間接強制申立事件

第1 申立ての要旨

債務者は,債権者に対し, 広島家庭裁判所平成16年岡第xx号子の養育費申立事件の執行力ある審判正本に基づいて,未成年者の養育費として,平成15年8月から未成年者が満20歳に達する日の属する月まで,毎月末日限り5万円を支払うべき債務を有しているが,債務者は平成19年1月以降, 同債務を履行しない。

よって,債務者は,債権者に対し,本件申立てを認容する決定の送達を受けた日から10日以内に下記(1)ないし(3)(但し,下記(2)の金員のうち, この期間内に弁済期が到来しない部分については,それぞれ弁済期が経過するまでに)の金員を支払わないときは,各支払期限の翌日から支払済みまで相当な金員を支払う旨の決定を求める。

(1) 平成19年1月分から同年10月分の合計50万円

(2) 同年11月分から平成20年4月まで毎月末日限り5万円

(3)執行費用

第2 当裁判所の判断

1 一件記録(当庁平成16年俸)第xx号子の養育費申立事件の記録を含む。)によれば,次の事実が認められる。

(1)債権者と債務者は婚姻し,平成11年×月×日未成年者をもうけたが,同年×月×日,未成年者の親権者を債権者と定めて協議離婚した。

債権者は,平成15年8月×日,債務者に対して,養育費の支払を求める調停を申し立てたが(当庁同年(家イ)第xxx号子の養育費調停申立事件).平成16年2月×日,同調停事件は不成立となって審判に移行した。当庁は,債務者が株式会社00に勤務し平成15年分の給与収入として724万7360円を得ていること等を認定して,同年3月×日,平成15年8月から平成16年2月までの未払分35万円を直ちに,同年3月から未成年者が満20歳に達する自の属する月まで,毎月末日限り5万円の支払を命じる旨の審判をし(当庁平成16年岡第xx号,以下「本件審判」という。)同審判は同年3月×日債務者に対して送達がなされ、同年4月×日確定した。

(2) その後,債権者は,債務者が平成19年1月以降の養育費の支払をしないと主張して,同年3月×日,当庁に対して履行勧告の申立てをしたが,債務者は全く回答しなかった。

そこで,債権者は,同年3月×日,本件を申し立てたが,債務者は,当庁からの審尋に対して何らの主張立証をしない。

2 ところで,養育費の間接強制について、「債務者が支払能力を欠くためにその金銭債権に係る債務を弁済することができないとき,又はその債務を弁済することによってその生活が著しく窮迫するとき」はできないものとされ(民事執行法167条の15第l項ただし書)、それらの事実は債務者が主張立証すべきであるが,債務者は,当庁の審尋に対して何らの主張立証をしない。

3 そして,間接強制金の金額については,債務の性質,不履行によって債権者が受けるべき不利益,債務者の資力,従前の債務の履行の態様を特に考慮して定めるべきところ(同法167条の15第2項)、債務の性質が養育費であること,債務者は,本件審判時,年額724万7360円の給与収入を得ていたこと,債務者は,平成18年12月までは支払をしていたが,その後、10か月間にわたって不履行を続けていること等を考慮し. 1日当たり1000円と定めることとする。

但し,間接強制金の累積によって債務者に過酷な状況が生じるおそれがあることから,間接強制金の支払を命じる限度を,平成19年1月から同年10月までの提育費については180日間,同年11月以降の養育費については各月ごとに30日間と限定することとする。

よって,主文のとおり決定する。(裁判官佐藤道恵)

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