子の監護に関する処分審判に対する抗告事件

第1 抗告の趣旨及び理由
本件抗告の趣旨は,原審判を取り消し,未成年者の監護者を抗告人単独に変更し,未成年者の養育場所を日本国に変更する旨の裁判を求めるものであり,その理由は,別紙「抗告理由書」に記載のとおりである。
第2 当裁判所の判断
1 当裁判所も,未成年者の監護者を抗告人単独に変更し,未成年者の養育場所を日本国に変更するよう求める抗告人の本件各申立ては,我が固に国際裁判管轄を認めることができず不適法であると判断する。その理由は,後記2のとおり付加するほかは,原審判の理由説示のとおりであるから,これを引用する。
2 抗告人は,未成年者の児童育成手当及び児童手当の受給を開始し,未成年者の国民健康保険証や乳幼児医療証の発行を受け,未成年者が保育園に通園を始めているから,未成年者が抗告人の住所において共に生活を送っていることは明らかであり,その住所地に国際裁判管轄があることは明らかである旨主張する。しかし,上記引用の原審判の理由説示のとおり,抗告人は,アメリカ合衆国内を未成年者の居住場所とする内容の監護計画に合意し,その監護計画は同国の裁判所の命令として承認されたものである。その命令の居住スケジュールの下において,抗告人が,未成年者を連れて一時帰国し,そのまま滞在を続け,未成年者の児童育成手当及び児童手当の受給を開始し, 未成年者の国民健康保険証や乳幼児医療証の発行を受け,未成年者を保育園に通固させているとしても,上記命令に反して一方的に作出した状態を理由として,未成年者の住所又は常居所地が日本にあると認めることはできないというべきである。したがって,本件各申立てについて我が国に国際裁判管轄を認めることはできなし、。抗告人の主張は採用することができない。
3 よって,原審判は相当であり,本件抗告はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり決定する。(裁判長裁判官石川善則裁判官菊池洋一徳増誠一)

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