し,父母ないしその関係者は,不自然な供述をしており,虐待の可能性も否定できないこと,③事件本人が転院さえ無理な状態にあるにも関わらず.父母は退院要求を繰り返したこと,④父母は,夜間にもかかわらず退院を迫り,その親族らとともに,事件本人を入院中の病院のHCUから,病院職員の制止を振り切り連れ去っていること,⑤事件本入は,現在落ち着いた環境で順調に回復しつつあること,⑥父は,本件本案の審問期日に出頭せず,当庁家庭裁判所調査官による面接調査をも拒否していること,⑦父は,当庁への出頭を拒む理由につき,αわに見つかると危険である旨述べていることが認められる。
3 そうすると,本件本案の審判がその効力を生ずるに至るまでの問,父母両名と事件本人との面会及び通信を制限することが必要であると認められる。よって,当裁判所は,申立人の本件申立てを相当と認め,特別家事審判規則18条の2′ ~,こ基づき,主文のとおり審判する。(家事審判官甲良充一郎)

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