遺言無効確認等請求事件

上告人Y2 の代理人0000 及び上告人らの代理人0000 の各上告理由について
1 民事事件にっし1 て最高裁判所に上告をすることが許されるのは,民訴法312 条 l 項文は 2 項所定の場合に限られるところ,上告人Y 2 の代理人0000 0) 上告理由は,理由の不備をいうが,その実質は事実誤認文は単なる法令違反を主張するものであって,上記各項に規定する事由に該当しない。• 2 上告人らの代理人000 0の上告理由比 上告人Y 2 の関係では,これを記載した書面が民訴規則1 94 条所定の上告理白書提出期間後に提出されたことが明らかであり,上告人Y1 との関係では,民訴法312条 1 項又は 2 項に規定する事由を主張するものではないことが明らかである。第 2 職権による検討上告人らの代理人0000 の所論にかんがみ,職権をもって検討する。l 原審の適法に確定した事実関係の概要は,次のとおりである。
(1) Aは,平成17 年×月 ×日に死亡した。
(2) 上告人Y2 • 同Y1 及ひ’被上告人は,いずれも A の子である。
(3) 上告人Y2 は,第 l審判決別紙のとおりのA名義の造言替を偽造しf こ。
2 本件は,被上告人が,上告人らに対し,上告人Y 2 が民法89 1 条5 号所定の相続欠格者に当たるとして,同Yz がAの相続財産にづき相続人の地位を有: しないことの確認等を求める事案である(以下,上記確認請求を「本件請求Jという。)。, 3 第 l 審は,本件請求を棄却したため,被よ告人がこれを不服として原審は.*件請求を棄却した第 l 審判決を上告人Yzl こ対する関係でのみ取り消した上,同Y 2 に対する本件請求を認容控訴したと ころ同Yt に対する被上告人の控訴を,控訴の利益を欠くもの する一方,として却下した。以下の( 1 ) 及び(2) の各点におい是認する ことができない。その理由は,次のと おりである。 て,被上告人の上告人Yt に対する控訴の適否について本件請求に係る訴えは,共同相続人全員が当事者として関与し,その間で・合ーにのみ確定することを要する固有必要的共同訴訟と解(最高裁平成1 5 年(受)第1153 号同16 年 7 月 6したがって, ー 本件請求を棄却した第 1 審判決主文第 2 項は,被上告人の上告人Yt ‘ こ対す同Yt に対する関係では,本件請求を棄却した を却下した結果,このような原審 第 l 審判決を維持したものといわざるを得ない。固有必要的共同訴訟における合一確定の要請に反する の判断は,ものである。そして,原告甲の被告乙及ひ’丙に対する訴えが固有必要的共同 イ原審の上記判断は, しかしながら,(1) するのが相当である日第三小法廷判決 ・ 民集58 巻 5 号1 3 1 9 頁) 。る請求をも棄却するものであるというべきであって, 上記 3の訴訟経過に照らせば,被上告人の上告人Y t に対する控訴につき,控訴の利益が認められることは明らかである。本件請求に係る訴えは,固有必要的共同訴訟と解するのが相当であることは前示のとおりであるところ,原審は,本件請求を棄却 した第 l 審判決を上告人Y 2 に対する関係でのみ取り消した上,同Y 2 に対する本件請求を認容する一方,同Y1 に対する控訴甲の 甲の乙に対する請求を認容し.本件請求に関する判断についてア(2) ず ‘り.わ ・ 刀 ・カ も る φ の で ぶ AZ – -” ” 訴{9j J (家事)丙に対する請求を棄却するという趣旨の判決がされた場合には,甲が上訴又は附帯上訴をしていないときで・あっ守 ても,半 I J 裁上訴審は,合一確定に必要な限度で,上記判決のうち丙に関する部分を,丙に不利益に変更することができると解するのが相当である(最高裁昭和44 年(オ)第3 1 6 号岡崎年 7 月20 日第二小法廷判決 ・ 民集27 巻7 号863 頁参照)。そうすると,当裁判所は,原判決のうち上告人同Yt に関する部分も破棄することができるというべきである。以上によれば,上記各点に係る原審の判断には,判決に影響を及ぼ原判決は,全部破棄を免れなぃ。そしてJ上記事実関係によれば,上告人Yz は民法891 条 5 号所定の相続欠格者に当たるというべきところ, 同Yz 及び 記録によれば,Y 2 に関する部分のみならず,
5 すことが明らかな法令の違反があり,同Yt は,第 1 審及び原審を通じて共通の訴訟代理人を選任し,本件請求の当否にっさ,全く同ムの主張立証活動をしてきたことが明らかであって,本件請求については,同Y z のみならず,同Yt の関係においても,既に半分な審理が尽くされているということができるから,第 l 審判決のうち同Y 2 及び同Y t に対する関係で本件請求を棄却したこれらの請求を認容すべきである。なお,上告審は.1:記のような理由により原判決を破棄する旨の判決をする場合には,民訴法3 1 9 条並びに同法313 条及び297 条により上告審の訴訟手続に準用される同法1 40 条の規定の趣旨に照らし, 必ずしも口頭弁論を経ることを要しないものというべきである。よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。(裁判堀寵幸男 藤田苗靖 裁判官 田原睦夫 長裁判官 近藤 那須弘平崇晴)

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