児童養護施設入所措置等承認申立事件

第1 申立ての趣旨
主文同旨
第2 当裁判所の判断
1 家庭裁判所調査官の調査報告書を含む一件記録によれば,以下の事実が認められる。
(1) 親権者父B (昭和40年x月×日生,以下「実父」という。)は,平成3年×月×日, cと婚姻し,両名の間には,長女である事件本人及び長男D(平成4年×月×日生)が出生した。
(2) 実父とCは,平成5年×月×日協議離婚し, cが事件本人及びD(以下,事件本人とDを併せて「事件本人ら」という。)の親権者となった。その後, cは,事件本人らと共にCの実家で暮らし,実父は,仕事が休みの日に,事件本人らを自宅に連れてきて遊ばせていたが,同年×月×日から, cは,実父宅で,実父及び事件本人らと同居するようになった。
(3) ところが,同年×月×日, cは,事件本人らを無認可保育園に預けたまま,行方不明となり,実父が,児童相談所に相談したところ,平成6年×月×日,事件本人らは,乳児院(○○○)に入所措置された。
(4) 実父は,事件本人らの親権者変更を求め,平成7年×月×日,事件本人らの親権者は, cから実父に変更された。
(5) その後,事件本人については平成7年x月×日, Dについては平成8年×月x日,それぞれ満年齢によって乳児院入所措置は解除となり,それぞれ口口口に里親委託された。
(6) ところが,口口口では,平成8年×月×日ころから, Dの端息への対応が困難となったため,同月×日,事件本人らは, ○○市児童相談所の一時保護所に一時保護され,平成9年×月x日,一時保護が解除され,同日付で児童養護施設である△△△に入所した。(7) 事件本人は,△△△で生活していたが,学園の集団生活に適応できず,中学校も休みがちとなり,△△△での措置継続が困難な状況となった。そこで,児童相談所は,事件本人のペースに沿い,より個別に細やかな対応ができる里親への委託が有効と考え,平成18年の年末から,里親委託に向けて,事件本人の里親宅への外泊を繰り返し,調整を始めた。また,事件本人は,中学校卒業後の進学先として○○への進学を決めた。
(8) 一方,児童相談所は,実父に対し,事件本人について,里親委託への措置変更の同意を求めたが,実父は,事件本人とDが別々のところで生活することになる点に難色を示し,同意しなかった。
(9) 事件本人は,平成19年×月00に進学し,現在,△△△から通学している。また,事件本人は. 2週間に一度くらいの割合で,週末に里親宅に2泊ないし3泊し,里親宅から通学することもある。事件本人と里親との関係は良好であり,事件本人は,里親宅で生活し,里親宅から学校に通うことを希望している。また,事件本人は,当面はDと別々の生活になることについても,それで構わないと述べている。
(10) 申立人によれば.Dについては,現時点では無理だが,いずれ事件本人と同じ里親に委託される可能性もあるとのことである。
2 前記認定の事実関係によれば,事件本人は,平成6年以降現在まで,乳児院,里親及び児童養護施設において生活していたが,児童養護施設での入所継続が困難な状況となっているところ,集団生活にうまく適応できない事件本人にとっては,個別的に細やかな対応のできる里親委託が有効であり,事件本人も里親宅への外泊を繰り返した結果,現在,事件本人は,里親と良好な関係を築き,里親の下で安定しており,事件本人も里親に委託されることを希望していることが認められ,また,実父の反対の理由も,事件本人とDが別々になることを懸念してのものであるところ,事件本人自身はDと別々になることを納得していること,児童相談所も,将来的にはDも同じ里親に委託することも想定していることが認められ,かかる事情に照らせば,事件本人の福祉のためには,事件本人を里親委託させることが相当であると思料する。
3 よって,主文のとおり,審判する。(家事審判官脇由紀)

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