間接強制申立事件

1 本件記録によると,次の事実が認められる。

(1)債権者と債務者との聞で,平成17年2月×日,長女c(平成9年x月×日生)及び長男D (平成11年×月×日生)の親権者をいずれも債権者と定めて和解離婚をすること,そして,債務者が債権者に対し,上記子らの養育費として平成17年3月から上記子らがそれぞれ満20歳に達する月まで,毎月20日限り1人当たり1か月3万円ずつを支払うことなどを内容とする和解が成立した。

(2) ところが,債務者は,初回から全く養育費を支払わず,そのため,債権者は,平成17年5月×日,当庁に履行勧告の申出をした。その結果,債務者は,当庁の家庭裁判所調査官に,同年末までにまとめて支払う旨の回答をしたので,上記履行勧告事件は終了した。しかし,その後,債務者は,債権者に対し,平成18年1月×日に2万円を送金しただけで,それ以外に養育費を全く支払わず,今日に至っている。

(3) 債務者は,本件において,当裁判所から平成19年2月×日の審尋期日の指定を受けたが,その期日に出頭せず,債務者から当裁判所に提出された申述書(債務者用)には,「未払分について一部であっても支払う能力がない」及び「私には財産は全くありません」の各欄にチェックがなされている。そして,債務者からは, 「会社を存続させていくのに必死にやっているなかで,養育費を6万円払うことすら厳しい。」,「養育費は借金をしてでも支払うので,子供と話をさせてほしい。」等の記載がなされた書面も提出されている。

(4) なお,債務者は,「株式会社○○」という不動産の売買や不動産の賃貸等を目的とする会社を経営しており,同社名義で,平成16年8月には自動車を購入し,平成18年6月には新たな不動産を取得するなどしており、経済的に困窮しているような様子はうかがえない。

2 前記1(3)のとおり,債務者は,当裁判所へ提出した申述書において,支払能力がない旨主張するが,それを裏付ける証拠を提出していないし、前記1(4)の債務者の経済状況に照らすと,債務者の上記主張はにわかに信用しがたい。

その他に債務者が前記申述書や書面で述べる点も,債権者からの本件申立てを妨げる理由にはなりえない。

3 以上によると,本件間接強制の申立てを認めるのが相当である。

なお,間接強制金の額については,これまでの支払状況等をも考慮して, 1日当たり1000円と定めるが,間接強制金の累積によって債務者に過酷な状況が生じるおそれがあることを考慮し, 142万円(平成17年3月分から平成19年2月分までの未払養育費の合計金)については120日間を,平成19年3月以降の養育費については各月分ごとに30日間を限度とすることとする。

よって,主文のとおり決定する。(裁判官白井俊美)

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