相続権不在確認請求事件

上告代理人〇〇〇〇,同△△△△の上告受理申立て理由について
1 記録によれば,本件の概要は,次のとおりである。
(1) Cは,平成9年3月14日死亡した。その法定相続人は,妻であるD並びに子である上告人,被上告人,E及びFである。
(2)上告人は,被上告人がCの遺言告を隠匿し,又は破棄したものであり,被上告人がした上記行為は民法891条5号所定の相続欠格事由に当たると主張し,被上告人のみを被告として,被上告人がCの迫産につき相続人の地位を有しないことの確認を求める本件訴訟を提起した。
2 被相続人の遺産につき特定の共同相続人が相続人の地位を有するか否かの点は,遺産分割をすべき当事者の範囲,相続分及び遺留分の算定等の相続関係の処理における基本的な事項の前提となる事柄である。そして,共同相続人が,他の共同相続人に対し,その者が被相続人の遺産につき相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えは,当該他の共同相続人に相続欠格司王白があるか否か等を審理判断し,遺産分割前の共有関係にある当該遺産につきその者が相続人の地位を有するか否かを既判力をもって確定することにより,遺産分割審判の手続等tとおける上記の点に関する紛議の発生を防止し,共同相続人間の紛争解決に資することを目的とするものである。
このような上記訴えの趣旨,目的にかんがみると,上記訴えは,共同相続人全員が当事者として関与し,その間で合ーにのみ確定することを要するものというべきであり,いわゆる固有必要的共同訴訟と解するのが相当である。
3 以上によれば,共同相続人全員を当事者としていないことを理由に本件訴えを却下した原審の判断は,正当として是認することができる。所論引用の判例は,事案を異にしs本件に適切なものとはいえない。論旨は採用することができない。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。(裁判長裁判官 上田豊三 裁判官 金谷利蹟 積回邦夫 藤田宙靖)

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